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702 名前: 読み人シラズ [sage] 投稿日: 2006/11/10(金) 19:43:24 ID:JhxUCA0kO
自分の家のあかずの間じゃなくても良いのかな。
じゃあ、今も鮮明に思い出せる俺の体験した話を…。

今から10年以上前、俺がまだ小学2年くらいの頃の話。俺と俺の家族は夏休みを利用してA県にある親父の実家に遊びに行った。
山奥って言っても良いくらいの山間部、そこにじいちゃんばあちゃんは住んでいた。
じいちゃんばあちゃんはめちゃくちゃ歓迎してくれたんだけど、子供だった俺は山の中での遊びに想いをはせてて早く外に飛び出したくて仕方なかった。
でも土地感もない子供に山の中を一人歩きさせるような爺婆はいないわけで。
従兄弟が帰ってくるのを待ってようやく遊びに出かけられた。
山の中での虫とり、川での水遊び。都会っ子の俺には見るもの全てが新鮮で、俺の心はときめいていた。
そんな日々はあっと言う間に過ぎ、帰る日の前日。
いつものように従兄弟と川に遊びに行く途中の道、ふと見た道沿いの林の奥の方、山の中へ続く石造りの階段を見付けた。

703 名前: 読み人シラズ [sage] 投稿日: 2006/11/10(金) 19:47:41 ID:JhxUCA0kO
何であんなところに?どうして今まで気付かなかったんだろう?
そんなことを考えているうちに幼心の中俺の冒険心に火がついた。
立ち止まった俺の様子を見に来た従兄弟にその階段は何なのかを聞いてみたが、従兄弟は知らない、近付かない方がいい、と言うだけだった。
そう言われては逆に好奇心が増してしまう。
止める従兄弟を振り切って俺は林を突っ切り石造りの階段を登り始めた。後ろから聞こえる足音で、従兄弟も恐々と後をついてくるのがわかった。
徐々に濃さを増す林の緑の中、長い長い石段を登りつめると、そこには小さな洞窟のようなものが口を開けていた。辺りを見回してみても木々の葉に隠されて外からは見えないような場所だ。
いよいよ怪しい。

704 名前: 読み人シラズ [sage] 投稿日: 2006/11/10(金) 19:50:28 ID:JhxUCA0kO
俺はワクワクしながらその洞窟に足を踏み入れた。その時地面に落ちていた太くて古くて腐ったような縄を跨いだんだけど、今思うとあれは明らかにしめ縄だった。
従兄弟は洞窟の入り口で声を震わせながら俺の名前を呼んでいた。でもそれを無視して俺は進んだ。
中は薄暗くてじめじめしていた。絶対に何かある。好奇心に支配されていた俺は怖いなんて全く思わずに洞窟の中を探索した。でも一本道の洞窟はすぐに行き止まりになった。
何だ?これだけか?薄暗くよく見えない洞窟の行き止まり。壁を触ってみると明らかにその行き止まりの部分だけ触感が違う。俺は目を凝らして見るとそれは大きな古い鉄の扉だった。

705 名前: 読み人シラズ [sage] 投稿日: 2006/11/10(金) 19:52:05 ID:JhxUCA0kO
いつの物だろう。表面には青い錆びのようなものが浮き、最近開けられた形跡など全くなかった。何でこんなところに。いよいよおかしい。だが我ながら子供と言うのは恐ろしい。
俺はその扉の取っ手に手をかけ、おもいっきり引っ張った。だがびくともしない。押しても引いても駄目だった。鍵がかかってるのか…。開けることを諦めかけた俺は、取っ手の下に子供の指が入るくらいの鍵穴があることに気が付いた。(薄暗い中よく見付けたと思う)
中が見えるかもしれない。そう思ったのか俺はその鍵穴を覗きこんだ。
でも見えたのは真っ白な目。
自分の物と思われる目だけだ。
鍵穴の向こうに鏡でも置いて塞いであるのか、そう考えて顔を離して気が付いた。
この光もろくに射し込まない洞窟の中、顔をつけて覗きこんだ鍵穴。もし鏡が向こう側にあったとしてそんなに鮮明に見えるものだろうか。
俺は震えながら顔を扉から離したまま鍵穴を見た。
鍵穴にあったのは、じっとこちらを見たまま見開かれている目だった。

706 名前: 読み人シラズ [sage] 投稿日: 2006/11/10(金) 19:53:39 ID:JhxUCA0kO
それからどう実家に帰ったか覚えていない。従兄弟と一緒に泣きながら帰ってきたと親父は言っていた。
落ち着いた後そういう場所に行ったとばあちゃんに言ったら物凄く叱られて、神棚に謝らされた記憶はある。
あれから鍵穴を見る度その目を思い出してしまうが、今のところ何もないところを見ると許してもらえた(?)のかもしれない。

ちなみにその洞窟があったところは、数年前台風の直撃で発生した土砂崩れで跡形も残ってはいないそうだ。