AQUEARIUM ストーリー3


龍宮国編



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アトランティス大陸の東方、ムー大陸との境にある島国・龍宮国。
その元首である当代の乙姫こと、龍宮 瑞姫の屋敷に、一人の客人が流れ着いていた。

マリアナ「この梅干しって奴が食べられるなら、一生ここにいてもいいぜ……」

水色の髪をしたマリアナという名の少女は、かつて三角地帯でジョーズと呼ばれた少女と同一人物だった。
マリアナが客人として迎えられたのは、初めて会った日、瑞姫を狙った暗殺者を撃退したからだった。
対馬 汐も、マリアナと共に二度と帰らぬと誓った故郷に流れ着いていた。

龍宮国は現在、帝国、MUの双方から同盟という名の併合を迫られ、内部では降伏派と独立派が論争を続け、今にも内紛が勃発しかねなかった。

以前なら、二国の要求を跳ね退けることは出来た。
しかし、セカンド・シュトローム以降、状況は一変。小国の龍宮国が、深界魚から国を守ることが、難しくなって来ていた。瑞姫は、乙姫として、未だどちらの道を選ぶべきか決められずにいた。

そんな中、降伏を呼びかける交渉のため、帝国の船団が龍宮国を訪れる。
その中には、ハンス・ベーリング直属の独立特務部隊となった、クリムゾン・ロブスター号の姿もあった。


アドリアは、ベーリングの提案を受け入れた。龍宮国を訪れたのは、この地でソロモンと思しき勢力が暗躍しているという情報を掴んだためだ。

ベーリング「ソロモン・ブルーウォーター、彼は確かに、人類史に偉業をなす天才だろうね。出来れば、私の生きている時代の前か後に生まれて欲しかったものだよ。革新の時代というものは、常に嵐が吹き荒れる。従来の価値や権勢が、根こそぎひっくり返りかねない程の。そうなると困るんだよね。私みたいな普通の権力者は。だから、彼には一刻も早く死んで欲しい。そう。君に与える任務は、ソロモン・ブルーウォーターの抹殺だ」


調査の結果、乙姫暗殺事件を起こしたのは、帝国への恭順になびく瑞姫を嫌う、独立派の仕業に思われた。
中でも、瑞姫の伯母、琉姫は二度に渡り乙姫の座を逃したことで瑞姫を恨んでいると囁かれており、最大の容疑者と目されていた。

誰が犯人か分からぬまま、帝国との交渉は続く。
それから程無くして帝国軍が独立派を思しき部隊に奇襲される事件が起こる。
一方、琉姫の自室からはMUとの密約を交わした文書が見つかり、
事態は龍宮国のお家騒動に留まらず、最悪二大国の全面戦争に発展しかねない危機に陥る。

しかし、アドリアは一連の事件に不可解なものを感じていた。
彼女は琉姫と瑞姫、帝国とMUを争わせ、目的を遂げようとする勢力の存在を察知、マリアナや汐、泥隠衆とも協力し、ついにその正体を掴む。

黒幕は龍宮国の重鎮、荒巻 圭十郎
帝国との戦いが原因で妻子を失った彼は、平静を装いながらもずっと怨みを晴らす時を狙っていたのだ。
また、彼らの背後にいたのは、龍宮国を利用して戦争を起こさんとする、ソロモン・ブルーウォーターの一団『水族館(アクアリウム)』だった。
彼らが決起すれば、帝国とMUとの戦争に発展し、大勢の人間が死ぬ。
アドリアは、瑞姫と話し、事を起こす前に彼らを叩くよう強く進言する。

一方、帝国の船団に、ソロモンが呼び出した深界魚の群れが襲い掛かっていた。
圭十郎はこの機に乗じて仕掛けるに違いない。
もはや時間の猶予はないと悟った瑞姫は、自らの同胞を殺す決断を下す。

ロブスター号の面々はアクアリウムの対処に、圭十郎と独立派は、汐と泥隠衆が叩くことになる。
一方、瑞姫はマリアナを、乙姫以外立ち入りを許されない宝物庫に招き入れる。そこにあったのは、一機のFF、龍宮国に伝わる神器タツノオトヒメだった。
セカンド・シュトローム以降、このタツノオトヒメから何か呼び掛ける声のようなものを聞いたこと、その波長が、マリアナの発する気配によく似ていると話す。

貴女ならば、もしかしたら……

何でもいい、ソロモンを、兄貴(ヤツ)と戦える力があるなら……!

