闇の声

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空気を引っ掻き、鉄をも切り裂く恐るべき触鞭が地面を叩きそこに真新しい傷を刻む。 撒き散らかされたアスファルトの破片の雨を掻い潜り、ロス仕込みのステップで銀髪の男は間合いを取る。 絶影という名の幽波紋で苛烈な攻撃を繰り出しているのは漫画ロワ出身の書き手――康一君。 それを華麗な足捌きと体技のみで避け続けているのはアニロワ2nd出身の書き手――暮れなずむ内面描写。 銀髪の男を襲う触鞭はその数を1本から2本に増やし、その熾烈さを倍にする。 が、それでも触鞭は男を捉えることが出来ない。ただ、男が一瞬前までに立っていた場所に穿たれるだけだ。 直線的に、そして時には螺旋を描き千変万化に襲い来る触鞭を、男は人類の範疇内の運動能力だけで避け続ける。 「――ちぃっ!」 痺れを切らしたブーメランパンツの男――絶影を操る康一君は、今度は絶影を本体ごと突進させる。 スピード:Aである絶影は、名前の通り影も残さぬ速さで銀髪の男の背後へと移動するが――、 「――ふぅッ!」 ――真後ろからの斬撃を男は身体を前屈させて回避。さらにその状態から手を伸ばし、裸の上半身を円運動。 遠心力によって生じた威力を腰を通して下半身へと伝達し、強力な後ろ回し蹴りを絶影の身体に叩き込んだ。 理合の力をその身に受けた絶影の身体がくの字に折れ、それは同時に本体である康一君の元へとそのままの威力で伝わる。 「げばあぁ――ぁッ!」 絶影と同じ姿勢で悶絶し、空気と涎を口から撒き散らす康一君。 そんな大きな隙を暮れなずむ内面描写が見逃す訳もなく、操り糸の切れた絶影に理合の拳をしこたまに打ち込む。 一発。二発。三発。四発。五発――と、そこでサンドバックは男の前から陽炎の様に消えた。 「ぐぅッ! よくもっ、貴様。紳士の身体に――!」 一旦消失させた絶影を再びその脇へと出現させながら、康一君は銀髪の男を怒りに滾った瞳で睨み付ける。 目の前の男は特殊能力を持たない一般人。いわばモンキー。なのに、紳士である自分が遅れを取っている。 絶対正義の力が通用しないことに、康一君の心はその身体同様打ちのめされていた。 「……人間を侮らないほうがいい。特に私の様な美しい人間は」 一方、20メートル程の間を空けて対峙する内面描写の顔に浮かんでいるのは余裕の表情だ。 だがしかし、それが表面上のものだけでしかないことは、露にされている肌の上に流れる汗が証明している。 一見すれば相手を手玉に取っている様に見えるが、根本的なパワーとスピードの差は比べるべくもない。 針の穴に糸を通す慎重さを常に意識させられている分。疲労の度合いも全く違っている。それに――、 「やぁ――ってやるぜ――ッ!!!」 互いに敵は一人だけではなかった。しかも、もう一人は戦闘機に乗り、上空から襲い掛かってくるのである。 青空を鉄の翼で掻き進み、烈火と共に鋼鉄の弾丸を雪崩落としてくるイーグルファイター。 康一君は咄嗟に絶影をACT2へと進化。撃ち込まれる鉄の塊を分厚い装甲でガードする。 かすっただけでも死を免れない内面描写は、弾丸の軌道を瞬時に判断。安全地帯へと避難する。 一瞬の仕切りなおしの後、 地上に残された二人は再び漆黒の鷹が戻ってくるまでの間を互いの闘争に費やすべく、その身を躍らせた。  ◆ ◆ ◆ 「(…………私はどうすればいいんだろう?)」 目の前で起こっている、異能者と一般人と兵器による激しく真面目な三つ巴のガチバトル。 その描写を離れた位置で見守りながら、彼らの優勝トロフィー役である少女は悩んでいた。 夕焼け色の美しいオレンジの髪をした彼女の名前は――エロスの鐘の煩悩寺。 