第四章「リアルとバーチャル」


リアルとバーチャルの特質

  • リアルとバーチャルの同義性
real=「本当の現実の
virtual=「事実上の実際上の
virtualとrealは同じような意味だと考えたほうが、英文を理解するうえでは望ましい。
「virtual」とは、事実上は、現実と同じ効果があるということ。
また、物理的な実体を持たなくても、人間にとってなんらかの実質的ないし社会的機能を果たすものである。

  • リアルとバーチャルの相違性
real=「質量あり実在する
virtual=「質量なし実在しないが、実在するものと同じ機能を持つ」

  • リアルとバーチャルの相互接近による相対性
現実と非現実の区別がつかない事態が発生する可能性あり。
バーチャルによる経験は、時間費用スペースの問題を解決してくれる。

「仮想世界の現実性」と「現実世界の仮想性」

  • 仮想世界の現実性
・バーチャルリアリティの2つの技術的可能性
①仮想環境が現実の作業にリンク
実際には存在する環境で、その環境にアクセス不可能または困難である場合、VR技術を利用した遠隔操作を行う。
②仮想環境が現実の機能にリンク
実際には存在しない環境であるが、その機能十分現実性をもっている場合。

・ネットワークVR
ユーザが、仮想空間インタラクティブに共有。
ユーザが、仮想世界に自分の分身(アバター)を保有する。
アバターの活動を通じて、ユーザ同士が互いにコミュニケーションをはかる。

・仮想人間
将来、本物と区別できなほど精巧な人間のモデルが構成される可能性がある。

  • 現実世界の仮想性
演劇芝居歌舞伎といったものが最たる例。
演者は、現実世界の人であるが、演じている人物人格はそこに存在しない(フィクションの場合)。
毎日の営みは現実であるが、演劇やコンサートなどの仮想性が、生活に潤いを与えている場合もある。
このように、現実世界の中にも仮想性は、ある種必要なものになってきている。

リアル体験とバーチャル体験

  • リアル体験の重要性
実験見学、、取材旅行といった活動が、リアル体験にあたる。
学習は、原則として経験により成立し、リアル体験は、この経験を重視したものであり、現実世界は、さまざまな情報を学習者に与えてくれる。

  • バーチャル経験の必要性
・リアル体験ができない場合
<1.実在するが、リアル体験が不可能または困難}な場合>
①体験者に危険性がある
②周辺環境にがある
③多額の費用がかかる
道徳常識に反する
<2.対象が現実でなく、リアル体験ができない場合>

・バーチャル経験のほうが効果的な場合
<1.現実が複雑で、そのままでは構造メカニズムがわからない場合>
⇒⇒対象部を誇張したモデルを構成し、シミュレート。
<2.現実における変化が、速過ぎる、または遅過ぎる場合>
⇒⇒時間の経過を操作し、シミュレート。
<3.肉眼での観察が不可能、または、測定する装置がない場合>
⇒⇒可視化技術を利用してもよいが、モデル化やシミュレーションを行える。
<4.条件を変化させての観察をする場合や、複雑な実験で、準備に多くの時間を要する場合>
⇒⇒コンピュータシミュレーションが効果的。

  • FVCTSに見られる「リアル体験」と「バーチャル体験」のリンケージ
練習者が実際に行う吸気行動と呼気行動がリアル体験に当たる。
画面上の少年が画面に描かれた球体を動かすというのがバーチャル体験 に当たる。
7つの特徴量を抽出し、吸気から呼気に移るタイミング等の情報を知らせる機能があり、その変化をもとに評価する。
画面上の少年(バーチャル体験)は、現実世界(リアル体験)からのデータ(特徴量)をもとに行動し、その結果がアニメーションとして表示される。
さらに、視覚的な仮想世界からの情報は、現実世界にいる被験者の次の行動に影響を与える。
これこそが「リアル」と「バーチャル」のリンケージである。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年01月17日 07:13