47話

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「・・・・・・ーク、ルークってば!」 「ああ、すまない。少し考え事をしてた。なんの話だっけ?」 「アリウスの事。何で1人で別行動を取ったんだろう?」 「うーん、言われてみればなんだかさっきのアリウスは少し怪しかったような気も・・・・・・」 「よし、探してみようよ!」 「え?俺はいいけど・・・・・・アリウスは嫌がるんじゃないのか?」 「大丈夫、私が許可するから♪」 そう言ってアルルは子供のようにはにかむ。こんな簡単に許可を出されたらアリウスの奴もたまったもんじゃないな、と心の中で笑う。 「分かった。どこから探す?」 「それは大丈夫、こっちには秘密兵器があるんだから」 「クゥーン?」  数分後、アリウスはいとも簡単に見つかった。確かにレオンの鼻を使えばすぐに見つかるわな。 アリウスは静かに目を閉じて座り込んでいた。俺とアルルは草むらで隠れてアリウスの様子を伺っている。 「何をしているんだ?アリウスの奴」 「よくわからないけど・・・・・・ひょっとして眠ってるのかな?」 そんなことを話していると、アリウスが目を開け、右手を動かしだした。 「何かを描いてるみたいだな」 「あれは・・・・・・ルーク、見てれば分かるよ」 「・・・・・・来い、風の力よ!」  アリウスが最後に右手を上にかざした時、その右手が一瞬輝き、その光が消えたかと思えばそこに風の龍がいた。 「風の龍だ。ってことはあの手の動きは召喚の・・・・・・」 「そう、召喚印だよ。アリウスにしか使えない特殊な力」 「え?アルルやミーティアさんは力の召喚をできないのか?」 「私やお師匠様にはできないよ。っていうよりも、持ってる力自体が意思を持ってる、なんていうのはアリウスだけだよ」 本当に魔導士ってのはなんでもありなんだな。そう思いつつ、再びアリウスの方を見やる。 『どうしたアリウス、急に私を呼んで』 「いっつも急だろ。呼ぶ前に合図することなんてあんまりないじゃないか」 『違いない。呼んだ理由はクリスタルの力のことだろう?』 「ご明察。理解が早くて助かるよ。あれから丸一日経ったけど、クリスタルの力の意識が戻らないんだ」 『つまりは意図的に眠らされている、ということだな。恐らく召喚すれば意識を取り戻すだろう』 「俺もそう思ってさ。お前を呼んだのは万が一ってのと、もう一つ理由があってな」 『任せろ。理由とやらは後で聞かせてもらおう』 「おう、んじゃ・・・・・・呼ぶぜ」 そう言うとアリウスは再び右手で召喚印を描き出した。風の龍のときとは微妙に印の形が違うようだ。 「来い、クリスタルの力よ!」 先ほどと同じように右手が輝き、今度は水色の龍がそこに現れた。 『・・・・・・ん』 「予想通りだ。目が覚めたか?クリスタルの力よ」 『ああああ!!アリウスてめえ、よくもなんの前触れもなしに俺様を眠りにつかせやがったな!?』 クリスタルの力は目覚めるとほぼ同時にアリウスに食って掛かる。 「あれがクリスタルの力の龍か・・・・・・普段からあんな豪快な性格なのか?」 「うん、結構ね。でも今は怒ってるみたい」 「ちょ、ちょっと待て!お前を眠らせたのは俺じゃない、話を聞けぇっ!!」  アリウスがこの時代に来たいきさつを話すとクリスタルの力は納得したのか、その場に落ち着いた。 『なるほどなあ。でもそれって元をたどればお前の自業自得じゃね?』 「ぐっ・・・・・・しょうがないだろ。子供が巻き込まれそうになってて助けられるのに放っておくほうがどうかしてる」 『そのために罰を受けてここへ、か。やっぱりお前底なしのお人よしだなあ』 『それがアリウスのいいところだ。私はそんなアリウスだからこそ好きだがな』 『ま、そりゃ同感だな。こんなだからこそ、って感じか』 「なんだか褒められてるようには感じられないなあ・・・・・・」 『気にすんな。ところで風の。聞く限りじゃ俺の時とアンタとじゃアリウスと戦ったときの状況が違うみたいだが?』 『ああ。私の場合は意識は完全に残っていたが記憶を失っていた。アリウス達に負け、この身が再び取り込まれた時に記憶が全て戻ったのだ』 「たしかに2人とも状況は違うよなあ。んじゃ残りの力も、そのどちらかになっている場合があるのか・・・・・・」 『もう一つ可能性があるぜ。魔力を使い切って消滅、っていう最悪のパターンが。俺様も結構危うかったけどな』 「それだけはごめんだぜ・・・・・・。必ず全部の力を取り戻すんだ」 『そうだな。