■スケジューリング
 ●意識
  □仕事には納期が必ずある。納期までに一定の成果物を相手に提示することが絶対に必要なこと。
   大規模プロジェクトであれば遅延1日ごとに賠償金を支払うことだってある。
   そのためには、何よりも事前準備がカギとなり、そのためのツールとしてスケジュールがある。
   本番稼働日だけが大事なのではなく、そのための1日1日が重要。それゆえ、納期までに何を行うのかを計画するスケジューリングはとても重要。このプロセスがしっかりしていれば、結果は自然とついてくる。
   このようにスケジュールは自分を幸せにするものである。
   自分には、当然納期を守る義務があるが、そのためのスケジュールを立てる権利があると考えてもよい。

 ●やり方
  □ゴールの設定
   ゴールとなる日付(納期)を確認する

  □前提条件の確認
   イベントとしてすでに決まっている事項(キックオフ会、夏季休暇など)を確認する
   プライベートの予定も先にスケジュールに組み込む(絶対に仕事を入れない)

  □作業項目の洗出し
   ゴール時の具体的状況のイメージから、プロジェクト達成に必要な各要素ごとにPDCAなどの視点を使って作業を分解し、作業項目の一覧を作る。
   (作業項目は、サーバ構築、クライアント構築、パッケージ導入作業、カスタマイズ作業、データ移行作業などのパーツに分解して考えないと検討できない。)
   逆線表の意識で「そのためにはどうするのか」を何度も繰り返す。
   大きなスケジュール(工程)から小さなスケジュール(詳細)へ、手に取れるまでブレイクダウン(=ステップ化し、締切日を入れる)
   (最初からすべてが見通せていればよいが、変動要素が多ければ、次の工程が近づいてきた段階で次の工程の詳細作業スケジュールを考えてもよい。)


   この際、以下の点も含めて検討しておく。
   ・何が完了していれば工程を完了してよいと判断するのか
   ・ゴールまでが長期に渡る場合、いつ進捗確認を行うのか(PA会など)
   ・各工程において、緊急事態を含めて予定をオーバーする事態が発生したときにどうするのか、リカバリのためのプランBが必要。
    (常に最悪の事態を想定し、対応できる状況にしておく。「万が一」は発生するもの。)
   ・作業が完了した後はどうするのか

   スケジュールは前半主義で検討する。1週間なら3日前倒し。1ヶ月なら1週間前倒し。
   10日の予定もあと5日しかないものとして計画する。これが前半主義。

  □作業順序の検討
   各作業同士の依存関係を考え、PERT図などにより作業の順序を検討する
   依存関係がない場合、時間がかかりそうな作業項目から着手するように順番をつける(待ちムダを作らない)
   また、不確実であったり、やるべきことが不明なものも時間がかかる可能性があるため、優先的に着手するようにする。
   (人に聞いて内容を把握するか、内容が把握できるように先行して一部の作業のみをやってみることにするなど。)
   全体を見通して作業項目を5W1Hで分解したものをグルーピングする。(出張先での作業など、まとめられる予定はまとめて行なう。)
   (現地でないとやれないもの、現地の方がやりやすいなど。往復2時間かけて事務所に帰ってきてまでやるべき作業なのか確認する。)

  □作業時間の見積
   各作業にかかる時間を見込む→合計すれば1人で行う場合にかかる時間がわかる。
   まずはノーリスクで見積もる(ここをどう見るかが経験が生きてくる場所。今後の振返りのためにも見積値は保存しておくこと)
   加えてバッファを見込む(考慮要素:もう1回やるとしたら?自分以外の人を動かす余裕を)
   1人1人の作業にバッファを見込むのではなく、チーム全体で見込む。
   スケジュールに希望を書き込まないように注意。(現実的なスケジュールをたてる!)

  □作業手順・役割分担の調整
   作業時間がわかった時点でクリティカルパスが判明する。スケジュール上に明示すること。
   この時点で納期に間に合わなさそうならやり方を工夫する、役割を分担するなどして納期に間に合うように調整する。
   (ここが工夫のしどころ。段取り力が試される。)
   このとき、見積時に見込んだバッファは根拠がない限り削ってはならない。
   誰に依頼する必要があるか?メンバの体の空き状況・政治的要素・メンテ後は誰が面倒を見るかなどを総合的に判断
   関係者全員の段取りを考慮する(開発元・グループ会社・お客様も含む)
   スケジュールで同一担当者が複数作業を同一時期に実施することになっている箇所について、実現可能か要注意。
   急がないが締切がある作業については、流動的な作業が始まる前に実施することにする。

  □確定・合意
   できあがったスケジュールを確定する
   なんとなくプロジェクトを始めない!
   社内・顧客とも必ずキックオフ会議を行い、ここで関係者に対してゴールまでの見通しを伝え、合意(コミットメント)を得る。
   スケジュールはプロジェクトメンバ以外の周囲にも公開する。下記のメリットがある。
   ・過剰な作業を受けないようにできる
   ・早期にアラームを挙げることが可能

  □死守
   できあがったスケジュールは死守する。(バッファも含まれた状態で。)
   ただし、スケジュールに書いてあるのは、リミット(いつまでにやるか)のみ。
   やれるものは前倒しでどんどん先にやってしまう!

 ●まとめ
  上記は1つのプロジェクトについてであり、他のプロジェクト分もマージして日々のスケジュールが決まっていく
  基本のプロジェクトを持ち、そこにサブのプロジェクトの作業を埋めていくイメージで。
  作成したスケジュールはあくまでツール。自分の周囲で一緒に動いているメンバがどのような動きをする予定なのか、完全に把握していなければダメ。自分でゴールでの姿およびそれまでのプロセスをどこまで具体的にイメージできるかが勝負。
 組織の上に立つ≠上意下達の関係
 組織の中心にいて、人の動きをよく見て動くことが仕事
 人を観察し、どう感じてどう動くのか、空気を読むこと
 これはテクニックであり、練習で克服できる

最終更新:2011年08月14日 01:58