悪友「ピッチャー振りかぶって第一球、ん投げましたぁ!」  がっ。  威勢のいい声とは裏腹に、ボールはあさっての方向に飛んでいって、立てかけてあったモップの柄に命中した。  がしゃあああん。  派手な音を立てて倒れるモップ。それを見て俄然勢いづく俺。 氏堀「ヘイヘイヘイヘイ! ピッチャーノーコンだよっ」 悪友「うるせー! 勝負はまだこれか……」  ごっ。 悪友「ぶへっ!」 委員長「これからじゃないっての! ったく、ちょっと目を離せばすぐこれなんだから」  突然ぶっ倒れた悪友の後ろに、いつの間にか委員長が立っていた。雑巾を持つ右手をグーに固めて、俺と悪友を交互ににらんでいる。 氏堀「知らないの? これは素振りダイエットといって、上腕と腰まわりが締まってきて、ついでに母乳の出もよくなるって、昨日のあるあるで……」 委員長「昨日のあるあるは地震対策についてでしょ! いいから掃除しなさいっての」  適当なでまかせを速攻で切り捨てながら、手に持つ雑巾を思いっきり投げつけてきた。俺の顔面めがけて。  べちょっ。 氏堀「ぶっ!」  ひっくり返りそうになりながら、あわてて雑巾を顔から剥ぎ取る。 氏堀「ちょ、顔面はないんじゃね? 顔面は。あ、母乳くせぇ」 委員長「文句言ってる間に床でも拭きなさいよ。いつまでも帰れないじゃない」 悪友「そうだぞ! ちゃんと掃除しろよ! 女子ばっかり働かせるなんて、男の風上にも置けないぞ!」 委員長「アンタも働けっつーの」  悪友を蹴り倒し、委員長はうんざりした表情でモップがけを始めた。 悪友「へいへい。やればいいんだろ、やれば」  悪友もしぶしぶと、倒れたモップに手を伸ば……すフリをしながら、無造作にボールを拾い上げた。  で、当然投げた。 悪友「おおっと、手が滑った!」 氏堀「させるかぁ!」  見逃さずにバット、もといホウキを振り抜く。  ばしっ! 委員長「だから遊んでるんじゃ……」  ぼむっ! 委員長「ぐはっ!」 氏堀&悪友「あ」  まるで吸い寄せられるように、ボールは見事委員長の左胸にクリーンヒットした。  衝撃を受けて、噴水のように左胸から噴き出る母乳。つられて右胸からも噴き出る母乳。 悪友「あーあ、せぇっかく拭いたのに、また汚れ……」 委員長「アンタらのせいでしょうがっ!」  ずぎゃっ!  うなりを上げて振り下ろされるモップ。脳天を叩き割られて、悪友は完全に沈黙した。 委員長「大体、床拭いたのも私だっての。さっきから邪魔しかしてないじゃない、アンタたちは」  うんざりした表情で、億劫そうに胸を絞りにかかる委員長。噴き出す母乳がどんどんバケツにたまっていく。 委員長「あーもー、ぜんぜん掃除進まないし……。一度出始めたら、なかなか止まらないんだから」  そう言って、委員長はキッと俺をにらみつけた。 委員長「……ちょっと、責任取って絞ってよ」 氏堀「面倒」  コンマ二秒で答える。 委員長「あ、アタシが一番面倒だっつーの! はぁ……仕方ない」  ため息をつきながら、委員長はバケツを抱えて立ち上がった。 委員長「そこで絞ってくるから、せめて片付けくらいやっておいてよ」 氏堀「……?」  さっさと出て行こうとする委員長を見て、俺はなんとなく違和感を覚えた。  なんか、諦めが早くないか? 氏堀「別に、やらないなんて言ってないぞ?」 委員長「へ?」  振り返った委員長の両胸を、俺はぎゅっとわしづかみにした。 委員長「いっ!?」  途端に胸から母乳が噴き出す。勢いが強すぎて、バケツからはみ出てしまった。 委員長「ちょ、ちょっと、何すんのよ!」 氏堀「絞ってるんだけど」 委員長「あ、あれは、単なる冗談……っ」  びくっと身を震わせる委員長。少し力が強すぎたかもしれない。 氏堀「んー、これくらいか?」  手のひら全体を使って、強弱をつけながら揉んでいく。絞る、ということを特に意識しなくても、面白いように母乳があふれてくる。 委員長「……っ、は……!」  制服の上からでも、面白いように指が埋もれていく。  いつもは何気なしに見ているだけだったけど、たわわに実った委員長の乳房は、やわらかくて、なかなか揉み心地がいい。ちょっと癖になりそうだ。 委員長「や……っ、ちょっと待……ぅあっ!」  心なしか、頬が上気して見える。割と投げやりに揉んでいたんだけど、少しは感じているんだろうか。  まあ、さっさと終わらせよう。ぽよんぽよんと弾む感触を楽しむのもそこそこに、俺は改めて委員長(の胸)に向かい合った。 悪友「おいおい、芸のない絞り方してるなぁ。安物の搾乳機かお前は」  と、いつの間に復活したのか、悪友が右胸を強奪する。 氏堀「いいんだよそんなこと。とっとと終わらせないと」 悪友「色気のないやつだな。そう言わずに、少しは状況を楽しもうぜ」  悪友はそう言いながら、ピンと立った乳首をくりくりと攻め立てる。 委員長「ひあっ!? っく、……ふぁぁぁ!」  指使いがなんかテクってる。場数を積んでるっぽい動きだ。委員長の反応もよく、びくっびくっと体を痙攣させている。 悪友「せっかく絞ってるんだから、垂れ流しじゃもったいないだろ。ここはやっぱ味わわないとさぁ」  調子に乗った悪友が、委員長の乳首に吸い付こうとしたそのとき。  キーンコーンカーンコーン……。 委員長「ひっ!?」  突然のチャイム。やけにバカでかく聞こえたその音に、委員長が飛び上がった。  驚いた表紙に、胸から母乳がビーム砲のように放たれ、悪友の右目に直撃した。 悪友「ぎゃあああああああああ! 目が、目があぁぁあぁぁぁあ!」  右目を抑えて転げまわる悪友。床中に母乳がこぼれていたせいで、すっかり母乳まみれになってしまった。 氏堀「…………」  半ばあきれながら、悪友をじっと見下ろす。いわゆるジト目というやつだ。  で、振り返ってみると、委員長の姿がない。見てみると、すでに教室の外。真っ赤な顔で、俺たちをにらみつけている。 委員長「も、もういいから! 自分で絞ってくるから! アンタたちは、ちゃんと床きれいに拭いといてよ!」  一息に叫んで、委員長は廊下を走っていってしまった。 氏堀「床……」  俺は視線を下ろす。  床一面に、委員長の母乳がこれでもかというほど飛び散っていた。  で、その中央には、いまだに悶絶している母乳まみれの悪友の姿。 氏堀「あ、俺そろそろ英会話の時間だから。お疲れーっす」 悪友「うそつけえええええ!」  委員長に捕まらないうちに、俺はとっとと退散することにした。マグロのように転がる悪友を無視して。