62話

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「アリウスが寝てる間に私達だけで話したの。お師匠様、アリウスの寝顔見て笑ってたみたい」 「げっ・・・・・・俺も起こしてくれればよかったのに」 「あたし達も起こそうかとも思ったんだけどね、あんなに幸せそうな寝顔されちゃ起こすに起こせないよ」 「ご主人様、とっても気持ちよさそうに寝てたからこのまま寝かせてあげようって皆が言ったのです!」 「そっか・・・・・・ありがとな、皆。で、ミーティアさんは何て?」 「それがね、まだ次の力の場所は分からないらしいの」 「またかよ!?原因は?」 「それがどうやら、2人の『力』が固定の場所に安定して留まっていないらしい。安定した後にいつもの洞窟やら神殿やらが 出現するらしいんだ」 「で、それが分かるまではあたしたちもすることがないってことさ」 「要するに、ヒマになったってことか。まだ日も高いし、どうする?」 「そうだな・・・・・・アリウス、よかったら俺と剣舞に付き合ってくれないか?」 「剣舞?」 俺達は全員で人気の少ない場所に出る。 「剣舞って言うのは簡単に言えば模擬戦闘みたいなものなんだが、普通の模擬戦闘とは少し違うんだ」 「へえ。その違うって言うのは?」 「本来は自由に剣を振るのが当然だが、今回はわざと太刀筋を相手と合わせるんだ。最初はアリウスに悪いけどそっちも順手でな」 「わざと?ってことは剣をぶつけ合うのか?」 「そういうこと、早速やってみるか。俺が方向を言うからその方向に向かって剣を振ってくれ!まずは右上」 「こうか?」                                         キィン!! 小気味いい金属音が鳴り、俺とルークの剣がぶつかり合った。 「っと!なるほど、タイミングや力加減も相手とピッタリ合わせなきゃブレが出るのか・・・・・・」 「そういう事だ。次は連続で行くぞ」 「あ、ちょいタンマ。このままじゃ危ないだろ?」 俺は印を描き、クリスを呼び出した。 『あいよ。どーした、アリウス?』 「俺とルークの剣を切れないようにお前の力で覆ってくれ。鞘とかじゃなくて刃の部分だけ覆ってくれればいい」 『了解』 クリスが目を閉じて集中するとクリスの体がうっすらと輝き、剣の刃先にクリスタルのカバーがかけられた。 「サンキュ、クリス。これでもしものことがあっても安全だろ?」 「だな。それじゃあ行くぞ、まずは左上!」                                         キィン!! 「右上、左下!」 言われた通りに両手の剣を振る。しかし、体制を誤ってしまったため、反応が少し遅くなる。 「今のが魔物だったら喰らっていたかもしれないぞ。常に元の構えを意識しておくんだ。あと、利き腕じゃない左手の剣の動きが少しだけ遅いみたいだな。  まあ、普段はアリウスは剣を逆手持ちにしてるから無理ないのかもしれないけど。次からは左手を意識して動かしてみてくれ」                                   ~視点変更――アルル視点――~ 「・・・・・・よし、大分慣れてきたな。次からは指示なしで合わせて行こう!」 「うげっ!?そりゃまたレベルの高い事を・・・・・・」 「相手の動きを読んで行動できるようになればかなり有利に戦闘を進められるからな。初めはゆっくりやろう」 アリウスはぎこちない動きでルークと剣を合わせて行く。私はその様子を見て自然と笑みがこぼれてしまう。 「なんだか、ルークってアリウスのお兄ちゃんみたいだね」 「あ、アルルもそう思ったかい?ルークの雰囲気が大人びてるから余計にそう見えるのかもね」 「僕は仲のいい親子に見えたです!」 「お父さん、か。そういえばアリウスは一番早くお父さんを亡くしてるんだよね。生きてたら・・・・・・あんな風に稽古してもらってたのかな」 「そうだね。あたしも父さんから色々教わったもんだよ。トリックトラップの扱いや狩りの仕方とかをね」 「そういえば、僕のお父さんはどこにいるですか?顔もあんまり覚えてないのです」 (・・・・・・!!そっか、レオンは知らないんだね。