10話

「アルル・・・・・・なんでこの世界にいるんだよ!?」
俺はアルルに当然の疑問を投げかけた。俺は魔導士の決まりを破ったため、この世界に来た。
しかし、アルルはそのとき確かに千年前の世界にいた。本来、この世界にいるはずがないのだ。
「アリウス・・・・・・知り合いか?」
「ああ・・・俺の・・・・・・恋人・・・・・・」
「何ぃ!?なんでお前の世界の人がこの世界にいるんだよ!?」
「それはこっちが聞きたいよ!アルル・・・・・・話してくれ、全部」
そう言ったころには、アルルはもう泣き止んでいた。
「うん・・・・・・。でも、まず助けてよ・・・・・・腕が痛いよ・・・・・・」
アルルは町の人に腕を掴まれて動けない状態だった。幸い、この周辺の人たちは俺とルークのことを
魔物退治の一件で知っていたので、アルルを開放するよう頼むとすぐに腕を放してくれた。
「じゃあ、話して。アルル」
俺達は中心街の端のほうで座り、アルルの話を聞くことにした。
「私は、昨日まで知らなかったの。アリウスがこっちに飛ばされたってこと。
それを昨日、お師匠様を何度も問い詰めたらやっと教えてくれて、私もこっちへ飛ばしてもらったの・・・・・・」
「ん?お師匠様って言うのは誰のことだ?」
「ああ、ミーティアさんのこと。アルルの魔法の師でもあるんだよあの人は。えーと・・・・・・俺がここへ来たのが三日前だから、
その二日後ってことか・・・・・・。でもなんて無茶するんだよアルル、自分から頼み込むなんて」
「だって・・・・・・アリウスが心配だったから・・・・・・」
「アルル・・・・・・」
やはりアルルはアルルのままだった。まあ、数日で変わられてはたまったものではないが。俺は右手をあげ、アルルの頭に・・・・・・。
「お~い、こんなところでイチャつくなよ・・・・・・。人が見てる中だぞ~・・・・・・」
「あ、い、いや、そういうわけじゃないぞルーク」
ルークに言われて我を取り戻す。上げていた手を俺は慌てて引っ込めた。
「悪いけど、まず紹介してもらえないか?アリウス。何がなんだかわかんなくて・・・・・・」
「あ、ああ。こっちはアルル。えっと・・・・・・俺の恋人で、さっき話してた三人目の魔導士だ」
「へぇ・・・・・・この子が・・・・・・。あ、俺は自分で紹介するよ。俺はルーク、この国出身の一応剣士で、少し前からアリウスと一緒に旅をしてる。よろしくな」
「うん。よろしくね、ルーク」
そう言って二人は握手をした。
「さて、アルルがここにいた理由もわかったし、これからどうするかな・・・・・・」
「まずはあの暗号を解くことが最優先じゃないか?アリウス」
「あ、そうだったな・・・・・・」
「暗号?何それ?」
俺はアルルにミーティアさんから聞いた言葉を教えた。
「・・・・・・わかんない・・・・・・」
「俺達もさっぱりわからないんだ。だから暗号を早く解かなきゃ、次の力を取り戻しに行けない・・・・・・」
そう言った時、俺は嫌な予感がした。
「アルル・・・・・・魔力使えるか?今」
「ううん・・・・・・。私の魔力、この世界のどこかに飛んで行っちゃったらしいの・・・・・・」
やっぱりか、と思った。この世界に来たからには、アルルも俺と同様、魔力がなくなっているのではと考えたのだ。嫌な予感は案外当たるらしい。
「んじゃ、アルルの力も全部取り戻してやらないとな・・・・・・」
「うん・・・・・・ごめんね、アリウス・・・・・・」
「いいのいいの。別に時間制限なんかはありゃしないんだし、気ままにゆっくり探そうぜ」
「・・・・・・ん?2人とも、誰かこっちに来るぞ」
そうルークに言われ顔を上げると、四人ほどの男がその中心に髭を生やした男を囲むようにして、俺達の所にやってきた。
「なっ!!こっ・・・・・・国王様!?」
その人物の意外さにルークが驚きの声を上げる。
「え!?こ、国王!?」
俺とアルルもルークの後に驚きの声を上げる。三人で驚いていると、その国王なる人物が俺達に話しかけてきた。
「少し、お主達に聞きたいことがある。サレッド城まで同行願おう」
俺達は小さな声で相談したが、ルークが逆らわないほうがいいと言うので、俺達はサレッド城へ向かうことになった。



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最終更新:2008年02月17日 16:05