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「不思議の国の魔王様」(2008/04/07 (月) 19:15:53) の最新版変更点
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それは、放送直前のこと。
速筆魔王LXは、入手した首輪を技術手袋により解体していた。
(なるほど、確かにこれはお粗末な作りだねえ…。)
バラバラになった首輪のパーツを見つめながら、LXは心の中で呟く。
首輪の構造、それは専門知識のない彼にすら理解できるほど単純なものだった。
(ロワによっては死体の首輪は簡単に外せても、生きてる参加者の首輪を外そうとするとBOMB!なんてこともあるけど…。
この構造ならそんな器用なことは出来そうにないね。とりあえず、自分の首輪から外してみようか。)
そう考え、自分の首もとに手を伸ばすLX。だがそのとき、彼の体に異変が起こった。
(あれ…。どうしたんだろう、急に眠気が…。
確かにロワが始まってから睡眠は取ってないけど…。こんな急に眠くなるのはおかしいだろう…。
駄目だ、今寝ちゃ…。放送も…近いっていうのに…。)
必死の抵抗もむなしく、彼の意識は眠りの世界へ落ちていった。
◇ ◇ ◇
(はて、ここはどこだろう…。僕はたしか、旅館にいたはずだけど…。)
LXは、気づけば見知らぬ場所にいた。きょろきょろと辺りを見回すと、あちこちに見覚えのある、けれどどこかおかしいキャラ達がいる。
木の枝の上では、クロちゃんがニヤニヤと不愉快な笑みが浮かべている。
塀の上には、落ちそうで落ちない絶妙なバランスでカービィが座っている。
ギルダーの帽子をかぶったセージは、うどんげと二人でティータイム。
お城の庭では、女王様ハルヒの命令でトランプのSOS団がせっせとバラにペンキを塗っている。
遠くのほうでは、煙を噴き上げ汽車が走る。車掌はもちろん、クレア・スタンフィールド。
(ああ、何となくわかってきた…。)
少しずつ、状況を理解するLX。その背後から、何者かが近づく。
「こんにちは、ジャバウォックさん。」
声に反応してLXが振り向く。するとそこには、フリフリのロリータファッションを身にまとったピンク髪の少女が立っていた。
「君はみWiki…じゃなかった、みゆきさん?」
「いえ、みWikiで正解ですよ。私はあなたが持っている本、みWikiの精です。」
「みWikiの精?」
LXは、思わず首をかしげる。
「ハルコンネンとかカラシニコフの精なら聞いたことあるけど…。本にも精霊っているものなの?」
「ええ、元々私は、精霊など宿っていないただの本でした。
しかし長いことデイパックの中で放置され存在を忘れられているうちに、原作のみゆきさんとシンクロし私という人格が誕生したのです。」
「あー、なるほど…。」
みWikiの話に、妙に納得してしまうLX。だってみゆきさん、アニロワ2ndに出てないし。
ちなみに、メイン四人の中でみゆきさんの出番が一番少ないことは、悲しいことに公式ガイドブックの中のデータで証明されている。
「で、なんでこの世界は『不思議の国のアリス』なの?『鏡の国』も混じってるみたいだけど。みゆきさんと関係ないんじゃない?」
「まあ、夢オチの元祖ということで。別に深い意味はないんです。」
「そうか…。うん、それは理解した。でもさ…。」
「なんですか?」
突然、LXの纏う雰囲気が変わる。
「なんでよりにもよって、こんなタイミングで僕を夢の世界に連れ込んだわけ?
