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第7話「炎のMS乗り、ガロード・ラン様の登場だぜ」

会場の外までカガリを連れ出したガロードだったが、フリーダムはそれを確認し追ってくる。
「カガリ…どうして逃げるんだ!」
キラはコックピットの中で呟く。

他方、ガロードはフリーダムが負ってくるのを確認すると、周囲で「足」になりそうな物を探していた。
そして、その視線の先の車の中に、その男達はいた。

「あ!トラックのオッサン!ちょうどよかった、俺達を乗っけてくれ!」
「あ、この前の…ってお前が連れてるのって!」
「いいから俺達をX30地点まで連れてってくれ!名刺にマイクロチップからMSまで運ぶって書いてあったろ!
 金ならいくらでもユウナさんが出してくれるから早く!」

ガロードの勢いに押されたノイマンは、反論することができずに車を発進させてしまった。
カガリはというと、少し状況を把握し始め、運転席と助手席にいる見覚えのある男達に気付く。
「あ!お前達!」
発進した車内でカガリが叫ぶ。
「「やぁ、どうもお久しぶり」」
ノイマンとチャンドラが口をそろえて返事をする。
「一体こんなところで何をしてるんだよ!」
「いや、ただの運び屋ですよ。今日は式典帰りの客を見越してタクシー営業ですけど」
チャンドラが苦笑いをしながら言う。
「おい!フリーダムが追って来るぞ!どうすんだ!?」
ノイマンが叫ぶ。
「どうするっつったって、こんなとこであいつに捕まったら俺たちも犯人にされちまうだろ!
 しょうがないから言われたとおり、とにかくいわれたとこまで逃げるぞ。ナビは俺がやる!」
そう言ってチャンドラはダッシュボードからパソコンを取り出して操作を始める。

そんなやりとりに少しあっけに取られたガロードがカガリに問いかける。
「あの…知り合い?」
「まぁそんなところだ」

4人の乗った車は猛スピードで道を走り続ける。
「あの車…すばしっこい!」
キラは苦々しく吐き捨てる。さすがに一般車両相手に火気を使うことはできないので、手で捕まえるしかない。
フリーダムがしきりに車を捕まえようと手を伸ばしてくるが、車はなんとかそれをすり抜けて進んでいく。

「おい、市街地を通って行け。あそこならMSがおいそれと動き回ることは出来ない!」
「了解!」
車内では2人の怒号が響き渡り、車は急に方向転換し、市街地へと入る。
「市街地に逃げるの!?それじゃあよく動けないじゃないか!」
キラはフリーダムの高度を取り、一旦、車から離れることにした。
「右!次の角を左に曲がって信号3つ分直進!」
チャンドラの指示に従うように車は角を小刻みに曲がりながら進んでいく。
やがて、車は市街地を抜けて、ダブルエックスが隠してある地点へと近づいてきた。
「ようしあとはまっすぐ…」
チャンドラが少し息をついた。

そのとき、頭上からフリーダムが再び現れた。
「これなら…当たれぇ!」
フリーダムの指からトリモチ弾が何発も発射され、進行方向にトリモチが広がっていく。
「避けろ、ノイマン!」
チャンドラが叫ぶが、目の前一面に張り巡らされたトリモチの範囲は広かった。
「間に合わねぇ!脱出しろ!」

ガロードの叫びと同時に4人は、車からとっさに飛び降り、トリモチに突っ込んだ車は、
急停車して、さらに発射されたトリモチ弾に被弾してトリモチまみれになってしまう。
「ふぅ、ようやく止まった。まったく…」
咄嗟に脱出したときの衝撃で気を失っているカガリを確認したキラは、カガリを手に乗せて飛び去っていった。

「しまった!?」
意識を取り戻し、脱出の衝撃で、カガリの手を離してしまったことに気付いたガロードが叫ぶ。
それをあざ笑うかのようにフリーダムはもうカガリを手に乗せてどんどん離れていく。
「おい、お望みどおりの場所についたぞ」
ガロードの背後から、脱出していたノイマンが仰向けになりながら言うと、ガロードは辺りを見回す。
「…あった!」
ガロードは森の中に隠してあったダブルエックスを確認すると、
「サンキュー!タクシーのオッサン!なんかあんたとはあったのが2回目な気がしないぜ!」
と礼を言って、ダブルエックスに乗り込んで行ったのだった。

