蟹座の爪の悪夢

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蟹座の爪の悪夢」(2008/04/06 (日) 23:21:45) の最新版変更点

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「ふあぁぁあ……」  ロリスキーを待つ病院のロビーで、マダオはおおきくあくびした。 「……眠いんですか?」 「うむ。やはり吸血鬼が昼間に起きるのは健康によくないらしい」 「吸血鬼に健康もくそもあるかよ」  ウッカリデスの問いに答えるマダオ。  そこに突っ込むDIE/SOUL。 「そーだねー。私も眠いよー」 「お前は今までぐっすり寝てたろうが」  そしてこれは地球破壊爆弾こと、こなた。  本名がめんどくさいのでこれでいくことにする。 「少し休んでもいいんじゃないですか。ロリスキーさんが戻ってくるまでなら」 「そうだな……じゃあロリスキーが来たら起こしてくれ」  そういって仲間から少し離れた長椅子に横になるマダオ。  目を瞑ってリラックスすると、その意識はほどなくぼんやりと闇に包まれていった。   ◆  ◆  ◆  真っ暗だ。  目を開ける。  やはり真っ暗だ。  どうやら私は目隠しをされているらしい。 「む――――?」  口にも猿轡をかまされている。  滑らかなプラスチックの感触が舌や口腔の中を圧迫しているのが分かる。  小さな穴がいくつも開いているらしいことは、舌の感覚から理解した。  いわゆるボールギャグというやつか。  その穴から私は唾液交じりで濁った吐息を漏らした。 「気づいたみたいですね」  女の声だ。誰だろう。  覚えがない。  声はかなり近い。  そのことに驚き、私は条件反射的に体を動かそうとする。  そこで自分は四肢から指先にいたるまで、何か椅子のようなものに拘束されていることを理解した。 「暴れても無駄ですよ。ここは生と死の狭間、夢の世界。ボクが拘束を解く、と思わない限り、例えアーカードでも無理です」  夢の世界?デス13か何かか?  つまりこれは敵の攻撃か!  だが、暴れようにも本当に身動きが取れない。  解こうにも力そのものが出ない。  うぅぅぅと、うめき声をあげるのがせいぜいだ。 「……やってくれましたねえ。とりあえず楽には殺しませんよ?謝ったって許しませんよ?  せいぜい苦しんでくださいね、くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ♪」  女の顔は分からない。  だがその狂ったような笑い声は、一度聞いたら滅多に忘れることはできないだろう。  どこまでも続くかと思われた、その奇声が突如として止まり、代わりに震えがくるような冷たい声が私の耳元で聞こえた。 「まずは人差し指」  ずぐり、という音が聞こえた気がした。  右手人差し指の爪の間になにか尖ったものが入り込んだようだ。  目隠しをされているから、何が入り込んだかなど分からない。  そしてその瞬間に指先が爆発したような痛みが電流となって体中を駆け巡った。 「~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!」 「次は小指。そして中指♪薬指ーに、親指ー♪」  ぶすり、ぷすり、まるで歌でも歌うように、楽しそうに、私の指の爪に「尖ったもの」を差し込んでいく。  その度に私の指先は爆発し、自分でも信じられないような絶叫を上げた。  あまりの激痛に吐き気がする。  全身が硬直し、頭の中に送られた痛みの信号がガンガンと暴れまわる。 「ふっ……ふっ……ふっ……!」  五本の指全てが断続的な爆発を続け、私は全身を震わせながら、荒い吐息をギャグの隙間からはきだした。  こぼれた唾液が口元を伝っていく。いや汗か。もはや分からない。 「目隠ししてるから説明してあげますね。いま、あなたの指先に針が一本ずつ差し込まれているわけです」  ああ、どうやらそんなことだろうと思ったよ。  これで気が済んだか?誰だか知らんが、ここまでされるほどの恨みを買った覚えはないんだがな。 「これで終わりじゃありませんよ?」  べり。  あまりの激痛に麻痺しかかっていた私の感覚が、再び引き戻された。  さっきの痛みとはベクトルの違う痛みだ。  針を刺された時は瞬間的な、熱いような爆発するような痛みだった。  