傷だらけの天使たち

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何が起きたのか、全然わからなかった。 あの時、突然僕たちの前に、無惨な姿になった残月さんが現れて…。 それを僕の頭が認識したかしないかってうちに、彼女が倒れ込んできて…。 そのとき、なんだかすごく悪い予感がしたんだ。もう二度と、彼女に会えなくなるんじゃないかって。 だから僕は、彼女の手を握っていた自分の手に、いっそうの力を込めた。 でも、その手の中から彼女の手の感触は消えていって…。 気が付いたら、僕の体は宙に浮いていた。 ドゴンッ! 静かなる~Chain-情~、本日四度目の気絶。原因:高所からの落下による脳震盪。 ◇ ◇ ◇ E-6。ひたすら前進を続けた衝撃のネコミミストは、学校の右隣であるこのエリアに到達していた。 (あれは…。) 一心不乱に歩き続けていた彼女だったが、他の参加者を見つけ足を止める。 それは、道路の真ん中に大の字になって倒れる青年であった。 (ふ、不自然すぎる…。何かの罠?いや、それにしたって…。) どう対応したものか、悩むネコミミスト。しかし、最終的には声をかけてみるという結論に至った。 もちろん、最低限の警戒は怠らない。 「もしもし、大丈夫ですか?」 すぐそばまで近づき、声をかける。だが、反応はない。そこで彼女は、青年の体を軽く揺すりながらもう一度話しかける。 「もしもし、もしもーし!」 「ん…。」 わずかに、青年が反応を見せる。これ幸いと、ネコミミストはさらに体を揺する。 「大丈夫ですか?起きられますか?」 ネコミミストの声に呼応するように、青年の目がゆっくりと開く。 そして、彼は飛び起きるように体を起こした。 「あ、いきなり体を動かさない方が…。」 青年を注意しようとするネコミミストだったが、その言葉が終わるより早く、青年が彼女の肩をつかむ。 「君!この近くにフラグビルド…じゃなくて、えーと、緑の髪をツインテールにした女の子はいなかったか!」 「え?いや、あの、いませんでしたけど…。私が来たときには、あなた一人で…。」 青年の勢いにとまどいつつも、ネコミミストは正直に答える。 「そうか…。」 ネコミミストの返答に、青年…Chain-情はがっくりと肩を落とす。 理由はよくわからないが、自分は別の場所に瞬間移動してしまったらしい。 そして、この場に彼女はいない。 自分とは別の場所に移動したという可能性も、ゼロではない。 だが、それよりも遙かに可能性の高いケースがある。 彼女は、あの場に残ったのだ。 戦闘力が皆無に近い彼女が感電という強敵の前に残れば、あり得る結末はただひとつ。 「死」。 「………ッ!」 Chain-情の目から、一気に涙があふれ出す。 そんな結論、認めたくない。信じたくない。 もちろん、万が一ということもある。 タイミングよく誰かが助けに来てくれるかもしれない。 彼女が一発逆転の策を思いつくかもしれない。 だが、Chain-情の書き手としての思考がそれを否定する。 あの流れでは、そんな都合のいい展開にはなり得ない。 彼女は…素晴らしきフラグビルドは、十中八九命を落としたのだ。 「アアアアッ…!!」 必死でこらえていた嗚咽の声が、のどから漏れる。 悲しいの一言ではすまされない。魂を半分持っていかれたような気持ちだ。 彼女と出会ったのが今日の朝。時間にして半日も経っていない。 たったそれだけの付き合いで何を、と思う人間もいるだろう。 だが、それでも。 (僕は…彼女のことが本当に好きだったんだ…。) 涙は、さらに流れ落ちる。 (また…。また守れなかった…。うっかり侍さんも!残月さんも!誰一人守れなかった! 何でだ…。なんで僕はこうも無力なんだ!) 己を責め続けるChain-情。そこに、これまで黙っていたネコミミストが声をかける。 「失礼します。」 「え?」 Chain-情がその言葉の意味を理解するよりも早く、乾いた音が響く。 ネコミミストの平手が、Chain-情の頬を打ったのだ。 「あ、あの、いったい何を…。」 