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「お姉ちゃん・・・これでよかったの?」
涙が止まらなかった
今から死ににいくかもしれない、それなのにVIPにああ言うしかなかった・・・
病院から出て、歩道を歩きながらラウンジは涙を止める事が出来ない
「・・・クラウン・・・また・・・後で会おうね」
ラウンジはクラウンにそう呟く
クラウンは何も言わなかった・・・ただ、ラウンジに抱きついてラウンジの胸に顔を押し付ける
少し震えてた、心臓の音が懐かしく感じた、こうしてずっと居られたら幸せだろうな・・・
そう思いながらクラウンは顔を離してラウンジの顔を見上げた
「じゃ、行って来ます!」
ラウンジはそう言って走り出した
何処に行くのかは、解ってる
それでも止めることは出来なかった
「お姉ちゃん・・・」
シベリアの家はやはり真っ暗で、人の気配が全くしない
ただ、この家からは不気味な感じが漂っていて、ラウンジはそれを感じていた
いや・・・感じているんじゃない、解っているんだ
ここに、何かの答えがあるはずだ
小さいことでもいい、本当に小さなことでも落ちている気がする
暫く家を見ていると夕焼けに染まる空の色で照らされた家が歪むように見えた
綺麗な鉄の門は錆びれ、まるで誰も使っていなかったかのようにボロボロになっていく
門が腐るとそこから塀にその錆びれが伝染するかのように伝わっていく
ラウンジの目の前にあった家は夕焼けの中に少しだけ霞んで見えた
家が・・・廃墟のような姿に変わる
街頭が無かったのはこの為に?そして、赤い粉を手に入れて隣のお兄さんに見せる?
いや、そうじゃない・・・シベリアはこの家に招きいれて殺すつもりだったんだろう
腰のポーチから特殊警棒を取り出し伸ばすとラウンジは門を蹴破って玄関の前で深く深呼吸をする
「・・・私は絶対に・・・死なないから・・・」
腐りかけた扉をラウンジは思い切り蹴飛ばし、5回ほど蹴ると扉は重たい音を立てて内側に倒れた
家の中はずっと続くトンネルのように光の見えない世界だった

家の中に足を踏み入れる
靴を脱ぐ必要は無いだろうとラウンジは思い、懐中電灯に灯りを灯した
照らすとそこがどれほど古い家なのかが良くわかる
蜘蛛の巣で埋め尽くされた天井に床にはネズミか何かの死体が腐っていた
目玉が飛び出しているそれは強い衝撃で頭を潰されたように見える・・・
ラウンジは自分の姿をそれに重ねて見てしまい、逃げ出したい気持ちが大きくなった
どんなに決意を決めても、死ぬのは・・・怖い・・・
「・・・ラウンジ・・・本当に馬鹿だな・・・」
「シベリア・・・」
ラウンジは小さく笑うと振り返りざまにシベリアに向かって懐中電灯を投げつける
投げつけられた懐中電灯に化け物になっているままのシベリアの目線がそちらに向いた
視線が反れた瞬間にラウンジは手に持った特殊警棒を振り下ろす
シベリアの顔に直撃した警棒がグルグルと回転しながら空中を舞った
「残念、人型は頭が弱点じゃない」
「・・・っ!?」
シベリアは手でラウンジの頭を掴むと床に向かって思いっきり叩きつける
床が壊れてラウンジは今にも消えそうな意識に顔を顰めながら苦しそうに息をしている
「大人しくしてれば良かったんだ」
「・・・私は・・・わたし・・・は・・・」
意識が薄れる、呼吸が上手く出来ずラウンジは苦しそうに胸を押さえている
「VIPも・・・お前も・・・馬鹿だな・・・」
ラウンジはシベリアの目から涙が流れるのを見ながら、息をするだけで動けなかった
喋ることも、動くことも、シベリアを直視することもできない
近くで死んでいる猫のように自分もなるんだろう
シベリアの拳がラウンジの腹に向かって振り下ろされ、ラウンジは閉じかけていた目を開いて口から血を吐く
「・・・・・・っ!!」
悲鳴なんて上げれなかった・・・まだ意識があるのが不思議なくらいだ
体が上半身と下半身で別れてしまったかのような錯覚に囚われる
やっぱり・・・無理だったかな・・・VIP・・・もう一回会いたい・・・
シベリアの腕が音も立てずにラウンジの顔に振り下ろされた

