78話

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「アルル、大丈夫!?」 「っ!?」 「あらあら」 僕とアルルは互いの姿を見てすぐに硬直する。それはそうだ。アルルは近くに座っていた女の人に背を向けていたんだから・・・・・・服を脱いで。 「キャーッ!?何でナンデなんで~~~!?」 「うわぁぁぁっ!!ご、ごめん!!」 僕はすぐに部屋の外に出てドアを閉める。み、見ちゃった・・・・・・アルルの裸(とは言っても背中だけだけど)。 『ノックぐらいしてから入るのが礼儀という物だろうに。慌てすぎだ、アリウス』 「しょ、しょうがないじゃん!ずっと1人でノックなんてする機会なかったんだからさ!!」 風の力と言い争いをしていると、扉の向こうから声が聞こえてきた。僕は改めて扉をノックしてから開く。 「いらっしゃい」 優しい笑顔で迎え入れてくれた女の人は僕を手招きし、ベッドの近くへと呼んだ。アルルは顔を赤くしてそっぽを向いている。まあ当然だろう。 「すみません、アルルさんの容体は?」 「右足を強く捻ったみたい。全治1カ月ですって」 「っ!すみませんでしたっ!!アルルも・・・・・・ごめんね」 「あらあら。何故君が謝ってくれるの?」 僕は2人に事情を説明し、再び頭を下げる。 「私はアリウスだけが悪いとは思わないよ。きっと色々な偶然が重なっただけだと思うな」 「でも・・・・・・」 「アルルの言う通りですよ。そこまで深く気に病まないで下さい」 女の人はそう言いながら僕の頭を優しく撫でてくれる。なんだろう、懐かしいようなこの感覚。 ―――ごめんなさい、お母さんが大切にしてた花瓶、壊しちゃった・・・・・・    いいのよ。それより怪我はない?こんな物よりあなたの方が大切だから――― そうだ、母さんだ。僕が悪いことをしても、いつも優しく笑って許してくれたあの時と同じ感じ。 「ありがとう、アルルの・・・・・・いえ、皆のお母さん」 「あらあら、名乗ってはいないはずだけれど。分かってしまいます?」 「ええ。なんとなく、ですけど」 「お母さんは優しいから。雰囲気できっと分かるんだよ」 そう言ってアルルと女の人は笑いあう。お世辞でもなんでもなく、本当の親子みたいに見えた。 「お、揃ってるな」 入口から声が聞こえ、振り返るとレイリーとアイリィがそこにいた。 「遅かったね2人とも。どうしたの?」 「あんたはアルルのところにまっすぐ向かったけど、あたしたちは一度団長と打ち合わせしてたのよ。綱渡りの柱も直さなきゃならないし」 「アイリィ、今はそのことは!」 「大丈夫だよ。あんなことでトラウマになるほどアルルは弱いやつじゃねえって。な?アルル」 「うん、平気だよ。ありがとねアリウス、心配してくれて」 アルルはくすぐったいような表情で笑う。その様子に胸が高鳴る。 「おーおー。微笑ましいねえ」 「・・・・・・それで、アルルの容体は?」 アルルの母親から2人に説明がされる。 「となると、その1カ月間で柱を直さなきゃならねえって訳か」 「それまではこの町に滞在することになるわけね」 「そっか、皆まだしばらくはこの町にいるんだね」 まだ皆と一緒にいられると思うと自然に頬が緩んでくる。いけないいけない、元は僕が起こした事故のせいなのに。 「じゃあ、皆の泊まるところを確保しなければいけませんね。アルルもここにずっといるわけにもいきませんし」 「あ・・・・・・僕の家、よかったら使ってくれませんか?」 僕の家は結構広い。4~5人までなら大丈夫なはずだ。 「あらあら、ご両親にご迷惑をおかけするわけにはいきませんよ」 「あ、母さん。その辺は後であたしが説明するわ。アリウス、いいの?」 「うん、何人かは大丈夫だよ。それに、誰かいてくれるほうが僕も嬉しいし」 「なら俺はアリウスの家にやっかいになるぜ。お前らはどうする?」 「あたしとアルルもそうするわ。さみしがり屋のアリウスのためにね」 アイリィはニヤリと笑いながらこちらを見る。まあ、否定はしないけどさ・・・・・・。 「うん、私もいいよ。というか、お姉ちゃんが決めちゃったしね」 「アルル一人だと危ないでしょうからね。野獣が2匹なんて何があるか分からないわ」 「だれが妹に手を出すかってんだ!!」 「ぼ、僕そんなことしないよ!!」 「・・・・・・。わかりました、では3人をよろしくお願いしますね」 『お母さん』はそう言って席を立ち、部屋を出て行った。 #comment [[77話]]へ戻る [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る
