30話

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「・・・・・・強引だなあ、アリウス。まだ私、心の準備ができてないのに・・・・・・」 俺はアルルの声で我に返り、バッとアルルを抱きしめていた手を外した。 「ご、ごめん!!えっと、その・・・・・・」 「謝らなくていいよ。いきなりだからドキドキしただけ」 「ごめん・・・・・・」 「もう!私・・・・・・嬉しいんだよ?」 「え?何で・・・・・・」 「大好きな人にキスされて嬉しくない人なんて・・・・・・いないでしょ?」 顔を赤らめて、だけど真っ直ぐにこちらを見つめてアルルは言った。 「こっちの世界に来てからは今までずっとしてくれなかったし・・・・・・ね」 「ぶっ!!で、できるわけないだろ!?ルークもずっと一緒にいたのに・・・・・・!!」 「あははっ、冗談冗談。でも、私はアリウスならいつでもキスしてくれてもいいよ?」 「あ、ああ」 「・・・・・・一人で考え込まないで。私やルークも一緒なんだから。仲間でしょ?」 「ああ、そうだな・・・・・・。ありがとな、アルル」 「やっと・・・・・・笑ってくれたね。」 そう言われて俺は初めて今、自分が笑っていることに気づく。俺は急いで目の辺りに溜まった涙を拭き、再びアルルの方を見た。 「俺、間違ってたな・・・・・・確かにルークの言ってたことが正しい。俺は認めたくなかっただけだったんだ。俺、前に進む。そう決めたから」 「うん。私もずっとアリウスと一緒に行くよ。そう決めたから。」 「ありがとう、アルル。まず俺ができることは・・・・・・闇の力をどうするか、だな・・・・・・」 「そうだね。闇の力を使っても力に心を奪われさえしなければ大丈夫だもん」 「いっそ、アルルの光の力で闇の力を浄化してもらうとかは?」 「だめだよ。アリウスも知ってるでしょ、反発する力は互いに拒み暴走を引き起こす。そうなれば、私もアリウスもどうなるか・・・・・・」 「魔導士、か・・・・・・。力の代わりに重い運命までも背負わされたんだな、俺達・・・・・・」 そこまで言って俺は一つの言葉を思い出した。                               ―――アリウスは魔導士なのか・・・・・・!!――― 「そういえば・・・・・・なんでルークは魔導士のことを知ってるんだ・・・・・・?この時代に俺達以外に魔導士はいないはずだ!」 「でも、魔玉っていう物があるんだからそれくらい知ってるんじゃないの?」 「いや、魔玉はあっても魔力を魔玉なしに使うなんてこと、普通は知ってるはずが・・・・・・。とにかく、ルークに話を聞こう!」 そうして俺は急いで甲板から船内への扉を開いた。 「ルーク!!」 「!?ど、どうしたんだ?血相変えて・・・・・・お前さっきまで思い切りヘコんで・・・・・・」 「キスしたら治った!」 「ア、アリウス・・・・・・!」 しまった・・・・・・。アルルが顔を真っ赤に染めている。俺自身も顔が熱くなるのが分かる。 「ほほーう・・・・・・お熱いですなあ」 「と、とにかく!!この世界に、過去についての文献がある島とか施設があるか知らないか?重要なことなんだ!」 「あ、ああ・・・・・・。ウィンドラヴィスに『医療と情報の国』っていうのがあってな。そこの図書館で見たことがあるんだ。それがどうかしたか?」 「そこだ・・・・・・その図書館の中に、俺の闇の力をコントロールできるようになる方法があるかもしれない!」 「なるほど・・・・・・そうかもしれないな。あの図書館はかなり大きい建物だったから、難易度の高い魔学の本もあるかもしれない」 「魔学って・・・・・・魔法学か?」 「ああ、そうだ。小さいころはこれについて教わったりするんだぜ。難易度の高い魔学の本は、かなりの力の持ち主じゃないと閲覧禁止になってるんだ」 「ある程度事が落ち着いたら、その街に行ってみよう。本以外にも情報が得られるかもしれないし」 「ああ、わかった。そのためにはまずゆっくり休まないとな。そろそろ寝ようぜ、2人とも。」 ルークがそう言って、俺達は寝室へと向かった。そして長い夜が終わった後、ゆっくりと日が昇った。 #comment [[29話]]へ戻る   [[31話]]へ進む [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る
