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食事を終えたなのはは食器を流し台に持って行って二階の自分の部屋へと行く。
(ただいま、なのは。)
すると、ユーノが先になのはの部屋に戻っていた。
(おかえり、ユーノ君。どうだった?)
(うん、今日も何も収穫無しだったよ。)
(そっかぁ・・・。)
(でも、こんなものを拾ったんだ。)
するとユーノは自分の寝所から白いクリスタルのようなものをなのはに見せた。
(何これ?宝石?)
なのははそのクリスタルを手に取ると透き通るようなその輝きを目にした。
(いや、どうやらそれはデバイスみたいなんだ。)
(え?デバイスって、レイジングハートと一緒って事?)
(うん、でもこのデバイス変なんだ。)
(変?)
(うん、僕がいくら呼びかけても返事もしてくれないんだ。だから名前も何もわからない。)
(それって、どういうこと??)
(こういうデバイスは最初から持ち主が確定しているんだけど、その持ち主がわからない以上使い道はないね。でも・・・。)
ユーノが途中で言葉が濁った。
(どうしたの?ユーノ君?)
(これを拾ったのって、あの公園なんだ。)
あの公園。数日前にキラがいたあの公園のことである。
(それじゃこのデバイスって、もしかして・・・。)
(うん、あの人のものである可能性が高いんだ。)

翌日。
なのはは学校が終わると、そのまま自宅へと帰宅し店の手伝いをしていた。
そして店が閉店し、父と母となのはでキラのいる病院へと向かう。
「それで、そのキラって子はどんな子なんだ?」
バスの中で士郎がなのはに聞いてくる。
「えと・・・優しそうな人だったよ。」
なのはのキラの第一印象は優しそうであった。
だが、昨日の会話での垣間見たあの悲しげな瞳が気になった。
「まあ昨日目が覚めたばかりじゃ何もわからないか。」
そうこう話てる間にバスは病院の前に着く。

「えと、こっちが病室だよ。」
そういってなのはが二人をキラの病室まで誘導する。
コンコンと病室のドアをノックするなのは。
「・・・どうぞ。」
ドアの向こう側から小さい声で返答するキラ。
「失礼しまーす。」
「あ・・・君は・・・えっと、なのはちゃん?」
「あ、私の名前覚えててくれたんだ?」
「まあ、昨日会ったばかりだし・・・そちらの人達は・・・?」
キラは不思議そうな顔で二人を見る。
「あ、えっと私のお父さんとお母さん。」
「初めまして、なのはの父親で高町士郎です。」
「初めまして、なのはの母親で高町桃子です。」
二人は自分の名前を言うと軽く会釈した。
「あ、どうも・・・初めまして、キラ・ヤマトです・・・。」
それに次いでキラも会釈する。
「キラくん、もう起きてて大丈夫なの?」
昨日までは横たわっていたはずの患者が体を起こしていたのに気付いたなのはがキラに問う。
「うん、体を起こすことぐらいは・・・。」
「すごーい・・・。」
なのはは昨日、医者から聞いた症状では何日かは絶対安静だと聞いていたのだが、まさか次の日には起き上がれるようになっているのは思いも寄らなかった。
「確かに、すごい回復力だな。」
士郎が感心したように言う。
「あら、あなたも負けてないんじゃない?」
桃子が意地悪そうに士郎に言う。
「おいおい、それは言わない約束だろ?」
「だって、あの時はものすごく心配したのよ。」
「大丈夫だ、これからはずっとそばにいるから。」
「あなた・・・。」
二人の間に誰も入る事の出来ない空間が出来ていた。それに気付いたキラはなのはに目線を配る。
「えと・・・これは。」
「ごめんなさい・・・うちのお父さんとお母さんスイッチが入るといつも"ああ"なんです・・・。」

「あ、はは・・・・・・。」
キラは目の前の光景に対して、ただ乾いた笑いが出ていた。
「そういえば、今日はどうしてお父さんとお母さんが?」
さっきから疑問に思っていたことをようやく口にしたキラ。
まぁ、目の前の光景を見てその疑問が一瞬吹っ飛んでいたのだが。
「うん、それが昨日キラくんのことを話したら一度お見舞いに行こうかって・・・。」
「そうなんだ・・・。」
「あ、そうそうそれで君に聞きたいことがあったんだ。」
ようやく空間から離脱してきた士郎がキラに問いかける。
「僕に、ですか?」
「ああ、君、記憶喪失だって聞いたけど、記憶はまだ戻っていないのかい?」
「・・・・・・。」
厳密に言うとキラは記憶喪失などではない。
ちゃんとこの世界に来るまでの記憶もちゃんとあるが、この世界ではその記憶もまったく意味が無い。
なので、医者が自分の事を記憶喪失だと診断したのだろうとキラは推察した。
「・・・・・・はい。」
「覚えている事は名前以外には何かないのかい?」
「・・・いえ、何も。」
「それじゃこれからどうするんだい?」
「・・・それは・・・。」
キラは答える事が出来なかった。
別世界から来た自分に、この世界には帰る場所も頼れる友人も知人もないのだから。
「・・・ふむ。母さん。」
「何ですか?」
「昨日のあれ、賛成か?」
「何言ってるんですか、私は賛成ですよ。」
「????」
なのはは二人の言っていることがわからず混乱していた。
「キラ君。」
士郎はキラをまっすぐ見る。
「あ、はい。」
そして一息置いて、口を開く。

