Can You Celebrate

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Can You Celebrate」(2008/04/06 (日) 23:25:55) の最新版変更点

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◆6/WWxs901は走り続けていた。 上手くいかない。誤解フラグを立てるどころか、先ほどはそれをへし折ってしまったのだ。 だから、その現状から目を背けるため、地面に落とされた後速攻で逃げた。 怖かったのだ。振り返ると、何かに捕まれそうで。 自分の『必要性』が、迫ってくる怪物に喰い潰されそうで。 だからひらすら、ただひらすらに安全地帯を目指して足を働かせる。 けれどそれは、結果には自らを危険な場所へ追い込む事となった。 目の前に広がる不気味な肉片の海に気付けなかった。 気付いた時、海は高波となり◆6/の身体を荒々しく包み込む。 そうしてカオスの化身であるはずの彼は、この地で誕生したカオスに…… ――呑まれた    ◇   ◇   ◇ 最初に異変に気付いたのは、猫子頭の鬼軍曹だった。 気持ちが滅入るほどの凶悪な殺意が、彼が息を吸うたび肺に潜り込む。 徐々に近づく何者かに、軍曹の皮膚の一枚一枚が小刻みに震える。 考えなくとも理解できる。敵が来ているのだ。それも、軍曹だけを確実に狙い定めて。 絶対に逃がすものかと言うように。 「お姫様。俺にお客さんのようです」 「まあ、折角のティータイムが台無しね」 二人は路上に椅子とテーブルを用意した、簡素なお茶の席を設けていた。 軍曹は努めて軽快そうに肩を竦め空気を和らげる。 それを知ってか知らずか、コロンビーヌもやれやれと首を振った。 敵はそこまで来ている。軍曹は椅子から立ち上がり、優雅に会釈を。 微かに滲む不安を全て隠し、軍曹はコロンビーヌに背を向けて戦う意思を見せる。 立ち向かって気付いた。予想以上の凶悪さに。 「私の素敵な騎士様」 背中越しに、コロンビーヌの言葉が届く。 たったそれだけで、軍曹から嘘の様に震えが消え去る。 代わりに体中を駆け巡るは、熱くたぎる血と誇りに満ちた鼓動。 「御伽噺のお姫様と騎士は、幸せになるわ」 コロンビーヌはすっと指をさす。 見えていないのに、軍曹にはそれが何処を指しているか分かった。 綺麗な指が触れようとしたものは、鐘の付いた教会。 「そこで誓いを立てましょう」 殺し合いの中での挙式だなんて、素敵だと思わないと愉快そうに付け足しながら。 だから、軍曹は大きく頷き視線をきっちりと定める。 「必ず」    ◇   ◇   ◇ 目の前の化け物は、先ほど倒したそれの数段歪んだ姿をしていた。 下半身は、紫色の触手の森。 上半身は、ゼオライマーを彷彿させるフォルム。 左手には、巨大な剣を中心に存在する幾千もの武器宝庫(ゲートオブバビロン)。 右手には、どんな力さえ貫いてきたシェルブリット。 そして顔面部分には、融合しつつある顔のない6/の身体。 これが、軍曹の立ち向かうべき敵だった。 常人なら見るだけで分かるくらい、禍々さの集合体だ。 けれども、軍曹は震えることも、怯えることもしない。 自身に恐怖など無いことを、軍曹は誰よりも知っていた。 だから目を閉じて、自らの意思で青年から翼手へと姿を変える。 「いくぞ!」 背中に生えた巨大な羽を広げ、鋭い剣となった右手を天に掲げ、大きく跳躍する。 まず迫ってきた触手の洗礼を切り刻む。勢いはそこで止まらない。 切り捨てた触手を踏み台にし、切っ先を前方に向け突撃の構えを取る。 そして、両腕には目もくれずに顔面部分へと加速。 この手合いは、十中八九そういった場所が急所だろう。 そこを一気に叩き、余計な戦いをせず勝負を終わらせるのだ。 「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」 だが、相手だって黙ってはいない。 子供の癇癪の様に腕を振るうと、軍曹目掛け武器の洗礼を浴びせた。 曲刀が回転しながら軍曹の首に飛び掛り、大剣が獣のように暴れまわる。 