シベリアの腕が何か途中で硬いものにぶつかってを感じで動きを止めた
腕がゆっくりと元にあった場所に戻される
「・・・VIP・・・?」
ラウンジは弱々しくそう呟く
振り返ることなく、VIPはシベリアの顔を思いっきり殴り飛ばした
VIPの拳の皮がはがれ血が流れる、それでもVIPは無言でシベリアに向かって左手に持ったバットを振り下ろす
ありえない・・・こんな力がどこに隠されていたんだと言いたくなるほどの力でシベリアは床に叩きつけられた
「ぐ・・・っ!?」
「シベリア・・・お前には失望した」
顔を上げたシベリアにバットが顔面をへこませるほどの勢いで叩きつけられる
「・・・VIP・・・それで・・・いいんだ」
「お前と喧嘩するの、嫌いじゃ、無かった!!!」
―バキ!―
シベリアの顔に罅が入り、顔がバラバラと砕けるのが見えた
―バキ!バキ!―
血が辺りを赤く染め、バットが見る見るうちに赤く染まっていく
「もう、終わりだ!!!」
バットを両手に持つと天井を向いて跪いているシベリアにバットを一気に振り下ろす
「・・・まぁ慌てるなよ」
VIPの振り下ろしたバットが空中で止まり天井に突き刺さった
闇がゆっくりと人の形になり、削除人が姿を現す

「シベリア、まだ生きてるな・・・」
削除人はシベリアを抱えると同時に少し離れた場所へ現れる
「やはり、シベリアと同じ、お前も力を持ったわけか・・・そしてそこの女も」
「・・・」
「まだ気が付かないのか?シベリアのような『感染者』は他の人間にもその力を感染させる」
VIPは横目でラウンジを見た
血は余り出ていないが腹の辺りが異様に凹んでいて生きているのか確認できない
ただ、寝ているかのように顔は辛そうな表情ではない
「力?」
「そうだ、素晴らしい力だろう・・・?タダの人間が削除人と同じ力を持つそれがこの計画の目的」
「・・・それで?」
VIPはイライラとした口調で削除人を睨み付ける
「人間は脆い・・・力を持ったものは暴動を起こし、世界は勝手に滅亡の道をたどる」
「それをしてお前に得があるのかよ」
削除人はやれやれという表情をしながらVIPを貫くように見ていた
いや、目があるわけじゃない・・・削除人から視線を感じてVIPはバットを構える
「得?それをお前に話して俺に得があるのか?」
「・・・お前の話はつまらん」
「低脳な人間には私達の考えは理解できな――」
―ガン!!!―
削除人の姿が闇に溶けようとした瞬間、削除人の頭が前に向かってガクンと倒れる
削除人の後ろでフライパンを両手で振り上げたクラウンの姿があった
「この・・・ゴミがぁぁ!!!」
振り返りざまにクラウンの腹に削除人の刀が突き刺さる
「やめろぉぉ!!」
VIPは一気に削除人との距離を走りぬけると止まることなく削除人の頭にバットを振り下ろす
―バン!―
スイカを割ったような音が響く・・・削除人の頭が破裂し、やけにピンク色の脳みそが辺りに飛び散る
それがとても綺麗にみえた