変態的な男達によるガチムチ3P――それが始まってより、すでにもう一日の四分の一ほどが経過している。 その途中で、第一回目の放送も流れた。だが、どこにその精力があるのか彼らは未だ闘争中だ。 「(ここで、こんなことしてていいのかな……?)」 オレンジ髪の少女は、唯一の所有物である地図を見ながらそんなことを思う。 紳士を名乗る康一君より借りたペンによってそこに書き込まれているのは、余りにも多すぎる死者の名前だ。 単純に数字だけで言えば24人。 それだけの人数がたった6時間。彼女がこの場で手をこまねいているうちに失われてしまったのだ。 雄度ばかり高くてなんの役にも立ちそうにない目の前の3人。彼らをうっちゃってでも、動くべきではないかと彼女は思う。 「…………、ご主人様~……」 ――え? と、不意に聞こえてきた声に少女は顔を上げる。 「……ご主人様~。……ここですよ~♪」 幻聴ではない。小さいがはっきりした女の子の声が耳に届いていた。しかも、この声はどこかで聞き覚えがある。 「あなたは……――私?」 謎の声の主はすぐそばにいた。少女に預けられていた康一君のバック――その上に小さなメイドさんが立っていた。  ◆ ◆ ◆ 掌サイズの小さなメイド。そのかわいらしい少女は夕焼け色の髪の毛をし、煩悩寺と同じ顔をしていた。 ありていに言えば、アニロワ2nd内で生まれた闇メイド――サスペリアの姿をしていた。しかし――、 「あ、あんたデッサンが狂ってない……? なんかムーミンみたいな顔よ」 ――真ん丸とした茄子のような顔の輪郭はムーミンか、クレヨンしんちゃんっぽい感じである。 「――失礼しちゃうわッ! あんたこ○みようじに喧嘩売ってるつもり?」 「え? でも、外伝は従来のファンから見るとあんまり評判はよくないらしいんだけど……?」 「うるさーい! と言うか、今はそんなロワ外のネタはいいでしょッ――!」 顔を真っ赤にして金切り声を上げていたメイドは、一つコホンと咳払いすると本題へと入った。 足元にあるデイパックの口から、自分と同じくらいの大きさがある一つのハンドベルを取り出す。 「はい。あなた専用の大人向けデバイス――『エロスの鐘』よ!」 「エロスの……鐘……?」 「そう。そして私は、あなたを助けるマスコットキャラ――ミニけ……ではなく、ミニ・サスペリアよ♪」 ふふーん♪ と薄い胸を張るメイドからベルを受け取ると、煩悩寺はそれを一つ凛と鳴らしてみる。 「……なんだろう。力が沸いてくるような気がする」 「あったり前じゃない。あなたはコレとわたしがあって、やーっと本来の実力を発揮できるんだから」 「本来の、実力? 私に秘められていた……力?」 「ええ! 魔法妖女デザイア・ベル――の誕生よ♪ さぁ、変身しましょう!」 ――エロの道 求め進むが 煩悩寺 ☆  ◆ ◆ ◆ 海辺に嬌声の様な鐘の音が甲高く響き、桃色と赤黒い瘴気が裸になった少女の身体を包み込む。 そして、実時間にして一瞬。だが、演出としては十分な尺が取られた変身シーンが過ぎ、 立ち込めていた瘴気が晴れたその場所には、先程と同じでそれでいて全く違う少女が立っていた。 その身を包むメイド服は、彼女の肩の上にいるミニ・サスペリアが着ている物とそう変わらない。 だが、薄く艶のある生地は肌にぴたりと張り付いて彼女のプロポーションをくっきりと浮かび上がらせ、 花弁の様なフリルのついた真白なエプロンは、胸やお尻を鷲づかむ様にデザインされそこを艶かしく強調している。 そして何よりも、彼女の表情、眼差し、唇のツヤ、舌の赤さが先刻までとは明らかに違う。 姿形が変わった訳ではないが、最早そこに少女の面影はない。今のそれは魔艶の妖女のものである。 未だ彼女の目の前で死等を繰り広げている三匹の雄。 それを確認すると、魔女はクスリと童女の様でいてまた妖婦の様でもある笑いを浮かべた。  ◆ ◆ ◆ 立ち並ぶ灰色の建物の群れ、その中に翼をもがれた黒鉄の鷹が叩き込まれる。 とうとう康一君が操る絶影の剛なる両拳――ドリルミサイルがその大きな翼を穿ち貫いたのだ。 だがそれは、そこに乗り込んでいた男――スパロワの書き手、起の命を奪うまでには至ってない。 「やぁ――って、やるぜ――ッ!!!」 雄叫びと共に瓦礫の山の中から、全裸に鉄仮面という出で立ちの男が飛び出してくる。 そこを狙って絶影の触鞭が払われるが、彼は手足を振ってそれを跳ね返すと、そのままザンッ――と、海辺に着地した。 「てめぇら、絶対許さねぇ……! 野生の本能の力を思い知らせてやるぜ――ッ!」 「フンッ! 貴様もすぐに断罪してやるぞ! 絶対正義の力を見るがいい!」 「……野生だの本能だの、知性を放棄したあなたは最早、人にも書き手にもあらず!」 それぞれの鍛え上げられた肉体をぶつけ合うべく、3人の漢達は足を踏みしめ気を練り高める。 だが! それは、全く別のものへと変貌する。その場に乱れ入ってきた4人目の雌の力により――! 「――十傑集が英雄本色! 玩具で遊ぶは笑止千万!」 その存在に、雄達が気付いた時にはもうすでに遅かった。 彼らの耳に、脳に、精神に、根源的な欲望の源に――エロスの鐘の音は、もう届いていたのだから……。 「――エロに楯突く無法が者共、諸行を背負えば現世に還る! 聞けい! 盛者必衰! エロスの鐘の響きあり!」  ◆ ◆ ◆ 「美しい――! 美しすぎるッ! ああっ、あぁ……、あぁんっ! 私はなんて綺麗なんだ――ッ!」 水面に映る自分自身の前で、銀髪の乗った頭を振り、素っ裸になった身体から垂れる汗を掻き集め啜る男がいた。 剥き出した瞳に恍惚の表情を浮かべ、自身が分泌するあらゆる液体を再び自身の中へと取り込んでいる。 上気させた身体を軟体生物の様にくねらせ、ただただ己への愛を確かめ貪っている。 「おおぉっ! うおぉぉ――っ! ヤあぁぁぁぁ――ってヤるZE――ッ! うおおおおぉぉうあぁぁぁ――ッ!」 獲物の上に覆いかぶさり、獣の様にただひたすらに腰を振り欲望を擦り上げ、種を吐き散らす男がいた。 その目に映るのは――肉。ただそれだけ、頭の中にあるのは野生という原始的かつ根源的な欲望のみ。 本能の赴くまま、ただ獰猛に喰らい。歓喜の咆哮をあげながら蹂躙し、他者を征服する。 「うひぃぃぃ――――ッ! もっとぉッ! 私が! 啼くぅ……までぇぇ――ッ! ヒィィィ…………ッッッ!!」 土の上に伏し、ただただ押え付けられ、乱暴にされ、虐げられることを喜びにしている男がいた。 自分の全て――世界を征服されること。世界を囲われ限定されることに安寧を見出し、支配者に世界を委ねる。 首輪を差し出し、自我を放棄し、ただの道具にまで身を窶す事に歓喜を覚え、身体を打ち振るわせる。  ◆ ◆ ◆ 鐘の音の中で変貌してしまった三人の男達。それらを前に、少女はその妖しい顔に恍惚とした表情を浮かべていた。 「これが、エロスの鐘の――私の力。これが、こいつらの……本性」 「そうよ。これが、こいつらの内側に隠されていた欲望。醜悪でありながらどこまでも正直な自分自身の姿よ」 「匂う……、匂うわ。とっても匂う。  内臓が腐りそうなぐらい臭くて、それでいて粘膜が溶けそうなぐらい甘く、胎がひくつく匂い。精の匂いが――!」 快楽を貪る雄の間から立ち昇る熱い靄を吸い込み、少女はすらりとした四肢を細かに振るわせる。 「はぁ……っん! 滾るぅ……、漲るぅぅ……っ! うぅ……んおぉ――――ッ!」 「それがエロス。そしてエロスこそが魔法妖女の力の源!  吸いなさい。もっと吸って吸いまくって、こいつらをカラッカラの木乃伊にしてあげなさい!」 