レオンの両親は・・・・・・アリウスが、やむをえず殺してしまったこと) 「・・・・・・きっと元気に生きてるよ。こうやって旅をしてればいずれ会えるでしょ?」 「リーム・・・・・・」 「そうです!元気でさえいてくれれば僕は安心なのです!!」 「うん、そうだね。リーム、ありがと」 「ん。そういう事でいいんだね?アルル」 私はリームの方を向いてコクリと頷く。察してくれたんだろう。 「あーあ、なんかしんみりしちゃったね。話を変えようか。アルルがアリウスと付き合うようになったのはいつなんだい?」 「えっと・・・・・・あたし達の時代から言うと2年前からかな」 「へえ、思ってたより案外短いんだね。馴れ初め話も聞かせてよ」 「うーんと、話すと長くなるからなあ・・・・・・。また時間があるときでいいかな?」 「分かった。でも近いうちにまた聞かせてよ?あたしだって女なんだから興味あるよ」 「うん、約束。そ・う・い・え・ば~・・・・・・リームこそどうなの?」 「あ、あたし!?あたしは別にそんなこと考えたことなかったからな~」 「ルークなんかいいんじゃない?性格はあの通りいい人だし、結構かっこいいと思うけど」 「そ、そりゃ結構イイ線いってるとは思うけどさ・・・・・・」 「キューン・・・・・・僕にはアルルさんたちが話してる事が分からないのです」 「あはは、まだレオンには早かったかもね」 「ふう・・・・・・アリウス、この辺で今日は終わろう!」 汗をかいた2人が息をつきながら戻ってくる。 「はぁ、はぁ・・・・・・結構合わせにくいもんだな」 『なんでぇ、だらしねえなアリウス!』 「しょ、しょうがねえだろ!まだ全部の力を取り戻してねえんだし・・・・・・ん?リーム、顔が赤いぞ?どした?」 「別になんでもないよ!」 「え!?なんで俺、怒られなきゃなんねーんだ・・・・・・?」 「よしよし、とりあえず宿屋に行こうよアリウス」 落ち込むアリウスをなだめながら、私達は宿屋へと向かった。 #comment [[61話]]へ戻る [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る
「アリウスが寝てる間に私達だけで話したの。お師匠様、アリウスの寝顔見て笑ってたみたい」 「げっ・・・・・・俺も起こしてくれればよかったのに」 「あたし達も起こそうかとも思ったんだけどね、あんなに幸せそうな寝顔されちゃ起こすに起こせないよ」 「ご主人様、とっても気持ちよさそうに寝てたからこのまま寝かせてあげようって皆が言ったのです!」 「そっか・・・・・・ありがとな、皆。で、ミーティアさんは何て?」 「それがね、まだ次の力の場所は分からないらしいの」 「またかよ!?原因は?」 「それがどうやら、2人の『力』が固定の場所に安定して留まっていないらしい。安定した後にいつもの洞窟やら神殿やらが 出現するらしいんだ」 「で、それが分かるまではあたしたちもすることがないってことさ」 「要するに、ヒマになったってことか。まだ日も高いし、どうする?」 「そうだな・・・・・・アリウス、よかったら俺と剣舞に付き合ってくれないか?」 「剣舞?」 俺達は全員で人気の少ない場所に出る。 「剣舞って言うのは簡単に言えば模擬戦闘みたいなものなんだが、普通の模擬戦闘とは少し違うんだ」 「へえ。その違うって言うのは?」 「本来は自由に剣を振るのが当然だが、今回はわざと太刀筋を相手と合わせるんだ。最初はアリウスに悪いけどそっちも順手でな」 「わざと?ってことは剣をぶつけ合うのか?」 「そういうこと、早速やってみるか。俺が方向を言うからその方向に向かって剣を振ってくれ!まずは右上」 「こうか?」                                         キィン!! 小気味いい金属音が鳴り、俺とルークの剣がぶつかり合った。 「っと!なるほど、タイミングや力加減も相手とピッタリ合わせなきゃブレが出るのか・・・・・・」 「そういう事だ。次は連続で行くぞ」 「あ、ちょいタンマ。このままじゃ危ないだろ?」 俺は印を描き、クリスを呼び出した。 『あいよ。どーした、アリウス?』 「俺とルークの剣を切れないようにお前の力で覆ってくれ。