なかのひとといっしょ

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「♪運転手はきっみっだ!」(CV.子安武人) 「♪車掌はぁぼーくーだ!」(CV.加藤精三) 「♪あーとのよにんはでんしゃのおきゃく……」(CV.若本規夫)  大の男が3名、高らかに歌いながら電車ごっこの格好で町並みを駆け抜けてゆく。  実に「春」な光景だ。 「ほれ、もっとちゃんと腿をあげぬか。肘の角度は九十度だ。たるんでおっては電車にならぬぞ!」  車掌役とおぼしき金ぴかハゲが、神父姿の「客」を叱咤する。 「……いや、なんで移動するのにわざわざ電車ごっこをしなくちゃならないんだ」  げんなりといった顔で漏らした熱血怪人に向かい、ギャグ将軍はさも当然と言わんばかりに答えた。 「楽しいからに決まっておろう」 「ちっとも楽しくねぇ!むしろ恥ずかしいだろ!」  神父服を来た超もっさり頭のむっつり村雨良が足を止めると、その後ろにいたギャグ将軍が勢いを止めずにそれをはねとばす。手近なビルの壁に頭からめり込んだ熱血怪人を、速筆魔王はため息とともに引きずり出した。 「それに、普通に歩くよりなんとなく早く走れそうな気がせぬか」 「腿あげダッシュなんてどう見ても運動部の筋トレだ、むしろ疲れるだけに決まってる……もうやめだ!やめ!」  熱血怪人は自分の襟首を掴む速筆魔王の手を振り払い、湿った道路にあぐらをかく。速筆魔王は苦笑とともに彼に尋ねた。 「そんなことより、この光景……見覚えはないかい?」 「光景、つうかむしろニオイがな……」  辺りを覆う白い粘液。一人前の男であれば、婉曲にケフィアと称されたそれの臭いに心当たりのないわけがない。 「なあ、なんで俺たち、出発点に戻ってんだ?」 「マップがループしてる、ってことだろうね」  速筆魔王が応じて腕を組む。  運転手役だった彼は気づいていた。彼らは十分ほどの電車ごっこの間に、このマップを軽く三周はしていたことに。  マップが狭かったのではない。彼らが速かったーーーー特急列車並みの速度で走っていたのだ。この速さならおそらく近くに「白猫」とやらがいても余裕のよっちゃんで見逃しているだろう。  彼ら三人のなかで、韋駄天の特殊能力を持つ者はいない。とすれば、彼らの足が速くなった理由は一つだ。  すなわち、「電車ごっこ」がそれだった。     ◇  ◇  ◇     電車ごっことは、電車の運転手や車掌や客になりきるだけの遊びではない。自らの腕で電車の車体を模し、SL機関車の動輪についたロッドの如く角張った動きを真似る。いわば、遊ぶ者たち自身の身体を使って電車に「なりきる」遊びである。  もちろん、いくら子供が電車になりきった所で、別に電車と同じ速さで走れるようになるわけがない。むしろなったら困る。危険過ぎる。幼稚園が交通事故のメッカになってしまう。さっきは弾き飛ばされた方が化け物だったからよいが、普通の子供なら即死確定。瞬殺。ズガンノキワミアッー!である。  だがたった今、彼らは実際に、電車と同じ速さで走ってしまった。子供に取っては夢のような出来事かもしれないが、現実になってしまえば脅威だ。  子供の夢、といえば目の前の二名が絡む変身ヒーロー。  変身グッズが玩具化されるくらいだから、子供に取って「ヒーローに変身ごっこ」はごくありふれた遊びだ。だが、バンダイ社がどれだけ変身ベルトに技術をこめた所で、それをつけてなりきり遊びをする子供たちが仮面ライダーに変身できるわけではない。  遊びは、あくまで遊びーーーーそのはずなのだ。  それが、熱血怪人は実際に変身することができている。必殺技も撃てる。