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と鐘が鳴るたびに、メイド服に包まれた身体が波打ち、窄まった唇が靄を吸い込む。 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と鐘が鳴るたびに、少女の身体が張りを増し、生気を漲らせてゆく。 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と鐘が鳴るたびに、駆け巡る血が滾り、頭の中を、胸の房の中を、胎を湯立ててゆく……。 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と108回目の鐘が鳴り終わった時、ようやくそれは終わりを迎えた。 張り付いたメイド服も、流れる髪も、厚い唇も、煌く瞳も、内から外に通じる全ての孔をも濡らした少女。 艶やかで、生気に満ち、眼差しに魔力を走らせ、全身から甘い瘴気を発し、エロスの顕現と化した少女。 少女は全身に走る甘痒い余韻が引くのを、長い時間をかけて待つと、 ゆっくりと足を踏み出し、一歩毎に噎せ返るような熱い息を吐き出しながらその場を後にし始めた。 遺されたのはただの絞りかす。今後、永遠に彼女の気を引くことはないであろう醜悪な3つのオブジェ。 それらを背に、少女は次なるエロスの予感に長く赤い舌を伸ばし、顎に垂れる涎を掬い取る。 「――もっとエロスを。こんなのじゃ……たったこれっぽちじゃあ、全然足りない」 究極のエロスを探求すべく、少女――魔法妖女デザイア・ベルは街を往く…………。 &color(red){【康一君@漫画ロワ】死亡} &color(red){【暮れなずむ内面描写@アニロワ2nd】死亡} &color(red){【起@スパロワ】死亡} ※3人の死体(木乃伊)とそれぞれの装備がその場に残されています。 ※墜落したイーグルファイターの中に起の支給品一式が残されています。 【昼】【G-6 市街地】 【エロスの鐘の煩悩寺@アニロワ2nd】 【状態】:魔法妖女デザイア・ベル、精気満々、魔力全快 【装備】:エロスの鐘、ミニ・サスペリア 【道具】:支給品一式 【思考】:  基本:エロスの限りを尽くす  1:他の参加者を探す  ※容姿はティアナ・ランスター@なのはstsです。  【エロスの鐘】  大人向けデバイス。魔法妖女デザイア・ベルへの変身アイテムでもある。  その音色を聞かせた者が隠し持っている欲望を引き出し、暴走させてしまう。  暴走した欲望からエロスを吸い取ることで相手の精気を自分のものにできる。  【ミニ・サスペリア】  掌サイズのメイドさん。闇のメイド・サスペリア@アニロワ2ndの姿をしている。  魔女っ娘に必要なマスコットキャラで、ご主人様に色々とアドバイスをしてくれる。 |153:[[書き手ロワ2ndの火薬庫]]|投下順に読む|155:[[覚醒の黒き書き手]]| |153:[[書き手ロワ2ndの火薬庫]]|時系列順に読む|160:[[仮面ライダーよ永遠に/THE FIRSTは二度死ぬ。]]| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|エロスの鐘の煩悩寺|183:[[学園に行こう!]]| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|&color(red){康一君}|| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|&color(red){暮れなずむ内面描写}|| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|&color(red){起}|| ----