「気合い、入りました?」 「はい?」 ネコミミストの意図がわからず、Chain-情はただとまどう。 「事情は知りませんが、何となくわかります。あなたも、大切な人を失ったんですね…。 私もそうです。とても悲しい、とても辛い…。でも!」 ネコミミストの声のトーンが、ふいに上がる。 「泣いてる暇はないんです!死んでいった仲間の遺志を継ぐためには! 人は誰でも傷ついて、大きくなるものでしょう?倒れても、また這い上がらなきゃいけないんです! それが私たちの、生き残った人間の使命だから!」 一気にまくし立て、ようやくネコミミストは我に返る。 「すいません、会ったばかりの人に対して、こんな失礼な…。しかも、言ってることが支離滅裂ですね…。」 「いえ、あなたの気持ちはよくわかりました。ありがとうございます。」 そう返すChain-情。その目に、もう涙はない。 (そうだよな…。泣くのは悪いことじゃない。けど、僕にはそれを抑えてやらなきゃいけないことがある。 そう、このChain-情には夢がある!このロワに反逆し、一人でも多くの書き手を救うという夢が!) 涙の代わりにChain-情の目に宿るのは、決意の炎。それを見て、ネコミミストはかすかに安堵の表情を浮かべる。 「そういえば、お名前をまだ聞いてませんでしたね。私は衝撃のネコミミストです。あなたは?」 「静かなる~Chain-情~です。よろしく。」 Chain-情が自然に伸ばした手を、ネコミミストが握り返す。 この殺人ゲームの中で誰よりも苦しみ、誰よりも悩んできた二人。 その二人が、こうして出会ったのであった。 【夕方】【E-6 ビル街】 【静かなる ~Chain-情~@アニロワ1st】 【状態】:健康 【装備】:ゴールド・エクスペリエンスのDISC@漫画ロワ、仗助の学生服@漫画ロワ 【道具】:支給品一式×2、レインボーパンwith謎ジャム@ギャルゲロワ、CD『ザ・ビートルズ』、カエル×3 【思考】:  基本:殺し合いに反逆ゥ!そしてなるべく多くの仲間と生還し、死んだ書き手の分まで頑張る。  0:みんなの死を無駄にしないために、対主催の道を全うする!  1:フラグビルド…………  2:仲間達は?(ギャグ将軍、孤高の黒き書き手、シルベストリ、コロンビーヌ、パンタローネ、お姉さま、ルーキー)  ※容姿はスクライド(アニメ)の橘あすか。  ※元々着ていた服は、転移の際の崩壊により行方知らずとなりました。  ※どたばたしていたため、無明幻妖side.の首輪と永遠神剣「誓い」は回収し損ねました。  ※ビックバン・パンチ。命を犠牲にして放つ最強の一撃。不発でもそれなりの破壊力ですが、一時間以上は気絶します。  ※フラグビルドの生存を絶望視しています。  ※感電より、怪しげな裏話を聞かされました。 【衝撃のネコミミスト@アニ2nd】 【装備】:マテリアルブレード@テイルズロワ、クラールヴィント@アニロワ1st、バリアジャケット 【所持品】:支給品一式、拡声器 【状態】:精神的に消耗。不死者化。 【外見】:バリアジャケットの白いリボンドレス。 【思考・行動】 基本:前に……進む! 1:スクライドの遺志を継ぎ、牙なき人の剣になる。積極的にマーダーキラー路線。 2:熱血王子と再会したら、今度こそ彼を止める。 ※衝撃波を使えます。掌からだけでなく、足の裏からも出せるようになりました。 ※「大あばれ鉄槌」を幼女好きの変態と勘違いしています。 ※シャリダムを通じて幻夜の死体を喰い、その記憶と知識と経験を得ました。  また、ブックがロワに来てからシャリダムが生まれるまでの経緯を体験しました。 |230:[[今ここにいる私]]|投下順に読む|232:[[三人で、行こう]]| |230:[[今ここにいる私]]|時系列順に読む|232:[[三人で、行こう]]| |218:[[Blitzkrieg――電撃戦 (後編)]]|静かなる ~Chain-情~|240:[[封印一度]]| |219:[[さよならは言わないで。だって――(後編)]]|衝撃のネコミミスト|240:[[封印一度]]|
