送り狼未遂

【邑神】
…ったく…

あ、そういえば矢真田さん。
アンタもう…44号の仕事、
終わったんですか?

【矢真田】
あ?…あー…ああ。
ぱっぱと終わらせてきた。

【邑神】
…ご苦労様です。

【咲】

【矢真田】
あ、そーだ。お師匠がなんか分かんない事
あるからって、お前探してたぞ。

早く行ってやれよ。俺は咲ちゃんと
おしゃべりするから。

【邑神】
ハイハイ分かりましたよ。
それじゃ、里羽さん。俺はこれで失礼します。

【咲】
うん、ありがとう。
明日からよろしくね!!

【矢真田】
うっし!!これで邪魔者はいなくなった!!

…咲ちゃん、社長から聞いたけど、AAAに
入る為の試験みたいなのうけるんだって?

【咲】
あ…ハイ。何というか成り行き上そうなって
しまったというか…


【矢真田】
という事は…合格したら、俺と同じ職場で
咲ちゃんにいつでも会えるって事だよな?!
ひゃー!!!!そーなったらうれしーなー♪

俺が教えれる事だったら何っでも教えてあげっから
がんばろーな!!!

【咲】
え…あ…
…ハイ…

【矢真田】
あれー?あれあれ?どしたの?
何か元気ないなぁ…

あ…も、もしかして俺うざかった…?

【咲】
い、いえ、そんな事は…!!
ただ…もし合格しなきゃ…
どうなっちゃうのかなって…思うと…


【矢真田】
え?駄目だったら何かあるの?
何かペナルティとか?

【咲】
…真枝さんの話だと…
合格しなければ…その…研究機関に幽閉か…
AAAの人に…処分されるって…

【矢真田】

…社長がそう…言ったのか?

【咲】
は…はい…?

(矢真田さん・・・?なんだか…すごい
怖い顔…?)

【矢真田】
…大丈夫。

仮に…咲ちゃんが結果を残せなくても、
そーゆー処分とか怖い事にはならないから。
…俺が保障する。だから大丈夫。


【咲】
矢真田さん?

【矢真田】
もしダメで、咲ちゃんに危険が迫るような
事があったら、俺、AAA脱退して、咲ちゃん連れて
地の果てまで逃げて守ってやるよ。

俺、こー見えても、AAAの中でも一番のエースで
ψシステムなくてもAAAでは一番強ぇんだぜ?
だから、咲ちゃんの身は絶対に守れると思うからさ♪

【咲】
…あ、ありがとうございます…。

<モノローグ>
一瞬、矢真田さんが別人のように見えたけど、
すぐ元通りに、明るい矢真田さんになったのが
少々気になったけど…

邑神さんも矢真田さんも、二人して大丈夫と
言ってくれている事だし・・・

案外、超能力のコントロールって、私が
思っているより簡単なのかもしれない…

うだうだと考えたって、そのカリキュラムとやらを
まだ受けてない状態で考えてもしょうがないし。

…それに、もし駄目だとしても…
矢真田さんもこう言ってくれているし…

社交辞令かもしれないけど、その時は
守ってくれると言ってくれたことが…
今の私には素直にうれしいと感じた。
</モノローグ>


【咲】
ありがとうございます!
矢真田さんがそう言ってくれたおかげで、
随分気持ちが楽になりました!!

【矢真田】
え?そう?俺、自分が思ったこと
素直に言っただけなんだけど…

まぁ、咲ちゃんがそう喜んでるんだったら
それでいいや。明日からがんばろーな♪

【咲】
ハイ!
あ、もし、明日から矢真田さんにお会い
したい時はどこに行けばいいんですか?

【矢真田】
あはは~♪その言葉がうれしーなー♪
あー…えっと…明日からは…

…そう言えば、俺、明日から非番だったけど
また始末書の処理しなきゃいけなくなったんだよな…
邑神にも断られたし、俺一人で…か…。

…多分…ここの23階に俺ら専用の部署が
あるんだけど、そこでほとんど電卓叩いてると
おもうから、そこに来てくれれば…会える…はず

【咲】
分りました!じゃあ、明日からよろしく
お願いしますね!!

【矢真田】
あ、待った!家に帰るんだよな?
送ってくよ。社長からタクシー待ってるって
言われただろ?あれ、俺なの♪

社長が二輪貸してくれたからさ。
メットも二つあるし。

いや~憧れだったんだよな~
女の子乗っけて二ケツするの~
さぁ後ろ早く乗った乗った♪


【咲】
え?えぇええええ?




<チャリのベル音>

<場所移動・咲ちゃんち前>

【真緒】
…全くどこ行ったのよあの子…
おばさんの病室にもいないし、
みっちゃんに聞いても何も知らんし…

ウチのじーさんによれば、
昨夜は一度も、あの子んちの家の
明かりはつかなかったって言うし…

…警察呼んだ方がいいのかしら…?

…あん?


【矢真田】
うーっし着いた!ここだな。
お疲れさん!!

【咲】
あ、ありがとうございました。
助かりました。

(バイクと思ったら自転車だし…
でも車より早いのはすごいなぁ…
矢真田さんどういう足の作りしてんだろ…)

【矢真田】
へーここが咲ちゃんちかぁ…
夜とかこっそり遊びに来ていい?

