太陽にほえろ!大全集

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=太陽にほえろ!大全集 = ==番組データ== 東宝テレビ部制作。 1972年7月21日から1986年11月14日まで、全718回。 日本テレビ系列金曜20時。 16㎜フィルム 連続テレビ映画 ==太陽にほえろ! 誕生まで== 『太陽にほえろ!』の企画は、打ち切られた日本プロレス中継の代替案として立案された。かねてから編成の核となる看板番組の制作を目指していた岡田プロデューサーは、刑事を主役とした「青春アクションドラマ」の構想を抱いていた。 それまでの日本の刑事ドラマは『七人の刑事』 (TBS) や『特別機動捜査隊』(NET 現テレビ朝日)等が主流で、大人向きで暗いイメージがあった。他にも『キイハンター』や『ザ・ガードマン』があったが、これらの舞台は特殊なチームまたは民間警備会社で、若年層向けとしては桜木健一主演『刑事くん』ぐらいしかなかった。それまでの「刑事物」は「事件物」と呼ばれて、親が子供に見せたくないドラマのひとつだった。 初期企画書の題名は「明日に燃えろ」で、NYPDで研修を受けたばかりのキャリア・藤堂英介を筆頭に、初めて刑事になった風間健一の活躍を描くドラマとして72年2月企画が開始した。前身『東京バイパス指令』では主役級が二名(陽介・雷太)だったことから、撮影の遅れを出さないために主演俳優を増員。撮影隊をA・B二班体制にし、同時に進行させていくシステムを採用。主人公は潜入捜査官では目立った活動もできず、拳銃携帯もできなかったことから、拳銃を携帯できる私服刑事と設定した。 当時、流行していたアメリカ映画(『ダーティハリー』『ブリット』など)をヒントに、刑事のキャラクタを全面に押し出すことを主にし、犯罪者側の描写を控えた。初期段階から新人刑事の成長物語を主軸に描くことは決まっていたが、主人公の性格設定は生真面目な規則一辺倒な若者だったので、メインライターの小川英はもっと今風な若者にしようと提案する。 当時の世相として高度成長・公害・蒸発が新聞紙面を賑わし、学生運動で学内は荒れ、内ゲバ(暴行事件)が頻発。街ではアングラやヒッピーが流行り、新しい価値観や文化が話題となった。海外ではベトナム戦争が交戦中で、少年誌で『あしたのジョー』が大ヒットしていた時節だった。これらの社会現象や風俗を作品の要素に取り入れた。2月にあさま山荘事件で連合赤軍と機動隊の死闘がテレビ中継され、実際に隊員が殉職するなど、警察がヒーローとして注目される風潮が出てきた。 主人公は当時、刑事役としては異例の長髪でファッショナブルな衣装の「NOWな若者」を主人公とするよう変更した。警察という組織にありながらも、反体制的で自己主張するキャラクターに変更。 10月の開始予定が7月に前倒しされ、急ピッチで制作が進められる。主役は映画『約束』で注目された萩原健一に決定した。萩原はGS解散後、俳優への転向を摸索していた時期でもある。野崎役は藤木悠(東京バイパス指令のレギュラー)の予定だったが、別の予定が入っていたことから代役として下川辰平に決まった。 銀幕のスター・石原裕次郎はテレビ出演に懐疑的だったが、石原プロの台所事情もあり、1クール契約で出演を承諾。他にも大映倒産後、東宝入りした関根恵子と青春シリーズからつながりのある竜雷太などキャストが集められた。 以上の経緯により本企画は『太陽にほえろ!』のタイトルで制作が決定された。当初は主人公・早見淳は皆から「坊や」と呼ばれる予定だったが、萩原が猛反発。衣装のイメージから「マカロニ・ウェスタンのような」からニックネームが決まる。 新人刑事の活躍を斬新に描いた番組は当時の小中学生から一般視聴者層に受け入れられ、『水戸黄門』と並んで国民的人気番組と称せられるようになった。以降は刑事ドラマが各局で次々と制作される勢いをつけた。 ==その後のムーブメント== BGMも話題となり、その後のゴダイゴやトランザムなどにも影響し、趣向を凝らしたBGMがテレビから流れるようになった。レコード店にTVサントラコーナーが作られるなど、テレビのBGMというジャンルを確立した。 本作における警察組織や階級などについての描写は現実のものとはかなり異なり、架空の設定と割り切って解釈できるほどの一貫性もなく、明らかに整合性を欠いていた。これは当時のTVドラマにおいてはリアリティを追求する風潮が稀薄であったことや、元々本作がアクションや青春ドラマに重点が置かれた作品であったために、現実性のある設定作りが追求されなかったことの現れと思われる。このアバウトさが本作の独特なカラーになっていることは事実であるが、多くの矛盾や間違いを刑事ドラマジャンル全体に浸透させる原因ともなった。 本来は異色刑事ドラマであった本作が、番組の大ヒットにより刑事ドラマのスタンダードになってしまった。この弊害は番組が終了するまで変わることがなかったが、『踊る大捜査線』のヒットでようやく修正されつつある。 番組のヒットから数々の人気作品を産み出す相乗効果も生んだ。『傷だらけの天使』を筆頭に『われら青春!』、『俺たちの勲章』、『俺たちの旅』、『俺たちは天使だ』など多数のシリーズが制作された。他にも『大都会』シリーズを成功させる土壌を生み、『あぶない刑事』『ジャングル』へと継承された。番組からスターや監督・脚本家も巣立っていったことから放送業界に対する貢献は甚だ大きい。現役の俳優や演出家にも少なからず本作は影響を与え、今後もオマージュを込めたCMや作品が作られていくだろう。