だがこの痛みははかさぶたをはがすかのように、日常の延長線にある。  もちろん苦しみはその比ではないが。 「あはははは、人差し指の爪がトイレのふたみたいにパカパカしてますよ?どうですか痛いですか?」  痛いに決まってるだろう!  待てよ、おかしい。アーカードのはずなのに。これはあれか、法儀礼済みの針か何かか?  それとも夢の中だから何でもありとかチート能力か? 「次はどこをはがしましょうかねー。親指がいいですか?小指がいいですか?」  そういって女は私の指に差し込んだ針をつんつんとつついた。  その度に私の指の神経は苛まれ、痛みにびくりと体が震えてしまう。  やめろ、やめろ、頼むからやめてくれ。 「やっぱり薬指にしましょうか」  不意に薬指の爪の中がみりみりと音を立てる。  その痛みと、指先が中から引き裂かれていく感触が恐怖を増幅していく。  やめろ、私が何をした。やめてくれ。勘弁してくれ!  うーうーとうめく私の懇願が届いたのか、爪を引き裂くような感覚がぴたりと止まった。  手を離したのか? 「うーん、なんか流石に可愛そうですねー。この辺で勘弁してあげましょうか」 「ふ……うぶぅうう……」  終わりか。  私は安堵の深いため息をつく。  だがその音は唾液交じりの汚い音。 「――やっぱり、だーめ♪」  べきり。  薬指ではなく、小指から音がした。  まったくの不意打ちだった。  その激痛の奇襲に、自分の意思とは無関係に悲鳴が飛び出した。 「~~~~~~~~ぅううううぅうぅうぅうぁぇえううううう!!!!」  ばきり。  私の悲鳴が途切れた瞬間にまた。  ぺきり。  今度は悲鳴が途切れ、私の荒い息が少し緩やかになってから。  めりり。    次は間髪いれずに連続で。  もう何がなにやら分からない。  自分にあるのは吐き気を催すような痛みだけ。  次はいつ来るんだ。  私の右手はどうなってるんだ。  ずぐん、ずぐんと、右手の指が心臓のように脈打っている。  だがその鼓動が送り出すのは血液ではなく痛み。  気持ち悪い。  寒いわけでもないのに体の震えが止まらない。 「今の状況を説明しますねー。あなたの右手の爪は全部、剥がれかけて根元のところでぷらぷらしてます」  この女は頼んでもいないのに、忌々しいほど楽しげに説明する。 「まあ、普通は無理に剥がさずに元の形に戻して、包帯でも巻いてたほうがいいらしいんです。そのうち新しい爪が生えてきますからね」  うるさい。何が言いたい。もうどうにでもなれ。終わったんだろ。早く消えてくれ。 「だから……ちぎって取っちゃいましょう!」  ――――え?  ぶちっぶちっぶちぐちぶちっ。  私が聞いたのは、その音だけだった。  その瞬間のことは覚えていない。  痛覚が嵐となって私の全身を引きちぎり、自分の絶叫がなぜか海鳴りのように遠くから聞こえていた。 「まだ、左手と両足の爪がありますからね♪これで終わりじゃないですよ」    ◆  ◆  ◆  ……私の体は今、どうなっているのだろう。  目隠しをされたまま長い長い長い間、少しずつ少しずつ私の体が壊されていった。  早く終われ早く終われ早く終われ。  そのことだけを考えて、とっくに抵抗の意思など砕かれて、されるがままに、全てを麻痺させて。  私は生きているのだろうか、死んでいるのだろうか。  そのことすら、もはやどうでもいい。  ただ早く終わってほしかった。 「反応ないですねーつまんないですねー。ま、そろそろ終わりにしましょう。はい、目を開けてー」  目隠しとギャグが外れた。  視界がぼんやりと光を取り戻した。  口の中にたまった唾液がぼたぼたと垂れているがどうでもよかった。  あの女だろうか。目の前に人影が見える。 「夢から覚めれば記憶もないし、傷も元通りですから心配は要りませんよ。これに懲りたら自重してくださいね、地図氏」  …………地図氏? 「ちょっと……待て……私は、地図氏じゃ、ない……」 「は?何言ってるんですか?アーカードといったら地図氏でしょ?馬鹿なこと言ってるとまたお仕置きしますよ?」 「私の、この……姿……ロリカードは……漫画ロワに、しか出て、ない……私は……漫画ロワの、アニ、ロワじゃ、ない……」  ずっと猿轡を噛まされていたせいで、舌がうまく回らない。 「……えーと、ボク、漫画ロワ読んでないんですけど……マジですか?」  読んでないって何だ。  だったら今すぐ読んで来い。  謝れ!