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御霊巫戰紀 用語集 霊能


霊能(れいのう)


霊能力者が使用する特殊能力の総称。


複合霊子(ふくごうれいし)


通常人間は、その「人間」の特性を帯びた霊子を宿しているが、
中には別の特性を持つ霊子が、重なり合う形で存在している場合がある。
これを 「複合霊子」 と呼び、霊能力や現象操作の根源とされている。

同じ、あるいは近似した性質を持った霊子は互いに 「共振」 し合う。
共振した霊子は「同じもの」と見なされ、
気体や液体などは、上位の大御霊によって統合するよう働きかけられる。
これによって、炎と炎、水と水が混ざり合う。

数多の生物が、同じ種族としかコミュニケーションを取れないのも
「共振」が影響しており、違う種族との間では霊子が異なるため、「共振」は起こらない。

複合霊子を持つ人間は、「人間」としての特性だけでなく、
重なり合った別の霊子の特性も帯びるため、
周辺にあるその霊子の特性を持つものに、共振を起こすことができる。

その際に、自らの意を込めた「人間」の霊子を対象に送り込み、
複合霊子へと変えることで、自然界はその対象を、
霊子を送った存在の延長と見做し、体の一部のように念じるだけで操作することができるようになる。
これが霊能力の基本原理の一つである。

内包する複合霊子の数が多いほど、そのものは強大な霊力を持つ。
複合霊子の割合が50%を越えた人間は、
大御霊に干渉する権限を取得し、御霊巫師になれるとされる。


降霊(こうれい)


自身の霊子を対象に送り込み、意のままに操作する。
この行為を 「降霊」 と呼び、総ての霊能の起点となる。
基本は、手で触れずに物を動かす程度の、文字通りの「操作」だが、
高度な霊能になれば降霊によって物質を変質、変成させたり、
簡単な命令を下し、ある程度自律行動させることもできるようになる。

なお、同じ人間に対しては降霊はできないとされている。
人間は、個体間の程度が大きいため、霊子の種類は一人一人違っている。
対象の霊子に宿る個を決定する要素が、異物を排除しようとするのだ。


精霊(スピリト)


自身の霊子を送り込み、変質・変成させた物体のこと。
これらの物体は霊能力者の手足のように扱える。
無論固体にとどまらず、液体や気体の精霊も存在する。

中でも、鉱物で作られた精霊を日本では 「付喪神(つくもがみ)」 と呼ぶ。


守護精霊(ガーディアン・スピリト)


精霊の中にはある程度自律的な意思を持つものも存在する。
これらは霊能者が細かく指示を送らずとも、
霊能者の思考と同調して最適の行動をとるようになる。
いわばもう一人の自分自身を作り出す。
高度な霊能のため、特性と膨大な霊力が必要となる。

ちなみに、精霊を作り出す
メカニズムは忌霊の発現と似ており、
忌霊とは、死した人間の未練によって生じた精霊であると言える。


憑霊(ひょうれい)


自身の霊子を送り込むのではなく、複合する霊子を肉の外から集め、
自身に霊的特性を付加する術。これを憑依、あるいは憑霊と呼ぶ。

例えば水の霊子ならば流れるような動きを得、
鉄の霊子ならば頑強な肉体が得られるようになる。

霊伐師のタイプは大きく二つに大別され、
接近戦を得意とする前衛型の霊伐師は「憑依」を使って身体を強化し、
遠距離攻撃を得意とする後衛型の霊伐師は
「降霊」で生じた「化霊」を操作して攻撃する。

前者を憑霊術師、後者を降霊術師と呼ぶ。


精霊障壁(スピリト・ウォール)


精霊を生み出すには、長い修練とイメージを要するが、特定の形状を持たず、
ただ身を守ることにだけに特化した弱い精霊ならば簡単に生み出せる。
これを利用して、自分の身の回りに不透明の精霊を多数生み出し、敵の攻撃を防ぐのが精霊障壁である。
即席で生み出した弱い精霊のため、簡単に突き破られてしまうが、霊力の消費も少ないためその都度修復することができる。
高位霊能者の攻撃を生身の体で受ければ確実に死ぬため、霊能者同士の戦闘では恒常的に展開する必要がある。
これは同時に、精神攻撃や、細菌レベルに小さな精霊による、人体へ侵入しての攻撃を防ぐ効果もある。

なお、より高位の霊能者になれば、極めて頑強な精霊障壁を常時展開したままで、十全な攻撃を行うことも可能。
故に、格下の霊能者が格上の隙を突いて勝つという目はほぼ消え失せてしまう。
霊能者同士の戦闘において、弱者のまぐれ勝ちはほとんど無いとされている。
精霊障壁は、その大きな理由の一つとなっている。


虚像霊(スピリト・フェイク)


水や炎、砂などで自分そっくりの姿をした精霊を作り出し、相手を幻惑する霊能の総称。
通常、人間のような細かい造型を作り出すには、
長期間にわたるイメージが必要であるが、
自身の姿ならば、たやすく再現することができる。


精霊化/完全精霊化


霊能者が自然現象を操れるのは、
霊能者たちが対象となる自然の複合霊子を含み、
自然霊子と共振させているからである。
即ち、複合霊子の割合が大きければ大きいほど、強力な霊能を操れる。

その原理を突き詰めれば、 人体を構成する霊子の大半を対象となる自然のものに変えることが出来れば、最も強力な霊能を行使できることになる

実際、対象となる自然と精神を同調させることで、複合霊子の割合は増やすことができる。
だが、その同調に落とし穴があり、本来意志を持たぬ自然と精神同調を行えば、
自然に引きずられる形で人間の精神は摩耗し、最後には消滅してしまう。

例を挙げれば、炎を操る霊能者が、自らの99%を炎霊子に変えてしまえば、
最強の炎使いになれるが、同時に精神性も炎と同調して消滅してしまい、ただの燃え盛る猛火と化してしまう。
同様に、完全なる同調を行えば、生物系は動物に、金属系は機械へと変じ、人間としての意識は失われる。

高位の霊能者がこれを行えば、自然災害や強大な怪物へと変じ、
人間社会に害をなす危険が高いため、神霊同盟では禁忌中の禁忌とされている。
歴史上には、精霊化の失敗で、竜巻や津波、さらには竜や巨獣へと変じた例も存在する。
故に霊能者の修行においては、自然と同調し霊力を高めると同時に、過度な同調を抑えて精霊化を防ぐ修行も行っている。


しかし精霊化を果たせば、肉体は人間のくびきから逃れて自然そのものとなるため、事実上の不老不死が達成できる。
故に神霊同盟から敵視されることになろうとも、精霊化の夢を追い求める霊能者は後を絶たない。

また、人間の意識を留めたまま「精霊化」を果たした例は過去に極少数存在する。これを 完全精霊化 と呼び、霊能者の到達点とされる。
自然に近づきすぎて俗世から完全に断絶する者、意識の喪失を免れるため
ただ一つの執念に集中しすぎた結果、人間としては壊れている者ばかりである。
それも、長期間持続することはなく、いずれ人間としての意識は失われる定めにある。

精霊化によって人間の精神性を失った霊能者は、
もはや霊能者ではなく精霊に等しい。つまり死んだも同然なのだ。
最強の霊能者への道とは、精霊化と人間のギリギリの境界で留まり続ける術を見出すことにある。



霊能系統


封鎖霊域(ふうされいいき)


大御霊と契約した御霊巫師にのみ使える霊能の一つ。
御霊巫師は、通常その強大な霊力を抑え、社会に溶け込んでいる。
しかし、一度霊力の封印を解き、周囲の空間に解放した場合、
一般人が持つ低級の霊子は、遥かに上位の大御霊の存在を知覚し、
畏怖を覚え、遠ざかろうとする。
人間はその影響を受け、無意識下でその中心から逃げ出すようになる。

これにより、御霊巫師の戦う領域から被害に巻き込まれる恐れのある
一般人を事前に逃がし、更に近づけさせないことが可能で、
所謂 「人払いの結界」 を作るのと同じ効果を及ぼすことができる。
これを「封鎖霊域(ふうされいいき)」、略して「封域」と呼び、
強力な御霊巫師ほど広範囲に渡る封域を形成できる。
これ故に、御霊巫師がどれだけ派手な戦闘を行おうとも、一般人の目に留まることはほとんどない。


霊的治療/霊的修復


霊能力者が持つ霊能の一つ。
破壊され、失われた物体の霊子を、別の霊子を注入して補うことで、その物体をあるべき形に修復する。主に忌霊や禍霊との戦闘で破壊された街の修復にも使われる。

人間の治療にも応用可能であるが、
使用する霊子は同じ人間の、この場合は治療を施す人間のものを使う。
失われた霊子自体は、生きていれば時間の経過とともに緩やかに回復する。
また、その人間の人格を形成する記憶や自我などは死亡し、一度霊魂が乖離したで失われるため、
どれだけ霊子を注ぎ込もうとも、死んだ人間を生き返らせるようなことはできない。

御霊巫師は、大御霊を霊子の補給源として、この霊的治療を恒常的に行っているため、
人間を遥かに超越した治癒能力を持ち、死ぬような怪我を負っても高速で修復する。
逆にそうでなければ、強大な自然界の力を行使する戦闘に、生身の人間の体は耐えられない。
ただし、攻撃を受ける度に自身の霊子は削られていくため、どれだけ肉体を修復しても、霊子が枯渇すれば、大御霊と契約するだけの霊力を失って無力化し、高い確率で死亡する。