規律よく並んだ短剣は、軍曹の羽目に誘いかけるように踊り続け。 最後に目に見えぬ宝刀がその左足をそぎ落とす。 痛みで眼球が真っ赤になるのを堪え、それでも軍曹は加速を止めない。 ここで立ち止まって防戦の構えを取れば、ますます不利になるからだ。 「おおおおおおおおおおッッ!」 破かれた皮膚からは鮮血が飛び散っていく。 肩に刺さった刃は、執拗に軍曹の身体に潜り続ける。 けれども、軍曹は突撃の構えを崩さない。 倒れない相手に苛立ちを覚えたのか、6/だった怪物は第二波を送り込む。 軍曹の等身より数段大きいシェルブリット。 先程のような無数の攻撃ではなく、単体の攻撃。 もちろん油断などできるはずがない。それがどれだけ強大な力か、軍曹自身は良く知っていたから。 振り下ろされる鉄槌を横に避け、体勢を整えるため加速を弛める。 だが、それがいけなかった。 切り捨てたはずの触手は再生し、四本の蔦となり軍曹の肢体を強烈に締め上げる。 自由を奪われた軍曹が次に感じたのは、文字通り胸を貫通する痛み。 敵の右腕が迷う事無く軍曹の皮膚を切り裂き、肉を削ぎ、骨を粉砕し、肺を破裂させ、そして背中から飛び出す。 「あ、ぐぁ、ッぉ、ぉ」 血が逆流し、心臓への負担が何倍にも跳ね上がった。 穴の開いた胸部から、花火のように赤い血と赤黒い血が撒き散らされる。 白い骨は剥き出しに晒され、千切れた肉は地面へと落下していく。 意識が赤と白と黒に奪われる。景色は既に色を失っている。 なのに、軍曹はただ痛みを堪え、しっかりとした笑みを浮かべていた。 「い、いいの、かよ……右手ぇ……お、さえた、ぜ」 口から泡と血を垂れ流す軍曹の言葉に、6/はギョッとした。 突き刺した右手が、どうやっても抜けない。動かないのだ。 一瞬だけ恐怖に襲われた6/は、次の瞬間冷静になり左手を動かす。 動かないならば、穴を広げればいいのだ。 左手を中心に廻り続けていた刃達が、我先にと軍曹の体中に突き刺さっていく。 或いは穴が広がるように。 或いは軍曹から力を奪うように。 或いは命を奪い去るかのように。 串刺し刑でも受けたかのような姿になりながら、けれども軍曹は目一杯白い歯を噛み締める。 「ぶ、ぶき……ひゅ、ひゅ。つか、使ッチ、まった、ひゅ、ひゅ……な」 6/に表情があったら、きっと恐怖で歪んでいただろう。 それぐらい、虫の息であるはずの軍曹は恐ろしかった。 肢体は締め上げ千切れそうなのに。 心臓は外に剥き出しとなり、内蔵も骨も無事な場所はないのに。 気付けば、人間の姿に戻っていたのに。 たった一点だけ変わらないから。 自身を見つめていた瞳が。勝利を確信していた瞳が変わっていなかったのだ。 「しっ、て、っか、ひゅ、ふゥ、る、か?」 いつから持っていたのか、軍曹の右手にはとある剣が握られている。 それだけではない。一瞬の間に、傷だらけの青年は傷だらけの騎士団長へと姿を変えていく。 きっとアニロワ1stを知っているものが見ればこう言っただろう。 あの姿は「グリフィス」だと。 軍曹は自分が変化したのを知っているのかいないのか、ただただ握った剣を縦に構える。 6/の本能が即座に軍曹を離せと警告する。 だが、突き刺さった右腕は未だ抜けず、締め付けていたはずの触手も逆に外せない。 そうこうしている間に、軍曹の構える剣が黄金に輝き始める。 二人の間を、まばゆい光が包み込む。 ボロボロになった歯をかみ合わせ、軍曹はゆっくりと舌を動かす。 決め台詞は、英雄に必要な行為だから。 「約束された……勝利!」    ◇   ◇   ◇ 目が覚めた軍曹の視界に飛び込んできたのは、美しいステンドグラスだった。 中にいるのは、周囲に祝福される二人の男女。 「目が覚めたかしら」 愛しい人の声が聞こえる。 目線を上げると、そこにはコロンビーヌの綺麗な顔があった。 どうやら膝枕をされているらしい。 そう言えば、いつの間にか姿が猫に戻っている。 「洋式か」 「ええ。急ごしらえだけどね」 ヴェールを被るコロンビーヌの頬に手を伸ばす。 が、伸ばした右手を見て躊躇う。真っ赤に汚れていたから。 すると、躊躇った右手をコロンビーヌの左手がそっと掴み取る。 