何が起きたのか、全然わからなかった。 あの時、突然僕たちの前に、無惨な姿になった残月さんが現れて…。 それを僕の頭が認識したかしないかってうちに、彼女が倒れ込んできて…。 そのとき、なんだかすごく悪い予感がしたんだ。もう二度と、彼女に会えなくなるんじゃないかって。 だから僕は、彼女の手を握っていた自分の手に、いっそうの力を込めた。 でも、その手の中から彼女の手の感触は消えていって…。 気が付いたら、僕の体は宙に浮いていた。 ドゴンッ! 静かなる~Chain-情~、本日四度目の気絶。原因:高所からの落下による脳震盪。 ◇ ◇ ◇ E-6。ひたすら前進を続けた衝撃のネコミミストは、学校の右隣であるこのエリアに到達していた。 (あれは…。) 一心不乱に歩き続けていた彼女だったが、他の参加者を見つけ足を止める。 それは、道路の真ん中に大の字になって倒れる青年であった。 (ふ、不自然すぎる…。何かの罠?いや、それにしたって…。) どう対応したものか、悩むネコミミスト。しかし、最終的には声をかけてみるという結論に至った。 もちろん、最低限の警戒は怠らない。 「もしもし、大丈夫ですか?」 すぐそばまで近づき、声をかける。だが、反応はない。そこで彼女は、青年の体を軽く揺すりながらもう一度話しかける。 「もしもし、もしもーし!」 「ん…。」 わずかに、青年が反応を見せる。これ幸いと、ネコミミストはさらに体を揺する。 「大丈夫ですか?起きられますか?」 ネコミミストの声に呼応するように、青年の目がゆっくりと開く。 そして、彼は飛び起きるように体を起こした。 「あ、いきなり体を動かさない方が…。」 青年を注意しようとするネコミミストだったが、その言葉が終わるより早く、青年が彼女の肩をつかむ。 「君!この近くにフラグビルド…じゃなくて、えーと、緑の髪をツインテールにした女の子はいなかったか!」 「え?いや、あの、いませんでしたけど…。私が来たときには、あなた一人で…。」 青年の勢いにとまどいつつも、ネコミミストは正直に答える。 「そうか…。」 ネコミミストの返答に、青年…Chain-情はがっくりと肩を落とす。 理由はよくわからないが、自分は別の場所に瞬間移動してしまったらしい。 そして、この場に彼女はいない。 自分とは別の場所に移動したという可能性も、ゼロではない。 だが、それよりも遙かに可能性の高いケースがある。 彼女は、あの場に残ったのだ。 戦闘力が皆無に近い彼女が感電という強敵の前に残れば、あり得る結末はただひとつ。 「死」。 「………ッ!」 Chain-情の目から、一気に涙があふれ出す。 そんな結論、認めたくない。信じたくない。 もちろん、万が一ということもある。 タイミングよく誰かが助けに来てくれるかもしれない。 彼女が一発逆転の策を思いつくかもしれない。 だが、Chain-情の書き手としての思考がそれを否定する。 あの流れでは、そんな都合のいい展開にはなり得ない。 彼女は…素晴らしきフラグビルドは、十中八九命を落としたのだ。 「アアアアッ…!!」 必死でこらえていた嗚咽の声が、のどから漏れる。 悲しいの一言ではすまされない。魂を半分持っていかれたような気持ちだ。 彼女と出会ったのが今日の朝。時間にして半日も経っていない。 たったそれだけの付き合いで何を、と思う人間もいるだろう。 だが、それでも。 (僕は…彼女のことが本当に好きだったんだ…。) 涙は、さらに流れ落ちる。 (また…。また守れなかった…。うっかり侍さんも!残月さんも!誰一人守れなかった! 何でだ…。なんで僕はこうも無力なんだ!) 己を責め続けるChain-情。そこに、これまで黙っていたネコミミストが声をかける。 「失礼します。」 「え?」 Chain-情がその言葉の意味を理解するよりも早く、乾いた音が響く。 ネコミミストの平手が、Chain-情の頬を打ったのだ。 「あ、あの、いったい何を…。」 「気合い、入りました?」 「はい?」 ネコミミストの意図がわからず、Chain-情はただとまどう。 