本物の仮面ライダーになれるのだ。  このロワでは、なりきりが遊びで済まず、現実になる。  肉体的にも、そして精神的にも。  今の状況を考えれば、そう結論づけざるを得ない。       ◇  ◇  ◇     速筆魔王が考察を深める側で、ギャグ将軍はおもむろに頷いた。 「なるほど、我らは地球が丸いことを証明した、というわけだな」 「アホかおっさん」 「まあ、間違いじゃないけどさ」  二人の投げやりな返事に、金ぴかハゲは考え込むように腕を組んだ。手にした杖に絡んだ鎖が、場違いなほど軽やかに鳴る。 「しかし困ったものだ。これほど狭いのでは、地球を侵略してもクライシス50億の民をすべて移住させることはできぬのう」  飄々とした物言いが、電車ごっこに疲れ切った熱血怪人を苛立たせる。怪人は座り込んだまま、ギャグ将軍の脛を思い切り蹴り上げた。 「おっさん!いい加減キャラ思考から離れろ!」 「何を申しておる。地球征服は我がクライシス帝国の命運を決するほどに重要な使命。忘れるわけにはゆかぬ」 「このクソ親父!」 「余はそちのような子を産んだ覚えはない!」 「男が生むな!つーかそう言う問題じゃなくてだ!……ァあ、なんで日本語通じねぇんだよ」 「余は異世界から来たからな。チタマ語はちと不自由なのだ」  一向に動ずる様子のないギャグ将軍に、熱血怪人が天を仰ぐ。 「あんたは今ロワに投げ込まれて生存競争の真っ最中なんだぞ。そうやってキャラっぽい考えをするようになったのも何かの罠なんだ。自分を取り戻さなきゃ、多分俺たちは死ぬ。書き手じゃなくて、キャラとして死ぬんだ。解るか!?」  人格を否定され、現実(リアル)の事情をすべて無視される。それは人間として、一人の職人として、この上ない苦痛だった。職人にも私生活があり、日常の都合がある。それを鑑みず、ただのSS製造機と見なされることほど悲しいことはない。  そんな熱血怪人の怒りをたしなめんばかりに、ギャグ将軍が低く告げる。 「余を、誰と心得ておる」  威厳を音に奏でたようなその声で、金ぴかハゲは重々しく告げた。 「余の名は、ジョーク」 「……名簿には『ギャグ』将軍って書いてあるんだけどな」 「それに仮面ライダーBLACK RXに出て来るのは『ジャーク』将軍だろ」  速筆魔王と熱血怪人の冷静な指摘に、ギャグ将軍はポンと手を打った。 「む、間違えた。ほれ、笑え」  突っ込みを待っていたとしか思えないその答えを聞いた熱血怪人が、眉を潜めていぶかしむ。 「おっさん、あんたーーーーわざとやってないか?」     ◇  ◇  ◇     考えてみれば、始めから疑うべきではあったのだ。  ギャグ将軍がエロ娘コンビを説教する際に現した女口調。  あのときのギャグ将軍は、星一徹声を発する巨漢であるにも関わらず、腰に手を当てた立ち姿や身振りも含めてすべてが女性的だった。そのリアリティたるや、男が口元に手を当ててくねくねするのとはわけが違う。その分キモばかばかしさ倍増だったわけだが。  その「紛れもない女性のオーラ」は、鉄槌が横やりを入れた瞬間、今目の前にいる「渋い声の無駄遣い」に取って代わられた。微塵の躊躇もない変わり身だった。  最初は、書き手としての怒りがキャラの支配を凌駕した状態があの女口調だと捉えていた。が、それにしては、再びキャラの思考に戻るときの迷いがない。  熱血怪人は、自分がキャラに支配されていたと気づいた時、書き手としての理性を取り戻した。速筆魔王自身、熱血怪人の話を聞いた時少なからず驚き、今はやや引いた視点で「自分というキャラ」の置かれた状況を眺めるようになった。  それに引き換えギャグ将軍の振る舞いは、明確な自覚の元に行われている、言うなればーーーーネタ、だ。  