「汝猫子頭の鬼軍曹は、この女を妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、  病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、  愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」 「……誓います」 ゆっくりとした口調で、軍曹は力強く宣言する。 「汝コロンビーヌは、この男を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、  病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、  愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」 「ええ。誓います」 柔らかな笑みで、コロンビーヌはゆっくりと顔を軍曹に近づける。 二人はどちらからと言うでもなく、頷きあう。 「では、誓いのキスを」 夕日で輝くステンドグラスの下、二人はこうして夫婦となった。 膝元で目を閉じる軍曹に、コロンビーヌはそっと語りかける。 「子供はどっちがいいかしら?」 「お、いおい、ま、だ早いだろ、うが」 「もう、宿っているのよ」 いたわる様に、コロンビーヌは自分の腹部をさする。 突然の宣言に驚く軍曹だったが、次の瞬間には笑顔だった。 「男だっ、たら、猫太郎と、かどう、だ?」 「あら、私の名前は入れてくれないのかしら? 酷い旦那様ね」 「……すま、ない」 「構わないわ。選んだのは私よ」 「……」 「じゃあ、女の子だったらどんな名前かしら」 「……」 「コロン子なんてどう? 二人の名前も入っているわ」 「……」 「それとも、もっといい名前があって?」 「……」 「ねえ、貴方の考えた名前を教えてくださらない?」 「……」 軍曹は喋らない。ただ満足そうに、コロンビーヌの左手を握り締めている。 ポタリポタリと、軍曹の身体に雫が落ちる。 まるで軍曹の血を洗い流すように、大粒の雫が幾重にも落ち続ける。 コロンビーヌは悲しくて泣いているのではない。 ただ、愛する人の汚れを落とそうとしているだけ。 それだけだから……何度も大粒の雫を零す。 目が枯れるまで、愛した男が綺麗に眠れるまで。 &color(red){【デビルシャリダム 完全消滅】} &color(red){【◆6/WWxs901@カオスロワ 死亡】} &color(red){【猫子頭の鬼軍曹@アニロワ1st 死亡】} 【夕方】【E-6 教会】 【コロンビーヌ@漫画ロワ】 【状態】:健康 【装備】:ゾナハ蟲@からくりサーカス、腕時計型麻酔銃(残弾1/1)@漫画ロワ 【道具】:支給品一式×2、ティーセット一式、麻酔銃の予備針×4 、変化の杖、      焦ったドラえもん・うっかり侍・孤高の黒き書き手の服、対戦車地雷×17個、ポン太くんスーツ@スパロワ(大破) 【思考】  基本:恋愛がしたい。  0:今はただそこにいる  1:鬼軍曹を生涯愛し続ける  2:宿った命を大切にする  3:そういえば、新生クライシス帝国のみんなはどうしているかしら?  ※容姿はコロンビーヌ(ロリ)@からくりサーカスです。  ※ギャグ将軍にシンパシーを感じています。  ※影の繋ぎ手・仮面ライダー書き手に紅茶を入れてあげたいそうです。  ※猫子頭の鬼軍曹と結婚しました  ※◆6/WWxs901の支給品は会場中に散らばりました。  ※ジャリダムは完全に消滅しました |206:[[蟹座の爪の悪夢]]|投下順に読む|208:[[VSホワイトアルバム]]| ||時系列順に読む|214:[[空気でもいいよ]]| |203:[[我輩は――……]]|&color(red){猫子頭の鬼軍曹}|224:[[小さな愛の物語]]| |203:[[我輩は――……]]|コロンビーヌ|224:[[小さな愛の物語]]| |202:[[誤解フラグ? ばっきばきにしてやんよ]]|&color(red){◆6/WWxs901}|224:[[小さな愛の物語]]| |203:[[我輩は――……]]|&color(red){デビルシャリダム}|| ----
