日本資源管理機構/特徴的行為者一覧/記事

177_西淀川区長男虐待死事件

177.1. 「プロレス遊び」7歳長男死亡 6月にも額にあざ

 小学校2年の長男(7)を投げ飛ばすなどして死なせたとして、大阪府警西淀川署は26日、傷害致死の疑いで大阪市西淀川区大和田の無職、森田勝智(まさとも)容疑者(44)と妻の良子(りょうこ)容疑者(29)を逮捕した。長男はやせ細り、体には多数のあざやたばこを押しつけたような跡などがあり、同署は日常的に虐待していた疑いもあるとみて調べている。逮捕容疑は25日午後7時ごろ、自宅で長男を投げ飛ばしたり、突き飛ばしたりするなどして暴行、26日午前4時ごろに死亡させたとしている。
 同署によると、森田容疑者は「自分がほうり投げ、妻が突き倒した」と容疑を認め、良子容疑者は否認。長男には脳内出血がみられ、頭を強く打った可能性もある。森田容疑者宅は、両容疑者と長男、次男(4)、三男(2)の5人家族。長男は良子容疑者の前夫との子供だという。
 大阪市こども相談センターなどによると、長男は今年3月まで児童養護施設に入っていたが、4月からは両容疑者と同居。近くの市立小学校に通っていたが6月、学校側が長男の額にあざがあるのを見つけ、本人が「お父さんにたたかれた」と説明したため、センターに通告した。
 良子容疑者が25日午後7時40分ごろ、「プロレス遊びをして、ふざけていたら子供の様子がおかしくなり、意識がなくなった」と119番。連絡を受けた同署が両容疑者から事情を聴き、逮捕した。
2011.8.26 12:36 産経ニュース

177.2. 7歳長男虐待死で近隣証言「親子で遊ぶ姿見てない」 かわいらしい子だった

 大阪市西淀川区で26日、長男(7)を死なせたとして両親が逮捕された傷害致死事件は、両親が長期間にわたり虐待を繰り返していた疑いが浮上している。長男の体には古いあざなどがみられるといい、自宅周辺では「毎晩のように子供の泣き声が聞こえた」との証言もある。痛ましい事件に、長男を知る人たちは衝撃を受けた。
 大阪府警に逮捕された森田勝智(まさとも)(44)、良子(29)両容疑者の自宅周辺では、普段から長男への虐待が行われてきたことをうかがわせる証言が相次いだ。近所の女性(77)は「家の前を通りかかった際によく子供の泣き声を聞いた。大声で夫婦げんかをしているような怒鳴り声もあった」と話す。
 亡くなった長男の印象について、別の女性(73)は「ひ弱な感じだった」と証言。約1カ月前に長男を見かけたという男性(74)も「7歳とは思えないほど体が細かった。一昨日から昨日の夜にかけても泣き声がひどかった」と振り返った。近隣住民が長男の姿を自宅外で見かけることは少なかったといい、この男性は「親子一緒に公園で遊んでいる様子は見たことがない」。別の男性(80)は「外で遊ぶ姿を見たことはないし、母親の『外に出るな』という大声を聞いたこともある」と話す。近くの無職男性(51)は「2、3日前にも見たが、長男はかわいらしい子だった。残念で仕方ない」と話した。
2011.8.26 13:37 産経ニュース