空気を引っ掻き、鉄をも切り裂く恐るべき触鞭が地面を叩きそこに真新しい傷を刻む。 撒き散らかされたアスファルトの破片の雨を掻い潜り、ロス仕込みのステップで銀髪の男は間合いを取る。 絶影という名の幽波紋で苛烈な攻撃を繰り出しているのは漫画ロワ出身の書き手――康一君。 それを華麗な足捌きと体技のみで避け続けているのはアニロワ2nd出身の書き手――暮れなずむ内面描写。 銀髪の男を襲う触鞭はその数を1本から2本に増やし、その熾烈さを倍にする。 が、それでも触鞭は男を捉えることが出来ない。ただ、男が一瞬前までに立っていた場所に穿たれるだけだ。 直線的に、そして時には螺旋を描き千変万化に襲い来る触鞭を、男は人類の範疇内の運動能力だけで避け続ける。 「――ちぃっ!」 痺れを切らしたブーメランパンツの男――絶影を操る康一君は、今度は絶影を本体ごと突進させる。 スピード:Aである絶影は、名前の通り影も残さぬ速さで銀髪の男の背後へと移動するが――、 「――ふぅッ!」 ――真後ろからの斬撃を男は身体を前屈させて回避。さらにその状態から手を伸ばし、裸の上半身を円運動。 遠心力によって生じた威力を腰を通して下半身へと伝達し、強力な後ろ回し蹴りを絶影の身体に叩き込んだ。 理合の力をその身に受けた絶影の身体がくの字に折れ、それは同時に本体である康一君の元へとそのままの威力で伝わる。 「げばあぁ――ぁッ!」 絶影と同じ姿勢で悶絶し、空気と涎を口から撒き散らす康一君。 そんな大きな隙を暮れなずむ内面描写が見逃す訳もなく、操り糸の切れた絶影に理合の拳をしこたまに打ち込む。 一発。二発。三発。四発。五発――と、そこでサンドバックは男の前から陽炎の様に消えた。 「ぐぅッ! よくもっ、貴様。紳士の身体に――!」 一旦消失させた絶影を再びその脇へと出現させながら、康一君は銀髪の男を怒りに滾った瞳で睨み付ける。 目の前の男は特殊能力を持たない一般人。いわばモンキー。なのに、紳士である自分が遅れを取っている。 絶対正義の力が通用しないことに、康一君の心はその身体同様打ちのめされていた。 「……人間を侮らないほうがいい。特に私の様な美しい人間は」 一方、20メートル程の間を空けて対峙する内面描写の顔に浮かんでいるのは余裕の表情だ。 だがしかし、それが表面上のものだけでしかないことは、露にされている肌の上に流れる汗が証明している。 一見すれば相手を手玉に取っている様に見えるが、根本的なパワーとスピードの差は比べるべくもない。 針の穴に糸を通す慎重さを常に意識させられている分。疲労の度合いも全く違っている。それに――、 「やぁ――ってやるぜ――ッ!!!」 互いに敵は一人だけではなかった。しかも、もう一人は戦闘機に乗り、上空から襲い掛かってくるのである。 青空を鉄の翼で掻き進み、烈火と共に鋼鉄の弾丸を雪崩落としてくるイーグルファイター。 康一君は咄嗟に絶影をACT2へと進化。撃ち込まれる鉄の塊を分厚い装甲でガードする。 かすっただけでも死を免れない内面描写は、弾丸の軌道を瞬時に判断。安全地帯へと避難する。 一瞬の仕切りなおしの後、 地上に残された二人は再び漆黒の鷹が戻ってくるまでの間を互いの闘争に費やすべく、その身を躍らせた。  ◆ ◆ ◆ 「(…………私はどうすればいいんだろう?)」 目の前で起こっている、異能者と一般人と兵器による激しく真面目な三つ巴のガチバトル。 その描写を離れた位置で見守りながら、彼らの優勝トロフィー役である少女は悩んでいた。 夕焼け色の美しいオレンジの髪をした彼女の名前は――エロスの鐘の煩悩寺。 変態的な男達によるガチムチ3P――それが始まってより、すでにもう一日の四分の一ほどが経過している。 