◆6/WWxs901は走り続けていた。 上手くいかない。誤解フラグを立てるどころか、先ほどはそれをへし折ってしまったのだ。 だから、その現状から目を背けるため、地面に落とされた後速攻で逃げた。 怖かったのだ。振り返ると、何かに捕まれそうで。 自分の『必要性』が、迫ってくる怪物に喰い潰されそうで。 だからひらすら、ただひらすらに安全地帯を目指して足を働かせる。 けれどそれは、結果には自らを危険な場所へ追い込む事となった。 目の前に広がる不気味な肉片の海に気付けなかった。 気付いた時、海は高波となり◆6/の身体を荒々しく包み込む。 そうしてカオスの化身であるはずの彼は、この地で誕生したカオスに…… ――呑まれた    ◇   ◇   ◇ 最初に異変に気付いたのは、猫子頭の鬼軍曹だった。 気持ちが滅入るほどの凶悪な殺意が、彼が息を吸うたび肺に潜り込む。 徐々に近づく何者かに、軍曹の皮膚の一枚一枚が小刻みに震える。 考えなくとも理解できる。敵が来ているのだ。それも、軍曹だけを確実に狙い定めて。 絶対に逃がすものかと言うように。 「お姫様。俺にお客さんのようです」 「まあ、折角のティータイムが台無しね」 二人は路上に椅子とテーブルを用意した、簡素なお茶の席を設けていた。 軍曹は努めて軽快そうに肩を竦め空気を和らげる。 それを知ってか知らずか、コロンビーヌもやれやれと首を振った。 敵はそこまで来ている。軍曹は椅子から立ち上がり、優雅に会釈を。 微かに滲む不安を全て隠し、軍曹はコロンビーヌに背を向けて戦う意思を見せる。 立ち向かって気付いた。予想以上の凶悪さに。 「私の素敵な騎士様」 背中越しに、コロンビーヌの言葉が届く。 たったそれだけで、軍曹から嘘の様に震えが消え去る。 代わりに体中を駆け巡るは、熱くたぎる血と誇りに満ちた鼓動。 「御伽噺のお姫様と騎士は、幸せになるわ」 コロンビーヌはすっと指をさす。 見えていないのに、軍曹にはそれが何処を指しているか分かった。 綺麗な指が触れようとしたものは、鐘の付いた教会。 「そこで誓いを立てましょう」 殺し合いの中での挙式だなんて、素敵だと思わないと愉快そうに付け足しながら。 だから、軍曹は大きく頷き視線をきっちりと定める。 「必ず」    ◇   ◇   ◇ 目の前の化け物は、先ほど倒したそれの数段歪んだ姿をしていた。 下半身は、紫色の触手の森。 上半身は、ゼオライマーを彷彿させるフォルム。 左手には、巨大な剣を中心に存在する幾千もの武器宝庫(ゲートオブバビロン)。 右手には、どんな力さえ貫いてきたシェルブリット。 そして顔面部分には、融合しつつある顔のない6/の身体。 これが、軍曹の立ち向かうべき敵だった。 常人なら見るだけで分かるくらい、禍々さの集合体だ。 けれども、軍曹は震えることも、怯えることもしない。 自身に恐怖など無いことを、軍曹は誰よりも知っていた。 だから目を閉じて、自らの意思で青年から翼手へと姿を変える。 「いくぞ!」 背中に生えた巨大な羽を広げ、鋭い剣となった右手を天に掲げ、大きく跳躍する。 まず迫ってきた触手の洗礼を切り刻む。勢いはそこで止まらない。 切り捨てた触手を踏み台にし、切っ先を前方に向け突撃の構えを取る。 そして、両腕には目もくれずに顔面部分へと加速。 この手合いは、十中八九そういった場所が急所だろう。 そこを一気に叩き、余計な戦いをせず勝負を終わらせるのだ。 「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」 だが、相手だって黙ってはいない。 子供の癇癪の様に腕を振るうと、軍曹目掛け武器の洗礼を浴びせた。 曲刀が回転しながら軍曹の首に飛び掛り、大剣が獣のように暴れまわる。 規律よく並んだ短剣は、軍曹の羽目に誘いかけるように踊り続け。 最後に目に見えぬ宝刀がその左足をそぎ落とす。 痛みで眼球が真っ赤になるのを堪え、それでも軍曹は加速を止めない。 ここで立ち止まって防戦の構えを取れば、ますます不利になるからだ。 