今、放送直前なんだよ?しかも、首輪の分析っていうロワ的に大事な作業の途中だったし…。
つまり、何が言いたいのかというとだね…。」
「空 気 読 め」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
養豚場のブタを見るような視線と共に放たれた一言に、みWikiの精は思い切り怯える。
そりゃあもう、漫画ロワの死者スレでDIOに怯えるみゆきさんぐらいに。
たった一言でここまでの効果をもたらせるのは、さすが魔王といったところか。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
止めどなく涙をあふれさせながら、みWikiの精は土下座を繰り返す。
「うん、まあそこまで謝ってくれなくていいんだけどね。なんかそのセリフ、誰かとかぶってるような気がするし。」
LXはばつが悪そうな表情を浮かべると、みWikiの精に手をさしのべ彼女を立ち上がらせた。
「それで、僕に何の用なんだい?手短に話してもらえないかな。あくまで手短に、ね。」
「は、はい!実は私が覚醒したのは、先ほど話したことに加えもう一つ理由があるんです。
どうやら先ほど、こなたさん、かがみさん、つかささんがこの会場に揃ったことも原因みたいなんですよ。」
「うん、それで?」
「私を…みWikiをその中の誰かのところに運んでほしいんです。そうすれば、何かが起こるはずですから。」
「何かって?」
「わかりません。」
「つまり、まったく確定要素がないことのために、わざわざタイミングの悪い時に僕を呼んだと?」
………
しばしの沈黙。
「帰るね。」
「ああっ、ちょっと待ってください!せめて、あの人達の位置だけでも聞いていってください!
こなたさんとかがみさんはですねえ、い―――」
ドゴォォォォン!
(あれ、今のは…夢?)
壊れかけの旅館の一室で、LXは目を覚ました。半ば無意識に時計に目をやると、時計の針はとうに午後6時を回っていた。
(しまった、寝過ごしたか!)
LXは慌てて部屋を飛び出し、将軍と熱血怪人がいるはずの隣の部屋へ向かう。
しかし、そこに二人の姿はなかった。あるのは電源の落ちたノートパソコンと、壁に空けられた大穴だけだ。
(まさか…。さっきの爆音だけは夢じゃなかったのか?くそっ、僕としたことが…。
間に合ってくれよ…。)
珍しく焦りの表情を浮かべ、LXは穴から闇夜へと飛び出した。
|245:[[君の言葉を聞かせて欲しい]]|投下順に読む|247:[[熱血対熱血~正義の系譜~]]|
|245:[[君の言葉を聞かせて欲しい]]|時系列順に読む|247:[[熱血対熱血~正義の系譜~]]|
|236:[[残されたもの]]|速筆魔王LX|247:[[熱血対熱血~正義の系譜~]]|
|236:[[残されたもの]]|蘇った現代の熱血怪人|247:[[熱血対熱血~正義の系譜~]]|
|236:[[残されたもの]]|ギャグ将軍|247:[[熱血対熱血~正義の系譜~]]|
|246:[[胎動するは二つの悪意]]|熱血王子|247:[[熱血対熱血~正義の系譜~]]|
それは、放送直前のこと。
速筆魔王LXは、入手した首輪を技術手袋により解体していた。
(なるほど、確かにこれはお粗末な作りだねえ…。)
バラバラになった首輪のパーツを見つめながら、LXは心の中で呟く。
首輪の構造、それは専門知識のない彼にすら理解できるほど単純なものだった。
(ロワによっては死体の首輪は簡単に外せても、生きてる参加者の首輪を外そうとするとBOMB!なんてこともあるけど…。
この構造ならそんな器用なことは出来そうにないね。とりあえず、自分の首輪から外してみようか。)
そう考え、自分の首もとに手を伸ばすLX。だがそのとき、彼の体に異変が起こった。
(あれ…。どうしたんだろう、急に眠気が…。
確かにロワが始まってから睡眠は取ってないけど…。こんな急に眠くなるのはおかしいだろう…。
駄目だ、今寝ちゃ…。放送も…近いっていうのに…。)
必死の抵抗もむなしく、彼の意識は眠りの世界へ落ちていった。
◇ ◇ ◇
(はて、ここはどこだろう…。僕はたしか、旅館にいたはずだけど…。)
LXは、気づけば見知らぬ場所にいた。きょろきょろと辺りを見回すと、あちこちに見覚えのある、けれどどこかおかしいキャラ達がいる。
木の枝の上では、クロちゃんがニヤニヤと不愉快な笑みを浮かべている。
塀の上には、落ちそうで落ちない絶妙なバランスでカービィが座っている。