その途中で、第一回目の放送も流れた。だが、どこにその精力があるのか彼らは未だ闘争中だ。 「(ここで、こんなことしてていいのかな……?)」 オレンジ髪の少女は、唯一の所有物である地図を見ながらそんなことを思う。 紳士を名乗る康一君より借りたペンによってそこに書き込まれているのは、余りにも多すぎる死者の名前だ。 単純に数字だけで言えば24人。 それだけの人数がたった6時間。彼女がこの場で手をこまねいているうちに失われてしまったのだ。 雄度ばかり高くてなんの役にも立ちそうにない目の前の3人。彼らをうっちゃってでも、動くべきではないかと彼女は思う。 「…………、ご主人様~……」 ――え? と、不意に聞こえてきた声に少女は顔を上げる。 「……ご主人様~。……ここですよ~♪」 幻聴ではない。小さいがはっきりした女の子の声が耳に届いていた。しかも、この声はどこかで聞き覚えがある。 「あなたは……――私?」 謎の声の主はすぐそばにいた。少女に預けられていた康一君のバック――その上に小さなメイドさんが立っていた。  ◆ ◆ ◆ 掌サイズの小さなメイド。そのかわいらしい少女は夕焼け色の髪の毛をし、煩悩寺と同じ顔をしていた。 ありていに言えば、アニロワ2nd内で生まれた闇メイド――サスペリアの姿をしていた。しかし――、 「あ、あんたデッサンが狂ってない……? なんかムーミンみたいな顔よ」 ――真ん丸とした茄子のような顔の輪郭はムーミンか、クレヨンしんちゃんっぽい感じである。 「――失礼しちゃうわッ! あんたこ○みようじに喧嘩売ってるつもり?」 「え? でも、外伝は従来のファンから見るとあんまり評判はよくないらしいんだけど……?」 「うるさーい! と言うか、今はそんなロワ外のネタはいいでしょッ――!」 顔を真っ赤にして金切り声を上げていたメイドは、一つコホンと咳払いすると本題へと入った。 足元にあるデイパックの口から、自分と同じくらいの大きさがある一つのハンドベルを取り出す。 「はい。あなた専用の大人向けデバイス――『エロスの鐘』よ!」 「エロスの……鐘……?」 「そう。そして私は、あなたを助けるマスコットキャラ――ミニけ……ではなく、ミニ・サスペリアよ♪」 ふふーん♪ と薄い胸を張るメイドからベルを受け取ると、煩悩寺はそれを一つ凛と鳴らしてみる。 「……なんだろう。力が沸いてくるような気がする」 「あったり前じゃない。あなたはコレとわたしがあって、やーっと本来の実力を発揮できるんだから」 「本来の、実力? 私に秘められていた……力?」 「ええ! 魔法妖女デザイア・ベル――の誕生よ♪ さぁ、変身しましょう!」 ――エロの道 求め進むが 煩悩寺 ☆  ◆ ◆ ◆ 海辺に嬌声の様な鐘の音が甲高く響き、桃色と赤黒い瘴気が裸になった少女の身体を包み込む。 そして、実時間にして一瞬。だが、演出としては十分な尺が取られた変身シーンが過ぎ、 立ち込めていた瘴気が晴れたその場所には、先程と同じでそれでいて全く違う少女が立っていた。 その身を包むメイド服は、彼女の肩の上にいるミニ・サスペリアが着ている物とそう変わらない。 だが、薄く艶のある生地は肌にぴたりと張り付いて彼女のプロポーションをくっきりと浮かび上がらせ、 花弁の様なフリルのついた真白なエプロンは、胸やお尻を鷲づかむ様にデザインされそこを艶かしく強調している。 そして何よりも、彼女の表情、眼差し、唇のツヤ、舌の赤さが先刻までとは明らかに違う。 姿形が変わった訳ではないが、最早そこに少女の面影はない。今のそれは魔艶の妖女のものである。 未だ彼女の目の前で死等を繰り広げている三匹の雄。 それを確認すると、魔女はクスリと童女の様でいてまた妖婦の様でもある笑いを浮かべた。  ◆ ◆ ◆ 立ち並ぶ灰色の建物の群れ、その中に翼をもがれた黒鉄の鷹が叩き込まれる。 とうとう康一君が操る絶影の剛なる両拳――ドリルミサイルがその大きな翼を穿ち貫いたのだ。 だがそれは、そこに乗り込んでいた男――スパロワの書き手、起の命を奪うまでには至ってない。 「やぁ――って、やるぜ――ッ!!!」 雄叫びと共に瓦礫の山の中から、全裸に鉄仮面という出で立ちの男が飛び出してくる。 そこを狙って絶影の触鞭が払われるが、彼は手足を振ってそれを跳ね返すと、そのままザンッ――と、海辺に着地した。 「てめぇら、絶対許さねぇ……! 野生の本能の力を思い知らせてやるぜ――ッ!」 「フンッ! 貴様もすぐに断罪してやるぞ! 絶対正義の力を見るがいい!」 「……野生だの本能だの、知性を放棄したあなたは最早、人にも書き手にもあらず!」 それぞれの鍛え上げられた肉体をぶつけ合うべく、3人の漢達は足を踏みしめ気を練り高める。 だが! それは、全く別のものへと変貌する。その場に乱れ入ってきた4人目の雌の力により――! 「――十傑集が英雄本色! 玩具で遊ぶは笑止千万!」 その存在に、雄達が気付いた時にはもうすでに遅かった。 彼らの耳に、脳に、精神に、根源的な欲望の源に――エロスの鐘の音は、もう届いていたのだから……。 「――エロに楯突く無法が者共、諸行を背負えば現世に還る! 聞けい! 盛者必衰! エロスの鐘の響きあり!」  ◆ ◆ ◆ 「美しい――! 美しすぎるッ! ああっ、あぁ……、あぁんっ! 私はなんて綺麗なんだ――ッ!」 水面に映る自分自身の前で、銀髪の乗った頭を振り、素っ裸になった身体から垂れる汗を掻き集め啜る男がいた。 剥き出した瞳に恍惚の表情を浮かべ、自身が分泌するあらゆる液体を再び自身の中へと取り込んでいる。 上気させた身体を軟体生物の様にくねらせ、ただただ己への愛を確かめ貪っている。 「おおぉっ! うおぉぉ――っ! ヤあぁぁぁぁ――ってヤるZE――ッ! うおおおおぉぉうあぁぁぁ――ッ!」 獲物の上に覆いかぶさり、獣の様にただひたすらに腰を振り欲望を擦り上げ、種を吐き散らす男がいた。 その目に映るのは――肉。ただそれだけ、頭の中にあるのは野生という原始的かつ根源的な欲望のみ。 本能の赴くまま、ただ獰猛に喰らい。歓喜の咆哮をあげながら蹂躙し、他者を征服する。 「うひぃぃぃ――――ッ! もっとぉッ! 私が! 啼くぅ……までぇぇ――ッ! ヒィィィ…………ッッッ!!」 土の上に伏し、ただただ押え付けられ、乱暴にされ、虐げられることを喜びにしている男がいた。 自分の全て――世界を征服されること。世界を囲われ限定されることに安寧を見出し、支配者に世界を委ねる。 首輪を差し出し、自我を放棄し、ただの道具にまで身を窶す事に歓喜を覚え、身体を打ち振るわせる。  ◆ ◆ ◆ 鐘の音の中で変貌してしまった三人の男達。それらを前に、少女はその妖しい顔に恍惚とした表情を浮かべていた。 「これが、エロスの鐘の――私の力。これが、こいつらの……本性」 「そうよ。これが、こいつらの内側に隠されていた欲望。醜悪でありながらどこまでも正直な自分自身の姿よ」 「匂う……、匂うわ。とっても匂う。  内臓が腐りそうなぐらい臭くて、それでいて粘膜が溶けそうなぐらい甘く、胎がひくつく匂い。精の匂いが――!」 快楽を貪る雄の間から立ち昇る熱い靄を吸い込み、少女はすらりとした四肢を細かに振るわせる。 「はぁ……っん! 滾るぅ……、漲るぅぅ……っ! うぅ……んおぉ――――ッ!」 「それがエロス。そしてエロスこそが魔法妖女の力の源!  吸いなさい。もっと吸って吸いまくって、こいつらをカラッカラの木乃伊にしてあげなさい!」 