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第1話「憎しみが落ちてきます」 ウナト主催の食事会に招かれた3人は、セイラン家の屋敷の応接室で会が始まるのをまっていたが、退屈さが我慢できなくなったガロードが口を開く。 「なぁ、ウナトって人はどんな奴なんだ?」 これに対してジャミルが答える。 「キサカ一佐の話ではこの国の代表代行を務めている人物で、この国の5大氏族の中の1つ、セイラン家の当主だそうだが、彼の口ぶりからするとウナト氏のことをよく思ってはいないようだ。  どうやらこの国のトップは一枚岩ではないようだな」 「ふーん…」 「ガロード、仮にも相手は国の代表代行なんだから失礼のないようにしなさい?」 サラが気のない返事をしたガロードに対して鋭い視線を向ける。 するとその時、白髭を蓄えた執事風の男が応接室に入ってきて、食事会の準備ができたことを告げる。 「では行くぞ」 そう呟いたジャミルにサラ、ガロードが続き、応接室を後にした。 「ようこそオーブへ。私がこの国の代表代行を務めておりますウナト・エマ・セイランです。 お話は色々伺っておりますが、本日は可能な限りのもてなしをさせていただきますので、  ごゆるりと料理を堪能なさってください」 かっ幅のいい、それでいて目にどことなく鈍い輝きを宿した老人が口を開く。 「ありがとうございます、ウナト代表代行。フリーデン艦長、ジャミル・ニートです」 そしてサラ、ガロードが続き、ウナトの横にいる青年が立ち上がる。 「ユウナ・ロマ・セイランです。今日は異界からの御客人を出迎えることが出来て光栄です。  できればいろいろなお話を聞かせていただければ幸いに思います」 ガロードはユウナを見て、エスタルドで出会った静かな王子をふと思い出しながら、(すっげーモミアゲ…どうやって手入れしてんだ?)などと内心呟いたりもしていた。 食事会は特段の問題なく進み、ガロードも横にいるサラの刺し殺すような視線のせいもあってか粗相をすることなく済んでいた。そして、食後のワインが各自のグラスに注がれたときユウナがガロードに話しかける。 「ガロード君は未成年だったね。僕もアルコールがあまり得意じゃないんだ。  とっておきのデザートが用意してあるからどうだい?」 「おっ、マジで!行く行く!」 こうしてユウナとガロードが席を立とうとしたとき、 「ガロード」 ジャミルがガロードを呼び止める。一瞬の沈黙の後、 「わ~かってるよ、失礼のないように、だろ」 とガロードがウィンクしながらジャミルの方を向き、部屋を出て行った。 (キャプテン) サラが小声で問いかける。 (大丈夫だ、ガロードだってあの時代を1人で生きていた人間だ。そうそうヘマはしまい) (まぁそうなんですけど…) こうして食事会は続いて行った… ユウナに案内された部屋でケーキにがっつきながらガロードがユウナに言う。 「俺をそこら辺のガキだと思って馬鹿にしてると痛い目みるぜ?」 ガロードもこれが罠なのではないかと強く疑っていた。 ユウナやウナトを見たとき、ガロードは何かの胡散臭さを嗅ぎ取っていたのである。 疑いと挑発の目を向けるガロードに対して、やれやれ、といった仕草をしながらユウナが言う。 「安心してくれよ。聞いたとは思うけど、この国は今、いろいろと面倒なんだ。  そちらが何かしてくるとかじゃなければ、僕らのほうから何かをするつもりはないよ。  君をこの部屋に呼んだのは、あの部屋じゃ君が横にいる阿修羅のような目をしたお姉様のせいで、 言いたいこともいえないんじゃないかと思ったからさ。  アルコールが苦手、というのは確かにフェイクだけど、君たちの世界の話が聞きたいというのは本当だよ。  これでも政治家の家の人間だからね。見聞を広げておきたい、というのが半分。  あとは、君自身が見たきたこと、してきたこと、というのは君があんな船に乗っていることから、 平凡な物とは到底思えないから、それに対する好奇心というのがもう半分」 ガロードはそれを聞いて、内心そんなに信用できるとは言えないが、しかし、 自分が今まで戦ってきた連中ほどは悪どくない、そんな風に思ったが、同時に、中々面白い人間だ、とも感じ、彼があの荒れ果てた世界で見てきたこと、してきたことを口にしていった。 「そいつはすごいじゃないか!つまり君はかなりの確立で当たる予言を覆したんだろ?」 ユウナはガロードの話に思わず喰い付き、夢中になってしまった。 「へっへ~。でもティファを狙うなんて考えるなよ?じゃないと俺、地獄の果てまであんたらを追っていくぜ?」 拳銃をバーン、と撃つ手振りを加えてガロードが笑みを浮かべながら言う。 「いやいや、いわば未来を変えてしまう男にケンカを売るつもりはないよ」 ユウナはそう言いながら、なぜこうも自分がガロードの話に引き寄せられるのかを考えた。 が、その脳裏に金色の髪の女性と、生え際が歳の割に危険な青い髪の青年の姿がよぎると思考をやめた。 だが、自分が引き寄せられる理由はすぐに考えついた。 それは、ガロードが、仲間の支えを受けながらも、努力の末に特殊な能力を持った人間に打ち勝ったこと、それを成し遂げえたのは一途に思い続けた女性がいたからに他ならなかった。 ユウナは、ガロードに、この世界においてナチュラルであり特別な力を持たない自分を重ねると同時に、気付かぬうちにではあるが、この少年の熱病をジャミルに次いで感染されていたのであった。 話はガロード、ユウナともにアルコールが入ったことも要因となって夜更けまで続いたが、ガロードの通信機越しに、サラの雷が落ちたため、また話の続きをすることを約して、ガロードはフリーデンへと帰っていった。 翌日の昼過ぎ、護衛数人を伴い、ユウナがフリーデンにやってきた。 格納庫のキッドからユウナの来訪を告げられたガロードは、渋るティファを半ば強引に伴い、ユウナを出迎えた。 「あぁ、こちらが君の大事なプリンセスかい。なかなかチャーミングじゃないか」 「おい、そんな直球を…ティファ、この人はユウナさんっていう、この国のお偉いさんの息子の人で…」 ティファがやや目を下にやり、警戒をしながらであるが会釈をした瞬間、その顔が突如として青ざめていく。 その表情に、よからぬ未来が見えてしまったことを察したガロードがティファの両肩に手をやり尋ねる。 「どうしたんだティファ?一体何が見えたんだ…?」 「空から世界を滅ぼすかもしれないほどの憎しみが落ちてきます…」 ティファが言葉をなんとかひねりだし終えた時、ユウナの携帯電話が音を立てて震えた。 「僕だ、どうした?……え、何だって!?ユニウスセブンが?」 ティファが未来を予知し、その直後のユウナの慌て方にガロードは大きな不安を感じた。 「な、なぁユウナさん、一体どうしたんだよ、ユニウスセブンって?」 かくしてガロード達は異世界の流れに徐々に、徐々に巻き込まれていくこととなっていくのであった。

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