削除人の姿が闇の中へ消えていき、シベリアが床に落とされる
クラウンも刺された場所を押さえながら狂ったように腹を抱えて笑い出した
「あーあ・・・壊しちゃった」
VIPの肩に亀裂が入り血が噴出した
「まぁいっか、いくらでも作れるしw」
ケラケラと笑うその人影はVIP達のことなんて目には入っていないようだ
ただのゴミが転がっているとでも言うかのようにゆっくりとその姿を消した
「クラウン・・・ラウンジ・・・シベリア・・・」
やっと塞ぎかけていた傷が開き、VIPは腹から流れる血をゆっくりと手で掬う
「あはは・・・あはははは!!みんな・・・死んだwwww」
VIPとクラウンの笑い声が闇の中の廃墟でずっと響いていた・・・
死んでいるような目で、二人は笑い続ける
虫の声が頭にガンガンと響くほど鳴り続けているのが、現実を教えてくれているようだった
腹が潰れたラウンジ、頭が割れて血が噴出しているシベリア、刀で腹の真ん中あたりが横に裂けているクラウン
体中から血を噴出しながら狂ったように笑いながら倒れた

      • 何故だか・・・朝日がとてもまぶしかった
起き上がると、見晴らしの良い窓からとても夏とは思えない空気が流れ込んできていた
ベットを見ると自分の布団の上にラウンジが伏せるように寝ていて、ラウンジに寄りかかるようにクラウンが眠っていた
その隣にはシベリアが椅子に座ったまま眠っている
誰も怪我をしていない・・・いや、元からあった怪我は治っていないが
「起きた?」
医歯薬看護の姿が入り口にあった
虫の声が遠くで聞こえる・・・VIPはぼーっとした頭をなんとか起こそうとする
「無理しないで、大掛かりな修正は体に負担が大きいのよ」
修正?何を言っているんだろう・・・?VIPには理解できない
ただ、この人が嘘をついているようには思えなかった
「そう、修正は世界を元の状態に戻すことが出来るの、その場で死ぬことが無い人が死なないようにね」
「えっと・・・それは俺達が死ぬのはまだってこと・・・?」
「そういうこと、オカルト君達の事は助けることはできない。捻じ曲げられた空間に居る人だけを修正できるの」
      • VIPの頭が我に帰る
そうだ!ラウンジは腹が潰されて・・・VIPはラウンジの腹に手を当てるが潰れていない・・・
クラウンは?腹に穴が開いたんじゃ・・・?服をめくってみるが穴が開いていなかった
ラウンジの腹に右手をあててクラウンの服を左手でめくりながらVIPはシベリアを見る
「うそだろ・・・?怪我が全部消えてる・・・」
VIPはそのままの体制のまま頭で理解しようとしているのか動きを止めていた
「ん・・・ここは・・・?」ラウンジが目を覚まし当てられた手に不思議そうな顔で見上げる
「よくねたぁ・・・」クラウンは引っ張られた服にVIPの顔を見上げる
「「死ねこの変態パピヨン!!!!」
ラウンジとクラウンの拳がVIPの腹に直撃し、VIPは倒された・・・
「あらあらw」
医歯薬看護の声にシベリアは目を覚ます・・・
「・・・まだ・・・生きてて良いのか・・・」

「でも、最後にVIPが削除人を倒してくれてよかった」
クラウンとラウンジは不思議そうな顔で医歯薬看護を見上げた
シベリアが小さな声で言う
「あの空間、外からの影響を受けなくなるあの空間では中にいる全員は寿命で死ぬんじゃないんだ」
ラウンジとクラウンは身構えながらシベリアを睨み付ける
医歯薬看護はその二人に溜め息をついた
「誰もが定められた寿命を生きる事は始めからある権利のようなものよ、削除人はその寿命を極端に縮めてあの空間をつくるの」
「つまり、あの空間では人間が圧倒的に不利な状態から始まる」
圧倒的に不利な状態から・・・ラウンジはオカルトの事を思い出す
圧倒的に不利な状態・・・VIPの目の前に突然現れる化け物
それに二回目だって目の前で前兆もなく化け物になって襲ってきた
「その不利な戦いを・・・ここまで来ると運が良いだけじゃなくなってくるのよ」
クラウンは不思議そうな顔をするだけで全く理解出来ていないようだった
ラウンジも少し首を傾げる
「えっと・・・?」
「理解しなくていいの」
医歯薬看護の言葉にラウンジは考え込む
つまり・・・削除人は最初の事件の目撃者を消す為にあの空間に何度も連れ込んだ?
しかも戦いの中で全員に何等かな力があるということ?
ラウンジは頭が痛くなりそうに感じた