177.3. 児童相談所「つい手が…父から聞いていた」 7歳長男虐待死、あざ通報で訪問時

 なぜ命を守れなかったのか-。大阪市西淀川区で26日、長男を死なせたとして両親が逮捕された傷害致死事件。周囲では以前から虐待の兆候がみられ、常態化も疑われていた。今年6月には長男が通う小学校が虐待の疑いを指摘。これを受けて調査した児童相談所(児相)の「大阪市こども相談センター」も、両親から「手が出てしまう」という話を聞いていた。「もっと虐待を疑ってよかったケースだった」。大阪市の担当幹部は唇をかんだ。
 亡くなった藤永翼君(7)の通う市立大和田小によると、翼君は6月14日、額にあざを作って登校。この時点で学校側は虐待の疑いを抱き、翼君が「宿題をやるのが遅いからお父さんに殴られた」と話したことから翌15日、児相に「虐待の疑いがある」と通報した。翼君には軽度の知的障害があったという。
 児相側は同日、児童福祉司が母親の森田良子容疑者(29)に電話。良子容疑者は「(あざに)気づかなかった。たたいていない」と返答した。
 6月21日に児童福祉司が家庭訪問した際には、あざについて「弟とふざけて頭突きをしたのでは」と説明。しかし、良子容疑者は「宿題ができないことが一番大変。イライラして怒ってしまう」と育児ストレスのような状況を明かし、父親の勝智(まさとも)容疑者(44)は「何度言ってもわからないときは手を出すこともある」と暴行を認めていた。その後、家庭児童相談員が面談などをしていたが、7月14日には良子容疑者が「私の体調も悪いし、いっぱいいっぱい」と話していたという。児相は「児童養護施設にいた子供だったこともあり、『注意していこう』としていた」と説明。一方、26日午後に会見した市こども青少年局の森啓(はじめ)局長は「もっと虐待の疑いをもってよかった」と述べた。
2011.8.26 14:16 産経ニュース

177.4. 「ごめんなさい、ごめんなさい」。男児の悲痛な叫びに、周囲は以前から気付いていた。

 大阪市西淀川区の小学2年、藤永翼君(7)が自宅で両親に暴行を受け、死亡した事件。近隣住民だけでなく、小学校や児童相談所も、母親の森田良子(29)、夫の勝智(44)両容疑者(傷害致死容疑で逮捕)による虐待の兆候を把握しながら、最悪の結末を防げなかった。「何とか幼い命を守れなかったのか」。住民や学校関係者らは、悔やんだ。
 翼君宅の近くに住む女性(69)によると、25日午後、翼君宅から「ドーン」という音と子どもの泣き声が聞こえた。その後、女性が「目を覚まして」と叫び、男性が動揺した様子で「おい、おい」と呼びかけた。「病院に連れて行こう」という女性の声も聞こえたという。
 近くの男性(80)は、毎晩のように、「ごめんなさい」と泣き叫ぶ翼君の声と、「こら泣くな」と良子容疑者がしかる声を聞いたというが、「家族の関係が一層こじれるかもしれないと思い、通報をためらってしまった」と話す。
2011年8月26日14時36分 読売新聞


178_かほく市墓穴転落事件

178.1. 落とし穴死亡、掘った妻も目印を見落とし転落

 石川県かほく市の大崎海岸に掘られた落とし穴に、金沢市湖陽、会社員出村裕樹(ひろき)さん(23)と妻の里沙さん(23)が転落し、窒息死した事故で、県警は、穴を掘った里沙さんが目印のペットボトルを見落とし、2人とも身構えずに穴に落ちたため、逆立ちする形で上半身が砂に埋まってしまったとみていることがわかった。
 捜査関係者によると、誕生日を迎える裕樹さんを驚かせようと、里沙さんが落とし穴作りを発案。友人の男女6人と、27日昼過ぎから、2.4m四方、深さ2.5mの落とし穴をスコップで掘った。
 計画では、里沙さんが裕樹さんを海岸に連れ出し、裕樹さんだけを落とすはずだった。ところが、暗闇の中を携帯電話の明かりだけを頼りに落とし穴に向かったため、里沙さんが、穴の周囲に置いた目印のペットボトルを見落とし、2人一緒に転落したとみられる。
2011年8月31日14時34分 読売新聞

