関東ニヒツで爆発事故が起こる前のこと……
 
関東地方の山中で、とある未知の鉱物が発見される。
七色に変遷するその鉱石は『エーテルスフィア』と名付けられた。
研究を進める内に、驚くべき効果が明らかとなる。
このエーテルスフィアは、“ある人間”の意志を具現化する性質を有しており、
あらゆる事象を可能とする正に『神の力』を秘めていた。
その人物こそ、エーテルスフィアに初めて接触した人物、
文月輝子(ふづき・ひかるこ)博士だった。
スフィアは“生きた鉱物”であり、
自らの意志を持ち、人間とコミュニケーションを取る事もできた。
スフィアは初めて接触した意志を“親”として、その意志に応える性質を持っていた。
裏を返せば、輝子以外の命令は一切受け付けないということだ。
 
一方、日本政府を影で支配する汎人類開発機関『ヒメーレ』は
エーテルスフィアを利用して、世界の仕組みを掌握し、意のままに操ろうとした。
だが、文月博士はその命令を拒絶。『ヒメーレ』は彼女を洗脳してでも
言うことを聞かせようと刺客を差し向けるが、手違いで殺してしまう。
その瞬間、“親”の死が引き金となって、エーテルスフィアが暴走。
瀕死の輝子を取り込んだ後、“怒り”と“悲しみ”のパワーによって、
未来都市全土を巻き込む大爆発を引き起こす。
その悲しみに耐え切れず、スフィアもまた粉々に砕け散った。
それが、『虚無都市』誕生の切欠となった爆発事故の真実である。
 
砕け散り、ナノレベルにまで分解されたスフィアの欠片は、関東地方全土に広がる。
このスフィアの欠片こそが『エーテルメタル』であり、
“虚無都市”を中心とする関東地方全域に『エーテルフィールド』と呼ばれる領域を形成する。
壊れたのはスフィア本体だけではない。
スフィアに宿る精神もまたバラバラになって関東全土に散らばった。
“精神”を宿した特殊な欠片を取り込んだ人間は、
スフィアの親となった輝子のように、エーテルメタルを操る能力を得る。
これが『エーテリスト』の成り立ちである。
 
エーテルメタルの濃度は、爆心地ほど大きく、より多くのエーテリストが誕生した。
だが、爆心地には輝子を殺されたスフィアの怒りと怨念が渦巻いており、
瘴気となって人間の身体を蝕むようになる。
 
そして……砕け散った欠片の中には、
輝子の息子であるエーテルスフィアの本来の意志を宿した欠片が存在していた。
それはエーテルメタルの“核”と言うべきものであり、エーテルメタルの司令塔たる欠片だった。
その“核”が宿った少年……それが、姫星織兎だった。
彼は、全てのエーテルメタルを意のままに操る
『神の子』としての資質を備わっていた。
 
それから、エーテルメタルの研究開発を進めていたヒメーレは、
エーテルスフィアが姫星織兎のもとにあることを知る。

彼を捕らえれば、地上全てのエーテルメタルを意のままに操れる。

やりようによっては、全ての兵器を無力化させることも可能……

かつて頓挫した計画を成就させるべく、
『ヒメーレ』は直轄機関であるベスティエに、姫星織兎の捕獲を命じる。
 
ベスティエ局長の塞神愁醒は、この命令を受諾しながらもある行動に移る。
彼はベスティエに所属しながらも、ヒメーレの暴走を止めたいという意志を持っていた。
彼は本来存在しないはずのナンバーⅨ、流冬刹夜に
姫星織兎を影ながら護衛することを命じる。
 
蝦蟇渕眩蔵の計略によって、刹夜の命と引き換えにベスティエに捕らわれる織兎。
空中戦艦ヴァンダーファルケに拘束されるも、
刹夜・朱桃、そして金で織兎たちに寝返った蝋骸に救出される。
 

 

そんな出来事を経て、絆を強めていく織兎と刹夜だったが、

愁醒の目論見もまた、織兎を利用して世界を意のままにコントロールすることにあった。

老害ではなく、真に優れた指導者によって世界を導くこと……それが彼の大義なのだ。
そして、愁醒はヒメーレ上層部も知らぬある情報を握っていた。
 
姫星織兎に存在するエーテルスフィアは、その半身でしかなかった。
もう一つのスフィアは、流冬刹夜に埋め込まれていたのだ。
愁醒の狙いは、彼ら二人を共に戦わせることで
二つのスフィアを共鳴させ、その力を覚醒させることだった。
 
やがて、刹夜が敵だった事実を知り、織兎の悲しみが膨れ上がった時、

彼の中のスフィアが暴走を始める。

このままでは暴走したスフィアによって器である織兎が壊されてしまう。

刹夜はそれを止めるべく、織兎のスフィアを取り込み、自らのスフィアと融合させる。
織兎はスフィアを失い、ただのエーテリスト能力者となる。
 
ついに完全なエーテルスフィアの核を宿した刹夜を手中に収めた愁醒。
彼は六波羅道鶴と協力してヒメーレに反旗を翻し、<九つの頭>を初めとする上層部を葬り去る。
 
織兎は刹夜を取り返すため、不知火蝋骸と共に、

『ヒメーレ』の真の本拠地、虚無都市の中心部・エーテルスフィア研究施設跡へと向かう。

彩蓮寺瑪瑙や詩宮霧氷らも、その動きをバックアップする。

 
ヨーゼフ=氷影が新たに開発した技術を使い、
刹夜からスフィアを抽出し、自らに移植しようとする愁醒だったが、
ここで六波羅道鶴が裏切り、基地の機能を麻痺させる。
乗り込んできた織兎たちと交戦せざるを得なくなる愁醒。
織兎はその途中で刹夜を救出し、互いの絆を確かめ合う。
そしてついに二人の力を合わせて愁醒を打ち倒す。
 
一方、道鶴はすでに刹夜からスフィアの核を抜き取った後だった。
彼はエーテルスフィアの力を取り込み、神にも等しい力を得る。
彼は己が安心して暮らしたいという欲望の為に、
敵対しうる勢力を全て滅ぼし、全人類を奴隷に変えようとしていた。
 
だが、全てが終わったわけではない。
これまで影ながら織兎を助けてきた恋風朱桃の正体は、
死ぬ間際にエーテルスフィアが取り込んだ輝子の意志だった。
彼女自身も、己の正体を知ることはなく、ただ内なる本能に従って動いていた。
 
虚無都市の中心部に戻ったことで、朱桃は自らの正体と使命を思い出す。
彼女は織兎と刹夜に六波羅道鶴の支配を拒絶し、対抗する力を与える。
それは、死ぬ間際まで続いていた、輝子の切なる“祈り”だった。
最終進化を果たすルフト・シュピーゲルングとクヴェックズィルバー。
二体は六波羅道鶴の操る最強のエーテルフィギュア、
タウゼント・クラーニヒに最後の戦いを挑む。
 
激戦の末、崩れ落ちるタウゼント・クラーニヒ。
道鶴は不知火蝋骸にトドメを刺される。
排出されたエーテルスフィアは、朱桃が取り込み、
母である輝子の意志と共に安らかな眠りにつくことになる。
 
彼らは新たなる未来に向かって歩き出すのだった……
 
 

END