41話

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 あれから俺はあいつに言われた通りの道をたどり、元いた場所に戻ると勝手に走って行ったレオンを 軽く叱り、改めて次の力の場所へと向かった。 「あーあ、無駄に時間を使っちまったな・・・・・・。時間制限はないけど、この世界でずっとのんびりしてる わけにもいかないんだ。早く全部の力を取り戻して、帰らないとな・・・・・・」                                 ナンノタメニ?モウキミニハササエスラナインダヨ? 「っ!!・・・・・・誰だ!?」 俺は辺りを見回してみたが誰もいない。足元を見てみるとレオンがのんきにあくびをしていた。 (気のせいか・・・・・・。疲れてるのか?) 目を覚ますように頭を振り、ふいに空を見上げる。数えるほどしか雲のない、いい天気だった。 (そういえば2人とも、どうしてるかな・・・・・・。ルークはきっと怒ってるだろうけど、アルルは・・・・・・。 悲しんでくれただろうか?いや、そんなためにあいつらと別れたわけじゃないんだ。やめておこう。) 俺は思考を無理やりに中断した。いかん、このままでは泣きそうだ。考えをそらそう。 「そういえば、あの言葉の意味はどういうことなんだ・・・・・・?」  レイドハイムの言葉だ。 「有と無の関係?有は無から生まれ、そして無に帰す、だろ?」 「そいつは惜しいが違うな。ほんの少しだけ、それでもとても大きな違いがある。アリウス、お前さんはまだそいつに気づいていない」 あいつの正体がわからない以上信用することはできないが、なぜかその言葉は嘘には思えなかった。 「あながち無駄でもなかったかも、な・・・・・・」 俺はレオンを呼び、再び歩き始めた。 そこからクリスタルの力の場所にたどり着くのに、そこまで時間はかからなかった。 「ここか・・・・・・。今までのより大きいな」 洞窟、塔ときて、今回はどうやら神殿のようだ。この形は力の属性によって違う物なのだろうか? 「さて、上手くいくかどうか・・・・・・」 俺には不安があった。風の力ではクリスタルにはほとんど効果がない、ということだ。元の力ならば 風のほうがクリスタルよりも上だったが、力が弱まっている今では相性は最悪。それこそ、レンガの家を 吹き崩そうとする狼のようだ。ただし、勝算が全く無い訳ではない。要するに動けなくしてから短剣で 倒せばいいのだ。つまり風の力で俺自身の速度を上げてかく乱し、クリスタルの力に攻撃をさせ続ければいずれ魔力の供給源のない反動が来て動けなくなるはずだ。 「・・・・・・一度でもまともに喰らえば終わるだろうな・・・・・・」 そう一言つぶやいてから、俺とレオンは神殿の中に入っていった。 「おかしいな・・・・・・これだけ大きな建物なのに・・・・・・」  魔物の気配が全くと言っていいほどないのだ。それどころか空気まで澄んでいるような感覚さえある。 よほど俺を返り討ちにする自信があるのか、ただ単につい最近できたばかりだから魔物が住み着いて いないのか。俺よりも嗅覚という点で優れているレオンさえ何も感じないようだった。 これは正直なところ大助かりだ。初めて1人で「力」と戦うのだから、余計な体力の消費は抑えて おきたかった。俺はほっと息をついた。  しかしこの安心が油断となった。突如床から格子が飛び出したかと思うと、それに気づくのが遅れた レオンがクリスタルの檻に閉じ込められてしまったのだ。 「レオン!!待ってろ、今助ける!!」 俺は短剣で格子を叩く。だが結果は見えていた。たかが短剣で斬れるはずがない。 「だったら・・・・・・!風迅衝!!」 直に打ち込めばかなりの威力になる風迅衝でも、クリスタルの檻には傷ひとつ付かなかった。 「くそ・・・・・・俺じゃ無理なのか・・・・・!!」 だとしたら方法は1つ、クリスタルの力を倒すしかない。 「待ってろよ、レオン・・・・・・すぐ解放してやるからな」 俺は通路の奥に進み、そこにあった大きな扉に手をかけて開いた。 #comment [[40話]]へ戻る [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る