178.2. シート上の砂で窒息死?新婚夫婦転落の落とし穴

 石川県かほく市大崎の大崎海岸で27日夜、砂浜に掘られた落とし穴に、金沢市湖陽、会社員出村裕樹(ひろき)さん(23)と妻の里沙さん(23)が転落、窒息死した事故で、2人は落とし穴を覆っていたブルーシートに包まれるような格好で転落し、シートを隠すためにまかれた大量の砂に埋まって死亡した可能性が高いことが捜査関係者への取材でわかった。
 穴掘りの最中にはメンバーが「深すぎて危険では」と指摘しており、県警は、重過失致死の疑いで里沙さんや穴掘りに参加した友人らを立件する方針。
 捜査関係者によると、里沙さんと友人らは落とし穴を畳約6畳分のブルーシートで覆い、その上に砂をかぶせていたという。2人は、シートに包まれるような状態で頭から転落しており、穴を覆ったシートを隠すために敷かれた大量の砂が2人に降りかかり、埋まった可能性が高いとみられる。
 一方、落とし穴作りの最中、友人男性の1人から「穴が深すぎて危険なのではないか」との発言があり、元々は予定していなかったマット数枚を調達し、穴の底部に敷き詰めていたことも判明。県警は、危険性を認識した上での行為だったとみて、友人らから任意の事情聴取を続けている。落とし穴作りは、9月1日に誕生日を迎える裕樹さんを驚かせようと、里沙さんが発案。当日は友人の男女6人と昼過ぎから約5時間かけて、2.4m四方、深さ2.5mの落とし穴をスコップで掘った。
 里沙さんは自宅に戻り、裕樹さんと夕食後、海岸に連れ出したという。計画では、裕樹さんだけを落とすはずだったが、2人は暗闇の中を携帯電話の明かりのみで落とし穴に向かって進んだため、里沙さんは穴の周囲に目印に置いていたペットボトルに気付かず、誤って一緒に転落したとみられる。
2011年9月1日14時56分 読売新聞

178.3. 落とし穴夫婦死亡、1.5m超の穴掘り「違法」

 石川県かほく市大崎の大崎海岸で27日夜、砂浜に掘られた落とし穴(約2.4m四方、深さ約2.5m)に転落した金沢市湖陽、会社員出村裕樹(ひろき)さん(23)と、妻の里沙さん(23)が死亡した事故で、穴掘りの最中に「穴が深すぎて危険なのではないか」という指摘がメンバーからあり、穴の底に複数枚のマットを敷いていたことが29日、捜査関係者への取材でわかった。
 県警は、当事者たちが危険だと認識していた可能性が高く、重過失致死の疑いがあるとみて、里沙さんや友人らの立件を視野に詳しく調べている。
 捜査関係者によると、落とし穴作りは、9月1日に誕生日を迎える裕樹さんを驚かせようと、里沙さんが発案し、友人の男女6人を誘ったという。里沙さんらは27日昼過ぎから約5時間かけて穴を掘った。その後、底にマット数枚を敷き、上部は畳約6畳分のブルーシートで覆い、夕方以降、危険防止のために目印を立てていたという。
 計画では、裕樹さん1人を落とすはずだったが、2人は携帯電話の明かりのみで歩いて穴に向かったため、暗闇の中で里沙さんも穴に気付かず、誤って転落したとみられる。
 司法解剖の結果、2人の死因は砂に埋まった際、胸部を圧迫されたことによる窒息死と判明した。また、2人の転落時刻は当初、午後10時過ぎとみられたが、その後の調べで午後10時半頃だったこともわかった。

178.4. 1.5m超の穴掘り「違法」◆

 県河川課は29日、海岸の土地で深さ1.5mを超える穴を掘る場合、海岸法の規定で県知事の許可が必要となることを明らかにした。同課によると、死亡した夫婦やその友人からは、許可申請が出ていなかった。ただ、仮に申請されたとしても、落とし穴を掘る目的では、許可は出さないという。海岸法では、無許可で海岸の土地を1.5mを超えて掘削した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。同課は、事故の再発防止を図るため、大崎海岸の事故現場に注意を呼びかける立て看板を設置する方針。
2011年8月30日07時43分 読売新聞

