74話


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「うーん、まさかこんなことになろうとは・・・・・・」
もうすぐあれから一時間が経とうとしている。だけど、僕は観客席には着いていない。その理由はついさっき――――
「んで?アルルは大丈夫なのか?さっきまでリハやってたろ」
「問題ないわ。ただ、1箇所だけバランスが取れないところがあったから着替えてからあそこに衝撃緩和剤を置こうと思ってる」
「ああ、任せろ・・・・・・う~、背中がヒリヒリする。演技に支障が出たらお前のせいだからな?」
「薬の代わりにマスタードでも塗っとく?逆に気持ちが引き締まるかもよ」
「アイリィ、普通に怖いよ・・・・・・ホラ、レイリーも震えてる」
「う~ん・・・・・・あれ?ここは?」
「気がついた?今、皆のところに向かってるところよ」
「あ、うん。ごめんね、またレイリーに背負ってもらっちゃったんだ」
「バカレイリーなら隣で青い顔して震えてるわよ」
「あれ、ホントだ。じゃあこの人は?」
「んと・・・・・・僕、です」
「あ、アリウス!?な、なんでアリウスが私を背負ってくれてるの!?」
「あたしが命じたのよ。この子がなんでもしますって言ったから」
いや、言った覚えは無いんだけど・・・・・・。
「も、もう!姉さん、アリウスはお客さんなんだよ!?こんなことさせちゃ悪いよ!」
「いいんだよアルル。僕もまだ別れるのは名残惜しかったからさ」
「そう言ってくれるのはありがたいけど・・・・・・あ、もう下ろしてくれて大丈夫だよ」
「ううん。もうすぐ着くし、このまま送っていくよ」
「スケベ心ね」
「ああ、スケベ心だな」
「ち、違うよアイリィ!!って、いつの間にかレイリーも復活してる!?」
「クスクス・・・・・・。うん、それじゃあお願いしよっかな」
こうしてアルル達を送り届け、観客席に行こうとした僕を引きとめたアイリィはこう言った。
「どうせなら舞台のソデで見ていけば?観客席なんかよりずっと迫力あるわよ」
「えっ?でも、邪魔になるんじゃ・・・・・・」
「ソデは公演中はほとんど団員は通らないの。ほとんどが演技でずっと舞台にいるから」
「うーん・・・・・・それじゃあ、お言葉に甘えようかな」
こういうわけだ。結果的にはかなり得をしたような気がする。
「・・・・・・あなたが例の男の子?」
「あ、えっと・・・・・・君は?」
「・・・・・・リディ。あなたがここにいる原因」
「原因・・・・・・?あ、もしかしてケガをしたっていう裏方の人?」
コクリと彼女はうなづく。ちょっと口数が少なめで、表情を全く変えずに話す女の子。
「・・・・・・ありがとう。私の代わりに仕事、手伝ってくれて」
「ううん、気にしないで。僕もすごく楽しかったからさ」
「・・・・・・うん。ゆっくりしていって」
リディはそう告げるとその場を離れていった。もしかして、アルル達に教えてもらってわざわざお礼を言いに来てくれたのかな?
「皆様、大変長らくお待たせいたしました。いよいよサーカスの始まりです!」
舞台から大きな声が上がり、観客席から拍手が飛び交い、サーカスの演目が始まった。





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