つまりーーーー。  ギャグ将軍は、自分で解ってなりきっている……?! 「あんた、まさか……」  同じことに思い至ったのだろう。熱血怪人の視線が、マントに隠された背中のチャックに向けられる。 「 中 の 人 な ど い な い 」  答える声は、遠雷の如く荘厳に轟いた。激しくはない、だが確実に聞く者を威圧する響きだ。 「よいな?」  穏やかに問い返され、二人の男は思わず頷く。この穏やかさは、もしや嵐の前の静けさではないのか、と自問しながら。 「さて、再び電車ごっこを始める前に、コーヒーで一服と参ろうか」 「……だから、なんでいつもコーヒーに逃げるよ」  何もなかったかのようにコーヒーブレイクの準備を始める将軍に、熱血怪人が思わず舌打ちする。そもそもこのテーブルとか椅子とかテーブルクロスとかはどこから出て来たよ。あんたが持ち歩いてるのは金色のコーヒーセットだけのはずじゃないのか。  喉元で辛うじてとどまっている熱血怪人の疑問を平然と無視して、ギャグ将軍は銀のスプーンを受け皿に置いた。 「紅茶でも、日本茶でも良い。菓子をつまみながら暖かい物を飲むと、『気分が落ち着き、考えがまとまる』であろう?」  将軍の言葉に、ある考えがふと速筆魔王の脳裏をよぎる。  ーーーー固有結界『コーヒーブレイク』。書き手に落ち着きを取り戻させ、自らが手がけたネタの推敲吟味を強いる世界。  いや、まさかな。いくらなんでもそりゃないわ。       ◇  ◇  ◇     さすがの速筆魔王も、まだ気づいていなかった。  ギャグ将軍が持つコーヒーセット@スパロワは、俗に「空気フラグ」と言われている。  空想上の存在に過ぎないキャラが持てば、それは自らの存在を空気化するにすぎない。  だが、一旦書き手の手に渡ったそれは、書き手に空気の影響を与えるーーーー言い換えれば、空気を読ませるフラグとなる、ということに。  空気を読むとは、状況を把握し、客観的に判断すること。つまり……。 【午後/F-4/市街地】 【チームBADAN+新生クライシス帝国(仮称)】 【速筆魔王LX@アニロワ2nd】 【状態】健康 【装備】虎竹刀with千年パズル。 【道具】支給品一式。 【思考・行動】 1:このハゲ、ひょっとして……? 2:『白猫』って誰? 3:対主催陣を探し、ゲームに乗った強敵を撃破していく 4:可能ならもう一つ首輪を回収して、脱出フラグを積む 5:でも別に何エンドでもおっけー 【蘇った現代の熱血怪人@漫画ロワ】 【装備】:バヨネット×2 【所持品】:支給品一式 【状態】:全身にダメージ(小)。疲労(小) 【思考・行動】 基本:打倒、主催! 1:俺は正義の味方! 2:仮面ライダー書き手の『ライダー魂』を蘇らせる。 3:やっかいなおっさんを仲間にしてしまったorz 4:『白猫』って誰だ?! 5:どこかで鬱展開にもって行きたい……って既に鬱!? 【新生クライシス帝国・ギャグ将軍班】 【ギャグ将軍@ライダーロワ】 【状態】:健康 【装備】:杖@ライダーロワ、王者のマント@FFDQロワ 【道具】:支給品一式、コーヒーセット一式@スパロワ、コーカサスブレス&ゼクター@ライダーロワ      みWiki@らき☆すた?、ジャーク将軍のマント@ライダーロワ、 【思考】:  基本:新生クライシス帝国の結成  1:電車のごとき速さで『白猫』を探し出してくれよう!  2:Chain-情の計画に協力  3:ついでに飲み友達を集める  4:コーカサスゼクターの資格者を探し、コーヒーを飲む  5:紅茶を飲むかどうかは保留  6:対主催の仲間を集める(首輪解除スキルを持つ者を優先)  7:第三回放送の頃には旅館に戻る。  ※容姿はジャーク将軍@仮面ライダーBLACKです。  ※ジャークミドラに似た、ギャーグミドラに変身できます。  ※制限がライダーロワ基準だと思い込んでいます。  ※シルベストリから、漫画ロワの知識を若干得ました。  ※今はChain-情に協力的ですが、ちょっとしたことで心変わりする可能性があります。  ※特殊能力:「書き手界の良心」に目覚めました。    本気の一喝を放つことにより、悪ノリし過ぎている者に自重を強いることができます。    ただし、ギャグ将軍の性格上、あまり多用されることはありません。    真剣な人生相談に乗ることも可能。なお、発動中はピンク色がかかった女言葉になります。  ※背中に謎のチャックを確認。ギャグ将軍曰く、開けると「大変なこと」になるそうです。詳細は不明です。  ※固有結界「コーヒーブレイク」    優雅なリネン一式の備わったテーブルと人数分の椅子を造り出し、皆でコーヒーを飲んで和みます。    それ以上の効果は確かめられていません。    コーヒーセット自体が発動させている可能性があります。 |226:[[Twin Black]]|投下順に読む|228:[[最速の人へのレクイエム]]| |226:[[Twin Black]]|時系列順に読む|234:[[意思×支給品=影丸]]| |222:[[エロス頂上決戦終幕――そして。]]|速筆魔王LX|233:[[今・手の中にある・雑学が・脳を・閃かせる]]| |222:[[エロス頂上決戦終幕――そして。]]|蘇った現代の熱血怪人|233:[[今・手の中にある・雑学が・脳を・閃かせる]]| |222:[[エロス頂上決戦終幕――そして。]]|ギャグ将軍|233:[[今・手の中にある・雑学が・脳を・閃かせる]]|
「♪運転手はきっみっだ!」(CV.子安武人) 「♪車掌はぁぼーくーだ!」(CV.加藤精三) 「♪あーとのよにんはでんしゃのおきゃく……」(CV.若本規夫)  大の男が3名、高らかに歌いながら電車ごっこの格好で町並みを駆け抜けてゆく。  実に「春」な光景だ。 「ほれ、もっとちゃんと腿をあげぬか。肘の角度は九十度だ。たるんでおっては電車にならぬぞ!」  車掌役とおぼしき金ぴかハゲが、神父姿の「客」を叱咤する。 「……いや、なんで移動するのにわざわざ電車ごっこをしなくちゃならないんだ」  げんなりといった顔で漏らした熱血怪人に向かい、ギャグ将軍はさも当然と言わんばかりに答えた。 「楽しいからに決まっておろう」 「ちっとも楽しくねぇ!むしろ恥ずかしいだろ!」  神父服を来た超もっさり頭のむっつり村雨良が足を止めると、その後ろにいたギャグ将軍が勢いを止めずにそれをはねとばす。手近なビルの壁に頭からめり込んだ熱血怪人を、速筆魔王はため息とともに引きずり出した。 「それに、普通に歩くよりなんとなく早く走れそうな気がせぬか」 「腿あげダッシュなんてどう見ても運動部の筋トレだ、むしろ疲れるだけに決まってる……もうやめだ!やめ!」  熱血怪人は自分の襟首を掴む速筆魔王の手を振り払い、湿った道路にあぐらをかく。速筆魔王は苦笑とともに彼に尋ねた。 「そんなことより、この光景……見覚えはないかい?」 「光景、つうかむしろニオイがな……」  辺りを覆う白い粘液。一人前の男であれば、婉曲にケフィアと称されたそれの臭いに心当たりのないわけがない。 「なあ、なんで俺たち、出発点に戻ってんだ?」 「マップがループしてる、ってことだろうね」  速筆魔王が応じて腕を組む。  運転手役だった彼は気づいていた。彼らは十分ほどの電車ごっこの間に、このマップを軽く三周はしていたことに。  