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第9話「不沈艦アークエンジェル」

その男達はとある建物の一室にいた。
彼らは脂汗を流しながら、自分達をここに呼んだ人間の到着を待たされていたのである。
コツコツと足音が部屋に近づいてきて、扉の前で止まる。
「やあ待たせたね」
そう言って薄紫の髪の男が入ってきた。
「「ユウナ・ロマ・セイラン…」」
青い髪の男とメガネの男が口をそろえる。
そう、彼らの下に、現在のオーブの事実上の統治者が現れたのである。

そもそも何故青い髪の男、アーノルド・ノイマンと、メガネの男、ダリダ・ローラハ・チャンドラ2世が
オーブの行政府にいるかというと、フリーダムに追い回された後、彼らは徒歩で自分達の家に戻り、
翌日、自宅を出たところで黒服にサングラスの男達に連行され、このオーブ行政府で鉢合わせになったのである。

ユウナは人払いをすると、ニコニコしながら彼らを見ていた。
「あの…僕達に何の御用でしょうか…」

「理由を言ってから結論を言うのと、結論を言ってから理由を聞くのと、どっちがいい?」
ユウナは依然として微笑みを絶やさない。

「「一応、理由を言ってから結論を…」」
観念したかのようにノイマンとチャンドラは呟いた。

「・・・・つまりそういうわけで、アークエンジェルに乗って欲しい」
「「だが断る!!!」」
ユウナの言葉に2人は即答する。

「まあ話は最後まで聞いてくれ。実は今朝、君達の事務所にガサを入れてね、面白いものが見つかったんだよ」
ユウナは笑ってそう言いながら、部屋のテレビについたビデオのリモコンのスイッチを押す。
そこにはマリューがノイマン達を訪ねてきたときの防犯カメラの映像が映っていた。

「いや、最初は君たちはもう国内にいないものと思って、アスハ代表の誘拐の容疑で令状を取ったんだけど、
 色々調べたら『彼ら』と違って、
 どうやら君達はまだオーブにいるみたいだから、直接話をしようと思ったのさ」

ユウナは、ノイマン達がマリューを見送った映像の所でビデオを止める。
「君達は昨日、ガロードと頼まれてアスハ代表をフリーダムから逃がそうとしてくれたろう?
 そのせいで君達の営業用の車が御釈迦になっちゃったみたいだから、せめて失業手当代わりにと思って誘ってるのさ」
「いえ、他の車があるので大丈夫です」
チャンドラが再び即答する。だがユウナも黙ってはいない。

「いやぁ、あれだけのスピード違反を市街地のど真ん中でしたら、さすがにこっちも営業免許を取り消さないとなぁ」
「くそ、やっぱりあいつらと関わるとロクなことがない…」
「まったくだ。一緒にいるだけでテロリストや精神異常者扱いだ。俺達はほとんど喋ってすらいないのに」
2人が口々に言う。
「訴えてやる!」
「あの茶髪の弁護士に頼もうぜ。合コン開けば弁護してくれるかも」
「裁判は時間がかかるよ?それにもちろん相応の報酬を払うよ。
 望むならそれなりの待遇で軍に採用してもいいし、オーブ軍の仕事を君らの運送会社に優先して発注しよう」

結局、2人は2時間ほどの交渉の末、アークエンジェルへの搭乗を承諾したのだった。
アークエンジェルには次々と物資が積み込まれていく最中であった。
その中には白や赤のザクや様々なMSのパーツが含まれている。

その頃、ガロードはオーブ領海ギリギリまで来ていた空母タケミカズチのブリッジにいた。
やがて、ユウナが白服を着た女性とともにブリッジに入ってくる。
「ガロード、こちらが暫定的にアークエンジェルの艦長となられるタリア・グラディス艦長だ」
「ガロード・ランだ、よろしく」
「タリア・グラディスよ」
ガロードとタリアが握手を交わす。
「グラディス艦長、それではよろしくお願い致します」
ユウナが少し静かに、そして力強くタリアに言った。

