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endingだけ書き終わっている罠w

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  • 12年後-

三木はメッセージを受信した。
「懐かしいな」
メッセージは彼の恩師、有馬からのものだった。

[ 三木君へ
 このたびは受賞おめでとう。君の技術がやっと世界にも評価されたね。
 この技術は人類を、その夢である「知の創生」に大きく近づけるだろう。
 思えばもう12年も前だ。君と黒羽君と、楽しい時間を過ごせた。
 黒羽君に不幸があったあと、君は生まれ変わったように勉学に打ち込み始めた。
 陳腐な表現だけど、まるで、彼女の魂が乗り移ったかのように。
 君は、彼女の分まで自分が生きよう、学び学び学んで彼女がするはずだった、
 できるはずだった研究を自分がしようと思ったんだろう?
 それが彼女への餞だと思ったのかな。
 そしてそれは報われた。
 きっと彼女も天国で喜び、感謝しているよ。
 いつも共同著作者に、「黒羽 蛍」と記しているね。
 僕は光栄だ。世界を代表する、最先端の人工知能(古風な言い方でごめん)の
 技術者の教育に、二人分も携わることができたのだから。
 これからの君の道にも栄光あれ。
   ちっぽけな数学教師 有馬 光充 ]

僕は小さく微笑んだ。
しかし、
先生は何も分かっていない。

僕は彼女の分まで生きようとした。
彼女のするはずだった研究をし、彼女が生きるはずだった人生を生きようと思った。
違う。

僕は気づいた。
何故彼女は自ら命を絶ったのか?
簡単だ。
能力が足りなかった。
それを知っていた。
そして僕の能力に気づいた。
自分の無能さに絶望し僕に全てを任せた。
もともと執着も無かったし、自分の復活も分かっていた。
自分は再び生きられると。

僕の自惚れか?
違う。
彼女に聞けば分かる。

僕が彼女を殺した。
そして復活させた。

僕も執着は無かった。
しかし黒羽に、彼女に執着してしまった。
だから彼女が死んだとき、僕は初めて生きる動機を得た。
「勉学に打ち込み始めた」。
簡単なことだ。
普段から全力疾走する人間はいないが、猛獣に追われた時、死にたくない人間は限界の速度で走る。
そして僕が光より速いことを、彼女は知ってきた。

「この技術は人類を、その夢である「知の創生」に大きく近づけるだろう。」
違う。
すでに全て完成している。
でもそれを知っているのは僕と黒羽だけだ。

僕達は唯一の、永遠に生きる二人となる。

「あなたなんかと永遠に生きたくないわ」
「微分し続ければ終末は来ない」
「答えになってないわね」

左手の薬指に指輪を。