懐からGコンを取り出したガロードは、それを差し込み、ダブルエックスに火を入れる。
「ダブルエックス、行くぜ!」
ガロードの掛け声に呼応するかのようにデュアルアイが輝き、木々の中から背部に2門の砲塔を持つMSが現れた。
突如として森の中から現れたガンダムダブルエックスが飛び去っていくのを見てノイマンは呟いた。
「俺達、どうなんだろ…とりあえずスピード違反で免停は確実なんだけど…」
「いや、あのスピードじゃあ免許取消じゃね?商売あがったりだな」
「結局、アークエンジェルと行っても行かなくてもロクでもないことにはなる運命だったんだな…」
「カガリのお嬢ちゃんと一緒に連れて行かれなかっただけでもマシだろ」
「それは言うなよ…」
彼らは、トリモチまみれの車を見ながら、自分達の運の悪さをこのあと延々と嘆いていたとかいないとか。

キラは、少し離れた所で止まり、フリーダムの手に乗せていたカガリをコックピットに移していた。
「よし、あとはアークエンジェルに戻るだけだ」
だが、キラが一安心、とばかりに、呟いたとき、コックピットに警告音が鳴り響いた。
レーダーを見ると後ろから接近してくるMSの反応がある。
「追手!?ムラサメに僕が止められるわけ…いや違う、アンノウン?新型か」
キラが、MSが接近してくる方角を向く。

彼方から1機のMSが追跡してきていた。
「あれは…ガンダム?」
キラの視線の先には、頭部のセンサーとデュアルアイ、そして背中に巨大な砲塔を2つ付け、
ボディの中心部がエメラルドに輝くMSがいた。
「なんなんだ、この機体は!?」
キラの驚きを余所にそのMSはフリーダムの目の前で止まる。
そして、微妙な沈黙の後、そのMSのマイクを通して声が聞こえてきた。
「じゃんじゃじゃ~ん!炎のMS乗り、ガロード・ラン様の登場だぜ。カガリさんは返してもらうぜ、フリーダム!」

「ダブルエックス!?」
その言葉にキラは驚きを隠せなかった。
ユニウスセブンを消し去ったというMS、それが目の前にいる。
「おい、フリーダム!もう好き勝手にゃさせねぇぞ、さっさとカガリさんを返しやがれぇ!」
これを聞いたキラはダブルエックスから聞こえてくるに不快感を覚える。
「僕達の邪魔をしないでくれ!このままじゃ世界はまた大変なことになってしまうんだ!」
「オーブは連合なんかと同盟を結んだりしねぇよ!全部お前達の思い込みだ、だから投降しろ!」
「そんなこと誰が言ってるんだ!」
「ユウナさんが言ってた!今日はそれを発表するための式典だったんだぞ!」

ガロードの台詞にキラは、やっぱり、という顔を浮かべる。
「セイランが言ってることなんかどうして信じられるんだ!?これ以上邪魔をするなら僕は…」
「どうするってんだよ!それにどうしてもカガリさんを渡さないなら力づくでも返してもらうぜ!」

ダブルエックスがハイパービームサーベルを引き抜き、フリーダムに斬りかかった。
「くっ!早い!?」
キラはダブルエックスの予期せぬスピードに一瞬驚き、
即座にフリーダムの腰のサーベルを引き抜き、これを受け止める。
サーベルのエネルギーがぶつかり合い、両機体の間に火花が散る。
だが、サーベルの出力の差か、機体のパワーの差か、少しずつフリーダムが押されてゆく。

「な…フリーダムが押されてるの!?」
咄嗟にフリーダムは距離を離すべくダブルエックスを蹴りあげた。
これをダブルエックスはシールドで防ぐが、一瞬、動きが止まる。
その隙を狙って、フリーダムが連続でダブルエックスを斬りつけた。
しかし、ダブルエックスはその斬撃をサーベルで全て受け止めてしまう。

「確かに早ぇけど、動きが直線的なんだよ!」
フリーダムのサーベルを受け止めながら、今度はダブルエックスがフリーダムを蹴り上げ、フリーダムを吹き飛ばす。

「おかえしだぜぇ!」
再びダブルエックスがフリーダムに斬りかかる。
フリーダムはそれをシールドで受け止めるが、動きを止めた瞬間に、
ダブルエックスに蹴りつけられ、次の斬撃を受け止めた途端に今度は、
ダブルエックスのディフェンスプレートに頭部を殴りつけられて吹き飛ばされてしまった。

