730 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/11/14(火) 23:22:13 ID:Bl08sR660
二十年程前の事。
母子家庭になってしまい、母に引き取られた私は母の田舎へ転居した。
住居は今にも朽ちそうな狭い一戸建て。
隣には大家の老夫婦が住んでいた。
住み始めて半年程してから、大家が私達か住む家を取り壊して、そこに新たに
自分たちが住む家を新築する事になり、大家は近所の家を借りて住み、私達は
大家がそれまで使っていたこれまた古い家を、今後は使って欲しいと言われた。
しかし、一つだけ条件があって、二階には六畳が一間だけあるが、ここへは
絶対に出入りしないで欲しいと念押しされた。
母親と二人暮らしで荷物も少なく、一階だけで生活が充分出来ていたから
私達は「はい」と返事をして、そこへ移り住んだ。

733 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/11/14(火) 23:33:34 ID:Bl08sR660
住み始めて何事もなく過ごしていたが、当時中学生でオカルト好きな
自分。親には言わなかったけど、「行くな」と言われた天井の上の
部屋が気になって来て仕方ない。
ある日、親は仕事に出て、自分は風邪が酷かったので学校を休み
今日こそ二階を探索するぞ!と、静かに上がり始めた。。。。

ギシギシ軋む階段を上がる度に、鼓動が苦しいくらい激しくなった。
やっと入り口のガラス戸前。
曇りガラスでここからは中は見えなかった。
躊躇したものの「ここまで来たんだから!」と、思い切って戸を開けた。

埃だ溜まって、カビ臭い何とも言えない臭い(異臭)がした。
まどはあるが、分厚いカーテンが二重に窓を覆っていて、階段の照明
だけが頼りだった。
一歩足を踏みれると、畳がイヤな感じで下がるのがわかる。
だんだん目が慣れて来て、部屋を見渡すと布団が一組、部屋の隅に
畳んであった。小さな机があって大人が読むような小難しい様な
本が無造作に置いてあった。
年代を感じるラジカセにカセットテープ、かなり初期の明星や平凡
などが平積みしていた。
中には三善英二(だっけ)やにしきのあきらなど特集記事があって
この部屋だけ、確実に時間が止まっている様に思えた。

734 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/11/14(火) 23:40:04 ID:Bl08sR660
730・733の続きです

気持ち悪さもあったけど、その当時でも手に出来ないレアな本に目を
奪われて思わずその本を手にとって、しばし読みふけってしまった。
長居して見つかったらと思い、その日はそれで降りて誰にも言わず
何食わぬ顔で生活をしていたけど、その日を境に親が留守だと
二階に行っては本を読んだりしていた。
何度目か上がった時、自分が座って本を読んでいる場所を
あらためてじっくりみると、何か分からないが「跡」が付いている
事がわかった。
その場に起って目をこらしてみると、何となくだが「人型」に見える。
それも殺人事件などあった時に、警察が亡くなった人の形にマーク
するそれ!

735 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/11/14(火) 23:47:43 ID:Bl08sR660
734続き

まさか!?と思いつつも、こう見えてしまうと恐怖感が止まらず、
私は階段を転げるように駆け下りて来た。
「さっきの跡は何?この天井の上で何があったんだぁ!?」
学校で友人にそれとなく聞いたら、大家には一人息子がいたが、
ある持病(てんかん)があって内向的になってしまい、中学だけは
どうにか卒業したもののそれ以来、あの部屋に引きこもってしまった
そうだ。
ある日、息子が朝食も取らず、昼になっても顔を見せないので
母親が二階に行ったら部屋で亡くなっていたそうだ。
死因は急なてんかんの発作プラス何かの要因が重なって、そこで
息絶えたとの事だったそうだ。
この時点ではっきり亡くなっていた事がわかった状態だったので
警察が来て死因がはっきりするまで、事件性はないかとあれこれ
調べたそうな。

736 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/11/14(火) 23:57:48 ID:Bl08sR660
735続き

親は息子の部屋を息子が使っていたそのままにしていたらしい。
たまにその部屋に来ては、亡き息子を偲んでいたのか、それとも
そのことに触れることを一切拒否して、開かずの間にしていたのかは
私には分からなかった。

気のせいとは思うが、事情を知ってから二階に人の気配を感じて
足音まで聞こえて来だした。
やがて何も知らない母までが「二階、おかしいよね。。。」と言いだし
叱られるのを覚悟で、知っている事情を話したら、速効で数日後に
引っ越しした。

二十年程たった今年の夏、親類の家へ行った帰りにその家の前に
車で行ってみた。
家はどちらも取り壊されて無く、すべてが更地になっていた。
近所に住むらしい二十代前半の子供を連れた女性に声を掛けられた。
「アナタも幽霊、見に来たんですか?」
出るらしい。。。。
最終更新:2008年10月06日 22:09