「事情は知りませんが、何となくわかります。あなたも、大切な人を失ったんですね…。 私もそうです。とても悲しい、とても辛い…。でも!」 ネコミミストの声のトーンが、ふいに上がる。 「泣いてる暇はないんです!死んでいった仲間の遺志を継ぐためには! 人は誰でも傷ついて、大きくなるものでしょう?倒れても、また這い上がらなきゃいけないんです! それが私たちの、生き残った人間の使命だから!」 一気にまくし立て、ようやくネコミミストは我に返る。 「すいません、会ったばかりの人に対して、こんな失礼な…。しかも、言ってることが支離滅裂ですね…。」 「いえ、あなたの気持ちはよくわかりました。ありがとうございます。」 そう返すChain-情。その目に、もう涙はない。 (そうだよな…。泣くのは悪いことじゃない。けど、僕にはそれを抑えてやらなきゃいけないことがある。 そう、このChain-情には夢がある!このロワに反逆し、一人でも多くの書き手を救うという夢が!) 涙の代わりにChain-情の目に宿るのは、決意の炎。それを見て、ネコミミストはかすかに安堵の表情を浮かべる。 「そういえば、お名前をまだ聞いてませんでしたね。私は衝撃のネコミミストです。あなたは?」 「静かなる~Chain-情~です。よろしく。」 Chain-情が自然に伸ばした手を、ネコミミストが握り返す。 この殺人ゲームの中で誰よりも苦しみ、誰よりも悩んできた二人。 その二人が、こうして出会ったのであった。 【夕方】【E-6 ビル街】 【静かなる ~Chain-情~@アニロワ1st】 【状態】:健康 【装備】:ゴールド・エクスペリエンスのDISC@漫画ロワ、仗助の学生服@漫画ロワ 【道具】:支給品一式×2、レインボーパンwith謎ジャム@ギャルゲロワ、CD『ザ・ビートルズ』、カエル×3 【思考】:  基本:殺し合いに反逆ゥ!そしてなるべく多くの仲間と生還し、死んだ書き手の分まで頑張る。  0:みんなの死を無駄にしないために、対主催の道を全うする!  1:フラグビルド…………  2:仲間達は?(ギャグ将軍、孤高の黒き書き手、シルベストリ、コロンビーヌ、パンタローネ、お姉さま、ルーキー)  ※容姿はスクライド(アニメ)の橘あすか。  ※元々着ていた服は、転移の際の崩壊により行方知らずとなりました。  ※どたばたしていたため、無明幻妖side.の首輪と永遠神剣「誓い」は回収し損ねました。  ※ビックバン・パンチ。命を犠牲にして放つ最強の一撃。不発でもそれなりの破壊力ですが、一時間以上は気絶します。  ※フラグビルドの生存を絶望視しています。  ※感電より、怪しげな裏話を聞かされました。 【衝撃のネコミミスト@アニ2nd】 【装備】:マテリアルブレード@テイルズロワ、クラールヴィント@アニロワ1st、バリアジャケット 【所持品】:支給品一式、拡声器 【状態】:精神的に消耗。不死者化。 【外見】:バリアジャケットの白いリボンドレス。 【思考・行動】 基本:前に……進む! 1:スクライドの遺志を継ぎ、牙なき人の剣になる。積極的にマーダーキラー路線。 2:熱血王子と再会したら、今度こそ彼を止める。 ※衝撃波を使えます。掌からだけでなく、足の裏からも出せるようになりました。 ※「大あばれ鉄槌」を幼女好きの変態と勘違いしています。 ※シャリダムを通じて幻夜の死体を喰い、その記憶と知識と経験を得ました。  また、ブックがロワに来てからシャリダムが生まれるまでの経緯を体験しました。 |231:[[今ここにいる私]]|投下順に読む|233:[[三人で、行こう]]| |231:[[今ここにいる私]]|時系列順に読む|233:[[三人で、行こう]]| |219:[[Blitzkrieg――電撃戦 (後編)]]|静かなる ~Chain-情~|241:[[封印一度]]| |220:[[さよならは言わないで。だって――(後編)]]|衝撃のネコミミスト|241:[[封印一度]]|

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