ガロードはユウナからフリーダムがこの世界で最強のMSの1つであり、
そのパイロットも最強のパイロットだと聞いていたが、正直、大したことはないと思っていた。
確かに、スピード、パワーはそれなりであるが、ガロードが戦ってきた敵―
伸縮自在な腕と巧みなコンビネーションで幾度となく自分をピンチに陥れてきたフロスト兄弟や
エスタルドで次々と襲ってきた、それぞれ奇抜なコンセプトの下に、
意表を付いて来て自分を苦しめた新型MS達―と比べて、動きが予想しやすかったのである。

「そんな・・・僕が押されてる?」
他方で、キラは焦っていた。相手の機体はフリーダムのパワーを上回っている、
この世界で間違いなくトップクラスの機体のはずであるフリーダムのパワーを。
しかもまるで動きがわかっていたかのように、自分の攻撃を受け止めてくる。
(本気でやるしかない)
そう決意したキラは、意識を集中させた。
頭の中が瞬時にクリアになり、ダブルエックスを見る。

再度、フリーダムが斬りかかる。
ダブルエックスはそれをサーベルで受け止めるが、その速さは先ほどまでとは明らかに違っていた。
「なっ!急に早くなりやがった!?」

今度は、ダブルエックスが、フリーダムの連続した斬撃に押される番になった。
なんとかサーベルとシールドで受け流すものの、先ほどまでとは別人のような動きをする
フリーダムの動きにガロードは戸惑っていた。
そして、フリーダムのサーベルを受け止めた次の瞬間、ガロードの全身に悪寒が走り、
フリーダムの両腰のクスフィアスが火を噴いた。
とっさにシールドを構えて機体への直撃は避けたが、ダブルエックスは大きく吹き飛ばされてしまう。
さらに追い討ちを掛けるように、今度は両肩のバラエーナから高エネルギーが発射されるが、
ダブルエックスは急上昇して何とかそれを回避する。
しかし、回避したバラエーナは市街地の方向に直撃してしまう。

「てめぇ!市街地の近くでなんてもんぶっ放しやがんだ!」
ガロードはフリーダムに怒鳴りつけるが、フリーダムはなおも斬撃を放ち、攻撃の手を休めない。
ガロードも負けじと斬撃を放つが、手数はフリーダムの方が多かった。
SEEDを発動させてからは相手は防戦一方なことからキラは内心、行ける!と思っていた。
しかし、少しずつ、少しずつ相手の手数が増えてきていることに気がついた。

「へへへ、ようやくてめぇの動きに慣れてきたぜ…」
ガロードがニヤリと笑う。
元々、ガロードの機体適応能力は高い。
手にして間もないガンダムエックスで、絶え間なく攻撃を仕掛けてくるヴァルチャー達を相手に長時間持ちこたえ、
ベルティゴのビット攻撃で大破し、武装を大きく変更したGXにも素早く適応して、
フロスト兄弟の兄、シャギア・フロストに重傷を負わせ、ベルティゴとの一騎打ちにも勝利した。
純粋な操縦技術こそ旧連邦のエースであるジャミルには及ばなくとも、
直面している状況に素早く対処するという意味での
サバイバビリティの高さは、ジャミルが認めるほどでもある。
ガロードはその能力を活かし、徐々にではあるが、キラの本気の攻撃に対応し始めていた。

「そろそろ反撃開始といくぜぇ!」
ブレストランチャーで牽制しながらダブルエックスがフリーダムに突撃する。
フリーダムはバラエーナで迎撃するが、ダブルエックスは再び急上昇してそれを回避する。
そして上空からフリーダムに向けサーベルを振り下ろす。

「上!?うわ!」
キラは上方を向き、それを受け止めようとするが、太陽の光がダブルエックスと重なり、
対処に遅れが生じた。

「くらいやがれぇぇ!」
ダブルエックスのハイパービームサーベルが、ラケルタビームサーベルごとフリーダムの腕を斬裂いた。

「フリーダムの腕が!?うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
次の瞬間、キラは気が動転してフリーダムのバラエーナとクスフィアスを乱射させる。
市街地を背にしたダブルエックスはフリーダムの突然の攻撃をなんとかディフェンスプレートで受け止めていたが、
フリーダムはその隙を突いて飛び去ってしまった。

一方、浮上してきたアークエンジェルは、オーブ領海の外へ向け移動しつつも、ムラサメ部隊の攻撃を受けていた。
次から次へと現れるムラサメがビームとミサイルの雨を降らせ、アークエンジェルを揺らす。
「今の状況は!?敵は何機なの!?」
「少し待ってください…」
「じゃあ被弾状況は!?」
「え、えーと…」
「早く!!」

