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唐突に一つ反応が消えた。

「は?」

こちらが優位に立っている・・・とは感じていたが、
まさか、攻撃を始める前に目標の数が減じるとは思わなかった。

「隊長・・・これは一体・・・」

部下も、この状況に戸惑いを隠せないようだ。
いや、むしろ戸惑わない理由がない。

「仲間割れ?」
「「それだっ!!」」



「あわわ・・・やっちまった・・・」
「だいじょーぶ・・・いてもいなくても結果は変わらない」
「全く、安心できねぃよっ!?」
「・・・・・・弾除けは、貴方の役目?」
「おいこらぁっ!?」


どうやら、自分の陣営は劣勢となっているらしい。
というか、戦端を開いていないのに、撃墜されているとかどういう手品だろう。
『すみません、こんな状況なのに受けてもらえるなんて・・・』
「まぁ、払うもん払ってもらえば仕事はしますよ」
『・・・・・・明らかに負け試合ですよ?』
スポンサーが弱気になっている時点で終わってるな・・・この企業。
まぁ、吹っかける側にしてみれば嬉しい限りだけど。
「んじゃ、勝てたら追加報酬貰っていいかい?」
『え?』
いや、なんでそこで何言ってんのこの人みたいな顔するかな。


「一発撃ったら、十倍になって返ってくるとか、世の中間違っているだろ・・・」
「ぱわーいずまねー」
「やかましいっ!! どうせ、俺らは貧乏部隊だよっ!?」
「ぱわーいずてくのろじー」
「意味不明だー!!」
「だいじょーぶ。奇跡は起こすもの」
「話に脈略がなさすぎるっ!?」
「神よー私を助けたまへー」
「お前だけかよっ!?」
そんな台詞と同時に敵機が弾丸に貫かれた。
「・・・・・・・・・神?」


「隊長、ハンスがやられた」
「くっ・・・一体どこから?」
「射角から考えると・・・空?」
「・・・飛行型がいるなんて聞いて無いぞ」
「なら、あれですよ・・・切り札枠(ワイルドカード)」
「貧乏企業が無茶しやがって・・・」


第一条『稼げる時に稼げ!』


企業間の代理戦において、単純に技術力を競うという形であれば、
統治企業の数は少なく、小競り合いの回数も減る状況となったであろう。
しかし、現状は、平時にあった国家の数よりも多い企業が残り、
境界線上においての小競り合いは常に発生するほどの乱立具合であった。
その要因となっている理由の一つが、

“切り札枠(ワイルドカード)”

と、呼ばれる制度である。

この制度のひとつは、“個人兵器を所有する腕利きの傭兵を特別報酬を払って雇う”
という企業としての技術力ではなく、金の力を大きく影響させるまさに切り札(ジョーカー)であった。

通常の傭兵は、企業から提供された兵器で、代理戦を行なうが、
その場合、企業の規模であらかた勝敗の行方は決定されてしまう。
しかし、この制度によって、軍事部門に力を入れられない企業や、
規模の小さい企業が勝ちを拾うという、番狂わせが多く発生、
本来であれば駆逐されるはず企業も細々とではあるが、
生きながらえる結果となっていた。


「ま、技術を競う分野は軍事兵器だけじゃないしな」
そんな切り札の一枚である“天槻 空(あまつき そら)”という名の傭兵は、
人型兵器の両手に構えさせた回転弾倉(リボルバー)タイプの拳銃から空薬莢を排出する。

こんな世の中になった以上、軍事企業が世界の中心という思考が大半の世論を占める。
しかし、企業の売上・利益といった視点で見れば人が生活するために必要となる製品を
扱った分野を抑えている企業の方が高くなる。
それと合わせて、軍事力を前面に押し出す企業は統治される側、
すなわち、一般の人からすれば力による恐怖の対象でもあった。


「おー、神つえー」
「空、飛んでるしな」
「・・・・・・・・・あれ、知ってる?」
「切り札枠の情報なら、データベース探せば・・・ほら、出た」


初撃(ファーストアタック)がうまくいったのは、あくまで自分の位置が把握されていなかったからだ。
「こっちが見つかる前に、落としておきたかったんだがなぁ」
見つかってしまった以上、遮蔽物の無い空中にいては的でしかない。
現に対空砲火に晒されて、割と危機的状況である。