「アルル、大丈夫!?」 「っ!?」 「あらあら」 僕とアルルは互いの姿を見てすぐに硬直する。それはそうだ。アルルは近くに座っていた女の人に背を向けていたんだから・・・・・・服を脱いで。 「キャーッ!?何でナンデなんで~~~!?」 「うわぁぁぁっ!!ご、ごめん!!」 僕はすぐに部屋の外に出てドアを閉める。み、見ちゃった・・・・・・アルルの裸(とは言っても背中だけだけど)。 『ノックぐらいしてから入るのが礼儀という物だろうに。慌てすぎだ、アリウス』 「しょ、しょうがないじゃん!ずっと1人でノックなんてする機会なかったんだからさ!!」 風の力と言い争いをしていると、扉の向こうから声が聞こえてきた。僕は改めて扉をノックしてから開く。 「いらっしゃい」 優しい笑顔で迎え入れてくれた女の人は僕を手招きし、ベッドの近くへと呼んだ。アルルは顔を赤くしてそっぽを向いている。まあ当然だろう。 「すみません、アルルさんの容体は?」 「右足を強く捻ったみたい。全治1カ月ですって」 「っ!すみませんでしたっ!!アルルも・・・・・・ごめんね」 「あらあら。何故君が謝ってくれるの?」 僕は2人に事情を説明し、再び頭を下げる。 「私はアリウスだけが悪いとは思わないよ。きっと色々な偶然が重なっただけだと思うな」 「でも・・・・・・」 「アルルの言う通りですよ。そこまで深く気に病まないで下さい」 女の人はそう言いながら僕の頭を優しく撫でてくれる。なんだろう、懐かしいようなこの感覚。 ―――ごめんなさい、お母さんが大切にしてた花瓶、壊しちゃった・・・・・・    いいのよ。それより怪我はない?こんな物よりあなたの方が大切だから――― そうだ、母さんだ。僕が悪いことをしても、いつも優しく笑って許してくれたあの時と同じ感じ。 「ありがとう、アルルの・・・・・・いえ、皆のお母さん」 「あらあら、名乗ってはいないはずだけれど。分かってしまいます?」 「ええ。なんとなく、ですけど」 「お母さんは優しいから。雰囲気できっと分かるんだよ」 そう言ってアルルと女の人は笑いあう。お世辞でもなんでもなく、本当の親子みたいに見えた。 「お、揃ってるな」 入口から声が聞こえ、振り返るとレイリーとアイリィがそこにいた。 「遅かったね2人とも。どうしたの?」 「あんたはアルルのところにまっすぐ向かったけど、あたしたちは一度団長と打ち合わせしてたのよ。綱渡りの柱も直さなきゃならないし」 「アイリィ、今はそのことは!」 「大丈夫だよ。あんなことでトラウマになるほどアルルは弱いやつじゃねえって。な?アルル」 「うん、平気だよ。ありがとねアリウス、心配してくれて」 アルルはくすぐったいような表情で笑う。その様子に胸が高鳴る。 「おーおー。微笑ましいねえ」 「・・・・・・それで、アルルの容体は?」 アルルの母親から2人に説明がされる。 「となると、その1カ月間で柱を直さなきゃならねえって訳か」 「それまではこの町に滞在することになるわけね」 「そっか、皆まだしばらくはこの町にいるんだね」 まだ皆と一緒にいられると思うと自然に頬が緩んでくる。いけないいけない、元は僕が起こした事故のせいなのに。 「じゃあ、皆の泊まるところを確保しなければいけませんね。アルルもここにずっといるわけにもいきませんし」 「あ・・・・・・僕の家、よかったら使ってくれませんか?」 僕の家は結構広い。4~5人までなら大丈夫なはずだ。 「あらあら、ご両親にご迷惑をおかけするわけにはいきませんよ」 「あ、母さん。その辺は後であたしが説明するわ。アリウス、いいの?」 「うん、何人かは大丈夫だよ。それに、誰かいてくれるほうが僕も嬉しいし」 「なら俺はアリウスの家にやっかいになるぜ。お前らはどうする?」 「あたしとアルルもそうするわ。さみしがり屋のアリウスのためにね」 アイリィはニヤリと笑いながらこちらを見る。まあ、否定はしないけどさ・・・・・・。 「うん、私もいいよ。というか、お姉ちゃんが決めちゃったしね」 「アルル一人だと危ないでしょうからね。野獣が2匹なんて何があるか分からないわ」 「だれが妹に手を出すかってんだ!!」 「ぼ、僕そんなことしないよ!!」 「ふふ・・・・・・。わかりました、では3人をよろしくお願いしますね」 『お母さん』はそう言って席を立って会釈をし、部屋を出て行った。 #comment [[77話]]へ戻る [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る

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