ところでアリウス、もう1つの理由というのをそろそろ教えてはもらえないか?』 「ああ、そうだったな。いちいち風の力とかクリスタルの力、なんて呼び方はまどろっこしいだろ?  そこで皆の名前を考えたんだ。風の力はウェンディ、クリスタルの力はクリスだ」 『ほう、いい名だ。ありがたく頂戴するとしよう』 『・・・・・・俺様、縮めただけじゃね?別にいいけどさ』 そこから話は雑談に変わり、アリウスたちは楽しそうに会話している。 「もしかして、召喚するところを見られたくなくてアリウスは別行動をとったのか?」 「んー・・・・・・多分集中するためだと思う。アリウスって考えると長くなるときがたまにあるから」 「なるほど、「力」の名前を考えるために、か」 (名前まで真剣に考えてやれるんだ、それだけ「力」を大切に思ってるってことだよな・・・・・・)  このまま様子を見ていようかとも思ったが、ウェンディがふいにこう言い出した。 『ところで、ずっと言おうか迷っていたのだが・・・・・・仲間がお迎えに来てくれているぞ、アリウス』 『もしかしてお前、気づいてなかったのかよ?』 「仲間って・・・・・・どこに?」 ゆっくりとウェンディがこちらを向く。その動きに合わせてアリウスと目が合う。俺達は観念してアリウスの元へと行く。 「・・・・・・もしかして、見てたか?」 「ああ、見てた」 「いつ頃から?」 「うーんと、ほとんど最初からだよ。風の・・・・・・とと、ウェンディを呼ぶところから」 「あらら、全部見られてたわけね・・・・・・」 「水くさいよアリウス。何も秘密にしなくても言ってくれればよかったのに」 「ああ、ごめんなアルル」 『・・・・・・将来尻に敷かれるかもしれんな』 『だな、同い年なのに姉さん女房~!ってか。ククク』 「ウェンディ、クリス!!全くもう・・・・・・」 『冗談だっての。ルークだっけ?もう知ってるとは思うが、アリウスの力の一部でクリスタルの力を司ってる。よろしくな』 「ああ、こちらこそ」 そして俺達は立ち上がり、宿屋へと向かった。 #comment [[46話]]へ戻る [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る
「・・・・・・ーク、ルークってば!」 「ああ、すまない。少し考え事をしてた。なんの話だっけ?」 「アリウスの事。何で1人で別行動を取ったんだろう?」 「うーん、言われてみればなんだかさっきのアリウスは少し怪しかったような気も・・・・・・」 「よし、探してみようよ!」 「え?俺はいいけど・・・・・・アリウスは嫌がるんじゃないのか?」 「大丈夫、私が許可するから♪」 そう言ってアルルは子供のようにはにかむ。こんな簡単に許可を出されたらアリウスの奴もたまったもんじゃないな、と心の中で笑う。 「分かった。どこから探す?」 「それは大丈夫、こっちには秘密兵器があるんだから」 「クゥーン?」  数分後、アリウスはいとも簡単に見つかった。確かにレオンの鼻を使えばすぐに見つかるわな。 アリウスは静かに目を閉じて座り込んでいた。俺とアルルは草むらで隠れてアリウスの様子を伺っている。 「何をしているんだ?アリウスの奴」 「よくわからないけど・・・・・・ひょっとして眠ってるのかな?」 そんなことを話していると、アリウスが目を開け、右手を動かしだした。 「何かを描いてるみたいだな」 「あれは・・・・・・ルーク、見てれば分かるよ」 「・・・・・・来い、風の力よ!」  アリウスが最後に右手を上にかざした時、その右手が一瞬輝き、その光が消えたかと思えばそこに風の龍がいた。 「風の龍だ。ってことはあの手の動きは召喚の・・・・・・」 「そう、召喚印だよ。アリウスにしか使えない特殊な力」 「え?アルルやミーティアさんは力の召喚をできないのか?」 「私やお師匠様にはできないよ。っていうよりも、持ってる力自体が意思を持ってる、なんていうのはアリウスだけだよ」 本当に魔導士ってのはなんでもありなんだな。そう思いつつ、再びアリウスの方を見やる。 『どうしたアリウス、急に私を呼んで』 「いっつも急だろ。呼ぶ前に合図することなんてあんまりないじゃないか」 『違いない。呼んだ理由はクリスタルの力のことだろう?』 「ご明察。理解が早くて助かるよ。あれから丸一日経ったけど、クリスタルの力の意識が戻らないんだ」 『つまりは意図的に眠らされている、ということだな。恐らく召喚すれば意識を取り戻すだろう』 「俺もそう思ってさ。