「よくわからない・・・三行で頼む」
VIPはベットに寝たまま眠そうな顔でそういった医歯薬看護はそんなVIPを見てため息をつく
もう少し緊張感というのを出してほしかったのだが・・・
「簡単に言えば、削除人はこの世界に必要ないものを消す役目がある」
「消す・・・」
「それと、削除人に瀕死の傷を負わせられたり、一度でもあの空間に入ると本能的に力が身につく」
それを聞いてラウンジは首をかしげる
不思議な力なんて一度も使った覚えは無い、それにVIPだって使っていなかった
そんな力があるなら化け物におびえる必要なんて無い筈なのに
「最後に、復帰屋は削除人の手で間違えて消された者を世界に復帰させる」
つまり、削除人に殺されたとしても復帰屋がいる限りは絶対に死なないということか?
だがシベリアに殺されかけた時には何で時間が戻ったり怪我が治ったりしなかったんだ?
「いろいろ聞きたいことが多くて・・・」
VIPはため息をつきながら頭を掻く
ラウンジもクラウンも意味がわかっていないように見えた
「そうね・・・じゃあ質問タイムにしましょうか」
医歯薬看護はにっこりと微笑んで見せた

質問タイムといわれても・・・3人は悩む
何を聞けばいいんだろう?赤い粉について聞くべきなのか?
「・・・赤い粉について教えてください」
ラウンジはそう切り出した
VIPもそれに同意するように頷き、真剣な目で医歯薬看護の顔を見る
医歯薬看護はしばらく黙った後、ふぅっとため息をついた
「あれは・・・そうね。あなた達みたいに適性がない人があの空間に入るとオカルト君みたいな症状が出るの」
「えっと、化け物になる?」
そのラウンジの言葉に医歯薬看護は静かに頷いた
「その・・・化け物を倒したときに出るのがあの赤い粉、怒りや恨みが粉になって実体化したもの・・・」
赤い粉になる・・・?VIPはラウンジと一緒にオカルトを倒したときのことを思い出した
たしか、闇に吸い込まれるように消えていったように思えたが・・・
「二人はあの後気絶したでしょ?すぐに私があなた達を保健室に入れたから」
「・・・ってことは!あの時時間が戻ったように見えたのは?」
「二人がバラバラにされているのを見つけて、応急処置として時間を戻したの」

バラバラ・・・VIPとラウンジは顔を見合わせてゾッとした
自分達は一度殺されていたということなのか・・・?あの瞬間に・・・バラバラに・・・
ラウンジとVIPの死体を楽しそうに解体するオカルトの姿が脳裏に浮かぶ
戻された時間のお陰で今の自分達がある・・・のか・・・?
窓から入ってくる風が急に強さを増した気がしてクラウンが窓を閉めた
「それに、粉は自分の一番念が篭った場所に現れるの。だからオカルトの母親がなったんだと思うわ」
「だけど・・・使っていないはず」
「粉だから、触ったときに吸い込んでしまったんだと思うわ。君達が見たときは密封されていたから影響は無かった」
部屋の中がやけに静かだった・・・
いや、逆の発想でオカルトがまだ変わる前まで時間を戻せばどうだろうか?
そうしたら誰も死なない、誰もこんな思いをしなくて済むのでは・・・?
「オカルト君が変わる前に時間を戻したとしても、あれはオカルト君が変化したことで生まれた空間だから」
いくら時間を戻しても、どこかで必ず変化を起こし、虐殺をしてしまう
だったらどうしてオカルトは化け物にならなければならなかったのか
「人は誰でも・・・可能性を秘めてる。望めば化け物にでも・・・いくらでもなれるのよ」
だが、その望み方を誰も知らない、知ったときにはもう遅いのだ
削除人によって空間を制御され、削除され、周りの人間の記憶から抹消される
だから今まで何人もの人が化け物になり人を殺しても、殺された人自体が存在しなくなるのだ
誰の記憶にも残らない