現在進行中で他ロワ勉強中の私に謝れ!  あれか?こんだけのことやっといて人違いか?  誰だ、貴様は。  だめだ、逆光になってよく見えない。 「あ、あははははははははは……ご、ごめんなさいーーーーーーーーー!!!!」  そして女は一目散にどこかへ逃げていく。  あ、転んだ。ぱんつはいてない。  ああ、そうか。女。誰だか知らんが貴様はそういうやつだったんだな。  これだけのことをしといて、笑ってごまかせると思うか?  あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは。  ようやくわかったよ。  ごめんね物分りが悪くて。  つまりあれだ。  貴様は私を――――、  拘束制御術式、第一号第二号第三号開放。  状況A「クロムウェル」発動による承認認識。  目前敵の完全沈黙までの間、能力使用限定解除開始。 「……それで済んだらマーダーキラーはいらねえんだよォォォォォォォォォォォォ!!!!」   ◆  ◆  ◆ 「……て、あれ?」  目の前にあるのは、台風でも通り過ぎたかのような残骸の山。  壁や建物のつくりまで見渡して、ここは私たちが先ほどやってきた病院のロビーだと判明した。  なんか私の体からワンちゃんとか手とか色々出てるんですが。  何?  ほわっと?  何が起こった? 「……おい」  ごちん。  痛い!  思わず自分の頭を押さえる。 「てめー、あれか。寝ぼけてやがったのか?」  いつのまにか私の後ろに立っていたDIE/SOULが、ラディカルグッドスピードで再構成した右手を握り締めて、あきれ気味にため息をついていた。  今のはこいつの拳骨か。 「何をするDIE/SOUL!」 「何をするはこっちの台詞だ!寝ぼけてクロムウェル開放とか、どんだけはた迷惑なんだてめーは!」 「……え?や、そのー……」  見れば、周りはひどい有様だ。  あ、まずい。  ウッカリデスが私のクロムウェルに首絞められて痙攣してる。  あわてて放して駆け寄った。 「おい、ウッカリデス、大丈夫か?」 「だ、だーいじょーぶーい……」  親指おったてて、妙なうわごとを呟いてるが、大丈夫だろう……多分。 「やれやれ、人騒がせだなー君は」  いつのまにか後ろに立っていた。こなたがのんびりした声で言う。  ……なんだろう。  なんだかすごく理不尽な気がする。  理屈の上では全面的に私が悪いのだが、なんか納得いかないような……。  何かあったような気がするが、それが何だったのか思い出せない。  えーと。  ……うん。とりあえず、こいつ一発殴ろう。  ごっち~ん☆ 【日中】【E-8 病院内】 【アーカードとかは行く】 【忘却のウッカリデス@アニロワ2nd】 【状態】:ちょっぴり意識混濁、首をかなり捻挫、腰痛、応急処置済み。闘志 【装備】:ゼロの仮面(蝶高性能)@アニロワ2nd 【道具】:なし 【思考】:ロリスキーの為に対主催!  0:だ、だーいじょーぶーい……  1:僕の推論が合っているのか?  2:最速の人との誓いを守る  3:地球破壊爆弾さん、ロリスキーを賭けて勝負だ! ※ロリスキーへの恋心をしっかり認識。 ※ウッカリデスが見た上空に存在する建物は、今の所彼にしか見えません。 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:ダメージ中程度(回復中)、右半分が火傷(回復中)、強い決意、強い仲間意識 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数100%、ロケットランチャー:残り10発)。運動服&ブルマ 【道具】:支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み) 【思考】:  基本:対主催! 殺し合いには乗らないが、マーダーは犬の餌。しかし……?  0:あの女、誰だ!  1:友情! もっと仲間を探すぞ!  2:努力! 首輪をどうにかするぞ!  3:勝利! 見ていろよ主催者!  ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです  ※押し倒したウッカリデスを気に入りました  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。    ジョーカーに襲われた事と合わせての考察はまだしていません。