「もし、よかったらウチで働かないか?」

「「・・・・・・え?」」
キラは何秒か後にようやく言葉を発した。偶然だが、父の言葉の反応に遅れたなのはも言葉を発したのが重なった。
「いや、実はウチ喫茶店やってるんだけど、この間ウエイターの男の子が辞めてしまって男手が足りないんだ。」
「・・・・・・はぁ。」
展開に頭がついていってないキラはただ返事を返すのみであった。
なのはに関しては開口した状態のままである。
「それで、もしキラ君さえよければウチで働かない?」
呆けているキラに桃子が問いかける。
まさかなのはの知らないところでこんな話が展開していたとは思いも寄らなかった。
「で、でも・・・僕・・・。」
「ああ、大丈夫。住む所なら安心してくれ。うちの道場を使ってくれればいい。」
「・・・なんで。」
「?」
「どうして、僕なんかの為に・・・そこまで、してくれるんですか・・・?」
初めて会ったばかりの、しかも記憶の無い素性も分からない男を住み込むで雇うなんて。
「困った時はお互い様ってね・・・まぁ正直人手が欲しいのもあるけれど。」
「それに。」ポンと桃子がなのはの頭に手を置く。
「この子があなたの事を助けた事もあって、あなたの事が気になるみたいだし。」
「お、お母さん。」
「どうかな?君さえよければと思うんだが・・・。」
「・・・・・・うっ。」
キラにはこの人達の優しさがとても心に響いた。
自分の世界ではコーディネイターとナチュラルがお互いにいがみ合い、殺し合う戦争の中、キラの心は崩壊寸前だった。
違う世界ではこうも違う、人の優しさがキラにはとても響いたようで。
「う、うわあああああああああああ!!!!!!」
その感情が爆発し、嗚咽し、涙を流した。
「キ、キラくん!?」
「どうかしたのか!!?」
「だ、大丈夫?」
なのはと士郎と桃子が心配そうにキラに駆け寄る。
それでもキラの涙は止まらなかった。
でもそれは悲しみの涙ではない、優しさに対しての喜びの涙なのだから。

数分後。
「落ち着いたかい?」
士郎がキラの涙が止まり、呼吸が一定になったのを見て問う。
「あ、はい・・・すみませんでした。」
顔を俯けるキラ。みっともない姿を見せてしまったのが恥ずかしいのだろう。
「あ、いや気にしないでくれ。それでさっきの答えだけど・・・。」
「・・・僕で、いいんですか?」
「君さえよければ。」
キラの問いに笑顔で答える士郎。
「・・・・・・ありがとうございます。」
キラの返答に顔が綻ぶなのは。
「それじゃ・・・!!」
キラが顔を上げて口を開く。
「・・・僕でよければ、働かせて頂けますでしょうか?」
「もちろん、歓迎するよ。」
「これから、よろしくね。」
士郎と桃子が微笑みながらキラに言う。
「・・・・・・はい。」
キラは深々と頭を下げた。するとコンコンと病室のドアがノックされる。
入ってきたのは看護婦と医者。
「キラ・ヤマトさん、回診の時間です。」
「あ、はい。」
「それじゃ、私達はこれで。」
「あ、キラさんのお知り合いの方ですか。ってなのはちゃん?」
看護婦がなのはに気付いて目線を向ける。
「はい。」
なのはは最初にキラを見つけた時に名を名乗っていた上に、ここ最近毎日病院に通っていたおかげで顔と名前を覚えられていた。
「それじゃ、そっちのお二方は・・・。」
看護婦が目線を士郎と桃子へと向ける。
「あ、どうも、なのはの両親です。」
「それでは今から診察ですので、少し退室して頂けますでしょうか?」
「はい、今日はもうこれで失礼します。キラ君。」
士郎に呼ばれたキラはそっちへ顔を向ける。
「あ、はい。」
「お大事に。」
「・・・すいません、ちょっとよろしいでしょうか。」
帰ろうとしたら、先程の医者に呼び止められた。
「はい、なんでしょうか?」
「ちょっと彼の、キラ・ヤマト君の件でお話が・・・。」

