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桜は満開には程遠かったが、5分咲きくらいの桜は確かに僕を 祝福してくれるかのように思えた むしろ、超名門の私立2ちゃんねる大学に合格できたのだから 桜たちだって僕をを本当に祝ってくれていると違いないと一人合点したい 苦しい受験勉強と一口で片付けてしまえば それで終わりかもしれないが。やはり戦争と比喩されるだけあって あの1年間は辛くて悲しいこともたくさんあった, けれど、1つ腑に落ちないことがある。 試験問題が「VIPとラウンジの対立関係について 詳細を述べよ」と、3年間勉強したことが全く生かされなかったことだ 試験問題を口外したものはコンピューター法務部に逮捕されるという噂が流れ 過去問題が一切不明で全くとして対策を講じることができずにいた 予備校の先生の話では、過去にVIPとローゼンメイデンの関係について 800文字以内で述べよとかいう問題がでたらしいが みんな冗談ばかりだと思っていた とにかく、これが、SとかWとかJを受験した生徒でも落ちるという ゆえんなのかと身をもって知った これを口外したのなら僕もコンピューター法務部に逮捕されてしまうのだろうか そういえば、先生もあのあたりから予備校に来なくなったんだっけ… 何はともあれ、試験問題を口外しないのであれば 僕は悠々自適で有意義な大学生活を送れるのだろう その有意義な生活を送るために、今、どのサークルに 入ろうか悩んでいるんだけど… 何、この人の多さ!お前らそんなに大学デビュー失敗したくないの? 僕の視線に入るのは人、人、人、人で雑多している ラッシュ時の東横線の縮図といえば大げさかもしれないが それでも、日曜の原宿くらいで人はあふれかえっている 勧誘する側もされる側も必死、顔を一皮めくれば鬼の形相に違いない 僕は高校時代はブラスバンド部で、フルートをやっていた そこそこのコンクールで結果を残しているし、2ちゃん大に合格しなかったら 浪人してでも無理やり親に音大に行かされそうだったくらいだ、けれど フルートのイメージが原因で女々しいとか実は女とか言われ続けた 外見から女の子と間違えられることがあったし 実際に、街でナンパされたことも1回や2回じゃない 子供の頃から女の子みたいだとは言われ続けていたから慣れているのだ しかし、最後のゲイという噂のおかげで僕の人生は半ば破綻したと言っていい 噂のおかげで親友がゲイだと打ち明けた、しかも僕のことを好きだというのだ 僕は完全なのんけで、やらないか、だなんて言われて本当に困った 意外にも、このカミングアウトは僕の心に深いきずあとを残してくれたみたいで 困った挙句にノイローゼ、加えて拒食症になって人が信じられなくなった 正直な話、トラウマでそれから、ろくに食事もできない状態が3ヶ月続いた 名医のカウンセリングと801先輩のおかげで立ち直れたんだけど… 高校時代は笛を吹かなければ音楽家である親に 殺されることが目に見えていたので 安定剤と801先輩の写真を懐に忍ばせて 何とかブラスバンド部のエースとして頑張ったが 忍耐というのは底が見えているもので、一生はこれを続けることは無理だった これ以上薬をやるのはやめた方がいいと医者に言われた 大学で別の道を選ぶと親に公言し 現実を忘れることで精神の安定をはかろうとした とにかく、もう二度と笛は握らないと誓いを立てている 極度のストレスは人間によくない ということは僕が言わずともメディアが散々主張していることなんだし こうやって誓いを確認して、拳を突き上げて無意味に空を見上げたとき 誰かに肩を叩かれた。僕は不意の出来事に驚く 飛び上がるかのようにして後ろを振り返るとあの801先輩がいた 「やっぱり、大学生活君だね?覚えてるかな、801だけど…」 忘れることは無いのだけれども…不振な行動を目撃された恥と 801先輩にまた会えたことの嬉しさが同居して不思議な気持ち 今の見てましたかと尋ねるか…もしくは 「801先輩も僕のこと覚えててくれたんですね。嬉しいです」 というか迷いはあったもののとりあえず、口が先走った 「よかった、やっぱり大学生活君だったんだね」 はにかんだ笑顔はパトリオットミサイルなしでテポドンを打ち落とせる 日本の国防にこの笑顔は絶対的に不可欠だろうと僕は悟った けれど、嬉しさとは反面に、801先輩の勧誘ということは音楽サークル 精神的に不安定な道を選ぶか恋の成就を選ぶのか迷った 「すみません、僕、まだ迷っているんです…」 「そうだよね、そうだよね、たくさんサークルあるし、大学生活君もやりたいこと あるよね。じっくり選んでよ。君の学生生活なんだから。満足した学生生活 贈れないと損だもんね。」 この包容力は仏を越えているんだろう。きっと。僕は申し訳なさで、801先輩から 目線をそらして、すみません、と軽く返事した 「うん、とりあえず、これだけでも見ておいてよ 気が向いたらここにくればいいから」 僕は一枚の紙受け取った。サークルの案内が書いてあるんだろう。 ブラスバンドか学生交響楽団か室内学か はたまたメタルバンドなのか…それはないないと 思いながらも僕の天使が遠のいていくのを目の当たりにしながら 僕はサークル棟でたたずむ お薬とまた一緒に同居生活をするかどうかを悩みつつも 受け取ったサークル案内に目を落とす 「コンピューター法務部であなたも日本の治安を守りませんか?」 悩みが一つ消えて、悩みがまたひとつ増えた

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