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──あたしは、笑顔でレジに立っている。 ──愛想笑いなんて、世界で一番似合わないと思っているあたしが、だ。 ──ああ、誰か、助けて。 ---- コトの始まりは、今から大体二時間前、深夜零時まで遡る。 あたしは、一軒のコンビニを狙っていた。強盗をする為である。 そこは深夜になると、女子大生かそこらの女店員がひとりと、店長らしき爺さんがひとりで店番をしていた。そして、駅からも程よく離れているので、客足も多くない。 今夜は小雨で、客足はさらに減っているはず。 チャンスだ。 あたしはそう思った。 「いらっしゃいませぇー」 店員の声があたしを出迎える。今からあたしに襲われるとも知らずに、のん気なヤツだ。 あたしは店内を歩きながら、状況を確認する。店の片隅にある監視カメラは、おそらくダミーだろう。最近秋葉原で似たようなのを見た。それに、たとえ本物であっても、あたしは逃げ切る自信があった。 カゴの中に荷造り用の紐と、ハンカチ、ガムテープをそれぞれ二つずつ入れる。そしてレジに持っていく。 「いらっしゃいませ。こちらでよろしいですか?」店員が言う。 「はい。あの、いつもいるお爺さんは……?」 「店長は昨日から体調を崩しちゃって、お休みなんです」 これまたチャンス。運命の女神はあたしに味方しているに違いない。 「そう。それはそれは……好都合」 「はいー。……え?」 店員がハッと顔を上げたとき、あたしはレジカウンターを飛び越えていた。 -[[次へ>人生最悪の一日 2]]
──あたしは、笑顔でレジに立っている。 ──愛想笑いなんて、世界で一番似合わないと思っているあたしが、だ。 ──ああ、誰か、助けて。 ---- コトの始まりは、今から大体二時間前、深夜零時まで遡る。 あたしは、一軒のコンビニを狙っていた。強盗をする為である。 そこは深夜になると、女子大生かそこらの女店員がひとりと、店長らしき爺さんがひとりで店番をしていた。そして、駅からも程よく離れているので、客足も多くない。 今夜は小雨で、客足はさらに減っているはず。 チャンスだ。 あたしはそう思った。 「いらっしゃいませぇー」 [[店員>ESCAPE!]]の声があたしを出迎える。今からあたしに襲われるとも知らずに、のん気なヤツだ。 あたしは店内を歩きながら、状況を確認する。店の片隅にある監視カメラは、おそらくダミーだろう。最近秋葉原で似たようなのを見た。それに、たとえ本物であっても、あたしは逃げ切る自信があった。 カゴの中に荷造り用の紐と、ハンカチ、ガムテープをそれぞれ二つずつ入れる。そしてレジに持っていく。 「いらっしゃいませ。こちらでよろしいですか?」店員が言う。 「はい。あの、いつもいるお爺さんは……?」 「店長は昨日から体調を崩しちゃって、お休みなんです」 これまたチャンス。運命の女神はあたしに味方しているに違いない。 「そう。それはそれは……好都合」 「はいー。……え?」 店員がハッと顔を上げたとき、あたしはレジカウンターを飛び越えていた。 -[[次へ>人生最悪の一日 2]]

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