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。  ※スタンド『世界』は漫画ロワ準拠の制限がかかっています。時止めの時間は3秒です。  ※漫画ロワにおけるスタンドの制限について  ・スタンドの特殊な力を使用する際、精神力の他に体力も『必ず』消費する。弱っている時に無理をすると、無駄に体力を使って発動もせず下手をすれば死ぬ。  ・連続で時を止める/飛ばす事はできない。チャージ時間は一呼吸(十秒)。  ・スタンドは一般人にも見ることが可能。  ・スタンドは一般人にも触ることが可能。物理攻撃も可。  ・スタンドは発現、能力の発動に体力と精神力の両方を使用する。 【神行太保のDIE/SOUL@アニロワ1st】 【状態】:疲労(中)、胸部にダメージ、全身火傷(処置済み)、右指炭化(処置済み)、核鉄による治癒中 【装備】:竜殺し@ベルセルク、ガッツの装備一式@ベルセルク  核鉄『ブレイズオブグローリー』@武装錬金 【道具】:支給品一式、拡声器 【思考】:  基本:アーカード(地図氏、マダオ)は殺すつもりだったのだが……。  1:義手を見つける。  2:あのナナシとは必ず決着をつける。  3:仲間を集めて『孤城の主』を実現させ地図氏を打倒する?  4:それまではマダオと協力関係を結ぶ  5:地図氏を始末した後はマダオを始末する……つもりだ  6:目を覚ました地図氏をどうするか……  ※容姿はガッツ@ベルセルクです。  ※神行太保・戴宗の神行法(高速移動)が使えます。  ※ラディカルグッドスピード腕部限定は、腕だけが速く動きます。  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。   ジョーカーに襲われた事と合わせての考察はまだしていません。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 【地球破壊爆弾No.V-7@アニロワ1st】 【状態】:疲労(大) 【装備】:『真紅』の衣装、シルクのエプロン 【道具】:支給品一式、着替え用の衣装(複数)、アダルトグッズ(大量)、未定支給品×1(本人確認) 【思考】:ばたんきゅ(〓ω〓.)  基本:とりあえずは、こなた&かがみという方向で……  0:いた~い……  1:かがみんのお手伝い~  2:お腹が減ったら、かがみんから血を吸う  3:かがみん用の血を探す(他の参加者か、輸血用血液)  4:ほほう、いい覚悟だ。ウッカリデス。  ※基本的に中身はアーカードで、CVは平野綾です  ※変化する姿に7つのバリエーションがあるらしいです。  【1:地球破壊爆弾】【2:アーカード】【3:長門有希】【4:泉こなた】  【5:銃撃女ラジカル・レヴィさん】【6:キングゲイナー】【7:1~6とか目じゃないよ?びびるよ、まじで】  ※クーガーの早口台詞が言えます!  ※鎖鎌、鳳凰寺風の剣、ソード・カトラス、ノートPCの投影が可能です。  【スーパーキョンタイム】  地図氏以外の者はゆっくりとしか動けなくなります。一度使うとそれなりの時間使用不可能です。  【地図氏の地図】  参加者の位置、生死を含めた地図を投影できます。※長門有希の状態でのみ可能。  使いすぎるとアレなので、毎晩0時にのみ使うことにします。 |205:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|投下順に読む|207:[[Can You Celebrate]]| |203:[[我輩は――……]]|時系列順に読む|212:[[オーダーイズオンリーワン。『ロワ完結』。オーバー。]]| |205:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|忘却のウッカリデス|221:[[ランチタイムの時間だよ]]| |205:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|ミスターマダオ|221:[[ランチタイムの時間だよ]]| |205:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|神行太保のDIE/SOUL|221:[[ランチタイムの時間だよ]]| |205:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|地球破壊爆弾No.V-7|221:[[ランチタイムの時間だよ]]|
