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アスランはここに来るまでの出来事を二人に話し終えた。
「で、結局アンタはそのキラって奴と戦うのかい?」
話を聞き終えたアルフが質問を投げかける。
「・・・もし、あいつが俺達の邪魔になるようなら、戦うさ」
「ふーん・・・ま、アンタがそういうならいいんだけどさ」
「・・・疑わないのか?」
こんな話をしていざ自分が友達と戦いますと言って信じる奴は普通はいない。
「なんだい、やっぱり戦わないって言うのかい?」
ズイッとアスランに顔を近づけるアルフ。
「あ、いや、そういうわけじゃないんだが・・・」
「だったらいいじゃないか。あたしとアンタの二人でフェイトを護る。誰にも邪魔なんかさせるもんか」
ニッと笑顔を向けるアルフ。それにつられてアスランも顔を綻ばす。
「ああ、そうだな」
そうだ。俺はフェイトを護るってプレシアと約束したんだ。
迷ってなんかいられない。誰が相手でも、俺は戦う。例えキラ、お前が相手でも・・・
「!!!」
突如体中に走る感覚。
「これは!」
「ジュエルシードの反応・・・!」
今まで口を閉ざしていたフェイトがようやく口を開く。
「アスランさん」
「アスランでいい」
「え?」
突然言われた言葉をよく理解できなかったフェイト。
「今度から俺のことは、アスランでいい」
「でも・・・」
「魔法に関しては君の方が先輩なんだし、それに」
ポケットからイージスを取り出し、握り締める。
「俺は君のパートナーだからな。さん付けはやめてくれ」
「・・・わかりました」
「アタシは?」
「アルフはここで待機していて。何かあったらすぐに呼ぶから」
「了解!」
ガチャとドアを開けて出て行く二人。
「バルディッシュ」
『Yes sir』
「イージス」
『OK』
「「セット、アップ」」
一瞬の光の後、バリアジャケットを装着し、
「アスラン」
「ああ、行こう!」
二人は同時に、空へと飛び立つ。

二人が現場に到着した時には、すでにこの間の少女が封印しようとしていたところであった。
(まずい!)
封印されてしまうとやっかいだ。そう思ったアスランは腰元のライフルを構える。
(威嚇するように・・・)
少女にではなく、杖を狙うように照準を合わせ、トリガーを引く。
だが、ライフルから放たれたビームは少女に届くことなく消えてしまった。
間に割り込まれた盾のようなものに弾かれて。
だがアスランにはその盾に見覚えがあった。そしてそれを持っている人物にも。
盾を持っていた人物がこちらへと視線を向ける。
そして、その人物の名前を口にする。
「・・・キラ・・・」
「アスラン・・・!」
「あの子・・・昨日の・・・!?」
「・・・・・・」
交差する四つの視線。訪れる沈黙。
だが、その沈黙を破ったのは
「・・・やっぱり昨日のは見間違いじゃなかったのか」
目を瞑り息を吐くアスラン。
「お前も"こっち"に来ていたとはな・・・それに」
キラの格好を見てそれが魔導師の格好だと気付く。
「お前にも素質があったとは・・・」
「・・・君も、同じ"力"を持っているのか?」
キラが口を開く。
「・・・ああ、そうだ」
ガシャッとライフルの先をキラへと向ける。
「!!」
「ここは大人しく退いてくれないか?ジュエルシードは俺達にとって大事なものなんだ」
「大事なものって・・・」
「俺達はそれを集めなきゃいけないんだ」
「何で・・・」
「・・・お前には関係ない」
「っ!!」
突き放された言葉がキラの心に響く。
「・・・アスラン」
それまで黙っていた金髪の少女が口を開く。
「キラ、俺達の邪魔をしないでくれ」
「・・・キラ君」
不安そうな表情で見るなのは。
「・・・僕にはジュエルシードがどれだけ大事なものかはわからないけど。でも」
キッと顔を上げ

「僕は、退けない」

「・・・どうしても、か?」
「・・・」
キラの目を見る。その目には曇りの影もない。そして感じ取る、キラは本気だ。と。
「・・・ならば、仕方ない」
目を瞑り、手に力を込める。
「力づくでも、退いてもらうっ!!」
トリガーは、引かれた。