誰もしゃべらなかった
時計の音と、外から微かに聞こえる虫の声だけが部屋の中にはあった
最近になってこういう事件が起きているわけじゃない、ずっと昔からあったんだ
自分が知らない間に、幼馴染が死んでいるのかもしれない、母親が死んでいるのかもしれない・・・
VIPは自分の母親がいないことを思い出して、そう思った
もしかしたら・・・殺された・・・かもしれない・・・
「もうひとつ、力について知りたいです」
ラウンジは医歯薬看護に向かって目をそらすことなく言った
しばらく、医歯薬看護は考えてからラウンジの額に手を当てて顔を近づける
鼻と鼻がぶつかるのではないかという所まで近づけると医歯薬看護はにっこりと笑った
「ラウンジちゃんは検索能力が高いみたいね!どこにいけば居るのか、弱点はどこなのかが見えるでしょ?」
確かにラウンジには心当たりがあった
オカルトとVIPが戦っているとき、頭を壊せば倒せるという核心がラウンジにはあったのだ
それに母親との戦いのときも、VIPの銃を母親の眼球に狙いを定めさしたのも自分だった
そして、シベリアがどこに居るのかを探すときも・・・
「シベリア君はその変身の力、でしょ?」
「・・・あぁ・・・」
シベリアはそう頷くと一人だけ離れた場所で悲しそうな顔をする
今まで、自分が化け物だと知られれば嫌われるのではないかという考えがあった
削除人との取引で力を奪い、普通の人間としてもらいたかった・・・
その取引は・・・VIP達を殺すこと・・・
後一歩で殺せていた、殺したら後には戻れないことはわかっていた
だけどこのまま・・・化け物として・・・生きるのは嫌だった
「・・・」
「何ふてくされてんの?貴方は、間違ったことをしたと思ってるんでしょ?」

医歯薬看護はシベリアの顔を見てそう言った
VIPは何もいえなかった・・・自分だってシベリアを殺そうとしたんだ・・・
ただ、ラウンジがあんな姿にされていて、話し合いなんてできる程VIPは優しくもない
「・・・ごめん・・・」
「別に・・・結局死ななかったんだしどーでもいいわ」
ラウンジはやれやれというようなジェスチャーをしながらため息をつく
「VIP・・・ごめん」
「なぁ、俺ってそんなに頼りにならないかなぁ・・・」
VIPの落ち込んだような台詞にシベリアはそんなことはない!っと叫ぶ
「VIPは・・・あんま良いとこないけど、良いやつだ」
「なんか照れるわw」
久しぶりにVIPの笑顔をみた気がして、シベリアは目から溢れてくる涙を止めれなかった
どうしてなんだろう?いくらでも認めてくれるのに・・・どうして気づかなかったんだろう

