森下卓九段 『米長の将棋』は”聖典”だった
今でも、やはり”聖典”です。
玉の厚み・距離感など、現代将棋で重視される中終盤の感覚を、米長流の独特の表現でスパッと解説。上級者から、アマ最上段まで、幅広く参考になります。
主に昭和50年代前半の自戦譜が例題ですが、一局の勝敗を分けるポイントに絞りこんで、局面前後の流れから、形勢の優劣、着手の方針まで、充分な頁数を使って、掘り下げた説明がされています。特に1・2巻は、穴熊戦に慣れた現代の読者にはかえって新鮮に感じられるほどで、棋譜の古さは気になりません。「米長玉」など、当時は”異端”とされた指し回しが、現代将棋に強い影響を与えていることがよくわかります。
プロ感覚の一端を知りたい上級者、一皮剥けずに伸び悩んでいる有段者にお薦めです。
BY じゃがりんぽ③
米長の将棋〈2〉