そしてそこに、さらに2人の男が入ってくる。
「やあ待っていたよ、2人とも」
「あー!トラックとタクシーのオッサン!」
「よ、少年。また会ったな」
「グラディス艦長、ガロード、紹介するよ。
 アークエンジェルの操縦桿を握ってもらうアーノルド・ノイマン氏、
 CICを担当してもらうダリダ・ローラハ・チャンドラ2世氏だ」
「アーノルド・ノイマンです」
「ダリダ・ローラハ・チャンドラ2世です」
各々の自己紹介の後、3人はユウナに促され、アークエンジェルへ向かうべくブリッジを後にする。

「彼らはまさか…」
タリアがノイマン達を見て表情を曇らせる。
「おや、ご存知ですか」
「でもあの時アークエンジェルにいたクルーは全員脱出していたのでは?」
「あの2人は『彼ら』の誘いを断ったようですよ。その場面を撮影した映像ありますけど見ますか?」
「彼らはクライン派ではないのでしょう?」
「えぇ、元は連合の常識的な軍人さんです。腕の方はザフトの貴女方の方がよくご存知のはずです」
「皮肉なものね。ザフトにとっては悪魔のような不沈艦に今度は助けられるなんて」
「我が国の製品は丈夫で長持ちがモットーですから。もしよろしければ議長とも商談をしたいものです」
「乗ってみてから考えさせてもらいますわ」
「そうですか、それでは御武運を」

一方、GXでアークエンジェルに乗り込み、荷物などの積み込みを終えたガロード達は、
ミネルバから移ってきた面々との対面を果たしていた。
「しばらく厄介になることになったガロード・ランだ。よろしくな」
「レイ・ザ・バレルだ。よろしく頼む」
レイはガロードを気に入っていた。
ガロード・ラン、ガンダムダブルエックスのパイロットであり、
他でもない、レイにとって、彼の分身とも言えるラウ・ル・クルーゼを討ち、自分達の命という実験台の末に生まれた
憎き男、キラ・ヤマトの駆るフリーダムを打ち負かしたからである。

「ルナマリア・ホークよ」
「ガロード・ランだ。あと、今は部屋にいるんだけど、俺の仲間でティファって子がいるんだ。
 大人しい子だけど、仲良くしてやってくれ」
「わかったわ。ねぇ、レイ。そういえばシンはどこ行ったの?」
「おそらくインパルスの所だろう。アークエンジェルの発進システムと、
 インパルスのシルエットシステムを調整する必要があるからな」

「もう終わったよ」
そこに艦の奥から黒髪の男がやってくる。
「あー!お前は!?」
「あんた、慰霊碑の…」
「ガロード・ランだ。よろしくな」
ガロードが手を差し出す。だがシンはそれを聞いた瞬間、ガロードに噛み付いた。

「ガロード・ラン…ダブルエックスのパイロットだろ」
「ああ、そうだけど」
「どうしてあの時、邪魔をした?」
「あの時?」
「フリーダムが襲撃してきた時だよ。あともう少しでフリーダムを倒せたかもしれなかったのに…」
「お前、あのガンダムの…俺はユウナさんからカガリさんを守るよう頼まれてたんだ。
 あんだけコックピットを殴りつけたら中にいるカガリさんが危なかった」
「ふん、アスハの野郎が乗ってるんだったらなおさらだ。まとめてぶっ殺すチャンスだったのに…」
「おい…どうしてそんなにカガリさんを憎んでるんだよ?」
「お前には関係ないだろ、といいたいとこだが、オーブに雇われてたお前には教えてやるよ。
 前に、慰霊碑で、家族が戦争で死んだっていったよな。
 俺の家族は戦争の時…アスハに殺されたんだ!」

そう言ってシンはその場を去ってしまった。
「なんだよ、あいつ…」
「あの人は…優しい人です」
背後から聞きなれた声が聞こえる。
「ティファ」
「ガロード、あの人は、本当はとても優しい心を持っています。でも、その心が深い悲しみに覆われているだけ…」
そこにレイがさらにフォローを入れる。
「その子のいう通りだ。根はいい奴なんだ。気を悪くしないでくれ」
「まぁ、みんながそう言うんだったら…」
こうしてガロードとシン、2回目の対面がされたのであった。
そして世界が目まぐるしく動いていく真っ只中に自分達が突入しつつあることを彼らはまだ知らない。