 あれから俺はあいつに言われた通りの道をたどり、元いた場所に戻ると勝手に走って行ったレオンを 軽く叱り、改めて次の力の場所へと向かった。 「あーあ、無駄に時間を使っちまったな・・・・・・。時間制限はないけど、この世界でずっとのんびりしてる わけにもいかないんだ。早く全部の力を取り戻して、帰らないとな・・・・・・」                                 ナンノタメニ?モウキミニハササエスラナインダヨ? 「っ!!・・・・・・誰だ!?」 俺は辺りを見回してみたが誰もいない。足元を見てみるとレオンがのんきにあくびをしていた。 (気のせいか・・・・・・。疲れてるのか?) 目を覚ますように頭を振り、ふいに空を見上げる。数えるほどしか雲のない、いい天気だった。 (そういえば2人とも、どうしてるかな・・・・・・。ルークはきっと怒ってるだろうけど、アルルは・・・・・・。 悲しんでくれただろうか?いや、そんなためにあいつらと別れたわけじゃないんだ。やめておこう。) 俺は思考を無理やりに中断した。いかん、このままでは泣きそうだ。考えをそらそう。 「そういえば、あの言葉の意味はどういうことなんだ・・・・・・?」  レイドハイムの言葉だ。 「有と無の関係?有は無から生まれ、そして無に帰す、だろ?」 「そいつは惜しいが違うな。ほんの少しだけ、それでもとても大きな違いがある。アリウス、お前さんはまだそいつに気づいていない」 あいつの正体がわからない以上信用することはできないが、なぜかその言葉は嘘には思えなかった。 「あながち無駄でもなかったかも、な・・・・・・」 俺はレオンを呼び、再び歩き始めた。 そこからクリスタルの力の場所にたどり着くのに、そこまで時間はかからなかった。 「ここか・・・・・・。今までのより大きいな」 洞窟、塔ときて、今回はどうやら神殿のようだ。この形は力の属性によって違う物なのだろうか? 「さて、上手くいくかどうか・・・・・・」 俺には不安があった。風の力ではクリスタルにはほとんど効果がない、ということだ。元の力ならば 風のほうがクリスタルよりも上だったが、力が弱まっている今では相性は最悪。それこそ、レンガの家を 吹き崩そうとする狼のようだ。ただし、勝算が全く無い訳ではない。要するに動けなくしてから短剣で 倒せばいいのだ。つまり風の力で俺自身の速度を上げてかく乱し、クリスタルの力に攻撃をさせ続ければいずれ魔力の供給源のない反動が来て動けなくなるはずだ。 「・・・・・・一度でもまともに喰らえば終わるだろうな・・・・・・」 そう一言つぶやいてから、俺とレオンは神殿の中に入っていった。 「おかしいな・・・・・・これだけ大きな建物なのに・・・・・・」  魔物の気配が全くと言っていいほどないのだ。それどころか空気まで澄んでいるような感覚さえある。 よほど俺を返り討ちにする自信があるのか、ただ単につい最近できたばかりだから魔物が住み着いて いないのか。俺よりも嗅覚という点で優れているレオンさえ何も感じないようだった。 これは正直なところ大助かりだ。初めて1人で「力」と戦うのだから、余計な体力の消費は抑えて おきたかった。俺はほっと息をついた。  しかしこの安心が油断となった。突如床から格子が飛び出したかと思うと、それに気づくのが遅れた レオンがクリスタルの檻に閉じ込められてしまったのだ。 「レオン!!待ってろ、今助ける!!」 俺は短剣で格子を叩く。だが結果は見えていた。たかが短剣で斬れるはずがない。 「だったら・・・・・・!風迅衝!!」 直に打ち込めばかなりの威力になる風迅衝でも、クリスタルの檻には傷ひとつ付かなかった。 「くそ・・・・・・俺じゃ無理なのか・・・・・!!」 だとしたら方法は1つ、クリスタルの力を倒すしかない。 「待ってろよ、レオン・・・・・・すぐ解放してやるからな」 俺は通路の奥に進み、そこにあった大きな扉に手をかけて開いた。 #comment [[40話]]へ戻る   [[42話]]に進む [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る

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