放たれた魔力弾をシールドで弾き、距離を詰めるキラ。
ライフルを腰に当て、肩のサーベルを抜き、構える。
「このおっ!!」
右から左への横一閃は、目標に当たらず空を切る。
後方へと逃げ、右手のライフルを同じく腰に下げるアスラン。
「イージス!!」
『ライトサーベル』
右手をふり上げ、発現した魔力刃をそのまま振り下ろす。
「はあああっ!!」
ガキィンッ!!魔力刃とシールドがぶつかり合う。
間一髪反応したキラが、シールドを掲げて魔力刃を防いだのだ。
「く・・・このおっ!!」
下へと向けていた力の流れを右へと流動する。
その流れに沿って、シールドを持っていたキラの左手が大きく弾かれ、無防備な状態となる。
「!!」
それに気付いた時にはすでにアスランは次の動きに出ており、キラは突き出された足をモロに腹部にくらう。
「がはっ!!」
一直線に真っ直ぐ地面へと叩き付けられるキラ。

「キラ君!!」
言葉を発し、動こうとしたその瞬間。
「バルディッシュ」
『サイズフォーム』
昨日の少女が動いた。
昨日と同じく、鎌のような形状へと変化する。
そして変化したそれをそのままなのはへと振り下ろす。
「っ!!」
カキィンッ!!
レイジングハートを横にして、実体部分でどうにか受け止める。
「どうして・・・ジュエルシードを・・・」
「・・・君には関係ない」
「・・・関係ないかもしれないけどっ!」
押し弾くようにして後方へと距離を取り、構える。
反撃しようと魔力を集中するが、
『プロテクション』
桜色の防御幕が間一髪魔力弾をかき消す。
来た方向を見ると、アスランがこちらにライフルを向けていた。
「フェイト。今のうちに封印を」
頷くフェイト。目を瞑り魔方陣を展開し、封印の呪文を唱え始める。

「ロストロギア、ジュエルシード・・・封」
ドオンッ!!!
「っ!!」
突如下から巨大な赤と白の入り混じった魔力波が飛び出す。
何とか反応できたフェイトはバックステップでこれをかわす。
「フェイト!!」
慌てて呼ぶアスラン。
だが、安全を確認したのかホッとする。
そして視線を下へと向けると
「!!」
複数の魔力弾が襲い掛かる。
反応が遅れたが、シールドで防ぐ。
「ぐっ!!」
数が多いせいか、たじろぐアスラン。
そして全弾受け切り、爆風がアスランを包む。
その弾の発生源を見ると、そこには大きな大砲のようなものを抱えたキラがいた。
「キラ君!」
こちらへと飛んでくるキラ。
「大丈夫?なのはちゃん」
「私は大丈夫だけど・・・」
キラを見るとさっきと違う色のジャケットを着ていることに気付いた。
さっきのは赤いジャケットだったのに、今は緑色のジャケットになっている。
「キラ君こそさっきすごい勢いで地面に!」
「それはさっき助けてもらったから」
(僕がとっさに浮遊魔法で衝撃を消したんだ)
ユーノが念話を飛ばしてくる。
(僕は空も飛べないけど、これぐらいのことなら)
「・・・キラ」
爆風の中からゆらりと出てくるアスラン。
「・・・お前が俺の邪魔をするなら」
キッ!と顔を上げ
「お前を討つ!!」
言葉を発すると同時に加速し、一気に距離を縮める。
「っ!!」
慌ててアグニを構え、アスランへと向けるが、
「遅いっ!!」
もうすぐそこまで来ていた。
振り下ろされる右手の魔力刃がアグニを切り裂く。
「なっ!!?」
切り裂かれたアグニが爆発し、爆風で吹き飛ばされるキラ。
「イージス!」
『スキュラ、展開』
アスランの右手の前に展開する魔法陣。その中心に魔力が凝縮されていく。
「く・・・ストライク!エールジャケット!!」
『OK』
緑から赤へと変わるジャケット。
右手にライフル、左手にシールドが装着される。
空中で翻り、ブレーキをかけ体勢を立て直す。
だが、
「いけえっ!!!」
『バースト』
ドオン!!
凝縮された魔力が魔法陣の中心から放たれる。
キラがそれに気付いたのはもう手遅れであり、回避することは不可能だった。
ドカアアアアアアアンッ!!!
直撃。大規模な爆発が起きる。
そしてその爆風の中から放り出されるように急降下するキラ。
「キラ君っ!!」
視線をフェイトから落下していくキラへ向けた瞬間。
『ファイア』
バルディッシュの先から魔力弾が放たれる。
一瞬の隙を突かれたなのはは、視線を戻した瞬間に直撃した。
そして同じように地面へと落ちていく。