ブリッジでは操縦席に座ったノイマンがアークエンジェルのコントロールシステムの最終チェックを行なっていた。
「艦内ネットワークシステム異常なし、メインエンジン出力良好。艦長、発進準備完了しました」
「タケミカズチのユウナ代表代行からメッセージです。『貴艦の航海の無事を祈る』とのことです」
「わかりました。不沈艦アークエンジェル…その真の力、見せてもらうわよ。アークエンジェル、発進!」
「アークエンジェル発進します!」
ノイマンが操縦桿を引く。
こうして、背後にミネルバを牽引しながらも、
アラスカ、ヤキンを潜り抜け、ザフトからは不沈艦と恐れられたアークエンジェルが今、再び、発進したのであった。

アークエンジェルが発進したころ、宇宙では、連合によるプラントへの総攻撃が行なわれていた。
前線から知らされる情報をデュランダルは評議会議員達と固唾を呑んで聞いていた。
だが、凄まじい連合の物量に対して、ジュール隊を始めとする各部隊は獅子奮迅の働きを見せていた。

「グゥレイト!数だけは多いぜ!」
ガナーウィザードを纏ったザクが連合のMS部隊へ向けてオルトロスを放つ。
2機のダガーLがそれに貫かれ、残りのウィンダムが散開するが、
それを待っていたかのように青いザクがビームトマホークを振りかざしてウィンダムの上半身と下半身を切り離す。

「えぇい!なにがグレイトだあ!」
「おいおい、まだまだ敵さんはいるんだ、そんなカリカリすんなよ」
だが、軽口を叩きながらも2人の顔は真剣そのものである。
なぜならその眼前には十機ほどのウィンダムが迫ってきているからである。
「おい、ディアッカ、機体のエネルギーはあとどれくらい残っている?」
「HAHAHA!オルトロスが撃てて3発ってとこかな、早く補給しねーと」
「なら2発撃ち込んでお前は離脱しろ。背中は俺がなんとかしてやる」
彼らの機体は限界に近づいていた。
コーディネーターの能力が高くても実戦の経験が豊富なパイロットが多い訳ではない。
故に、圧倒的な物量を前にジュール隊の各機も戦線離脱を余儀なくされていた。

さらに、ヤキンを生き抜いたイザーク達の力を以ってしても、機体の消耗は避けられない。
そして、今、彼らが補給のために離脱しようものならそこは大きな穴となり、プラントの
防衛線に大きな穴が開いてしまう。
仮に補給のために離脱しようとしても目の前にはウィンダムが迫ってきており、離脱どころではない。

「くっそぉぉぉ!」
「くそ、俺はまだ言わなくちゃならないことがあるんだ」
彼らが悔しさを叫びに変えた時、目の前のウィンダムの部隊が、
降り注ぐビームに貫かれて次々と撃墜されていった。
「待たせたな、黄昏のMS乗り、ハイネ・ヴェステンフルス様が助けに来だぜ!」
「ハイネか!?」
「ハイネのだんなぁ、助かったぜ。でもその口上ってオーブの…」
「ありゃ、やっぱわかっちゃう?」

オレンジ色のザクとオレンジ色のショルダーパーツを付けたザクの部隊は次々とウィンダムを撃ち落してゆく。
「いいからここは俺達に任せて補給をして来い!戦闘はまだ終わっちゃいない」
「了解した」
「了~解♪後は頼んだぜ」
イザークとディアッカはそう言うとひとまず母艦へ向け機体を発進させた。

「さあ連合の野郎ども、かかってきやがれ!」
ウィンダム部隊の迎撃を終えたハイネの部隊が連合の艦隊へ突撃する。
特にハイネのオレンジ色をしたのザクは迎撃のミサイルを掻い潜り、次々と戦艦にビームを撃ち込んでゆく。
こうして徐々にではあるが、ザフト側が持ち直しつつあった。

現状で、連合・ザフトのパイロット能力を含めた戦力はほぼ互角であったといえよう。
だが、そうした戦況を一気に変化させる兵器が潜んでいた連合の艦隊から放たれた。
その情報は、評議会、ヴェステンフルス隊、母艦で補給を行なうイザーク達にも届けられた。