アークエンジェルのブリッジでマリューの怒声が響く。
CICオペレーター席にはラクスが座っていたが、訓練など受けたことがない人間が、
いきなりの実戦でまともな働きが出来るはずがない。
ラクスは、マリューのから次々と求められる状況報告に対処しきれていなかったのである。

「艦長!これ以上喰らうとまずいぞ!」
「でもキラ君がまだ…」
「だが、このままだと沈む!」
操縦桿を握るバルトフェルドが叫ぶ。
「ミ、ミサイル接近、数15!迎撃間に合いませんわ!」
「回避ぃ!」
「ま、間に合わん!」
アークエンジェルに再び大きな衝撃が走る。
(くそ、やはり3人だけで、しかもこの量の相手は無理か…だがそれなら僕はどうしてこの艦を沈められなかった!?)
バルトフェルドは苦虫を潰したような表情を浮かべる。
そしてアークエンジェルに、GXが近づいてきた。
「アンノウンが一機接近してきますわ!」
「スレッジハマーで打ち落として」
「は、はい!」

接近するGXに向け、大量のミサイルが向かってくる。
だが、GXは携えた盾を構え、通称「ハモニカ砲」を放ってミサイルを叩き落す。
そして、展開したシールドディバイダーに再びビームの光が宿り、
アークエンジェルへビームの雨が降り注いだ。

ブリッジの機器がショートして、小さな爆発が起きる。
だが、これにとどまらず、CICの機械が新たな敵の接近を知らせる。
「ミ、ミネルバが接近してきます!さらにミネルバからMSが1機発進しました!」
既に言葉を取り繕う余裕をなくしたラクスの声がさらなる絶望的状況を告げる。
だが、そのとき、バルトフェルドの視線の先にフリーダムの姿が映る。
とっさにバルトフェルドはCIC席の通信機械の所へ移動し、声を張り上げる。
「キラ!アークエンジェルはもう持たない!ミネルバを黙らせて時間を稼いでくれ!」

通信機から聞こえてくるバルトフェルドの言葉に、キラは驚きを隠せない。
「アークエンジェルが…くそ!」
キラはフリーダムをミネルバに向ける。

「フリーダムが本艦に接近してきます」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「撃ち落せ!フリーダムを近づけさせるな!」
ミネルバのブリッジにメイリン、アーサー、タリアの声が響く。

その時、ミネルバに迫り来るフリーダムの目の前をビームライフルの光が通過した。
「ようやく見つけたぞ、フリーダム!!!」
ビームライフルを発射しながらインパルスがフリーダムに接近してくる。
だが、フリーダムはそれを簡単に回避し、さらに迫って来たインパルスを海面に向けて蹴り落とした。

そしてキラは再び機体をミネルバへ向ける。
「くっそぉぉぉ!!!」
シンは落下していくインパルスのコックピットの中で叫んでいた。
だが非常にも次の瞬間、フリーダムは青い翼を展開し、ハイマット・フルバーストの姿勢をとる。
そしてバラエーナ、クスフィアス、ルプスビームライフルが一斉に発射され、ミネルバを襲った。

計5つの同時攻撃によりミネルバの上部ではいくつかの爆発が起こる。
さらにフリーダムはバラエーナレールガンを打ち込みながら、
迎撃能力が弱ったミネルバの背後に回りこみ再びフリーダムの最大火力をミネルバに叩き込んだ。
2撃目のハイマットフルバーストはミネルバのメインスラスターを容赦なく破壊し、巨大な爆発とともに、
ミネルバが海面へと落下してゆく。

シンはその光景を、海底へ沈みながら目にしていた。
かつて大切な家族を殺し、飛び去って行ったMS、フリーダム。
インパルスという力を手にいれ、そしてようやく家族の仇を討つべくチャンスがやってきた。
それなのに、自分は一撃で海面に叩き落され、さらに、今度は大切な仲間達が乗ったミネルバが・・・
アカデミーで一緒だったヨウランにヴィーノ、メイリン、
お調子者で少し頼りないけど、いつも艦の中を明るい雰囲気にしてくれていたトライン副長、
怒るととても怖いがどこか優しさがあるグラディス艦長…

仲間達の顔が、父や母の顔が…そして、妹の顔が脳裏をよぎる。
「父さん、母さん、マユ………こんなところで、こんなところで俺はぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その時、シンは自分の中に隠されていた力、SEEDの力を初めて発動させたのであった。
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