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「29話」(2008/12/20 (土) 19:06:27) の最新版変更点
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「・・・・・・俺は何人やっただろうな・・・・・・。サレッドを襲ってきた盗賊団を幾度となく、ためらいも無しに斬り捨てた」
「!!そんな・・・・・・お前も人を・・・・・・!?」
「ああ・・・・・・。俺も初めて人を殺めてしまった時は、ずっと眠ることができなかった。今のお前みたいに取り乱してな。
だけどなアリウス・・・・・・もうやってしまった以上、前には進めても後ろには戻れないんだよ。それなら、人を殺めてしまった罪の意識を
忘れないで背負って、その上で生きるってのがそういつらへの償いってもんじゃないのか!!」
そう言いながら俺はルークに壁に叩きつけられた。ルークの目は真剣そのものだった。
「・・・・・・・・・!!すまない・・・・・・ありがとう、ルーク・・・・・・」
「いや・・・・・・俺も言い過ぎた。すまないな」
「あれくらい言ってもらわなきゃ、きっと分かっていられなかったさ。ありがとうな、ルーク」
「とりあえず、今日は休んどけ。あの騒動のせいで、今日中にはアクアリアには着けないらしい。お前はつらい思いをしすぎた。
心を落ち着かせるのも兼ねて、ゆっくり休んだほうがいい」
そう言われて窓の外を見ると、外はすっかり夜になってしまっていた。
「ああ・・・・・・少し、甲板に出てくる・・・・・・・・・」
俺はゆっくりと歩き、甲板への扉を開いた。
―数十分後―
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・行ってやれよ。君が隣に居てくれれば、きっとあいつも少しは落ち着けるだろうさ」
座ったままそわそわしていたアルルに、ルークが言った。
「・・・・・・そうだよね。ありがとう、ルーク」
そう言ってアルルも、甲板に出る。
「・・・・・・!アルルか・・・・・・」
「・・・・・・うん。隣、いい?」
「ああ・・・・・・」
アルルは俺の隣へ立つ。
「星・・・・・・見てたの?」
「ああ・・・・・・こうしてると少しは気が紛れるから・・・・・・」
「綺麗だね・・・・・・」
しばらく二人で星を眺めた。俺は沈黙をかき消すかのように話し始めた。
「こうやって・・・・・・両手を目の前にかざしてると、この暗い中じゃ手が血に染まってても
おかしくないような色に見えてくるんだ・・・・・・」
「・・・・・・やっぱり、まだ怖い?」
「・・・・・・当たり前だろ・・・・・・」
再び沈黙が続く。俺は両手を目の前に置いたまま、ずっと前を見ていた。すると突然
ボウッ
という音がしたかと思うと、目の前が明るくなった。
「どう?これなら明るくて血で染まってなんかいないってわかるでしょ?」
横を見ると、アルルが炎の力で俺の腕を照らしてくれていることが分かった。
「きっとさ・・・・・・しょうがなかったんだよ。それに、何もしていない人を殺めたわけじゃない。
これでよかったのかもしれないからさ・・・・・・。アリウスは悪くないよ、闇の力のせい。
絶対にアリウスは悪くないんだか・・・・・・!」
アルルがその言葉を言い終わる前に、俺はアルルを抱きしめていた。
「・・・・・・いきなりすぎるよ、アリウス~」
俺は何も答えなかった。答えることができなかった。俺の目は涙でふさがれ、口も動かなかったからだ。
「ごめん・・・・・・アルル・・・・・・。俺・・・・・・俺・・・・・・・・・!!!」
必死に口を動かして言えたのは、この言葉だけだった。
「大丈夫だよ・・・・・・アリウス。私はここに、ずっとあなたのそばに居るから。ず~っと一緒に居るから」
アルルは優しく背中を撫でてくれる。寂しさから逃れるためか、恐怖を打ち破りたかったのか。
