49話

「49話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

49話」(2008/12/02 (火) 01:53:35) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「だ、誰だ!?」 返事の代わりに、洞窟の中から出てきたのは人間だった。 金色の瞳に肩までの長さの赤い髪を揺らし、獣の皮で作った服を身に着けている女の子だ。 「こんなにも簡単に引っかかってくれるなんてね。拍子抜けした」 「何が目的だ!金か?装備か?」 「そんな物なんかじゃない・・・・・・命だよ!」 「何だって!?」 「一族みんなの敵・・・・・・覚悟しな!!」 そう言って女が足を踏み出そうとした瞬間だった。 「悪いけど、俺達はまだ死ぬわけにはいかないんでな。そいつは勘弁してくれねえか?」 どこからか現れたアリウスが女の首に短剣を突きつけていた。 「アリウス!無事だったの?」 「ああ、レオンが教えてくれたんでな。なんとか逃げることができたよ」 「ふう、危ない危ない。アリウス、助かったぜ」 「ああ、なんとかなってよかったよ。さて、どうする?」 「くっ・・・・・・殺すならさっさと殺せばいいじゃない!!」 「ちょっと待った、まず俺達を狙った理由を教えてくれてもいいんじゃないか?」 「理由ならあんたたちが一番知ってるだろう!?あたしの故郷を・・・・・・シュラムを滅ぼした悪魔達め!!」 「なっ、シュラムだって!?」 「ルーク、知ってるのか?」 「お前も知ってるぜアリウス。なにせ今朝話したばかりの事だ」 「今朝って・・・・・・まさか!?」 「そう。『支配者』に滅ぼされた里だ。でもまさか、生き残りがいたなんてな・・・・・・」 「・・・・・・?さっきから何を言ってんだい、あんた達がその悪魔達・・・・・・」 「それは誤解だ。俺達はただの人間だよ」 「嘘だ!だってあんたたち、魔具もなしに魔法を使ってたじゃない!」 「ああ、これのことか?」 そう言ってアリウスは召喚印を描き、ウェンディを呼んだ。 『先ほどから少し様子を見させてもらった。女よ、この者達は敵ではない。信じてもらえないだろうか?』 「これは・・・・・・!!あたし、勘違いして・・・・・・」 「信じてもらえてよかったよ。とりあえず、俺の仲間を解放してもらってもいいか?」 「ああ、分かってる」 女の子が指をパチンと鳴らすと、俺達にかかっていた重力がスッとなくなった。 「ふう、助かったぜ」 「うう~、長いこと地面に押し付けられてたせいで体が痛いよ・・・・・・」 「よし。んじゃ詳しい話を聞かせてもらってもいいかな?」 「ああ、あたしは構わないよ」 俺達は一旦洞窟の外に出て、落ち着ける場所で座り込んだ。女の子は少しずつ話し始める。 「あたしはリーム。さっき言った通り、シュラム村の唯一の生き残り」 「それがどうしてここに?シュラム村は確かフレイグォーゼの村だろ?」 「それも言った通り、敵討ちのためさ。村のみんなのね」 「リームちゃんでいいかな?辛いかもしれないけど、村が滅ぼされた時の様子を教えてもらってもいい?」 「呼び捨てでいいよ。そう・・・・・・昼頃だった。あたしには弟がいてね。その弟が病気で寝込んじまってて、それによく効く薬の材料を取りに村はずれまで行ってたんだ。そこから戻ったとき、あたしは目を疑ったよ。村のみんながそこに血を流して倒れてて、家もほとんど全部燃えちまってたんだから。それから必死に弟を探したよ。家の中にはいなかったし、倒れてもいなかったから。しばらく村中探して回ったら、弟があたしを呼んだ。無事だったんだ。そう喜んでそっちに走っていこうとした時、あの子は・・・・・・!!」 『目の前で・・・・・・殺されたのだな』 「ああ・・・・・・黒い稲妻に包まれて、全身を焼かれて」 「そうだったのか。よく話してくれた。な、アリウ・・・ス・・・?」 アリウスの方を見ると、アリウスが青ざめた表情をして驚いていた。それだけじゃない。アルルも全く同じだった。 「リーム、よく思い出してくれ!!その黒い稲妻を撃ったのはどんなやつだった!?」 「よくって言われても・・・・・・思い出せるのは黒い羽と角に、濃い緑色の髪の毛くらいだね」 「!?アリウス、じゃあやっぱり・・・・・・!!」 「ああ、間違いない!」 「何だ何だ?アリウス、アルル。まさかそいつを知ってるのか?」 「知ってるどころじゃねえ・・・・・・関係大アリだ」 アリウスは真剣な表情をして一言、こう言った。 「そいつは・・・・・・アルルの両親を殺したやつと同じやつだ」 #comment [[48話]]へ戻る [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る