「おおおおおおおおおおッッ!」 破かれた皮膚からは鮮血が飛び散っていく。 肩に刺さった刃は、執拗に軍曹の身体に潜り続ける。 けれども、軍曹は突撃の構えを崩さない。 倒れない相手に苛立ちを覚えたのか、6/だった怪物は第二波を送り込む。 軍曹の等身より数段大きいシェルブリット。 先程のような無数の攻撃ではなく、単体の攻撃。 もちろん油断などできるはずがない。それがどれだけ強大な力か、軍曹自身は良く知っていたから。 振り下ろされる鉄槌を横に避け、体勢を整えるため加速を弛める。 だが、それがいけなかった。 切り捨てたはずの触手は再生し、四本の蔦となり軍曹の肢体を強烈に締め上げる。 自由を奪われた軍曹が次に感じたのは、文字通り胸を貫通する痛み。 敵の右腕が迷う事無く軍曹の皮膚を切り裂き、肉を削ぎ、骨を粉砕し、肺を破裂させ、そして背中から飛び出す。 「あ、ぐぁ、ッぉ、ぉ」 血が逆流し、心臓への負担が何倍にも跳ね上がった。 穴の開いた胸部から、花火のように赤い血と赤黒い血が撒き散らされる。 白い骨は剥き出しに晒され、千切れた肉は地面へと落下していく。 意識が赤と白と黒に奪われる。景色は既に色を失っている。 なのに、軍曹はただ痛みを堪え、しっかりとした笑みを浮かべていた。 「い、いいの、かよ……右手ぇ……お、さえた、ぜ」 口から泡と血を垂れ流す軍曹の言葉に、6/はギョッとした。 突き刺した右手が、どうやっても抜けない。動かないのだ。 一瞬だけ恐怖に襲われた6/は、次の瞬間冷静になり左手を動かす。 動かないならば、穴を広げればいいのだ。 左手を中心に廻り続けていた刃達が、我先にと軍曹の体中に突き刺さっていく。 或いは穴が広がるように。 或いは軍曹から力を奪うように。 或いは命を奪い去るかのように。 串刺し刑でも受けたかのような姿になりながら、けれども軍曹は目一杯白い歯を噛み締める。 「ぶ、ぶき……ひゅ、ひゅ。つか、使ッチ、まった、ひゅ、ひゅ……な」 6/に表情があったら、きっと恐怖で歪んでいただろう。 それぐらい、虫の息であるはずの軍曹は恐ろしかった。 肢体は締め上げ千切れそうなのに。 心臓は外に剥き出しとなり、内蔵も骨も無事な場所はないのに。 気付けば、人間の姿に戻っていたのに。 たった一点だけ変わらないから。 自身を見つめていた瞳が。勝利を確信していた瞳が変わっていなかったのだ。 「しっ、て、っか、ひゅ、ふゥ、る、か?」 いつから持っていたのか、軍曹の右手にはとある剣が握られている。 それだけではない。一瞬の間に、傷だらけの青年は傷だらけの騎士団長へと姿を変えていく。 きっとアニロワ1stを知っているものが見ればこう言っただろう。 あの姿は「グリフィス」だと。 軍曹は自分が変化したのを知っているのかいないのか、ただただ握った剣を縦に構える。 6/の本能が即座に軍曹を離せと警告する。 だが、突き刺さった右腕は未だ抜けず、締め付けていたはずの触手も逆に外せない。 そうこうしている間に、軍曹の構える剣が黄金に輝き始める。 二人の間を、まばゆい光が包み込む。 ボロボロになった歯をかみ合わせ、軍曹はゆっくりと舌を動かす。 決め台詞は、英雄に必要な行為だから。 「約束された……勝利!」    ◇   ◇   ◇ 目が覚めた軍曹の視界に飛び込んできたのは、美しいステンドグラスだった。 中にいるのは、周囲に祝福される二人の男女。 「目が覚めたかしら」 愛しい人の声が聞こえる。 目線を上げると、そこにはコロンビーヌの綺麗な顔があった。 どうやら膝枕をされているらしい。 そう言えば、いつの間にか姿が猫に戻っている。 「洋式か」 「ええ。急ごしらえだけどね」 ヴェールを被るコロンビーヌの頬に手を伸ばす。 が、伸ばした右手を見て躊躇う。真っ赤に汚れていたから。 すると、躊躇った右手をコロンビーヌの左手がそっと掴み取る。 「汝猫子頭の鬼軍曹は、この女を妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、  病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、  愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」 「……誓います」 ゆっくりとした口調で、軍曹は力強く宣言する。 