「年末崩壊」

最初にゲームが遊べるようになったのは、11月末日。プロデューサーや部長など、いろいろな人にお披露目したのですが、その結果は・・。

完全敗訴。
“ふんだりけったり”とはまさに、この日の我々を形容するために生まれたコトバでした。
だれ1人、ムジュンの指摘はおろか、ツッコミさえ入れることなく即刻ゲームオーバー。呆然指数100%。大不評、大酷評の大嵐。

ちなみに、このときのゲームシステムは、現在とはずいぶん違っていました。
“一瞬のスキも許されない緊張感を!”というコンセプトのもとに、

●完全リアルタイム制。開廷から閉廷まで一気に流れる。ツッコミどころに気づかなかったら、それはもう有罪。
●証人の発言が、すべて法廷記録にファイルされる。ムジュンをつきつける際は、過去の全証言の中から探す。

“一瞬のスキも許されない緊張感”どころか、“どこで緊張すればいいのかわからない”というありさまでした。

ダメだ。やっぱり、裁判はムリだったのか・・!チームのみんなの顔も、曇るばかり。この日のために、いろいろ素材を作って準備してきたのに。
「おもしろくない」
・・想像以上のダメージで、頭がくらくらします。“1から考え直そう”ということになりましたが、“でも、そもそも1ってナニ?”という状態。もう、どうしていいかわかりません。
そしてさらに、頭の痛い問題がもう1つ、目前に迫っていました。

それは、第四開発部の忘年会。
100人規模の酔漢たちを前に、なぜかぼくは、手品ショーをやる約束をしていたのです。なんでそんな事態になったのかは省略しますが、やる以上は、せめて“へえ”と言わせなければイカンというプライドがあります。
“こんなときに、ナニやってんだオレ”と悲しく思いながら、銀の球をふわふわ浮かせたり、美女を切断したり、カプコンのビルを消したり(一部誇張アリ)。
・・こうして、20世紀はまさに、終わろうとしていました。

しかし。仕事納めを目前に、さらに事件が勃発。この大混乱に最後の追い討ちをかけてきました。
7人しかいないチームのメンバーが1人、“一身上のツゴウ”で会社をやめてしまったのです。
・・ここに、逆転裁判チーム最大の危機が訪れました。