鞘とかじゃなくて刃の部分だけ覆ってくれればいい」 『了解』 クリスが目を閉じて集中するとクリスの体がうっすらと輝き、剣の刃先にクリスタルのカバーがかけられた。 「サンキュ、クリス。これでもしものことがあっても安全だろ?」 「だな。それじゃあ行くぞ、まずは左上!」                                         キィン!! 「右上、左下!」 言われた通りに両手の剣を振る。しかし、体制を誤ってしまったため、反応が少し遅くなる。 「今のが魔物だったら喰らっていたかもしれないぞ。常に元の構えを意識しておくんだ。あと、利き腕じゃない左手の剣の動きが少しだけ遅いみたいだな。  まあ、普段はアリウスは剣を逆手持ちにしてるから無理ないのかもしれないけど。次からは左手を意識して動かしてみてくれ」                                   ~視点変更――アルル視点――~ 「・・・・・・よし、大分慣れてきたな。次からは指示なしで合わせて行こう!」 「うげっ!?そりゃまたレベルの高い事を・・・・・・」 「相手の動きを読んで行動できるようになればかなり有利に戦闘を進められるからな。初めはゆっくりやろう」 アリウスはぎこちない動きでルークと剣を合わせて行く。私はその様子を見て自然と笑みがこぼれてしまう。 「なんだか、ルークってアリウスのお兄ちゃんみたいだね」 「あ、アルルもそう思ったかい?ルークの雰囲気が大人びてるから余計にそう見えるのかもね」 「僕は仲のいい親子に見えたです!」 「お父さん、か。そういえばアリウスは一番早くお父さんを亡くしてるんだよね。生きてたら・・・・・・あんな風に稽古してもらってたのかな」 「そうだね。あたしも父さんから色々教わったもんだよ。トリックトラップの扱いや狩りの仕方とかをね」 「そういえば、僕のお父さんはどこにいるですか?顔もあんまり覚えてないのです」 (・・・・・・!!そっか、レオンは知らないんだね。レオンの両親は・・・・・・アリウスが、やむをえず殺してしまったこと) 「・・・・・・きっと元気に生きてるよ。こうやって旅をしてればいずれ会えるでしょ?」 「リーム・・・・・・」 「そうです!元気でさえいてくれれば僕は安心なのです!!」 「うん、そうだね。リーム、ありがと」 「ん。そういう事でいいんだね?アルル」 私はリームの方を向いてコクリと頷く。察してくれたんだろう。 「あーあ、なんかしんみりしちゃったね。話を変えようか。アルルがアリウスと付き合うようになったのはいつなんだい?」 「えっと・・・・・・あたし達の時代から言うと2年前からかな」 「へえ、思ってたより案外短いんだね。馴れ初め話も聞かせてよ」 「うーんと、話すと長くなるからなあ・・・・・・。また時間があるときでいいかな?」 「分かった。でも近いうちにまた聞かせてよ?あたしだって女なんだから興味あるよ」 「うん、約束。そ・う・い・え・ば~・・・・・・リームこそどうなの?」 「あ、あたし!?あたしは別にそんなこと考えたことなかったからな~」 「ルークなんかいいんじゃない?性格はあの通りいい人だし、結構かっこいいと思うけど」 「そ、そりゃ結構イイ線いってるとは思うけどさ・・・・・・」 「キューン・・・・・・僕にはアルルさんたちが話してる事が分からないのです」 「あはは、まだレオンには早かったかもね」 「ふう・・・・・・アリウス、この辺で今日は終わろう!」 汗をかいた2人が息をつきながら戻ってくる。 「はぁ、はぁ・・・・・・結構合わせにくいもんだな」 『なんでぇ、だらしねえなアリウス!』 「しょ、しょうがねえだろ!まだ全部の力を取り戻してねえんだし・・・・・・ん?リーム、顔が赤いぞ?どした?」 「別になんでもないよ!」 「え!?なんで俺、怒られなきゃなんねーんだ・・・・・・?」 「よしよし、とりあえず宿屋に行こうよアリウス」 落ち込むアリウスをなだめながら、私達は宿屋へと向かった。 #comment [[61話]]へ戻る   [[63話]]に進む [[小説]]ページへ戻る [[トップページ]]へ戻る

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