マップが狭かったのではない。彼らが速かったーーーー特急列車並みの速度で走っていたのだ。この速さならおそらく近くに「白猫」とやらがいても余裕のよっちゃんで見逃しているだろう。  彼ら三人のなかで、韋駄天の特殊能力を持つ者はいない。とすれば、彼らの足が速くなった理由は一つだ。  すなわち、「電車ごっこ」がそれだった。     ◇  ◇  ◇     電車ごっことは、電車の運転手や車掌や客になりきるだけの遊びではない。自らの腕で電車の車体を模し、SL機関車の動輪についたロッドの如く角張った動きを真似る。いわば、遊ぶ者たち自身の身体を使って電車に「なりきる」遊びである。  もちろん、いくら子供が電車になりきった所で、別に電車と同じ速さで走れるようになるわけがない。むしろなったら困る。危険過ぎる。幼稚園が交通事故のメッカになってしまう。さっきは弾き飛ばされた方が化け物だったからよいが、普通の子供なら即死確定。瞬殺。ズガンノキワミアッー!である。  だがたった今、彼らは実際に、電車と同じ速さで走ってしまった。子供に取っては夢のような出来事かもしれないが、現実になってしまえば脅威だ。  子供の夢、といえば目の前の二名が絡む変身ヒーロー。  変身グッズが玩具化されるくらいだから、子供に取って「ヒーローに変身ごっこ」はごくありふれた遊びだ。だが、バンダイ社がどれだけ変身ベルトに技術をこめた所で、それをつけてなりきり遊びをする子供たちが仮面ライダーに変身できるわけではない。  遊びは、あくまで遊びーーーーそのはずなのだ。  それが、熱血怪人は実際に変身することができている。必殺技も撃てる。本物の仮面ライダーになれるのだ。  このロワでは、なりきりが遊びで済まず、現実になる。  肉体的にも、そして精神的にも。  今の状況を考えれば、そう結論づけざるを得ない。       ◇  ◇  ◇     速筆魔王が考察を深める側で、ギャグ将軍はおもむろに頷いた。 「なるほど、我らは地球が丸いことを証明した、というわけだな」 「アホかおっさん」 「まあ、間違いじゃないけどさ」  二人の投げやりな返事に、金ぴかハゲは考え込むように腕を組んだ。手にした杖に絡んだ鎖が、場違いなほど軽やかに鳴る。 「しかし困ったものだ。これほど狭いのでは、地球を侵略してもクライシス50億の民をすべて移住させることはできぬのう」  飄々とした物言いが、電車ごっこに疲れ切った熱血怪人を苛立たせる。怪人は座り込んだまま、ギャグ将軍の脛を思い切り蹴り上げた。 「おっさん!いい加減キャラ思考から離れろ!」 「何を申しておる。地球征服は我がクライシス帝国の命運を決するほどに重要な使命。忘れるわけにはゆかぬ」 「このクソ親父!」 「余はそちのような子を産んだ覚えはない!」 「男が生むな!つーかそう言う問題じゃなくてだ!……ァあ、なんで日本語通じねぇんだよ」 「余は異世界から来たからな。チタマ語はちと不自由なのだ」  一向に動ずる様子のないギャグ将軍に、熱血怪人が天を仰ぐ。 「あんたは今ロワに投げ込まれて生存競争の真っ最中なんだぞ。そうやってキャラっぽい考えをするようになったのも何かの罠なんだ。自分を取り戻さなきゃ、多分俺たちは死ぬ。書き手じゃなくて、キャラとして死ぬんだ。解るか!?」  人格を否定され、現実(リアル)の事情をすべて無視される。それは人間として、一人の職人として、この上ない苦痛だった。職人にも私生活があり、日常の都合がある。それを鑑みず、ただのSS製造機と見なされることほど悲しいことはない。  そんな熱血怪人の怒りをたしなめんばかりに、ギャグ将軍が低く告げる。 