お前を呼んだのは万が一ってのと、もう一つ理由があってな」 『任せろ。理由とやらは後で聞かせてもらおう』 「おう、んじゃ・・・・・・呼ぶぜ」 そう言うとアリウスは再び右手で召喚印を描き出した。風の龍のときとは微妙に印の形が違うようだ。 「来い、クリスタルの力よ!」 先ほどと同じように右手が輝き、今度は水色の龍がそこに現れた。 『・・・・・・ん』 「予想通りだ。目が覚めたか?クリスタルの力よ」 『ああああ!!アリウスてめえ、よくもなんの前触れもなしに俺様を眠りにつかせやがったな!?』 クリスタルの力は目覚めるとほぼ同時にアリウスに食って掛かる。 「あれがクリスタルの力の龍か・・・・・・普段からあんな豪快な性格なのか?」 「うん、結構ね。でも今は怒ってるみたい」 「ちょ、ちょっと待て!お前を眠らせたのは俺じゃない、話を聞けぇっ!!」  アリウスがこの時代に来たいきさつを話すとクリスタルの力は納得したのか、その場に落ち着いた。 『なるほどなあ。でもそれって元をたどればお前の自業自得じゃね?』 「ぐっ・・・・・・しょうがないだろ。子供が巻き込まれそうになってて助けられるのに放っておくほうがどうかしてる」 『そのために罰を受けてここへ、か。やっぱりお前底なしのお人よしだなあ』 『それがアリウスのいいところだ。私はそんなアリウスだからこそ好きだがな』 『ま、そりゃ同感だな。こんなだからこそ、って感じか』 「なんだか褒められてるようには感じられないなあ・・・・・・」 『気にすんな。ところで風の。聞く限りじゃ俺の時とアンタとじゃアリウスと戦ったときの状況が違うみたいだが?』 『ああ。私の場合は意識は完全に残っていたが記憶を失っていた。アリウス達に負け、この身が再び取り込まれた時に記憶が全て戻ったのだ』 「たしかに2人とも状況は違うよなあ。んじゃ残りの力も、そのどちらかになっている場合があるのか・・・・・・」 『もう一つ可能性があるぜ。魔力を使い切って消滅、っていう最悪のパターンが。俺様も結構危うかったけどな』 「それだけはごめんだぜ・・・・・・。必ず全部の力を取り戻すんだ」 『そうだな。ところでアリウス、もう1つの理由というのをそろそろ教えてはもらえないか?』 「ああ、そうだったな。いちいち風の力とかクリスタルの力、なんて呼び方はまどろっこしいだろ?  そこで皆の名前を考えたんだ。風の力はウェンディ、クリスタルの力はクリスだ」 『ほう、いい名だ。ありがたく頂戴するとしよう』 『・・・・・・俺様、縮めただけじゃね?別にいいけどさ』 そこから話は雑談に変わり、アリウスたちは楽しそうに会話している。 「もしかして、召喚するところを見られたくなくてアリウスは別行動をとったのか?」 「んー・・・・・・多分集中するためだと思う。アリウスって考えると長くなるときがたまにあるから」 「なるほど、「力」の名前を考えるために、か」 (名前まで真剣に考えてやれるんだ、それだけ「力」を大切に思ってるってことだよな・・・・・・)  このまま様子を見ていようかとも思ったが、ウェンディがふいにこう言い出した。 『ところで、ずっと言おうか迷っていたのだが・・・・・・仲間がお迎えに来てくれているぞ、アリウス』 『もしかしてお前、気づいてなかったのかよ?』 「仲間って・・・・・・どこに?」 ゆっくりとウェンディがこちらを向く。その動きに合わせてアリウスと目が合う。俺達は観念してアリウスの元へと行く。 「・・・・・・もしかして、見てたか?」 「ああ、見てた」 「いつ頃から?」 「うーんと、ほとんど最初からだよ。風の・・・・・・とと、ウェンディを呼ぶところから」 「あらら、全部見られてたわけね・・・・・・」 「水くさいよアリウス。何も秘密にしなくても言ってくれればよかったのに」 「ああ、ごめんなアルル」 『・・・・・・将来尻に敷かれるかもしれんな』 『だな、同い年なのに姉さん女房~!ってか。ククク』 「ウェンディ、クリス!!全くもう・・・・・・」 『冗談だっての。ルークだっけ?もう知ってるとは思うが、アリウスの力の一部でクリスタルの力を司ってる。よろしくな』 「ああ、こちらこそ」 そして俺達は立ち上がり、宿屋へと向かった。 #comment [[46話]]へ戻る   [[48話]]に進む [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る

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