「だ、誰だ!?」 返事の代わりに、洞窟の中から出てきたのは人間だった。 金色の瞳に肩までの長さの赤い髪を揺らし、獣の皮で作った服を身に着けている女の子だ。 「こんなにも簡単に引っかかってくれるなんてね。拍子抜けした」 「何が目的だ!金か?装備か?」 「そんな物なんかじゃない・・・・・・命だよ!」 「何だって!?」 「一族みんなの敵・・・・・・覚悟しな!!」 そう言って女が足を踏み出そうとした瞬間だった。 「悪いけど、俺達はまだ死ぬわけにはいかないんでな。そいつは勘弁してくれねえか?」 どこからか現れたアリウスが女の首に短剣を突きつけていた。 「アリウス!無事だったの?」 「ああ、レオンが教えてくれたんでな。なんとか逃げることができたよ」 「ふう、危ない危ない。アリウス、助かったぜ」 「ああ、なんとかなってよかったよ。さて、どうする?」 「くっ・・・・・・殺すならさっさと殺せばいいじゃない!!」 「ちょっと待った、まず俺達を狙った理由を教えてくれてもいいんじゃないか?」 「理由ならあんたたちが一番知ってるだろう!?あたしの故郷を・・・・・・シュラムを滅ぼした悪魔達め!!」 「なっ、シュラムだって!?」 「ルーク、知ってるのか?」 「お前も知ってるぜアリウス。なにせ今朝話したばかりの事だ」 「今朝って・・・・・・まさか!?」 「そう。『支配者』に滅ぼされた里だ。でもまさか、生き残りがいたなんてな・・・・・・」 「・・・・・・?さっきから何を言ってんだい、あんた達がその悪魔達・・・・・・」 「それは誤解だ。俺達はただの人間だよ」 「嘘だ!だってあんたたち、魔具もなしに魔法を使ってたじゃない!」 「ああ、これのことか?」 そう言ってアリウスは召喚印を描き、ウェンディを呼んだ。 『先ほどから少し様子を見させてもらった。女よ、この者達は敵ではない。信じてもらえないだろうか?』 「これは・・・・・・!!あたし、勘違いして・・・・・・」 「信じてもらえてよかったよ。とりあえず、俺の仲間を解放してもらってもいいか?」 「ああ、分かってる」 女の子が指をパチンと鳴らすと、俺達にかかっていた重力がスッとなくなった。 「ふう、助かったぜ」 「うう~、長いこと地面に押し付けられてたせいで体が痛いよ・・・・・・」 「よし。んじゃ詳しい話を聞かせてもらってもいいかな?」 「ああ、あたしは構わないよ」 俺達は一旦洞窟の外に出て、落ち着ける場所で座り込んだ。女の子は少しずつ話し始める。 「あたしはリーム。さっき言った通り、シュラム村の唯一の生き残り」 「それがどうしてここに?シュラム村は確かフレイグォーゼの村だろ?」 「それも言った通り、敵討ちのためさ。村のみんなのね」 「リームちゃんでいいかな?辛いかもしれないけど、村が滅ぼされた時の様子を教えてもらってもいい?」 「呼び捨てでいいよ。そう・・・・・・昼頃だった。あたしには弟がいてね。その弟が病気で寝込んじまってて、それによく効く薬の材料を取りに村はずれまで行ってたんだ。そこから戻ったとき、あたしは目を疑ったよ。村のみんながそこに血を流して倒れてて、家もほとんど全部燃えちまってたんだから。それから必死に弟を探したよ。家の中にはいなかったし、倒れてもいなかったから。しばらく村中探して回ったら、弟があたしを呼んだ。無事だったんだ。そう喜んでそっちに走っていこうとした時、あの子は・・・・・・!!」 『目の前で・・・・・・殺されたのだな』 「ああ・・・・・・黒い稲妻に包まれて、全身を焼かれて」 「そうだったのか。よく話してくれた。な、アリウ・・・ス・・・?」 アリウスの方を見ると、アリウスが青ざめた表情をして驚いていた。それだけじゃない。アルルも全く同じだった。 「リーム、よく思い出してくれ!!その黒い稲妻を撃ったのはどんなやつだった!?」 「よくって言われても・・・・・・思い出せるのは黒い羽と角に、濃い緑色の髪の毛くらいだね」 「!?アリウス、じゃあやっぱり・・・・・・!!」 「ああ、間違いない!」 「何だ何だ?アリウス、アルル。まさかそいつを知ってるのか?」 「知ってるどころじゃねえ・・・・・・関係大アリだ」 アリウスは真剣な表情をして一言、こう言った。 「そいつは・・・・・・アルルの両親を殺したやつと同じやつだ」 #comment [[48話]]へ戻る   [[50話]]に進む [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: