「異店」(2011/03/31 (木) 22:28:01) の最新版変更点
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<p><span style="font-size:larger;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;">アレはいつだっただろう…<br /><br />
そう…<br /><br />
私がまだ42の頃の話だ…<br /><br /><br />
=異店=<br /></span></span></span></p>
<p><span style="font-size:larger;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><br />
「侑子さん~」<br /><br />
私が今の家族を持って間もない頃…<br />
私は時折侑子さんの店に行く事があった…<br />
時には願い、時には依頼、交互に対価を支払いながら…<br /><br />
「あら久しぶりね…」<br /><br />
店の縁側に座り、いつもの着流し姿で酒を飲む侑子…<br />
その横に座り寛ぐ…「そう…」<br />
「でも…ここでは3週間しか時間が過ぎていないから…」</span></span></span><br />
「どう?あっちでの生活は?」<br />
「二十数年も立てば慣れますよ…それに新しい家族も出来ました」<br />
「今度はどんな家族?」<br />
「あっちの世界の数万年前に創られたホムンクルスの兄弟です…」<br />
「前に出遭った忍のホムンクルスとは違うの?」<br />
「その兄弟です、一番上の双子のお兄さんと一番下の弟…」<br />
「ふうん…つまりそっち側のあの兄弟に出会ったのね…」<br />
「はい…これも侑子さん曰く必然と思います…」<br /><br />
紅色の酒と花弁の入ったグラスを取り一口飲む…<br /><br />
「夜月薔薇の酒ですね…」<br />
「ええ…丁度咲き頃だったから…」<br />
「月に2度目の満月の日で夜露を帯びた薔薇から創られる…でしたね?」<br />
「そう…雨童子に聞いて四月一日に取りに行かせたのよ…」<br />
「滅多に創れないからですか?」<br />
「それもあるけど……先の事だけど飲めそうに無いから…」<br />
「……この酒に免じて聞かなかった事にします」<br />
「ありがとう……」<br />
「侑子さん……私にもいつか滅びが来るのでしょうか?」<br />
「……私にも解らない、でもいつか貴方にはそれ以上に大きな波がやってくるわ…」<br />
「……大きな波?」<br />
「ええ……」<br />
「……私はその波を受け入れられるのでしょうか?」<br />
「解らないわ…それは貴方が決めて貴方が導く事だから……」<br />
「そうですか……」<br /><br />
****<br /><br />
「長い眠りだったわね…」<br />
「母様……」<br />
「どうしたの?」<br />
「夢を見ました…」<br />
「…夢?」<br />
「とても懐かしい…薔薇酒の思い出です…」<br /><br />
=終=<br />
</p>
<p><span style="font-size:larger;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;">アレはいつだっただろう…<br /><br />
そう…<br /><br />
私がまだ42の頃の話だ…<br /><br /><br />
=異店=<br /></span></span></span></p>
<p><span style="font-size:larger;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><br />
「侑子さん~」<br /><br />
私が今の家族を持って間もない頃…<br />
私は時折侑子さんの店に行く事があった…<br />
時には願い、時には依頼、交互に対価を支払いながら…<br /><br />
「あら、久しぶりね…随分と遭っていない様な言い方だけど…」<br /><br />
店の縁側に座り、いつもの着流し姿で酒を飲む侑子…<br />
その横に座り寛ぐ…<br /></span></span></span></p>
<p><span style="font-size:larger;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><span style="font-family:'MS Pゴシック';color:#000000;"><br />
「私の居た世界では丁度3年経ちましたから…」<br />
「そう…」<br />
「でも…ここでは3週間しか時間が過ぎていない…」</span></span></span><br />
「どう?あっちでの生活は?」<br />
「二十数年も立てば慣れますよ…それに新しい家族も出来ました」<br />
「今度はどんな家族?」<br />
「あっちの世界の数万年前に創られたホムンクルスの兄弟です…」<br />
「前に出遭った忍のホムンクルスとは違うの?」<br />
「その兄弟です、一番上の双子のお兄さんと一番下の弟…」<br />
「ふうん…つまりそっち側のあの兄弟に出会ったのね…」<br />
「はい…これも侑子さん曰く必然と思います…」<br /><br />
紅色の酒と花弁の入ったグラスを取り一口飲む…<br /><br />
「夜月薔薇の酒ですね…」<br />
「ええ…丁度咲き頃だったから…」<br />
「月に2度目の満月の日で夜露を帯びた薔薇から創られる…でしたね?」<br />
「そう…雨童子に聞いて四月一日に取りに行かせたのよ…」<br />
「滅多に創れないからですか?」<br />
「それもあるけど……先の事だけど飲めそうに無いから…」<br />
「……この酒に免じて聞かなかった事にします」<br />
「ありがとう……」<br />
「侑子さん……私にもいつか滅びが来るのでしょうか?」<br />
「……私にも解らない、でもいつか貴方にはそれ以上に大きな波がやってくるわ…」<br />
「……大きな波?」<br />
「ええ……」<br />
「……私はその波を受け入れられるのでしょうか?」<br />
「解らないわ…それは貴方が決めて貴方が導く事だから……」<br />
「そうですか……」<br /><br />
薔薇酒の甘い香りに揺られながら私はこの言葉の意味を…<br />
何処かで悟っていた…<br />
いつか来ると…<br /><br />
****<br /><br />
「長い眠りだったわね…」<br />
「母様……」<br />
「どうしたの?」<br />
「夢を見ました…」<br />
「…夢?」<br />
「とても懐かしい…薔薇酒の思い出です…」<br /><br />
=終=<br />
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