ギルダーの帽子をかぶったセージは、うどんげと二人でティータイム。
お城の庭では、女王様ハルヒの命令でトランプのSOS団がせっせとバラにペンキを塗っている。
遠くのほうでは、煙を噴き上げ汽車が走る。車掌はもちろん、クレア・スタンフィールド。
(ああ、何となくわかってきた…。)
少しずつ、状況を理解するLX。その背後から、何者かが近づく。
「こんにちは、ジャバウォックさん。」
声に反応してLXが振り向く。するとそこには、フリフリのロリータファッションを身にまとったピンク髪の少女が立っていた。
「君はみWiki…じゃなかった、みゆきさん?」
「いえ、みWikiで正解ですよ。私はあなたが持っている本、みWikiの精です。」
「みWikiの精?」
LXは、思わず首をかしげる。
「ハルコンネンとかカラシニコフの精なら聞いたことあるけど…。本にも精霊っているものなの?」
「ええ、元々私は、精霊など宿っていないただの本でした。
しかし長いことデイパックの中で放置され存在を忘れられているうちに、原作のみゆきさんとシンクロし私という人格が誕生したのです。」
「あー、なるほど…。」
みWikiの話に、妙に納得してしまうLX。だってみゆきさん、アニロワ2ndに出てないし。
ちなみに、メイン四人の中でみゆきさんの出番が一番少ないことは、悲しいことに公式ガイドブックの中のデータで証明されている。
「で、なんでこの世界は『不思議の国のアリス』なの?『鏡の国』も混じってるみたいだけど。みゆきさんと関係ないんじゃない?」
「まあ、夢オチの元祖ということで。別に深い意味はないんです。」
「そうか…。うん、それは理解した。でもさ…。」
「なんですか?」
突然、LXの纏う雰囲気が変わる。
「なんでよりにもよって、こんなタイミングで僕を夢の世界に連れ込んだわけ?
今、放送直前なんだよ?しかも、首輪の分析っていうロワ的に大事な作業の途中だったし…。
つまり、何が言いたいのかというとだね…。」
「空 気 読 め」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
養豚場のブタを見るような視線と共に放たれた一言に、みWikiの精は思い切り怯える。
そりゃあもう、漫画ロワの死者スレでDIOに怯えるみゆきさんぐらいに。
たった一言でここまでの効果をもたらせるのは、さすが魔王といったところか。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
止めどなく涙をあふれさせながら、みWikiの精は土下座を繰り返す。
「うん、まあそこまで謝ってくれなくていいんだけどね。なんかそのセリフ、誰かとかぶってるような気がするし。」
LXはばつが悪そうな表情を浮かべると、みWikiの精に手をさしのべ彼女を立ち上がらせた。
「それで、僕に何の用なんだい?手短に話してもらえないかな。あくまで手短に、ね。」
「は、はい!実は私が覚醒したのは、先ほど話したことに加えもう一つ理由があるんです。
どうやら先ほど、こなたさん、かがみさん、つかささんがこの会場に揃ったことも原因みたいなんですよ。」
「うん、それで?」
「私を…みWikiをその中の誰かのところに運んでほしいんです。そうすれば、何かが起こるはずですから。」
「何かって?」
「わかりません。」
「つまり、まったく確定要素がないことのために、わざわざタイミングの悪い時に僕を呼んだと?」
………
しばしの沈黙。
「帰るね。」
「ああっ、ちょっと待ってください!せめて、あの人達の位置だけでも聞いていってください!
こなたさんとかがみさんはですねえ、い―――」
ドゴォォォォン!
(あれ、今のは…夢?)
壊れかけの旅館の一室で、LXは目を覚ました。半ば無意識に時計に目をやると、時計の針はとうに午後6時を回っていた。
(しまった、寝過ごしたか!)
LXは慌てて部屋を飛び出し、将軍と熱血怪人がいるはずの隣の部屋へ向かう。
しかし、そこに二人の姿はなかった。あるのは電源の落ちたノートパソコンと、壁に空けられた大穴だけだ。
(まさか…。さっきの爆音だけは夢じゃなかったのか?くそっ、僕としたことが…。
間に合ってくれよ…。)
珍しく焦りの表情を浮かべ、LXは穴から闇夜へと飛び出した。
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|246:[[胎動するは二つの悪意]]|熱血王子|247:[[熱血対熱血~正義の系譜~]]|