【咲】
え?えーと…

【真緒】
こんの…
馬鹿娘がぁあああああああ!!!!!!!
<たぶんドロップキックを食らわせたかのようなSE>

【矢真田】
がはぁ!!!!!

【咲】
真緒?!


【真緒】
何考えてんのよ!!あんた!!
嫁入り前の娘が、朝帰りけぇ?

確かにこのおにーさんと
付き合ってもいいんじゃね?とか言ったけど、
いろんなステップ飛ばし過ぎじゃあああ!!!!


【咲】
落ち着いて真緒!!そう言いつつ、殴ってるのは
矢真田さんよ!?

【真緒】
アンタを殴るわけにはいかんでしょうが!!
どーせこの頭の中がピンク色してそうな
にーさんがアンタをそそのかしたんでしょ?!

【矢真田】
ぎゃあああ!!すんません女王様!!
何か知らんけど、俺が悪かったです!!
ごめんなさいぃいいいい!!!


【真緒】
謝るって事はアレか?!
やっぱ何かしたんか?何かしたんか?
あ?ええ?おい?!


【咲】
ちょ…真緒!!だから落ち着いてってば!!!
矢真田さんも何もしてないのにむやみに
謝らない!!


ちょっとでいいから落ち着いて
話を聞いてよー!!!

…や、矢真田さん、あのこと、
真緒に話してもいいですか?

【矢真田】
う、うんいいと思う。
別に口止めされなかったし…

【咲】
実は…


<咲ちゃんの部屋に移動>



【真緒】
何それ…?そんな無茶苦茶な…


【咲】
…信じられない…よね。
超能力がうんたらとか…


私だってまだ信じられないし
自分にそんな力あるなんて思っても
見なかったし・・・

【真緒】
…いや、信じるわ。

【咲】
真緒?

【真緒】
…昨日、私人質になった時、強盗のにーちゃんが
そんなのが存在するって事話してたし…

何より…私しか知らないことを、そのにーちゃんに
読み取られたし。

…そういう技術が存在して、それの流布を
防ぐためだったら

そんな無茶言いだす組織、
存在してたっておかしくないもの。

何より、あんたが言い訳でそんな
しょうもないウソつくような子じゃないってのは、
私がよく知ってるからね。

【咲】
…ありがとう…真緒。


【真緒】
…矢真田サンもすんませんでしたね。

もう昨日からこの子の姿が見当たらなくて
心配でたまんなくてさー…あはは…

そういうわけでこれで勘弁して下さい。


【矢真田】
こっ…これは!!咲ちゃんと女王様の
プリクラ!!!わあ!!咲ちゃん単品もあるー!!

…女王様!!俺の事は犬と呼んでください!!

【真緒】
じゃあ、犬っころにお願いだけどさ
…その組織の事については、私全くと言って
いいほど関知できないわけよ。

だからさ、私の代わりにさ、この子のその
試験とやらに関してサポートしてやって
くんないかしら?

私にできるのは、この子があまり
思いつめないように、息抜きにつきあう
くらいだしさ…

【矢真田】
それは大丈夫!!任せて下さい!!
さっきも、危険が迫ったら連れて逃げるって
約束したばっかりでございますし。

【真緒】
その意気やよし!!任せたわよ!!犬!!


【矢真田】
じゃあ俺はこれにて失礼します!
…咲ちゃん。また明日♪

【咲】
あ、はい。…送ってもらって
ありがとうございました!!

【真緒】
…頭はゆるそうだけど、あんたに関しては
安心できそうねあの犬。

【咲】
(あぁああああ…もうこの二人、
女王様と犬が定着しちゃった・・・)

【真緒】
…私もこれで帰るけどさ…
あまり気負い過ぎちゃダメよ?

そのカリキュラムとやらで疲れた時は
ちょっとくらい遊びに行こ?

命がかかってるのはわかるけど、
あまりキチキチ考え過ぎると
とれる点数もとれないわよ。

私はいつでも…あー夜は無理だけど
携帯に出るからさ。

気が向いたらいつでも呼ぶのよ?遠慮せずに。

【咲】
う、うん。ありがとう真緒!

【真緒】
…じゃ、大変だろうけどがんばんのよ!!
…あ、そう言えば…

【咲】
?どしたの?

【真緒】
…いや、何でもない。
…じゃあね。


【咲】
…はぁ…やっと…くつろげる場所で
一人になれた…。

ちょっと前まではこの時間帯は
一人っきりで、それが嫌で
たまらなかったのにな…


…そう言えば、真枝さんから資料の入った
メモリを貰ってたな…

明日の事についての説明もあるみたいだから
…目を通しておこうかな



<資料:要に説明された文章の補足がWPとして読める>

【咲】
試験期間は明日から8/1までか…


…ダメだったらどうなるか考えると
怖いけど…


いろんな人が応援してくれるし、
頑張らなきゃ!!

…もうこんな時間かぁ…
明日の為に、今日はもう寝よう。

2章OP終了

最終更新:2008年10月28日 00:08