178.5. 「深くて危険」認識か

重過失致死容疑で立件も

 かほく市大崎の大崎海岸で27日夜、砂浜に掘られた落とし穴(約2・4メートル四方、深さ約2・5メートル)に転落した金沢市湖陽、会社員出村裕樹(ひろき)さん(23)と、妻の里沙さん(23)が死亡した事故で、穴掘りの最中に「穴が深すぎて危険なのではないか」という指摘がメンバーからあり、穴の底に複数枚のマットを敷いていたことが29日、捜査関係者への取材でわかった。県警は、当事者たちが危険だと認識していた可能性が高く、重過失致死の疑いがあるとみて、里沙さんや友人らの立件を視野に詳しく調べている。
 捜査関係者によると、落とし穴作りは、9月1日に誕生日を迎える裕樹さんを驚かせようと、里沙さんが発案し、友人の男女6人を誘ったという。里沙さんらは27日昼過ぎから約5時間かけて穴を掘った。その後、底にマット数枚を敷き、上部は畳約6畳分のブルーシートで覆い、夕方以降、危険防止のために目印を立てていたという。
 計画では、裕樹さん一人を落とすはずだったが、2人は携帯電話の明かりのみで歩いて穴に向かったため、暗闇の中で里沙さんも穴に気付かず、誤って転落したとみられる。
 司法解剖の結果、2人の死因は砂に埋まった際、胸部を圧迫されたことによる窒息死と判明した。また、2人の転落時刻は当初、午後10時過ぎとみられたが、その後の調べで午後10時半頃だったこともわかった。

1.5m超の穴掘り「違法」

 県河川課は29日、海岸の土地で深さ1.5mを超える穴を掘る場合、海岸法の規定で県知事の許可が必要となることを明らかにした。同課によると、死亡した夫婦やその友人からは、許可申請が出ていなかった。ただ、仮に申請されたとしても、落とし穴を掘る目的では、許可は出さないという。
 海岸法では、無許可で海岸の土地を1.5mを超えて掘削した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。同課は、事故の再発防止を図るため、大崎海岸の事故現場に注意を呼びかける立て看板を設置する方針。
2011年8月30日 読売新聞


179_東電OL殺人事件

179.1. 事件の概要

 被害者女性が東京電力従業員であったことから、この名が付けられた。
 1997年(平成9年)3月19日午後5時過ぎ、東京都渋谷区円山町のアパート(木造2階建て)の「喜寿荘」1階101号室(空屋)で、東京電力東京本社に勤務する渡邉泰子(当時39歳)が絞殺死体で発見された。発見し通報したのは、このアパートのオーナーが経営するネパール料理店の店長であった。後に被告人となるネパール人男性はこのアパートの隣のビルの4階に同じく不法滞在のネパール人4名と住んでいて、被害者が生前に売春した相手の一人でもあった。死因は絞殺で、死亡推定日時は同8日深夜から翌日未明にかけてとされる。
 渡邉は、慶応大学を卒業後、父親が勤めていた東京電力に入社、経済調査室副室長まで上りつめたキャリア女性であった。事件当時は、父親が50代で他界し杉並区の自宅で母親と妹の3人暮らしであった。渡邉さんは、毎日午後5時20分に定時退社をしていたのだが、何故か帰宅は殆ど深夜だったことがその後の調査で判明した。
 渡邉さんの絞殺死体を発見したのは、アパート管理を任されていたネパール料理店の店長Mさんで、101号室の玄関脇にある小窓が開いており、そこから覗くと女性が仰向けに倒れていた。不審に思ったMさんが警察に届けた。
 警察の現場検証では、渡邉さんの洋服(ブルーのツーピース)や下着には特に乱れた様子は無かったが、どういう訳か渡邉さんの髪の毛にはポールペンが絡んでいた。また、彼女のショルダーバックは口が開いていた。トイレでは使用済みのコンドームも発見された。
 死体検視の結果、渡邉さんの死因は絞殺で犯行時間は3月8日の夜から9日未明とされた。
 1997年(平成9年)5月20日、警視庁は、殺害現場の隣のビルに住み、不法滞在(オーバーステイ)していたネパール人の男性を、殺人事件の実行犯として強盗殺人容疑で逮捕した。男性は、捜査段階から一貫して冤罪を主張。