「余を、誰と心得ておる」  威厳を音に奏でたようなその声で、金ぴかハゲは重々しく告げた。 「余の名は、ジョーク」 「……名簿には『ギャグ』将軍って書いてあるんだけどな」 「それに仮面ライダーBLACK RXに出て来るのは『ジャーク』将軍だろ」  速筆魔王と熱血怪人の冷静な指摘に、ギャグ将軍はポンと手を打った。 「む、間違えた。ほれ、笑え」  突っ込みを待っていたとしか思えないその答えを聞いた熱血怪人が、眉を潜めていぶかしむ。 「おっさん、あんたーーーーわざとやってないか?」     ◇  ◇  ◇     考えてみれば、始めから疑うべきではあったのだ。  ギャグ将軍がエロ娘コンビを説教する際に現した女口調。  あのときのギャグ将軍は、星一徹声を発する巨漢であるにも関わらず、腰に手を当てた立ち姿や身振りも含めてすべてが女性的だった。そのリアリティたるや、男が口元に手を当ててくねくねするのとはわけが違う。その分キモばかばかしさ倍増だったわけだが。  その「紛れもない女性のオーラ」は、鉄槌が横やりを入れた瞬間、今目の前にいる「渋い声の無駄遣い」に取って代わられた。微塵の躊躇もない変わり身だった。  最初は、書き手としての怒りがキャラの支配を凌駕した状態があの女口調だと捉えていた。が、それにしては、再びキャラの思考に戻るときの迷いがない。  熱血怪人は、自分がキャラに支配されていたと気づいた時、書き手としての理性を取り戻した。速筆魔王自身、熱血怪人の話を聞いた時少なからず驚き、今はやや引いた視点で「自分というキャラ」の置かれた状況を眺めるようになった。  それに引き換えギャグ将軍の振る舞いは、明確な自覚の元に行われている、言うなればーーーーネタ、だ。  つまりーーーー。  ギャグ将軍は、自分で解ってなりきっている……?! 「あんた、まさか……」  同じことに思い至ったのだろう。熱血怪人の視線が、マントに隠された背中のチャックに向けられる。 「 中 の 人 な ど い な い 」  答える声は、遠雷の如く荘厳に轟いた。激しくはない、だが確実に聞く者を威圧する響きだ。 「よいな?」  穏やかに問い返され、二人の男は思わず頷く。この穏やかさは、もしや嵐の前の静けさではないのか、と自問しながら。 「さて、再び電車ごっこを始める前に、コーヒーで一服と参ろうか」 「……だから、なんでいつもコーヒーに逃げるよ」  何もなかったかのようにコーヒーブレイクの準備を始める将軍に、熱血怪人が思わず舌打ちする。そもそもこのテーブルとか椅子とかテーブルクロスとかはどこから出て来たよ。あんたが持ち歩いてるのは金色のコーヒーセットだけのはずじゃないのか。  喉元で辛うじてとどまっている熱血怪人の疑問を平然と無視して、ギャグ将軍は銀のスプーンを受け皿に置いた。 「紅茶でも、日本茶でも良い。菓子をつまみながら暖かい物を飲むと、『気分が落ち着き、考えがまとまる』であろう?」  将軍の言葉に、ある考えがふと速筆魔王の脳裏をよぎる。  ーーーー固有結界『コーヒーブレイク』。書き手に落ち着きを取り戻させ、自らが手がけたネタの推敲吟味を強いる世界。  いや、まさかな。いくらなんでもそりゃないわ。       ◇  ◇  ◇     さすがの速筆魔王も、まだ気づいていなかった。  ギャグ将軍が持つコーヒーセット@スパロワは、俗に「空気フラグ」と言われている。  空想上の存在に過ぎないキャラが持てば、それは自らの存在を空気化するにすぎない。  だが、一旦書き手の手に渡ったそれは、書き手に空気の影響を与えるーーーー言い換えれば、空気を読ませるフラグとなる、ということに。  