そういってキラの診察が終わると個室に入る高町家の面々。
そこで聞かされるキラの身体能力の高さと超人的な回復力。
運び込まれた時は医者は助からないだろうと思っていたのが、
ありえない速度で回復していく体。たった数日での意識の回復。
本来なら全治何ヶ月かの怪我なのに、もう起き上がるまでに回復している。
精密検査を行わないとはっきりとした事は言えないが、いずれも並みの人間を超えていることが明らかになった。
驚愕の表情を隠せない面々はその日は自宅へ帰宅した。

「もう動けるんですか?」
フェイトはアスランが立ち上がっていることに対して驚きを隠せなかった。
「ああ、まだ激しい運動は出来ないけどな。」
そういってアスランは自分の腕を上下させる。
あれからまだ何日も経っていないのに、問題なく立つことができるアスランの回復力はまさにコーディネイターといったところだろう。
「この分だと、明日か明後日には始められそうだな。」
「?何をですか?」
「魔法の訓練だよ。君が教えてくれるんだろう?」
「あ、はい、そうです。」
「しかし、魔法なんて存在しないものだと思っていたが、目の前で見せられると信じるしかないな。
 しかもそれを俺が使えるだなんて・・・まるで夢でも見ているみたいだ。」
そういってアスランはクスッと微笑む。
「アスランさんが元々いた世界には魔法が無かったんですね。」
「ああ、空を飛ぶとか手から光線を出すなんてこと、MSでもないと出来ないことだし。」
「MS?」
アスランが発した聞きなれない単語に反応したフェイト。
「・・・そっか。ここにはMSなんて必要ないものだからな。」
「あの、MSってなんですか?もしかしてデバイスのことですか?」
「・・・兵器。」
「えっ?」
アスランが言った言葉に驚くフェイト。
「MSは、人が人を殺すために、人が作り出したものだから・・・。」
そう言ったアスランの瞳はひどく悲しげに揺れていた。
「人が人を・・・。」
「・・・すまない。だが、ここにはそんなものは必要ないし、君が知る必要もないさ。」
ポンとフェイトの頭に手を乗せるアスラン。
「今の事は忘れてくれ。」
その言葉の奥にある意味をフェイトはまだ、知らない。

そして、キラの退院の日。
夕方に学校帰りのなのはがお迎えに来ていた。
「色々とお世話になりました。」
キラは医者と看護婦に頭を深々と下げる。
「いや、何。まさかこんなに早く退院できるとは、我々としては本当に驚きだよ。
 まぁ、以後はあまり無理をしないように気をつけるんだよ。」
「はい。」
「なのはちゃんもまた遊びに来てね。」
看護婦がなのはの頭を撫でる。
「にゃはは・・・は~い。」
「それで、記憶が戻るまで高町さんの所でお世話になるんだって?」
「はい。」
「ちゃんと、恩返しをするんだよ。」
ポンと肩を叩く医者の目はキラを真っ直ぐ見ていた。
「・・・はい、必ず。」

「それじゃ、ありがとうございました。」
「ありがとうございました~。」
見送る医者と看護婦。それに合わせて手を振る。
「さて、それじゃ行こっか、キラ君。」
「うん。」
そして、バス停へと歩く二人。
待つこと数分後にバスが来て乗り込む二人。
「あ、そういえば。」
「?」
ゴソゴソとなのはがポケットを探る。
そして取り出したのは、あの日ユーノが拾ってきた一つのクリスタル。
「キラ君、これに見覚え、ある?」
キラはなのはが差し出してきた手の平に乗っているクリスタルを取り、見てみる。が、
「・・・いや、見た事ないけど・・・。」
「そっか・・・。」
「どうしたの?」
「実は・・・。」
なのははこのクリスタルをキラの倒れていた場所で拾ったのを説明した。
「だから、てっきりキラ君のものかと思って。」
「そうなんだ・・・でもごめん。やっぱり見た事無いや。」
キラはなのはへクリスタルを返す。
「あ、次の駅で降りるよ。」
そういってなのははブザーを押す。

バスから降りて歩く事数分。
「ついたよ、ここが私の家、喫茶『翠屋』だよ。」
「へぇ~・・・。」
キラは目の前の喫茶店を見て感嘆としていた。
以前なのはから実家がお店をしていると聞いてはいたが、まさか喫茶店とは思わなかった。
「さ、中に入ろう。」
「うん。」
なのはに連れられる形で中に入っていくキラ。
「ただいま~。」
「おかえりなのは。」
「おかえり~。」
なのはが帰ってきたことに気付いた士郎と桃子が返事をする。
「・・・えと、どうも。」
「ああ、キラ君。無事退院できたみたいだね。」
「もう、大丈夫なの?」
「あ、はい。急激な運動とかはまだ出来ませんけど、ある程度のことなら・・・。」
医者に言われたことを踏まえつつ、返答する。
「そうか、それじゃ。」
士郎が右手を差し出してくる。
「これから、よろしく。」
「・・・はい。」
キラは差し出された右手を同じ右手で握り返した。
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