=太陽にほえろ!大全集 = ==番組データ== 東宝テレビ部制作。 1972年7月21日から1986年11月14日まで、全718回。 日本テレビ系列金曜20時。 16㎜フィルム 連続テレビ映画 ==太陽にほえろ! 誕生まで== 『太陽にほえろ!』の企画は、打ち切られた日本プロレス中継の代替案として立案された。かねてから編成の核となる看板番組の制作を目指していた岡田プロデューサーは、刑事を主役とした「青春アクションドラマ」の構想を抱いていた。 それまでの日本の刑事ドラマは『七人の刑事』 (TBS) や『特別機動捜査隊』(NET 現テレビ朝日)等が主流で、大人向きで暗いイメージがあった。他にも『キイハンター』や『ザ・ガードマン』があったが、これらの舞台は特殊なチームまたは民間警備会社で、若年層向けとしては桜木健一主演『刑事くん』ぐらいしかなかった。それまでの「刑事物」は「事件物」と呼ばれて、親が子供に見せたくないドラマのひとつだった。 初期企画書の題名は「明日に燃えろ」で、NYPDで研修を受けたばかりのキャリア・藤堂英介を筆頭に、初めて刑事になった風間健一の活躍を描くドラマとして72年2月企画が開始した。前身『東京バイパス指令』では主役級が二名(陽介・雷太)だったことから、撮影の遅れを出さないために主演俳優を増員。撮影隊をA・B二班体制にし、同時に進行させていくシステムを採用。主人公は潜入捜査官では目立った活動もできず、拳銃携帯もできなかったことから、拳銃を携帯できる私服刑事と設定した。 当時、流行していたアメリカ映画(『ダーティハリー』『ブリット』など)をヒントに、刑事のキャラクタを全面に押し出すことを主にし、犯罪者側の描写を控えた。初期段階から新人刑事の成長物語を主軸に描くことは決まっていたが、主人公の性格設定は生真面目な規則一辺倒な若者だったので、メインライターの小川英はもっと今風な若者にしようと提案する。 当時の世相として高度成長・公害・蒸発が新聞紙面を賑わし、学生運動で学内は荒れ、内ゲバ(暴行事件)が頻発。街ではアングラやヒッピーが流行り、新しい価値観や文化が話題となった。海外ではベトナム戦争が交戦中で、少年誌で『あしたのジョー』が大ヒットしていた時節だった。これらの社会現象や風俗を作品の要素に取り入れた。2月にあさま山荘事件で連合赤軍と機動隊の死闘がテレビ中継され、実際に隊員が殉職するなど、警察がヒーローとして注目される風潮が出てきた。 主人公は当時、刑事役としては異例の長髪でファッショナブルな衣装の「NOWな若者」を主人公とするよう変更した。警察という組織にありながらも、反体制的で自己主張するキャラクターに変更。 10月の開始予定が7月に前倒しされ、急ピッチで制作が進められる。主役は映画『約束』で注目された萩原健一に決定した。萩原はGS解散後、俳優への転向を摸索していた時期でもある。野崎役は藤木悠(東京バイパス指令のレギュラー)の予定だったが、別の予定が入っていたことから代役として下川辰平に決まった。 銀幕のスター・石原裕次郎はテレビ出演に懐疑的だったが、石原プロの台所事情もあり、1クール契約で出演を承諾。他にも大映倒産後、東宝入りした関根恵子と青春シリーズからつながりのある竜雷太などキャストが集められた。 以上の経緯により本企画は『太陽にほえろ!』のタイトルで制作が決定された。当初は主人公・早見淳は皆から「坊や」と呼ばれる予定だったが、萩原が猛反発。衣装のイメージから「マカロニ・ウェスタンのような」からニックネームが決まる。 新人刑事の活躍を斬新に描いた番組は当時の小中学生から一般視聴者層に受け入れられ、『水戸黄門』と並んで国民的人気番組と称せられるようになった。以降は刑事ドラマが各局で次々と制作される勢いをつけた。 ==その後のムーブメント== BGMも話題となり、その後のゴダイゴやトランザムなどにも影響し、趣向を凝らしたBGMがテレビから流れるようになった。レコード店にTVサントラコーナーが作られるなど、テレビのBGMというジャンルを確立した。 本作における警察組織や階級などについての描写は現実のものとはかなり異なり、架空の設定と割り切って解釈できるほどの一貫性もなく、明らかに整合性を欠いていた。これは当時のTVドラマにおいてはリアリティを追求する風潮が稀薄であったことや、元々本作がアクションや青春ドラマに重点が置かれた作品であったために、現実性のある設定作りが追求されなかったことの現れと思われる。このアバウトさが本作の独特なカラーになっていることは事実であるが、多くの矛盾や間違いを刑事ドラマジャンル全体に浸透させる原因ともなった。 本来は異色刑事ドラマであった本作が、番組の大ヒットにより刑事ドラマのスタンダードになってしまった。この弊害は番組が終了するまで変わることがなかったが、『踊る大捜査線』のヒットでようやく修正されつつある。 番組のヒットから数々の人気作品を産み出す相乗効果も生んだ。『傷だらけの天使』を筆頭に『われら青春!』、『俺たちの勲章』、『俺たちの旅』、『俺たちは天使だ』など多数のシリーズが制作された。他にも『大都会』シリーズを成功させる土壌を生み、『あぶない刑事』『ジャングル』へと継承された。番組からスターや監督・脚本家も巣立っていったことから放送業界に対する貢献は甚だ大きい。現役の俳優や演出家にも少なからず本作は影響を与え、今後もオマージュを込めたCMや作品が作られていくだろう。

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