「・・・・・・強引だなあ、アリウス。まだ私、心の準備ができてないのに・・・・・・」 俺はアルルの声で我に返り、バッとアルルを抱きしめていた手を外した。 「ご、ごめん!!えっと、その・・・・・・」 「謝らなくていいよ。いきなりだからドキドキしただけ」 「ごめん・・・・・・」 「もう!私・・・・・・嬉しいんだよ?」 「え?何で・・・・・・」 「大好きな人にキスされて嬉しくない人なんて・・・・・・いないでしょ?」 顔を赤らめて、だけど真っ直ぐにこちらを見つめてアルルは言った。 「こっちの世界に来てからは今までずっとしてくれなかったし・・・・・・ね」 「ぶっ!!で、できるわけないだろ!?ルークもずっと一緒にいたのに・・・・・・!!」 「あははっ、冗談冗談。でも、私はアリウスならいつでもキスしてくれてもいいよ?」 「あ、ああ」 「・・・・・・一人で考え込まないで。私やルークも一緒なんだから。仲間でしょ?」 「ああ、そうだな・・・・・・。ありがとな、アルル」 「やっと・・・・・・笑ってくれたね。」 そう言われて俺は初めて今、自分が笑っていることに気づく。俺は急いで目の辺りに溜まった涙を拭き、再びアルルの方を見た。 「俺、間違ってたな・・・・・・確かにルークの言ってたことが正しい。俺は認めたくなかっただけだったんだ。俺、前に進む。そう決めたから」 「うん。私もずっとアリウスと一緒に行くよ。そう決めたから。」 「ありがとう、アルル。まず俺ができることは・・・・・・闇の力をどうするか、だな・・・・・・」 「そうだね。闇の力を使っても力に心を奪われさえしなければ大丈夫だもん」 「いっそ、アルルの光の力で闇の力を浄化してもらうとかは?」 「だめだよ。アリウスも知ってるでしょ、反発する力は互いに拒み暴走を引き起こす。そうなれば、私もアリウスもどうなるか・・・・・・」 「魔導士、か・・・・・・。力の代わりに重い運命までも背負わされたんだな、俺達・・・・・・」 そこまで言って俺は一つの言葉を思い出した。                               ―――アリウスは魔導士なのか・・・・・・!!――― 「そういえば・・・・・・なんでルークは魔導士のことを知ってるんだ・・・・・・?この時代に俺達以外に魔導士はいないはずだ!」 「でも、魔玉っていう物があるんだからそれくらい知ってるんじゃないの?」 「いや、魔玉はあっても魔力を魔玉なしに使うなんてこと、普通は知ってるはずが・・・・・・。とにかく、ルークに話を聞こう!」 そうして俺は急いで甲板から船内への扉を開いた。 「ルーク!!」 「!?ど、どうしたんだ?血相変えて・・・・・・お前さっきまで思い切りヘコんで・・・・・・」 「キスしたら治った!」 「ア、アリウス・・・・・・!」 しまった・・・・・・。アルルが顔を真っ赤に染めている。俺自身も顔が熱くなるのが分かる。 「ほほーう・・・・・・お熱いですなあ」 「と、とにかく!!この世界に、過去についての文献がある島とか施設があるか知らないか?重要なことなんだ!」 「あ、ああ・・・・・・。ウィンドラヴィスに『医療と情報の国』っていうのがあってな。そこの図書館で見たことがあるんだ。それがどうかしたか?」 「そこだ!その図書館の中に、俺の闇の力をコントロールできるようになる方法があるかもしれない!」 「・・・・・・なるほど、そうかもしれないな。あの図書館はかなり大きい建物だったから、難易度の高い魔学の本もあるかもしれない」 「魔学って・・・・・・魔法学か?」 「ああ、そうだ。小さいころはこれについて教わったりするんだぜ。難易度の高い魔学の本は、かなりの力の持ち主じゃないと閲覧禁止になってるんだ」 「ある程度事が落ち着いたら、その街に行ってみよう。本以外にも情報が得られるかもしれないし」 「ああ、わかった。そのためにはまずゆっくり休まないとな。そろそろ寝ようぜ、2人とも。」 ルークがそう言って、俺達は寝室へと向かった。そして長い夜が終わった後、ゆっくりと日が昇った。 #comment [[29話]]へ戻る   [[31話]]へ進む [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る

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