「なのは!」
落ちてきたキラを浮遊魔法で地面に下ろした後、続いて落ちてくるなのはも同様に保護する。
二人とも意識を失っているだけで大した怪我はしていないようであった。
「それにしても・・・」
驚いたのはキラの反応だった。
空中で体勢を立て直した時にはすでに攻撃が目の前に来ていたのに、
あの一瞬で、シールドを前に投げて犠牲にしたのだから。
そのおかげでキラ自身も軽症程度で済んでいる。
普通の人間ならそんな反応をする間もなく直撃しているだろう。

「・・・これでもう邪魔は入らない。今の内に封印を」
頷くフェイト。バルディッシュを掲げ、魔法陣を展開し直す。
「ロストロギア、ジュエルシード・・・封印!」
『Yes sir』
バルディッシュの先から雷撃が走り、ジュエルシードを包む。
するとジュエルシードは吸い込まれるように、バルディッシュの中心のコアへと溶け込むように入っていった。
「・・・終わったな」
「うん」
「・・・帰るか」
「アスラン」
「何だ?」
「いいの?」
「何が?」
チラッと地面に横たわるキラに視線を泳がせるフェイト。
「あの人・・・アスランの知り合い・・・だよね」
同じ様に視線を地面に向けるアスラン。
数秒間、何かを考えているようだったが、顔を横に振り、
「・・・いいんだ」
「そう・・・ならいいんだ」
そして二人は、空の彼方へと飛んでいった。

数分後。
先に目が覚めたのはキラの方だった。
「・・・痛っ」
起き上がろうとしたが左腕に痛みが走る。
だが、少しズキッとくるぐらいで動かせないほどじゃない。
「ここは・・・公園・・・」
まだ意識が完全に覚醒していないのか、辺りを見渡す。
「気がつきましたか?」
トテトテとユーノが歩いてくる。
「・・・ユーノ・・・そっか、君が助けてくれたのか・・・ありがとう」
「いや、僕にはこれぐらいしか出来ませんので・・・」
そして視線が横たわるなのはに向く。
「・・・なのはちゃんは?」
「・・・外傷はないのですが、まだ意識が・・・」
「そっか・・・」
脳内でフィードバックする先程の戦闘。
負けた、完敗だ。
アスランに手も足も出なかった。
ジュエルシードも奪われた。
誰も護れなかった。
「・・・これじゃ、何の為の力だ」
悔しさが、悲しみが、心を満たしていく。
「・・・僕は・・・」
「・・・キラさん」
ユーノはかける言葉が見つからなかった。
こんな時、どんな言葉をかければいいのか。
それは彼の辞書には、記載されていなかった。