179.2. 被害者

 被害者女性は、慶應義塾女子高等学校をへて、慶應義塾大学経済学部を卒業した後、東京電力に初の女性総合職として入社した。未婚のエリート社員であったが、後の捜査で、退勤後は、円山町付近の路上で客を勧誘し売春を行っていたことが判明する。被害者が、昼間は大企業の幹部社員、夜は娼婦と全く別の顔を持っていたことで、この事件がマスコミによって興味本位に大々的に取り上げられ、被害者および家族のプライバシーをめぐり、議論が喚起された。
 ノンフィクション作家の佐野眞一のノンフィクション『東電OL殺人事件』では、被害者女性には職場でのストレスがあったことが示唆されている。高学歴のエリート社員で金銭的余裕があるのに、夜は相手を選ばず不特定多数の相手との性行為を繰り返していたことには、自律心を喪失し、何らかの強迫観念に取りつかれ、自暴自棄になった依存症の傾向があるとする見方もある。また、円山町近辺のコンビニエンスストア店員による、コンニャク等の低カロリー具材に大量の汁を注いだおでんを、被害者が頻繁に購入していたとの証言や、「加害者」とされた男性による、被害者女性は「骨と皮だけのような肉体だった」との証言などから、拒食症を罹患していたことも推定される。
 被害者は退勤後、着替えの為、渋谷109の化粧室に立ち寄ったという。 被害者が帰宅時によく利用した京王井の頭線神泉駅。この駅のそばに殺害現場となったアパートがある。

179.3. 容疑者

 ゴビンダ・プラサド・マイナリである。

179.4. 第一審

 犯人を特定する直接の証拠はなく、検察側は状況証拠を複数積み上げることで被告人が犯人であることを立証できるとして、東京地方裁判所に起訴した。被告人は無罪を主張した。裁判では犯人性の立証において以下の証拠をどう判断するかが争点となった。

遺留物

  • 殺害現場に残された使用済みコンドームに付着した被告人の精液と体毛
  • 交遊関係を詳細にしるし、事件直前に会ったのが被告人であるとする被害者の手帳の信用性
  • 被害者の定期券が、被告人の土地勘のない豊島区の民家で発見されたこと。

被告人供述の信用性

  • 被告人は被害者と面識はないと公判開始数ヶ月間は主張していたが、その後で数回性交するほどの間柄であったことが判明して、嘘が発覚した。
  • 現場アパートの鍵を被告人が所持していたが、事件2日前に管理人に返すために同室の人間に鍵を渡し、鍵を所持していなかったとする被告人の供述の信用性。
  • 事件前に7万円しか所持していなかった被告人が、事件後に10万円を知人に渡した金の工面

他の者の供述の信用性

  • 事件直前に現場近くで被害者とともに目撃された男性が被告人か否か。

他の証拠

  • 被告人が働いていた海浜幕張駅近くの料理店で午後10時閉店まで働いた場合、殺害時刻とされる午後11時30分前後まで渋谷駅付近の現場に辿り着ける可能性

判決

 2000年(平成12年)4月14日、東京地方裁判所(大渕敏和裁判長)で、現場から第三者の体毛が見つかったことなどを「解明できない疑問点」として挙げ「第三者が犯行時に現場にいた可能性も否定できず、立証不十分」として、無罪判決が言い渡された。しかし、4月18日に検察側が控訴した。