「俺は?俺はどんな力があんの?」
VIPの声はやけに弾んでいて、嬉しそうにしている
医歯薬看護はVIPの顔に顔を近付けるがラウンジの拳にVIPの頭がグルンと回転して見えた
「ちょwwww死ぬwwww」
「あんたの顔がきもいのよ!」
「ふひひwww」
久しぶりに見た気がするやり取りにシベリアは笑いを零した
この二人には敵わない・・・どんなに忘れられない記憶や経験も全部乗り越えて行く
「ねぇ?私わぁ?」
クラウンの声に医歯薬看護が微笑みながらクラウンの顔をじっと見つめた
「んー?何かしら・・・?シベリアと同じ力を感じる・・・」
「多分、削除人の刀で切られたせいだ、あの刀は人には猛毒・・・だから」
「変身するの?やだきもい」
「ちょwwww」
きもいとか言わないで、とシベリアが言うがクラウンはキモイキモイと連呼している
「変身のコツは?シベリア先生」
「んー?自分を牢屋に閉じ込めるイメージで」
シベリアはそう言うと変身してみせた
顔が逆さまになっていて、光があるだけにかなりグロテスクな姿だ
流石に正義の味方には見えない姿だ
「これはきもい」
「きもい」
「残念ながら」
「テラキモス」
ラウンジ、クラウン、医歯薬看護、VIPの順でそれぞれ意見を述べる
シベリアがまた泣いた

「じゃあVIPには何の力があるの?」
クラウンは不思議そうな顔で医歯薬看護の顔を見ながら言った
VIPもシベリアもそういえば何があるんだろうか?と不思議に思う
だがラウンジは余り興味は無いらしい、医歯薬看護が顔を近づけるのがどうにも気に入らないようだ
「仕方ないわねぇ・・・ちょっとVIP君痛いかも・・・」
医歯薬看護はラウンジに気を使ってなのかVIPの手を取ると指先を軽く噛んだ
赤い血が少しだけ溢れるのを医歯薬看護はそれを掬って意識を集中しているようだ
「・・・これは・・・炸裂させる力・・・かしら?」
「炸裂?」
VIPが見上げると医歯薬看護は意識を血に集中させたまま顔を顰める
「覚えがあるはずでしょう・・・威力の無い攻撃が一撃で敵を仕留めることがあったでしょう?」
オカルトの母親との戦いでVIPの撃った改造ガス銃の弾が軽々とオカルトの母親を殺した・・・
いや、ただ殺しただけじゃない
両手両足をもぎ取り、脳みそをぶちまけながらオカルトの母親は死んだ・・・
「あれが・・・俺の?ひ・・・人を殺す力・・・?」
「人には仕えないわよ、それにあなたが狙いを定めた相手以外にこの力が現れることはないでしょう」
そういうと医歯薬看護はVIPの血をぺろりと舐める
だから・・・そうか、殺そうと本気で思わなかったからシベリアは死ななかったんだ
いや、この力が使える可能性は極めて低いように思える
身体能力が上がるクラウンとシベリアに対してラウンジとVIPは普通の人間と同じままだ
ただ、ラウンジの索敵能力とVIPの一撃必殺の力は二人に比べてずば抜けて高い
「それと、最後に教えなきゃいけないことがあるの」

4人は医歯薬看護の顔に視点を集中させる
「空間を作り出した原因を倒さない限りエリア内で死ぬと復帰は難しいわ、死んだらもう二度と生き返れないと思ったほうがいいかも」
「えっ!?」
ラウンジが驚いたような声で医歯薬看護を見上げる
さっき私達が死んだのを治したのでは・・・?
「空間の中で死んだ人間はほぼ瞬間的にじゃないと復帰は難しいわ、たとえば死んだ瞬間に私が時間を修正するとか」
4人はしんと静まる・・・最初のオカルトの時のように手助けをしてくれることは無いようだ
とにかく生き残るにはもし死んだとしても、死ぬのと同時に相手を倒せば医歯薬看護が治してくれるということだろうか?
いや、そんなに都合よく行くわけが無い・・・それは遠まわしにもう助けることは出来ないということか・・・
確かに死んだ人間が生き返るなんておかし過ぎる
「それに、死んだ人を生き返らせると色々と困った問題が起きちゃうのよね~・・・」
タイムラグや人の記憶の混乱、ラウンジのあの目のこともその影響なのだろう
「とにかく、絶対に死なないでねw」
そんなに軽々しく言われても緊張感が沸かない・・・4人は顔を見合わせて頷いた
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