タツノオトヒメに乗り込むマリアナ。機体から生命の息吹を感じ取ったマリアナは、自らとタツノオトヒメを同調させ、起動に成功する。蒼天(うみ)へと飛翔するタツノオトヒメ。
最初は独特の乗り心地に戸惑うものの、タツノオトヒメが生き物であると理解した後は、その性能をフルに引き出し、成体深界魚三体を瞬時に撃破する驚異的なポテンシャルを見せ付ける。
そして、遂に正面から対峙する兄と妹。


一方、泥隠衆は過激派を壊滅させつつあった。
彼らは内通者を装い、過激派に潜り込み、その動向を探っていたのだ。
汐は荒巻と剣客同士、一対一の死闘を演じる。辛くも勝利する汐。
乙姫の忠義と復讐心の間で揺れ、結果憎しみに身を任せ、乙姫を裏切ってしまった荒巻は、本能に身を委ねることの虚しさと恐ろしさを説き、自分のようになるなと言い残し、逝く。

龍宮国の空で激突するタツノオトヒメとグランジャチ
ソロモンは、自分が作り出す深世界では、深人類であるマリアナは生き残れると言い、自分の下に来るように促す。
しかし、ロッソ団に瑞姫と多くの仲間が出来た今のマリアナは、自分だけが生きて行ければいいと思っていたジョーズでは無くなっていた。


マリアナ「楽しかったんだ……ロッソ団の奴らといた時も、瑞姫ん家にいた時も。もう戻らないと分かっていても、それでも、暖かかったあの頃に戻れたみたいで、楽しかったんだよ!それなのに、あんたはまたあたしから奪おうってのか……?許さねぇ、許さねぇ!もう二度と、あたしの居場所は奪わせねぇぞ!ソロモン!!」


怒りと共に兄を拒絶し、タツノオトヒメの切り札、 ワダツミノハゴロモ を起動させる。ソロモンもMODE:BLUEで迎え撃つが、両者の力は互角で勝負がつかない。
そんな中、ソロモンは深界魚を瑞姫のいる龍宮城にけしかけ、マリアナがそちらに向かった隙に一目散に逃げ出す。
ソロモンが残した帆船級の深界魚、アノマロガレオンも、クリムゾン・ロブスター号の新兵器、ギガストリームカノンにより破壊されるのだった。

こうして、龍宮国での争乱は終わりを告げた。
混迷を極める世界で、大国の傘無しで国を守ることは難しいと痛感した瑞姫は、龍宮国を帝国領にすることを受け入れる。
当然国内からは反対の声が多く上がったが、過激派の大半が先程の乱で倒れていたため、大きな混乱は起こらなかった。
荒巻はこれを見越して、あえて分かりやすい反乱を起こしたのでは……今となっては分からぬことだった。

国を終わらせた責任を取り、瑞姫は乙姫の座を退く。後任には琉姫が収まることとなった。瑞姫は、自分に厳しくする琉姫を最初から信じていた。

瑞姫「私は今日から、ただの漬物好きの18歳です!」

龍宮国は戦わずして帝国の軍門に降った。しかし、民の命は守られ、犠牲は最小限で済んだ。国は無くなっても、ひとまずの平和は守られたのだ。
例え敗北しても、全てを失わなければ、また新しい道を歩むことが出来る。自らの経験を合わせ、そのことを強く実感したアドリアは、 敗者が泣かなくて済む世界 を創りたいと言う野望をティレニアに語る。

アドリア「どうあろうとも、世の中から争いや勝敗は消し去れない。でも、例え負けたとしても、支えがあれば生きていける。かつての私がそうだったように。地を這ったとしても、野垂れ死ぬことはない。そんな世界を、私は創りたい。『敗者が泣かずに済む世界』、それが、私の野望よ……!そのためには権力がいるわ。野望を実現する権力が!ベーリングを利用し、ソロモンを殺して、私は、私の野望を叶えてみせる!」


そのための権力を手にするため、ソロモン・ブルーウォーターを抹殺することを決意するのだった。
瑞姫はアドリア達に同行を申し出る。ソロモンという男から感じた、途方もない破滅のビジョン。彼の行動を阻止することが、世界の、ひいては龍宮国の平和を守ることに繋がる。それが、乙姫を退いた自分に出来る、国を守る方法だった。
乙姫の護衛として、灘 甲左衛門 亀國、左右賀姉妹も同行する。マリアナ、汐に、アラルの乗るホワイト・メルヴィル号、セレベスとカスピ・ルーテを加え、ここにSNB、 「ソロモン・ブルーウォーターのムカつくニヤケ面をぶん殴り隊」 が結成されるのだった。

ベーリングからの情報で、ソロモンの逃亡先を知った一行は、次なる目的地へと向かう。
それは、全ての因果の始まりの地。
ソロモン、マリアナ兄妹の故郷である、レムリア北海漣邦だった。


つづく……


ソロモン「昔から、冒険者の夢や浪漫は、変化を嫌うその他大勢によって潰されて来た。出る杭は打たれるもの。今もそれは変わらない。人間同士の戦いとは常に、変わることを望む者と、変わらぬことを望む者との戦いだ。ああ、だがぼくは君達を軽蔑しない。何故なら、最終的に世界の意志を決めるのは、結局その凡庸な大衆なのだから!どんな王も権力者も、社会のしがらみから自由であることなどできない!世界とはかくも強大で、息苦しいものなのだ!だからこそ、挑む価値がある!未知を恐れる全ての意志よ!大波となって、ぼくの下に押し寄せるがいい!ぼくはそれさえも切り裂いて、明日への希望を掴むだろう!あはははははは……ははははははははははは!!」