書き手ロワでギャルゲを作ってみた

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ある日のこと、素晴らしきフラグビルドはとある人物にメールで呼び出され、その人物の控え室に向かっていた。 「失礼します。」 「お待ちしておりましたよ。我が親愛なる同志、フラグビルドさん。」 そこにいたのは、仮面を身につけた和服の男。そう、マスク・ザ・ドSである。 「また心にもないことを…。私はあなたを…正確には、あなたの一部を殺した女ですよ?」 「なに、生前のいざこざなどたいした問題ではありません。今は同じ死者スレ住人ではありませんか。」 「……それで、わざわざ私を呼び出した理由はなんです?」 「これです。」 ドSはフラグビルドの前に、一枚のディスクをかざす。 「なんですか、それは。」 「私をメインに数名の書き手によって開発した恋愛シミュレーションゲーム、『私立書き手学園』です。 今日は、フラグビルドさんにこのゲームのテストプレイをおねがいしようかと思いましてね。」 「ほう、それは私に対する挑戦状と受け取ってよろしいんですか?」 フラグビルドの顔に、不敵な笑みが浮かぶ。彼女の専門分野は、その名の通りフラグ立て。 恋愛フラグの積み重ねが基本のギャルゲなど、まさに十八番である。 「受けていただけるようですね。では、ディスクをお貸ししましょう。期間は今日から三日ということで。」 「フフフ、全キャラ攻略してお返ししますよ。」 こうして、フラグビルドの孤独な戦いが始まった。 「さて、まずは女主人公で始めますか…。やっぱり最初に攻略するのはChain-情さんですよね♪」 ……… 「ぎにゃー!(ゲームの中の)私に殺されましたー!」 【ジャーク道場】 「なるほど、ゲームオーバーになるとアドバイスをもらえるわけですか…。しかしこの背景、どこかで見たような…。」 ……… 「あ、また殺された…。」 【鬼軍曹の新人キャンプ】 「あれ、さっきとアドバイスをくれるキャラが違う…。」 ……… 「あわわ、また主人公死亡エンドです…。」 【将軍のお悩み相談室】 「キャラは前と同じなのに、シチュエーションが違います…。なんですか、この労力の無駄遣いは…。」 ……… 『今日の○○ 地獄紳士に竜殺しで斬りつけられ死亡』 「なんかもう、今日のディアボロになってますー!」 そして三日後。 「かなり手こずりましたが…。何とか全キャラ攻略しましたよ…。」 かなりやつれた様子のフラグビルドは、それでも勝ち誇った笑みを浮かべドSにディスクとセーブデータの入ったメモリースティックを手渡した。 「ご苦労様です。それで、感想などはありますか?」 「グッドエンドのシナリオは素晴らしいと思うんですよ。何回か泣きそうになりましたし。 ただ、バッドエンド…と言うか、主人公が死ぬエンドが多すぎです。 ミステリーじゃあるまいし、なんで恋愛物でここまで死人が出なきゃならないんですか…。」 「まあ、ロワの関連グッズですし。人死には不可欠かな、と思いまして。」 「やりすぎです。私ですらこんなに手こずるんじゃ、一般人は絶対途中で挫折しますよ。」 「なるほど、多少難易度を下げる必要がありますかね…。御意見ありがとうございます。あ、そうそう。これは今回の報酬です。」 そういうと、ドSは封筒をフラグビルドに渡す。 「なんですか、これは。」 「私の分身が特殊能力を使って撮影した、Chain-情くんの最新状況生写真5枚セットです。」 「え♪」 それを聞いて、フラグビルドの顔色が一気によくなる。 「それじゃあ、ありがたくいただいていきますね♪また何かあったら、いつでも声をかけてくださいねー♪」 全身から音符マークを放出しそうなほどの上機嫌で、フラグビルドは帰っていった。 フラグビルドが帰った後、ドSは一人でセーブデータをチェックしていた。 (しかし、本当に全キャラを攻略してくるとは…。正直な話、5人もグッドエンドに到達できれば上出来だと思っていたのですが…。 さすがはフラグビルド、といったところですかね…。) モニターを見つめながら、ドSはにやりと笑う。 (それにしても、温泉少女とネコミミストは真っ先に相手が不幸になるルートを攻略しているというのは…。 単なる偶然ですよね。うん、そういうことにしておきましょう。)

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