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11 名前: ◆IE6Fz3VBJU 投稿日:2007/12/27(木) 23:58:05 ???


教会。緊張した面持ちのシンジの傍らには、美しい新婦・アスカがいる。
参列者はミサト、加持、リツコ、レイ、トウジ、ケンスケetcといったお馴染みの面々。
シンジはちらりと父のほうを盗み見た。心なしか頬が緩んでいるように見えるのは気のせいだろうか。

誓約、指輪の交換と、儀式は滞りなく進み、いよいよ最大の山場にさしかかった。
「では――」神父は静かに微笑を浮かべて、厳かに告げた。「新郎は新婦の首を絞めなさい」
「……は?」シンジは神父の顔を見た。今、首を絞めろとか言わなかっただろうか? 
いや、聞き間違いだろう。そんなことを言うはずがない。
「シンジ、早くしなさいよ」アスカが、全くあんたはこんなときまでグズね、と言いたそうな顔で促した。
「ご、ごめん」と呟いて、シンジはアスカの肩に手をかけてキスをしようとした。アスカが驚いたように身を引いた。
「何やってんのよ」
「え? 何って……」
「首を絞めるんでしょ? 神父さんの言うこと聞いてなかったの?」
「何言ってるの? アスカ……」シンジは呆然とした。今度は聞き間違いなんかではない。
すると、「首を絞めるんだよ、碇」「早くせんかい碇、ホンマとろいやっちゃなぁ」「シンジ君、これは大事なことなのよ」
「シンちゃん? 男でしょ? ばしっとやるのよ」と、みなが口々にせかしはじめた。
「な、何言ってるんだよみんな! どうかしてるよ!」
シンジはそう叫んだが、いつの間にか手がアスカの首に掛かっていた。慌てて離そうとしたが、磁石のように首にくっついて離れない。
シンジは悲鳴を上げた。手が勝手に首を絞めているのだった。奇妙なことに離そうとすればするほどかえって力が入った。
手がアスカの首にぐいぐいめりこんで、アスカの身体に吸収されていく。
「わあっ」シンジはもう一度悲鳴を上げると、参列者の方を見た。
建物と人がどろどろと溶けて崩れていくところだった。シンジは絶叫した。

暗転。

シンジはゆっくりと身を起こすとあたりを見回した。白い砂浜、血のような色の海、横には包帯姿のアスカ。
「夢か……」
ぽつりと呟くと、シンジはアスカに馬乗りになって、泣きながらアスカの細い首を絞めはじめた。



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最終更新:2008年01月17日 22:24