「ふあぁぁあ……」  ロリスキーを待つ病院のロビーで、マダオはおおきくあくびした。 「……眠いんですか?」 「うむ。やはり吸血鬼が昼間に起きるのは健康によくないらしい」 「吸血鬼に健康もくそもあるかよ」  ウッカリデスの問いに答えるマダオ。  そこに突っ込むDIE/SOUL。 「そーだねー。私も眠いよー」 「お前は今までぐっすり寝てたろうが」  そしてこれは地球破壊爆弾こと、こなた。  本名がめんどくさいのでこれでいくことにする。 「少し休んでもいいんじゃないですか。ロリスキーさんが戻ってくるまでなら」 「そうだな……じゃあロリスキーが来たら起こしてくれ」  そういって仲間から少し離れた長椅子に横になるマダオ。  目を瞑ってリラックスすると、その意識はほどなくぼんやりと闇に包まれていった。   ◆  ◆  ◆  真っ暗だ。  目を開ける。  やはり真っ暗だ。  どうやら私は目隠しをされているらしい。 「む――――?」  口にも猿轡をかまされている。  滑らかなプラスチックの感触が舌や口腔の中を圧迫しているのが分かる。  小さな穴がいくつも開いているらしいことは、舌の感覚から理解した。  いわゆるボールギャグというやつか。  その穴から私は唾液交じりで濁った吐息を漏らした。 「気づいたみたいですね」  女の声だ。誰だろう。  覚えがない。  声はかなり近い。  そのことに驚き、私は条件反射的に体を動かそうとする。  そこで自分は四肢から指先にいたるまで、何か椅子のようなものに拘束されていることを理解した。 「暴れても無駄ですよ。ここは生と死の狭間、夢の世界。ボクが拘束を解く、と思わない限り、例えアーカードでも無理です」  夢の世界?デス13か何かか?  つまりこれは敵の攻撃か!  だが、暴れようにも本当に身動きが取れない。  解こうにも力そのものが出ない。  うぅぅぅと、うめき声をあげるのがせいぜいだ。 「……やってくれましたねえ。とりあえず楽には殺しませんよ?謝ったって許しませんよ?  せいぜい苦しんでくださいね、くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ♪」  女の顔は分からない。  だがその狂ったような笑い声は、一度聞いたら滅多に忘れることはできないだろう。  どこまでも続くかと思われた、その奇声が突如として止まり、代わりに震えがくるような冷たい声が私の耳元で聞こえた。 「まずは人差し指」  ずぐり、という音が聞こえた気がした。  右手人差し指の爪の間になにか尖ったものが入り込んだようだ。  目隠しをされているから、何が入り込んだかなど分からない。  そしてその瞬間に指先が爆発したような痛みが電流となって体中を駆け巡った。 「~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!」 「次は小指。そして中指♪薬指ーに、親指ー♪」  ぶすり、ぷすり、まるで歌でも歌うように、楽しそうに、私の指の爪に「尖ったもの」を差し込んでいく。  その度に私の指先は爆発し、自分でも信じられないような絶叫を上げた。  あまりの激痛に吐き気がする。  全身が硬直し、頭の中に送られた痛みの信号がガンガンと暴れまわる。 「ふっ……ふっ……ふっ……!」  五本の指全てが断続的な爆発を続け、私は全身を震わせながら、荒い吐息をギャグの隙間からはきだした。  こぼれた唾液が口元を伝っていく。いや汗か。もはや分からない。 「目隠ししてるから説明してあげますね。いま、あなたの指先に針が一本ずつ差し込まれているわけです」  ああ、どうやらそんなことだろうと思ったよ。  これで気が済んだか?誰だか知らんが、ここまでされるほどの恨みを買った覚えはないんだがな。 「これで終わりじゃありませんよ?」  べり。  あまりの激痛に麻痺しかかっていた私の感覚が、再び引き戻された。  さっきの痛みとはベクトルの違う痛みだ。  針を刺された時は瞬間的な、熱いような爆発するような痛みだった。  だがこの痛みははかさぶたをはがすかのように、日常の延長線にある。  もちろん苦しみはその比ではないが。 「あはははは、人差し指の爪がトイレのふたみたいにパカパカしてますよ?どうですか痛いですか?」  