「核部隊だと!?」
「はい!哨戒のMSからの情報です。完全に死角を突かれています」
デュランダルは少し考え、手元の通信装置を操作する。
「どうやら君達の力を借りることになりそうだ」
「オッケー、その代わり報酬ははずんでよ?」
「俺は金塊で頼むぜ」
「わかった。仕事に見合ったものは用意しておこう」

デュランダルが通信を切り、2機の機体が出撃していく。
「おいロアビィ、その飛行機の慣らしは済んだのかよ」
「まあね。調整に手間取ったみたいだけど、レオパルドにはデータがあったからなんとか」
「まあいいや、俺が先行するから、お前は撃ち漏らしを頼むぜ」

発進した蒼いMAが、連合の核攻撃部隊へと突撃してゆく。
「オラオラオラオラ!」
蒼いMAは機体を旋回させながらビームを発射し、核ミサイルを叩き落してゆく。
「おのれ、ザフトめ。今度こそ青き正常なる世界のために!」
核部隊の護衛機であろうウィンダム数機が蒼いMAに向かってゆく。
すると、MAは変形してMSへと姿を変えて、両の腕の手にあるバスターライフルでウィンダムを撃墜する。
「空の王者の名は伊達じゃねぇんだよ!」
蒼いMSのパイロット、ウィッツが咆哮する。
核攻撃部隊は肩に核ミサイルを搭載した大型のユニットを付けているため、動きが鈍く、
次々とエアマスターの餌食となり、宇宙に輝く光と姿を変えていく。

その後方では両腕にガトリングガンを装着し、サポート用の航空機、Gファルコンとドッキングした
黒みがかった赤色のMSが、飛んでくるミサイルを叩き落してゆく。
「悪ぃ!そっちにまとめて抜けてった!」
「大丈夫、大丈夫、復活したレオパルドの力、とくとご覧に入れましょう」
エアマスターが撃ち漏らした核攻撃部隊とその護衛機がレオパルドへ向かってゆく。
だが、レオパルドは動じずに両腕のガトリングガンを放ちながら、胸や足からミサイルを撃つ。
それでもなお放たれる核ミサイルも、レオパルドから矢のように降り注ぐ拡散ビームで撃ち落されてゆく。
「さっすが、デストロイっていうだけあるねぇ」
ロアビィが笑みを浮かべる。
そして、その凄まじい機動力で連合の艦の懐に飛び込んだエアマスターが1つ、また1つとブリッジにライフルを打ち込んでいった。
奥の手であった隠れ艦隊と核攻撃部隊を失った連合側の士気はみるみるうちに低下していき、
やがて、閃光弾が上がり、連合の部隊は撤退していく。

「ようし、奴ら撤退していくぜ。
 なんてったってガロードの奴ばっかりにいいカッコはさせてらんねえからな」
「じゃあ、お仕事完了だね。早く戻って、みんなとお茶しないと」
「おぅお前達、助かったぜ!さすが議長の隠し玉だけあるな」
「ハイネか、おめえも随分な活躍じゃねえか」

ウィッツとロアビィは気付いたら、宇宙にいた。
そこを、警戒任務に当たっていたハイネに発見され、
取調べを受けた後、MSの腕を買われて、そのままザフトに雇われることになっていたのである。
そんな中で、彼らはガロードがツインサテライトキャノンでユニウスセブンを吹き飛ばしたことを知ったが、
デュランダルが、オーブにいるガロード達と接触できるよう取り計らうことを条件にプラントにとどまっている。

そして、デュランダルの下には一機の戦闘機があった。
その機体はウィッツ達がハイネに発見される前にザフトに発見されたものであったが、
これもウィッツやロアビィ達の機体同様、別世界に技術で作られていることが判明していた上、
そのデータにエアマスターやレオパルドのデータが残されていたことも、
ウィッツ達がデュランダルに雇われる理由の1つとなったことは言うまでもない。