空気を読むとは、状況を把握し、客観的に判断すること。つまり……。 【午後/F-4/市街地】 【チームBADAN+新生クライシス帝国(仮称)】 【速筆魔王LX@アニロワ2nd】 【状態】健康 【装備】虎竹刀with千年パズル。 【道具】支給品一式。 【思考・行動】 1:このハゲ、ひょっとして……? 2:『白猫』って誰? 3:対主催陣を探し、ゲームに乗った強敵を撃破していく 4:可能ならもう一つ首輪を回収して、脱出フラグを積む 5:でも別に何エンドでもおっけー 【蘇った現代の熱血怪人@漫画ロワ】 【装備】:バヨネット×2 【所持品】:支給品一式 【状態】:全身にダメージ(小)。疲労(小) 【思考・行動】 基本:打倒、主催! 1:俺は正義の味方! 2:仮面ライダー書き手の『ライダー魂』を蘇らせる。 3:やっかいなおっさんを仲間にしてしまったorz 4:『白猫』って誰だ?! 5:どこかで鬱展開にもって行きたい……って既に鬱!? 【新生クライシス帝国・ギャグ将軍班】 【ギャグ将軍@ライダーロワ】 【状態】:健康 【装備】:杖@ライダーロワ、王者のマント@FFDQロワ 【道具】:支給品一式、コーヒーセット一式@スパロワ、コーカサスブレス&ゼクター@ライダーロワ      みWiki@らき☆すた?、ジャーク将軍のマント@ライダーロワ、 【思考】:  基本:新生クライシス帝国の結成  1:電車のごとき速さで『白猫』を探し出してくれよう!  2:Chain-情の計画に協力  3:ついでに飲み友達を集める  4:コーカサスゼクターの資格者を探し、コーヒーを飲む  5:紅茶を飲むかどうかは保留  6:対主催の仲間を集める(首輪解除スキルを持つ者を優先)  7:第三回放送の頃には旅館に戻る。  ※容姿はジャーク将軍@仮面ライダーBLACKです。  ※ジャークミドラに似た、ギャーグミドラに変身できます。  ※制限がライダーロワ基準だと思い込んでいます。  ※シルベストリから、漫画ロワの知識を若干得ました。  ※今はChain-情に協力的ですが、ちょっとしたことで心変わりする可能性があります。  ※特殊能力:「書き手界の良心」に目覚めました。    本気の一喝を放つことにより、悪ノリし過ぎている者に自重を強いることができます。    ただし、ギャグ将軍の性格上、あまり多用されることはありません。    真剣な人生相談に乗ることも可能。なお、発動中はピンク色がかかった女言葉になります。  ※背中に謎のチャックを確認。ギャグ将軍曰く、開けると「大変なこと」になるそうです。詳細は不明です。  ※固有結界「コーヒーブレイク」    優雅なリネン一式の備わったテーブルと人数分の椅子を造り出し、皆でコーヒーを飲んで和みます。    それ以上の効果は確かめられていません。    コーヒーセット自体が発動させている可能性があります。 |227:[[Twin Black]]|投下順に読む|229:[[最速の人へのレクイエム]]| |227:[[Twin Black]]|時系列順に読む|235:[[意思×支給品=影丸]]| |223:[[エロス頂上決戦終幕――そして。]]|速筆魔王LX|234:[[今・手の中にある・雑学が・脳を・閃かせる]]| |223:[[エロス頂上決戦終幕――そして。]]|蘇った現代の熱血怪人|234:[[今・手の中にある・雑学が・脳を・閃かせる]]| |223:[[エロス頂上決戦終幕――そして。]]|ギャグ将軍|234:[[今・手の中にある・雑学が・脳を・閃かせる]]|

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