179.5. 無罪判決後の勾留

 東京地裁の一審無罪判決で勾留(拘置)が一度失効し、不法滞在による母国ネパールへの強制退去の行政手続きが開始されることになった。
 しかし、控訴していた検察は「ネパールへの出国を認めて送還した後に逃亡されてしまうと、裁判審理や有罪確定時の刑の執行が事実上不可能になる」として、裁判所に職権による勾留を要請。弁護側は、「控訴審は、文書送付先にネパール大使館を指定しており、無罪確定時の補償金受け取りのために、被告人は、日本政府の裁判審理のための出頭要請には応ずる」と反論し、勾留を行わないよう求めた。
 東京地検の要請を受けた東京地裁と、東京高検の要請を受けた東京高裁第5特別部は、勾留(拘置)を認めなかった。しかし、控訴審が係属した東京高裁刑事4部は、勾留を認める。弁護側は、異議申立てを行ったが、東京高裁刑事5部は異議申立てを棄却して勾留を認める。弁護側は、最高裁に特別抗告をしたが、最高裁は「一審無罪の場合でも、上級審裁判所が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると判断できる場合は被告人を拘置できる」として3対2で特別抗告を棄却し、勾留を認めたために、再勾留となった。賛成は町田顯、井嶋一友、大出峻郎の3人。反対は藤井正雄、遠藤光男の2人である。勾留に関する特別抗告で意見が3:2で割れることは稀である。

179.6. 控訴審/上告審

 2000年(平成12年)12月22日、東京高等裁判所では、「犯行直前に被告人が事件現場にいたこと(鑑定により現場に残された使用済みコンドームに付着した精液と現場に残された体毛が被告と一致)と、事件直後に金を工面できたこと」などいくつかの間接証拠を理由に有罪とし、無期懲役判決を言い渡した。
 DNA鑑定の有効性が問われた。一審では反対解釈の余地もあるとして無罪となったが、二審では決定的な証拠であるとして無期懲役の判決が下された。
 2003年(平成15年)10月20日に、最高裁判所第三小法廷(藤田宙靖裁判長、金谷利廣、濱田邦夫、上田豊三)で上告が棄却され、無期懲役の有罪判決が確定した。

179.7. 再審請求

 2005年(平成17年)3月24日、被告人は、獄中から東京高裁に再審を請求している。現在、日本国民救援会が支援している。また、日本弁護士連合会も、2006年(平成18年)10月に冤罪事件として専門家の派遣、費用の援助などさまざまなかたちでの支援を決定している(定例記者会見(日本弁護士連合会 2007年1月31日))。
 2011年(平成23年)7月21日、東京高裁の再審請求審で弁護側が要請し、東京高裁がそれを受けて現場で採取された物証のうちDNA鑑定をしていないものについて実施するよう検察側に要請し、東京高検がDNA鑑定を実施。その結果、遺体から採取された精液から検出されたDNAは、先述のネパール人男性のものと一致しないものであることが判明し、現場に残された体毛と一致することがわかった[3]。
 これについて検察側は、複数の状況証拠を覆すものではなく、被害者は不特定多数の男性と性交渉をもっており、精液付着の時間も不明であることから犯人が別にいることを直接示すものでもないとしている。当団体もその点については同様に考えるが、重要なのは、別の真犯人が割り出せそうなことではなく、「犯人が誰だか分からなくなったこと、つまり、ゴビンダ・プラサド・マイナリが犯人であるとする根拠が非常に薄弱になったこと。」である。

179.8. 現在検討点

 この新たに見つかったDNAを持つ人物は警察資料にはなく、現在のところ、割り出すのは困難である。この男性Xが誰でいつ部屋に入ったかは特定できていないため、主に次の2つのシナリオが新たに浮上した。
 第1の展開は、ネパール人の被告が殺害前日までに部屋にいて、当日別の男性Xが部屋に入り殺害することである。第2の展開は、男性Xが殺害される前日までに女性とDNAが残るような行為をした後にネパール人の被告が殺害したことである。今回の鑑定結果を踏まえて検察が別にいることを直接示すものでもないとしているのは第2の展開があるというのが1つの理由となっている。一方、第1の場合は被告人は無罪であり、弁護団の主張通り第三者Xが犯人となりえる。再審開始決定は早くても数カ月後と見られている。



R. 参考資料/記事



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