母乳の主成分であるボセェドロフィンという成分は 女性の成長に必要な物質であることは周知の通りだが これらの成分が感情の発露などの条件により分泌されることは 他の脳内麻薬の例に漏れない。 この成分ボセェドロフィンが分泌される条件には諸説あり…… 「氏堀君」  呼ぶ声が聞こえる。いつも聞く、けど最近は少し優しくなった声 「氏堀君」  ぽたぽたと雫が落ちる音。心地よく聞こえるのはきっと気のせいでもなんでもなく、その通りなのだろう。 「氏堀君ったら起きて」 「おはよう、いいんちょ」  体を起こすとそこにはいいんちょが困ったような喜んでるようなでも一応は引き締まった複雑な顔で立っていた。 「もう朝か?」 「朝じゃなくて放課後。しかも閉校時刻前よ」  もう既に教室には誰も居ない。あるのは俺といいんちょと雫が落ちる音だけ。 「いいんちょ、その胸」  傍目に見ても張っているその胸は、今にも出させろと母乳が主張してるかのようだ。でも… 「5時限終了後に絞らなかったのか?」  確か1限と3限の後に絞ったから、その辺りで絞らないと多少苦しいと思われる。 「いいんちょ?」  でも彼女は口を閉ざすのみ。何故か微妙に目線をそらす。もしかして…… 「俺に搾ってほしかった?」 ――ビクッ!  図星なのだろう。思いっきり体が震えた。 「あ、えと、その…」  いいんちょと付き合いだして半月。こうして一日一回はいいんちょの胸を搾るのが日課になってる。 「んじゃさっさと搾るか」 「へ?」  別に今なら誰もいないし、母乳は全て俺が飲めばいいし問題は無いだろ。 「ちょちょっと待って…私もう」  いいんちょが躊躇するが、それは取りあえず無視して服を脱がそうとすると… ――ぶじゅぶじゅぶぶぶぶっしゅああああああああ 「ふああああああああああああ」  俺の手が触れたとたんに母乳が服越しに噴出し、辺りに飛び散った。 「……ん、もう。だから搾乳室に行こうって言おうとしたのに」 「あーすまんいいんちょ」  いいんちょが仕方ないといった感じで母乳に濡れたブレザーを脱ぎ今だ張ってる母乳をさらけ出す。 「今度はちゃんと飲んでよね」  俺はその切なそうな胸に口付けをしてゆっくりと母乳を吸いだす。 「んっ!……あっ!」  いつもと違う甘い声。彼女の抱擁がゆっくりと俺の頭を包み込む。 『下校時刻となりました……』  今を告げる放送も俺たちの世界は侵せず、ただゆっくりと時間は更けていった。