「汝コロンビーヌは、この男を夫とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、  病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、  愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」 「ええ。誓います」 柔らかな笑みで、コロンビーヌはゆっくりと顔を軍曹に近づける。 二人はどちらからと言うでもなく、頷きあう。 「では、誓いのキスを」 夕日で輝くステンドグラスの下、二人はこうして夫婦となった。 膝元で目を閉じる軍曹に、コロンビーヌはそっと語りかける。 「子供はどっちがいいかしら?」 「お、いおい、ま、だ早いだろ、うが」 「もう、宿っているのよ」 いたわる様に、コロンビーヌは自分の腹部をさする。 突然の宣言に驚く軍曹だったが、次の瞬間には笑顔だった。 「男だっ、たら、猫太郎と、かどう、だ?」 「あら、私の名前は入れてくれないのかしら? 酷い旦那様ね」 「……すま、ない」 「構わないわ。選んだのは私よ」 「……」 「じゃあ、女の子だったらどんな名前かしら」 「……」 「コロン子なんてどう? 二人の名前も入っているわ」 「……」 「それとも、もっといい名前があって?」 「……」 「ねえ、貴方の考えた名前を教えてくださらない?」 「……」 軍曹は喋らない。ただ満足そうに、コロンビーヌの左手を握り締めている。 ポタリポタリと、軍曹の身体に雫が落ちる。 まるで軍曹の血を洗い流すように、大粒の雫が幾重にも落ち続ける。 コロンビーヌは悲しくて泣いているのではない。 ただ、愛する人の汚れを落とそうとしているだけ。 それだけだから……何度も大粒の雫を零す。 目が枯れるまで、愛した男が綺麗に眠れるまで。 &color(red){【デビルシャリダム 完全消滅】} &color(red){【◆6/WWxs901@カオスロワ 死亡】} &color(red){【猫子頭の鬼軍曹@アニロワ1st 死亡】} 【夕方】【E-6 教会】 【コロンビーヌ@漫画ロワ】 【状態】:健康 【装備】:ゾナハ蟲@からくりサーカス、腕時計型麻酔銃(残弾1/1)@漫画ロワ 【道具】:支給品一式×2、ティーセット一式、麻酔銃の予備針×4 、変化の杖、      焦ったドラえもん・うっかり侍・孤高の黒き書き手の服、対戦車地雷×17個、ポン太くんスーツ@スパロワ(大破) 【思考】  基本:恋愛がしたい。  0:今はただそこにいる  1:鬼軍曹を生涯愛し続ける  2:宿った命を大切にする  3:そういえば、新生クライシス帝国のみんなはどうしているかしら?  ※容姿はコロンビーヌ(ロリ)@からくりサーカスです。  ※ギャグ将軍にシンパシーを感じています。  ※影の繋ぎ手・仮面ライダー書き手に紅茶を入れてあげたいそうです。  ※猫子頭の鬼軍曹と結婚しました  ※◆6/WWxs901の支給品は会場中に散らばりました。  ※ジャリダムは完全に消滅しました |207:[[蟹座の爪の悪夢]]|投下順に読む|209:[[VSホワイトアルバム]]| |235:[[意思×支給品=影丸]]|時系列順に読む|215:[[空気でもいいよ]]| |204:[[我輩は――……]]|&color(red){猫子頭の鬼軍曹}|225:[[小さな愛の物語]]| |204:[[我輩は――……]]|コロンビーヌ|225:[[小さな愛の物語]]| |203:[[誤解フラグ? ばっきばきにしてやんよ]]|&color(red){◆6/WWxs901}|225:[[小さな愛の物語]]| |204:[[我輩は――……]]|&color(red){デビルシャリダム}|| ----

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