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と鐘が鳴るたびに、メイド服に包まれた身体が波打ち、窄まった唇が靄を吸い込む。 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と鐘が鳴るたびに、少女の身体が張りを増し、生気を漲らせてゆく。 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と鐘が鳴るたびに、駆け巡る血が滾り、頭の中を、胸の房の中を、胎を湯立ててゆく……。 リィ――ン♪ リィ――ン♪ と108回目の鐘が鳴り終わった時、ようやくそれは終わりを迎えた。 張り付いたメイド服も、流れる髪も、厚い唇も、煌く瞳も、内から外に通じる全ての孔をも濡らした少女。 艶やかで、生気に満ち、眼差しに魔力を走らせ、全身から甘い瘴気を発し、エロスの顕現と化した少女。 少女は全身に走る甘痒い余韻が引くのを、長い時間をかけて待つと、 ゆっくりと足を踏み出し、一歩毎に噎せ返るような熱い息を吐き出しながらその場を後にし始めた。 遺されたのはただの絞りかす。今後、永遠に彼女の気を引くことはないであろう醜悪な3つのオブジェ。 それらを背に、少女は次なるエロスの予感に長く赤い舌を伸ばし、顎に垂れる涎を掬い取る。 「――もっとエロスを。こんなのじゃ……たったこれっぽちじゃあ、全然足りない」 究極のエロスを探求すべく、少女――魔法妖女デザイア・ベルは街を往く…………。 &color(red){【康一君@漫画ロワ】死亡} &color(red){【暮れなずむ内面描写@アニロワ2nd】死亡} &color(red){【起@スパロワ】死亡} ※3人の死体(木乃伊)とそれぞれの装備がその場に残されています。 ※墜落したイーグルファイターの中に起の支給品一式が残されています。 【昼】【G-6 市街地】 【エロスの鐘の煩悩寺@アニロワ2nd】 【状態】:魔法妖女デザイア・ベル、精気満々、魔力全快 【装備】:エロスの鐘、ミニ・サスペリア 【道具】:支給品一式 【思考】:  基本:エロスの限りを尽くす  1:他の参加者を探す  ※容姿はティアナ・ランスター@なのはstsです。  【エロスの鐘】  大人向けデバイス。魔法妖女デザイア・ベルへの変身アイテムでもある。  その音色を聞かせた者が隠し持っている欲望を引き出し、暴走させてしまう。  暴走した欲望からエロスを吸い取ることで相手の精気を自分のものにできる。  【ミニ・サスペリア】  掌サイズのメイドさん。闇のメイド・サスペリア@アニロワ2ndの姿をしている。  魔女っ娘に必要なマスコットキャラで、ご主人様に色々とアドバイスをしてくれる。 |154:[[書き手ロワ2ndの火薬庫]]|投下順に読む|156:[[覚醒の黒き書き手]]| |154:[[書き手ロワ2ndの火薬庫]]|時系列順に読む|161:[[仮面ライダーよ永遠に/THE FIRSTは二度死ぬ。]]| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|エロスの鐘の煩悩寺|184:[[学園に行こう!]]| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|&color(red){康一君}|| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|&color(red){暮れなずむ内面描写}|| |102:[[あなたと合体したアッーい]]|&color(red){起}|| ----

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