俺はアルルの肩から頭をどけて、アルルの正面に顔を向けた。そして俺達はゆっくりと、唇を重ねた・・・・・・。
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「俺は何人やっただろうな・・・・・・。サレッドを襲ってきた盗賊団を幾度となく、ためらいも無しに斬り捨てた」
「!!そんな、お前も人を・・・・・・!?」
「ああ・・・・・・。俺も初めて人を殺めてしまった時は、ずっと眠ることができなかった。今のお前みたいに取り乱してな。
だけどなアリウス・・・・・・もうやってしまった以上、前には進めても後ろには戻れないんだよ。それなら、人を殺めてしまった罪の意識を
忘れないで背負って、その上で生きるってのがそういつらへの償いってもんじゃないのか!!」
そう言いながら俺はルークに壁に叩きつけられた。ルークの目は真剣そのものだった。
「・・・・・・!!すまない・・・・・・ありがとう、ルーク」
「いや・・・・・・俺も言い過ぎた。すまないな」
「あれくらい言ってもらわなきゃ、きっと分かっていられなかったさ。ありがとうな、ルーク」
「とりあえず、今日は休んどけ。あの騒動のせいで、今日中にはアクアリアには着けないらしい。お前はつらい思いをしすぎた。
心を落ち着かせるのも兼ねて、ゆっくり休んだほうがいい」
そう言われて窓の外を見ると、外はすっかり夜になってしまっていた。
「ああ・・・・・・少し、甲板に出てくる・・・・・・」
俺はゆっくりと歩き、甲板への扉を開いた。
―数十分後―
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・行ってやれよ。君が隣に居てくれれば、きっとあいつも少しは落ち着けるだろうさ」
座ったままそわそわしていたアルルに、ルークが言った。
「・・・・・・そうだよね。ありがとう、ルーク」
そう言ってアルルも、甲板に出る。
「・・・・・・!アルルか・・・・・・」
「うん。隣、いい?」
「ああ・・・・・・」
アルルは俺の隣へ立つ。
「星・・・・・・見てたの?」
「ああ・・・・・・こうしてると少しは気が紛れるから」
「綺麗だね・・・・・・」
しばらく二人で星を眺めた。俺は沈黙をかき消すかのように話し始めた。
「こうやって・・・・・・両手を目の前にかざしてると、この暗い中じゃ手が血に染まっててもおかしくないような色に見えてくるんだ・・・・・・」
「やっぱり、まだ怖い?」
「当たり前だろ・・・・・・」
再び沈黙が続く。俺は両手を目の前に置いたまま、ずっと前を見ていた。すると突然
ボウッ
という音がしたかと思うと、目の前が明るくなった。
「どう?これなら明るくて血で染まってなんかいないってわかるでしょ?」
横を見ると、アルルが炎の力で俺の腕を照らしてくれていることが分かった。
「きっとさ・・・・・・しょうがなかったんだよ。それに、何もしていない人を殺めたわけじゃない。
これでよかったのかもしれないからさ・・・・・・。アリウスは悪くないよ、闇の力のせい。
絶対にアリウスは悪くないんだか・・・・・・!」
アルルがその言葉を言い終わる前に、俺はアルルを抱きしめていた。
「・・・・・・いきなりすぎるよ、アリウス」
俺は何も答えなかった。答えることができなかった。俺の目は涙でふさがれ、口も動かなかったからだ。
「ごめん・・・・・・アルル・・・・・・俺、俺・・・・・・!!」
必死に口を動かして言えたのは、この言葉だけだった。
「大丈夫だよ・・・・・・アリウス。私はここに、ずっとあなたのそばに居るから。ず~っと一緒に居るから」
アルルは優しく背中を撫でてくれる。寂しさから逃れるためか、恐怖を打ち破りたかったのか。
俺はアルルの肩から頭をどけて、アルルの正面に顔を向けた。そして俺達はゆっくりと、唇を重ねた・・・・・・。
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