痛いに決まってるだろう!  待てよ、おかしい。アーカードのはずなのに。これはあれか、法儀礼済みの針か何かか?  それとも夢の中だから何でもありとかチート能力か? 「次はどこをはがしましょうかねー。親指がいいですか?小指がいいですか?」  そういって女は私の指に差し込んだ針をつんつんとつついた。  その度に私の指の神経は苛まれ、痛みにびくりと体が震えてしまう。  やめろ、やめろ、頼むからやめてくれ。 「やっぱり薬指にしましょうか」  不意に薬指の爪の中がみりみりと音を立てる。  その痛みと、指先が中から引き裂かれていく感触が恐怖を増幅していく。  やめろ、私が何をした。やめてくれ。勘弁してくれ!  うーうーとうめく私の懇願が届いたのか、爪を引き裂くような感覚がぴたりと止まった。  手を離したのか? 「うーん、なんか流石に可愛そうですねー。この辺で勘弁してあげましょうか」 「ふ……うぶぅうう……」  終わりか。  私は安堵の深いため息をつく。  だがその音は唾液交じりの汚い音。 「――やっぱり、だーめ♪」  べきり。  薬指ではなく、小指から音がした。  まったくの不意打ちだった。  その激痛の奇襲に、自分の意思とは無関係に悲鳴が飛び出した。 「~~~~~~~~ぅううううぅうぅうぅうぁぇえううううう!!!!」  ばきり。  私の悲鳴が途切れた瞬間にまた。  ぺきり。  今度は悲鳴が途切れ、私の荒い息が少し緩やかになってから。  めりり。    次は間髪いれずに連続で。  もう何がなにやら分からない。  自分にあるのは吐き気を催すような痛みだけ。  次はいつ来るんだ。  私の右手はどうなってるんだ。  ずぐん、ずぐんと、右手の指が心臓のように脈打っている。  だがその鼓動が送り出すのは血液ではなく痛み。  気持ち悪い。  寒いわけでもないのに体の震えが止まらない。 「今の状況を説明しますねー。あなたの右手の爪は全部、剥がれかけて根元のところでぷらぷらしてます」  この女は頼んでもいないのに、忌々しいほど楽しげに説明する。 「まあ、普通は無理に剥がさずに元の形に戻して、包帯でも巻いてたほうがいいらしいんです。そのうち新しい爪が生えてきますからね」  うるさい。何が言いたい。もうどうにでもなれ。終わったんだろ。早く消えてくれ。 「だから……ちぎって取っちゃいましょう!」  ――――え?  ぶちっぶちっぶちぐちぶちっ。  私が聞いたのは、その音だけだった。  その瞬間のことは覚えていない。  痛覚が嵐となって私の全身を引きちぎり、自分の絶叫がなぜか海鳴りのように遠くから聞こえていた。 「まだ、左手と両足の爪がありますからね♪これで終わりじゃないですよ」    ◆  ◆  ◆  ……私の体は今、どうなっているのだろう。  目隠しをされたまま長い長い長い間、少しずつ少しずつ私の体が壊されていった。  早く終われ早く終われ早く終われ。  そのことだけを考えて、とっくに抵抗の意思など砕かれて、されるがままに、全てを麻痺させて。  私は生きているのだろうか、死んでいるのだろうか。  そのことすら、もはやどうでもいい。  ただ早く終わってほしかった。 「反応ないですねーつまんないですねー。ま、そろそろ終わりにしましょう。はい、目を開けてー」  目隠しとギャグが外れた。  視界がぼんやりと光を取り戻した。  口の中にたまった唾液がぼたぼたと垂れているがどうでもよかった。  あの女だろうか。目の前に人影が見える。 「夢から覚めれば記憶もないし、傷も元通りですから心配は要りませんよ。これに懲りたら自重してくださいね、地図氏」  …………地図氏? 「ちょっと……待て……私は、地図氏じゃ、ない……」 「は?何言ってるんですか?アーカードといったら地図氏でしょ?馬鹿なこと言ってるとまたお仕置きしますよ?」 「私の、この……姿……ロリカードは……漫画ロワに、しか出て、ない……私は……漫画ロワの、アニ、ロワじゃ、ない……」  ずっと猿轡を噛まされていたせいで、舌がうまく回らない。 「……えーと、ボク、漫画ロワ読んでないんですけど……マジですか?」  読んでないって何だ。  だったら今すぐ読んで来い。  謝れ!現在進行中で他ロワ勉強中の私に謝れ!  あれか?こんだけのことやっといて人違いか?  誰だ、貴様は。  だめだ、逆光になってよく見えない。 「あ、あははははははははは……ご、ごめんなさいーーーーーーーーー!!!!」  