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自分の職業を思い出す。
自分は、モデルだ。日本を、いや、世界を代表する──緊縛モデルだ。

そう。昨年は念願の、パリコレに出た。フランスの一流メーカーのモデルとして参加して、拍手喝采を浴びた。その瞬間を思い出すことができる。
由貴子はこの仕事が大好きだ。誇りもある。
だから、このポスターは水着で縛られている由貴子のはずだったし、写真集はほぼ全ページは緊縛姿のはずだった。

それなのに、どこを探しても、縄が見つからない。
何度も洗っては使っていた手拭いも、親友にプレゼントされたボールギャグも、何もかも。

洗面所に向かう。
夢なら醒めてくれと思いながら、顔を洗う。
──タオルがある。由貴子はそれに手を伸ばし、硬く捻ると、真ん中をしっかりとくわえる。そして、そのまま両端を後頭部に持っていき、しっかりと結ぶ。
歯を割るだけの猿轡だが、随分と安心できる。
鏡越しに、自分に向かって微笑んでみる。普段の自分には程遠いが、満足はできた。

こうするとあとは楽だった。
雑貨の置いてある棚から粘着テープを見つけ出した。黒のビニルテープもいいが、やはりアメリカで購入したダクトテープがいい。
銀色の光沢に嬉しそうに目を細めながら、両足に巻いた。
(ああっ……やっぱり、落ち着くわ……)
器用に両手も拘束し、ベッドに寝る。今度はあおむけだ。

寝たままで、鏡に映る自分を見る。
デビューしたてのころのグラビア撮影を思い出しながら、由貴子は眠りについた。