その数日後、オーブのアレックス・ディノとしてプラントに到着していたアスランは、
イザーク、ディアッカと共に郊外にある墓地にいた。

デュランダルにユウナから渡された親書を手渡したアスランは、デュランダルに案内され、
セカンドシリーズ最後の機体であるセイバーを見せられていたのだが、ザフトに戻るべきか彼は迷っていた。
ユウナの提案に乗りオーブで生きるか、カガリを説得してプラントで暮らすか、
それともこのままザフトへ戻り、カガリとは別の道を歩むべきか。
自覚はないものの、従来から周囲に流されやすく、優柔不断なアスランにその答えを出すことは困難であった。
そんな中、プラントへ来たのだから、亡くした戦友の墓参りをすべく外出依頼を出したら、
そこに監視兼護衛として現れたのがイザークとディアッカだったのである。

ニコル・アマルフィと刻まれた墓石に花を沿え、黙祷を捧げる。
ユニウスセブン破砕作業を行なう自分達を襲ってきたテロリストが言っていた台詞、

「なぜ気付かぬか!?我らコーディネーターにとって、パトリック・ザラの取った道が
 唯一正しきものであると」

この言葉はアスランの心に深く突き刺さる楔となっていた。
そこに黙祷を捧げていたイザークが口を開く。
「戻って来い、アスラン。俺が何とかしてやる」
「イザーク…」
「デュランダル議長はザフトを裏切った俺達を必死に弁護してくれた。
 議長がいなければ、今俺はここにはいるまい」
そこにディアッカが軽口で場を和ませようとする。
「ま、俺は緑に降格されちまったけどな」

「この先、連合との戦いはきっと激化していく。ザフトにはアスラン・ザラという力が必要なんだ。
 もう一度言う、アスラン、戻って来い」
「欲しいのは俺の力という訳か…」
「馬鹿者!貴様、いったい何が気に食わないというのだ!?
 俺達は仲間だろうが!仲間に戻って来いと言ったらいかんのか!?」
「落ち着けよ、イザーク。でもな、アスラン、お前がニコルのことを思うんだったら、やるべきことは1つなんじゃないのか?」
「ディアッカ…」

アスランが、ラクス・クラインの偽者、ミーア・キャンベルといるデュランダルの下へ行き、
強い決意の下、セイバーを受領して、地上へ出発したのはその2日後のことである。
だが、地上でアスランが得た、自分が不在の間の情報を聞き、彼の心はまた大きく揺れ動くことになる。

アスランがセイバーを受領して地球へ向け発進した頃、エアマスターに乗ったウィッツも地上へ来ていた。
デュランダルの使者として、彼からユウナあての親書を携えてオーブに向かっていたのである。
事前に連絡を受けていた迎えのオーブ軍に誘導され、入国したウィッツはそのまま行政府へと案内された。
彼が身に纏っているのはザフトの赤服であった。その襟には信頼を示す証が輝いている。
やがてウィッツがいる部屋にユウナがやって来た。

「特務隊フェイス所属のウィッツ・スーです。議長からの親書をお届けにあがりました」
「オーブ首長国代表代行のユウナ・ロマ・セイランです。この度は遠路はるばる御苦労さまでした。
 確かに、議長からの親書、受領いたしました。本日はお疲れでしょうが…」
ユウナがそう言い掛けたとき、プププと笑いを抑える声がどこからか響いてくる。
「な、なんだ!?」
「あはははははは!もう駄目、おかしくて我慢してらんないぃ!」
部屋にある机の下からトニヤが出て来た。
「げぇ!てめえなんてとこにいやがる!?」
「いやいやなかなか様になっているぞ、ウィッツ」
カーテンの陰からシンゴが出てくる。
「お前ら、一体どうして?」

ウィッツがそう言うと、部屋の扉が開き、ジャミルが入ってきた。
「ユウナ殿から連絡があってな。プラントから、『ダブルエックスの関係者を使いに出す』との連絡があったと聞いて、
 誰が来るかと待っていたんだが、エアマスターの姿が見えて、みんなが、な」
「ったく人が悪ぃぜ。俺だって本当はこんな肩がこる服なんざ着たくねーんだよ。
 でもデュランダルのオッサンとの契約がまだ残ってるから仕方なくだなぁ…
 っててめえらいつまで笑ってやがる!」

「じゃあ、僕はこの辺で失礼します。キャプテンジャミル、あとはごゆっくり話に花を咲かせて下さい」
そう言うと、ユウナは部屋を後にする。
デュランダルからの手紙を読んだ彼はその後、急遽閣議を開いたのである。
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