いつまでもここにいるわけにはいかないと思い、キラはなのはを背負って帰路へと着いた。
道中。
「・・・あれ・・・?」
閉じていた目が開く。
「なのはちゃん?」
「・・・キラ・・・君・・・」
「目が覚めた?」
「・・・私・・・」
まだ完全に意識が覚醒していないのか、言葉がまだおぼろげであった。
「・・・ごめんね」
「えっ?」
突発的に謝罪の言葉をかけられ、一気に目が覚める。
「ジュエルシード・・・奪われちゃったから・・・」
その言葉を聞いて、覚醒した脳内で回想する記憶。
「そっか・・・負けちゃった・・・ね」
「うん・・・」
そして訪れる静寂。
定期的な足音のみの沈黙が支配していた。
が、
「なのはちゃん、ユーノ」
「はい」
(何ですか?)
「僕に・・・魔法の修行をして欲しいんだ」
「(えっ!?)」
突然の申し出に驚く二人。
「せっかく魔法の力を手に入れても、今のままじゃ・・・僕はまた・・・」
今日の戦闘で思い知らされた実力の差。
手も足も出なかった自分。
「・・・このままじゃ、アスランと話をすることもできない」
出来ればもう戦わずに済むに越したことはない。
だが、今のアスランは強い思いをもって行動している。
それがどんな思いかはわからない。
だから今度戦うことになったとしても、
少なくとも、自分の身を護れるぐらいの強さが、欲しい。
「だから・・・」
真剣な言葉で訴えるキラ。
(・・・わかりました)
念話で返答するユーノ。
「ユーノ君!?」
(もう、ここまで関わっているんだから、無関係にはできないよ。
 それに、あのアスランって人はきっとまたあの女の子と一緒に僕達の前に現れる。
 そうなったらなのは一人じゃまた今日みたいな結果になる・・・)
「そ、それは・・・」
確かになのは一人で二人を相手にするのは不可能に近い。
一対一で戦っても勝てるかどうかわからないのに。
「・・・なのはちゃん」
「えっ?」
不意に呼ばれて驚く。
「僕・・・強くなりたいんだ」
「キラ君・・・」
「まだ諦めたくないし、なのはちゃんの足手まといにもなりたくない。もう二度と・・・負けたくない!」
「・・・うん」
キラの思いの同意するなのは。
悔しいのはキラだけではない。
目の前でジュエルシードを奪われた事を、悔しいと思わないわけがない。
一度ならず二度までも敗北した事。
私も・・・あの子に勝ちたい!!
「・・・一緒に」
「ん?」
「一緒に強くなろうっ、キラ君」
「・・・うん!」
言葉に秘めた強い気持ちを、決意を固める。
(それじゃ、明日から二人とも特訓だね!)
「・・・あ」
歩みを止め、何かを思い出したように呟くキラ。
「?」
「・・・なのはちゃん」
「何?」
「・・・もうすぐ」
「もうすぐ?」
スッと腕を上げ、人差し指を向ける。その先にあるのは・・・時計。
「・・・・・・朝ご飯の時間だね」
「・・・・・・キラ君!!」
「急ごう!!」
歩きから走りへと変わる。
もう朝日は昇り、その輝きが増す。
今までと違う、新しい日々の始まりを告げる太陽の輝きは、とても眩しい程に美しかった。

帰ると、キラとなのははまず恭也に見つかった。
「二人で朝の散歩か?」
「え、ええと・・・」
言いよどむなのは。
「まぁ、そんなものです」
ぎこちない笑顔で微笑みながら言うキラ。説得力のカケラすらない。
「・・・まあいいか」
ホッと胸を撫で下ろす二人。
なのはは学校の制服に着替える為、部屋へと戻る。
キラも朝食の準備を手伝おうと中に入ろうとした
「キラ」
「はい」
「ちょっといいか?」
「あ、はい」
所を恭也に呼ばれた。

そして案内されたのは道場の中。
先を歩いていた恭也が立ち止まり振り返る。
「キラ」
「はい」
「最近、なのはがよく朝や夜に外出することが多くなったんだが・・・何か知っているか?」
「あ・・・」
朝の魔法の訓練とジュエルシード探しの事だろう。
だが、この事は話すわけにはいかない。
話すと高町家の人全員を巻き込むことになる。
それだけは何としても避けないと・・・。
「・・・・・・」
「・・・知っているんだな」
「・・・・・・」
「・・・まぁいい。なのはが自分から話さない事をお前から聞いたら怒られそうだしな」
「恭也さん・・・」
「なのはは昔から一人で抱え込むことが多くてな。誰にも悩みとかを打ち明けないようにしている節がある。
 俺にも、美由希にも、父さんにも、母さんにも・・・」
「・・・・・・」
「だから、キラ」
「あ、はい」
「なのはの事、頼む」
「・・・・・・はい」
言葉の節々に、恭也がどれほどなのはを心配しているかが伝わる。
それはそうだ。だって、自分の妹を心配しない兄はいない。
ましてやなのははまだ小学3年生、まだまだ心配される年頃だ。
だから、事情を知っているキラに頼み込んだんだろう。
「お兄ちゃ~ん、キラく~ん、朝ご飯出来たよ~」
道場の入り口でひょこっと顔を出すなのは。
「ああ、今行く」
「うん」
歩み寄る二人。
そして決意を新たにするキラ。
護らなきゃいけない・・・この人達を・・・。
自分を助けてくれたこの人達を・・・。
その為にも・・・強くなりたい・・・!!

握り締めた拳は、とても硬く、熱く、握り締められていた。
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