そして女は一目散にどこかへ逃げていく。  あ、転んだ。ぱんつはいてない。  ああ、そうか。女。誰だか知らんが貴様はそういうやつだったんだな。  これだけのことをしといて、笑ってごまかせると思うか?  あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは。  ようやくわかったよ。  ごめんね物分りが悪くて。  つまりあれだ。  貴様は私を――――、  拘束制御術式、第一号第二号第三号開放。  状況A「クロムウェル」発動による承認認識。  目前敵の完全沈黙までの間、能力使用限定解除開始。 「……それで済んだらマーダーキラーはいらねえんだよォォォォォォォォォォォォ!!!!」   ◆  ◆  ◆ 「……て、あれ?」  目の前にあるのは、台風でも通り過ぎたかのような残骸の山。  壁や建物のつくりまで見渡して、ここは私たちが先ほどやってきた病院のロビーだと判明した。  なんか私の体からワンちゃんとか手とか色々出てるんですが。  何?  ほわっと?  何が起こった? 「……おい」  ごちん。  痛い!  思わず自分の頭を押さえる。 「てめー、あれか。寝ぼけてやがったのか?」  いつのまにか私の後ろに立っていたDIE/SOULが、ラディカルグッドスピードで再構成した右手を握り締めて、あきれ気味にため息をついていた。  今のはこいつの拳骨か。 「何をするDIE/SOUL!」 「何をするはこっちの台詞だ!寝ぼけてクロムウェル開放とか、どんだけはた迷惑なんだてめーは!」 「……え?や、そのー……」  見れば、周りはひどい有様だ。  あ、まずい。  ウッカリデスが私のクロムウェルに首絞められて痙攣してる。  あわてて放して駆け寄った。 「おい、ウッカリデス、大丈夫か?」 「だ、だーいじょーぶーい……」  親指おったてて、妙なうわごとを呟いてるが、大丈夫だろう……多分。 「やれやれ、人騒がせだなー君は」  いつのまにか後ろに立っていた。こなたがのんびりした声で言う。  ……なんだろう。  なんだかすごく理不尽な気がする。  理屈の上では全面的に私が悪いのだが、なんか納得いかないような……。  何かあったような気がするが、それが何だったのか思い出せない。  えーと。  ……うん。とりあえず、こいつ一発殴ろう。  ごっち~ん☆ 【日中】【E-8 病院内】 【アーカードとかは行く】 【忘却のウッカリデス@アニロワ2nd】 【状態】:ちょっぴり意識混濁、首をかなり捻挫、腰痛、応急処置済み。闘志 【装備】:ゼロの仮面(蝶高性能)@アニロワ2nd 【道具】:なし 【思考】:ロリスキーの為に対主催!  0:だ、だーいじょーぶーい……  1:僕の推論が合っているのか?  2:最速の人との誓いを守る  3:地球破壊爆弾さん、ロリスキーを賭けて勝負だ! ※ロリスキーへの恋心をしっかり認識。 ※ウッカリデスが見た上空に存在する建物は、今の所彼にしか見えません。 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:ダメージ中程度(回復中)、右半分が火傷(回復中)、強い決意、強い仲間意識 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数100%、ロケットランチャー:残り10発)。運動服&ブルマ 【道具】:支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み) 【思考】:  基本:対主催! 殺し合いには乗らないが、マーダーは犬の餌。しかし……?  0:あの女、誰だ!  1:友情! もっと仲間を探すぞ!  2:努力! 首輪をどうにかするぞ!  3:勝利! 見ていろよ主催者!  ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです  ※押し倒したウッカリデスを気に入りました  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。    ジョーカーに襲われた事と合わせての考察はまだしていません。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。  ※スタンド『世界』は漫画ロワ準拠の制限がかかっています。時止めの時間は3秒です。  ※漫画ロワにおけるスタンドの制限について  ・スタンドの特殊な力を使用する際、精神力の他に体力も『必ず』消費する。弱っている時に無理をすると、無駄に体力を使って発動もせず下手をすれば死ぬ。  ・連続で時を止める/飛ばす事はできない。チャージ時間は一呼吸(十秒)。  ・スタンドは一般人にも見ることが可能。  ・スタンドは一般人にも触ることが可能。物理攻撃も可。  ・スタンドは発現、能力の発動に体力と精神力の両方を使用する。 【神行太保のDIE/SOUL@アニロワ1st】 【状態】:疲労(中)、胸部にダメージ、全身火傷(処置済み)、右指炭化(処置済み)、核鉄による治癒中 【装備】:竜殺し@ベルセルク、ガッツの装備一式@ベルセルク  核鉄『ブレイズオブグローリー』@武装錬金 【道具】:支給品一式、拡声器 【思考】:  基本:アーカード(地図氏、マダオ)は殺すつもりだったのだが……。  1:義手を見つける。  2:あのナナシとは必ず決着をつける。  3:仲間を集めて『孤城の主』を実現させ地図氏を打倒する?  4:それまではマダオと協力関係を結ぶ  5:地図氏を始末した後はマダオを始末する……つもりだ  6:目を覚ました地図氏をどうするか……  ※容姿はガッツ@ベルセルクです。  ※神行太保・戴宗の神行法(高速移動)が使えます。  ※ラディカルグッドスピード腕部限定は、腕だけが速く動きます。  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。   ジョーカーに襲われた事と合わせての考察はまだしていません。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 【地球破壊爆弾No.V-7@アニロワ1st】 【状態】:疲労(大) 【装備】:『真紅』の衣装、シルクのエプロン 【道具】:支給品一式、着替え用の衣装(複数)、アダルトグッズ(大量)、未定支給品×1(本人確認) 【思考】:ばたんきゅ(〓ω〓.)  基本:とりあえずは、こなた&かがみという方向で……  0:いた~い……  1:かがみんのお手伝い~  2:お腹が減ったら、かがみんから血を吸う  3:かがみん用の血を探す(他の参加者か、輸血用血液)  4:ほほう、いい覚悟だ。ウッカリデス。  ※基本的に中身はアーカードで、CVは平野綾です  ※変化する姿に7つのバリエーションがあるらしいです。  【1:地球破壊爆弾】【2:アーカード】【3:長門有希】【4:泉こなた】  【5:銃撃女ラジカル・レヴィさん】【6:キングゲイナー】【7:1~6とか目じゃないよ?びびるよ、まじで】  ※クーガーの早口台詞が言えます!  ※鎖鎌、鳳凰寺風の剣、ソード・カトラス、ノートPCの投影が可能です。  【スーパーキョンタイム】  地図氏以外の者はゆっくりとしか動けなくなります。一度使うとそれなりの時間使用不可能です。  【地図氏の地図】  参加者の位置、生死を含めた地図を投影できます。※長門有希の状態でのみ可能。  使いすぎるとアレなので、毎晩0時にのみ使うことにします。 |206:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|投下順に読む|208:[[Can You Celebrate]]| |204:[[我輩は――……]]|時系列順に読む|213:[[オーダーイズオンリーワン。『ロワ完結』。オーバー。]]| |206:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|忘却のウッカリデス|222:[[ランチタイムの時間だよ]]| |206:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|ミスターマダオ|222:[[ランチタイムの時間だよ]]| |206:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|神行太保のDIE/SOUL|222:[[ランチタイムの時間だよ]]| |206:[[尻といったな?見せてやる!俺の熱い尻への愛情を!]]|地球破壊爆弾No.V-7|222:[[ランチタイムの時間だよ]]|

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