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「くそっ。口開けな!」
「い、嫌です! もがっ」
「開けたじゃないか。素直でいい子だ」
「むぅー、むうぅー」
大きく開けてくれた口にハンカチを詰め込み、ガムテープ二枚で×の字になるように塞いだ。
ずるずると身体を引きずり、トイレに閉じ込める。
「ここでおとなしくしてな。それと……あんたのエプロン、借りるよ」
「むぅー? むうぅー!」
ドアを閉める。電気を消すと、少し中で悲鳴みたいな声がしたが、すぐにおとなしくなった。
あたしはレジに向かう。今は店員のふりをして、客が帰ったら金持ってトンズラだ。

「いらっしゃいませー」
客は若い男ひとりだった。レジで待っていたらしい。
「お待たせしました」
カゴの中身は……げっ。
カゴの中身は、荷造り用のロープと、ガムテープ、それにハンカチだった。
「ぜ、全部で、920円になりますー」
「あの」
「はいっ!?」声が裏返る。
「いつものお爺さんは……」
しまった。こいつは常連か。それとも、同業者か。
「店長でしたら、奥で書類整理をしております。それに、いつものレジの子も、すぐに参りますが……なにか?」
「いえ……おととい辺りに咳をしていたから、大丈夫かな、と思って」
「あ、あぁ……」
「大丈夫ならいいんです」
男は、金を渡して店を出た。

「はぁ~……」
あたしはため息をついた。
ちくしょう。焦りすぎたか。それとも時間をかけすぎたか。
はやく金をもらってトンズラ……

トン。
レジカウンターに、お菓子が置かれる。

「へ?」
あたしはカウンターの向こうを見た。

「くださいな♪」
「い、いらっしゃいませぇー」
小さな女の子が、そこにいた。