51話

「さて、それじゃあ早速行こうぜ」
「そう言えばリーム、何か武器は持ってるのか?」
「当たり前。これさ」
そう言ってリームは腰のホルダーから何かを取り出した。
「これって・・・・・・カード?」
「『トリックトラップ』って言ってね。あたしの武器だよ」
「投擲(とうてき)系の武器か。そんなに少なくて大丈夫なのか?」
「甘いねルーク。見てな」
そう言ってリームはカードを一枚真上に放り投げる。
「おいおい、危ねえぞ?」
「大丈夫、いいから黙って見てなって」
リームは左手の人差し指と中指を立てると、それを斜め下にかざした。
                                             ヒュッ
「キャン!?」
「危ねっ!レオン、大丈夫か!?」
「すごい、カードが浮いてる!」
「なるほど、このカードも魔具だったのか。操作が可能だから枚数もそんなに必要ないってことだな」
「そういうこと。それに一枚ごとのカードの属性が違うからどんな魔物にも対応できるよ」
「ん?カードが武器ってことはあの紫色の玉は何だったんだ?」
「あれは魔玉だよ。重力の魔玉を使ったのさ」
「少しもったいないな。魔玉は単体で使えば魔具にして使うより確かに効果は大きいけど、でもその代わりに1度使うと砕けて使えなくなるのに」
「あの時は皆の敵を打とうと必死だったんだ。代償なんて気にしてられなかったんだよ」
「あれ?でも左手ってことは・・・・・・リームってもしかして左利きなの?」
「ん?言ってなかったっけ?」
「へえ、珍しいな。俺達の世界じゃ左利きの奴なんてほとんどいなかったぜ?」
「利き腕が違うだけでしょ。何か差し支えあるの?」
「いや、別に。言い方が悪かったな、ごめん」
「男がそう簡単に謝るもんじゃないよ。そんなんだと将来立派な旦那になれないよ?」
「だ、旦那って・・・・・・!!」
「アルルの旦那に決まってるじゃない。ね、アルル」
「へぇ!?わ、私・・・・・・その・・・・・・!!」
アリウスもアルルも顔を真っ赤にして慌てふためいている。いつ見ても飽きない光景だ。
「まさかアリウス・・・・・・あんたアルルと結婚する気ないの!?いらなくなったらポイしちゃう奴なの!?」
「ちょ、ちょっと待て!!誰もそんなこと言ってないだろ!?」
「じゃあどうなの?考えてるの?」
「そ、それは・・・・・・」
「・・・・・・はう~・・・・・・」
                                              パタリ。
「お、おいアルル!?アルルーッ!?大丈夫かー!!」
「きゅう・・・・・・」
『ダメだ、完全に目を回している。リーム、やり過ぎだ。アリウスもアルルも困ってるではないか』
「あ、あはは。ゴメンね」
「まあ2人を困らせるのはほどほどにな。ただでさえこいつらは純粋すぎるんだから」
「悪かったな!とりあえずアルルが回復するのを待とう」
「お花畑・・・・・・綺麗・・・・・・」
「何ィ!?アルル、行くな!行くなーっ!!」
                                         ――視点変更~アリウス視点~――
それから数分が経過し、アルルは目覚めた。
「・・・・・・あれ?私どうして眠ってたの?」
「記憶が飛んでるみたいだね、どうするの?」
『言わないほうがいいだろう。思い出させれば延々と同じことが続く可能性が高い』
「同感だ。そんなに時間があるわけでもないし、さっさと行こう」
「アリウス、私どうして眠っちゃってたんだろう?」
「さ、さあ?疲れてたんじゃないか?」
「うーん・・・・・・そうなのかなあ?」
「そろそろ行くよ、2人とも。アルルの力ってやつを取りもどすんでしょ?」
「分かってるって。行こうぜアルル、お前の力を取り戻さなきゃな!」
「なんか納得いかないけど・・・・・・うん、行こう!」





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最終更新:2008年12月14日 09:25