私はあの人を愛した…

けれど…

私を縛り付ける鎖が消えない限り…

私はあの方の元へ戻る事は出来ない…


=悲愛=


まだ、Zアースの侵攻が続いている頃…

私はとある街に足を伸ばしていた…

NEOアースでの失態を咎められた為に前線から外されたのだ…

街の上にある展望広場に向かう途中で…

私はあの人に再会してしまった…


「ロイファさん…何故貴方が…」
『…陛下』
「その名で呼ぶのは止めてください……私にはその資格などないのだから…」
『ヴォール様…貴方を探しておりました……例えマスターの命に逆らおうとも…』
「マスター…まさか貴方も!」
『はい、貴方と同じく私も…血の洗礼を受けました…』
「そんな……私は貴方にまでそんな事になって欲しくなかったのに…」
『ヴォール様…これは私自身が決めた事…貴方が責めることではありません…』
「ですが…!」
『貴方を救いたかったのです……貴方を愛しているからこそ!』
「っ…!」
『ヴォール様、無礼を承知で申し訳ありません…ですが…これが私の想いです……』
「ロイファさん……私も………貴方の事を…」
『ヴォール様…』
「……愛しています」
『ヴォール様……』
「ですが、私はまだ貴方の元へ戻る事が出来ません……」
『分かっております……』
「…せめてこの想いだけでも……貴方が刻んでくださいますか?」
『解りました…我が愛する人よ…』


私はこの街であの人の全身全霊の想いを受け止めた…

強く抱きしめられ…

その腕から離したくない事が伝わってくる…

私達のこの愛は誰からも祝福されないだろう…

神も許すはずないだろう…

敵味方と別れ…

そして互いの眼を避けて…

私はあの人と会う様になった…

けれども…


「うっ…はっ」


水の音が響く洗面台で吐き気を催した…

ここ数日の間に急な吐き気と怠さ…

そして確信した…

あの人の子供を宿したのだと…

=終=